深夜酒類提供飲食店営業(深夜営業)に必要な届出(許可)について

深夜も営業しているBARは、さながら都会のオアシスといったところで、友人と食事を楽しんだ後、蛍の灯りのように照るネオンサインに誘われて、ついふらっと入店するなんてことも珍しくありません。
一時期はコロナ禍の煽りを受けてやや元気をなくしていたナイトビジネスですが、現在は完全に復調しており、バーやスナックに関する手続きは、弊所においても相談件数の多い主力業務のひとつとなっています。
他方、お酒を提供する飲食店において深夜営業を行う際に必要となる手続きは案外複雑かつ面倒な作業を求められます。
そこで本稿では、バーやスナック等の飲食店が深夜営業を開始するために必要となる手続きについて、詳しく解説していきたいと思います。
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届出を必要とする営業

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)では、深夜0時から早朝6時までの時間帯において営業を行う飲食店を「深夜営業飲食店」、このうち、「バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業であって、営業の常態として通常主食と認められる食事を提供して営むものを除いた営業」を「深夜酒類提供営業飲食店」として区分しています。
★深夜酒類提供飲食店
- 設備を設けていること
- 客に飲食をさせていること
- 営業の常態として通常主食と認められる食事を提供して営むものではないこと
本来であれば、サービス内容や営業時間等は飲食店の自由意思に任せるべき事項ですが、飲食店であるからには食品衛生上の問題をクリアする必要があるほか、深夜に及ぶ飲酒と歓楽的な雰囲気に起因するトラブルを未然に防止する必要があります。
一般的なレストランやラーメン店のように、営業の常態として通常主食と認められる「食事」を提供する飲食店については、これらのトラブルが発生する可能性は低く、食品衛生上の措置を求める飲食店営業許可のみで深夜営業を行うことが可能です。
他方、BARのように「飲酒」をメインとする飲食店が深夜営業を行う場合には、上記の趣旨により、飲食店営業許可に加え、深夜酒類提供飲食店営業の届出を行う必要があります。
もっとも届出の要否については、明確な判断基準が存在しているわけではなく、管轄ごとの温度差や取扱いの違いやもあるため、事前に所轄の警察署に確認する方が無難です。
お店のコンセプト

近年は、飲食を提供するだけにとどまらず、様々なコンセプトを打ち出す施設が増え、単なる飲食店の域を超えたエンターテイメント施設のようなお店まで登場しています。
下表はその一例ですが、これらに該当する飲食店では、その実態に応じて適切な手続きを行う必要があります。
ダーツバー | デジタルダーツは規制の対象外ですが、従業員と客との対戦は接待に該当するため、風俗営業許可が必要になります。 |
ダンスクラブ・スポーツバー | 設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に深夜において酒類を提供する営業は特定遊興飲食店営業に該当します。 |
コンセプトバー | メイドや執事に接待をさせる場合には風俗営業許可が必要になります。 |
ポーカーバー | ポーカーテーブルの専有面積(×3)が客室の10%を超える際は風俗営業許可が必要になります。 |
アミューズメントバー | 風俗営業の5号営業許可が必要になるほか、1号営業許可が必要になる場合があります。 |
シーシャバー | たばこの対面販売許可が必要になります。 |
社交飲食店との関連
お酒を提供するお店で特によく問題となるのが、キャバクラやホストクラブのように、接待を提供する社交飲食店との兼ね合いです。
これらのお店が単にお酒を提供する飲食店と絶対的に異なる点は、「接待」を提供する「風俗営業」(1号営業)であるという点にあります。
接待の有無については、線引きが怪しいお店も少なからず存在しますが、単に「カウンター越しの談笑」であれば接待には当たらないというような単純なものではありません。
特に最近は接待の有無について厳しく判断される傾向にあるので、「接待」の定義については、しっかりと把握して営業形態を選択するようにしてください。
よくあるご質問として、「社交飲食店営業と深夜酒類提供飲食店営業との兼業は可能なのか」というものがありますが、兼業を直接禁止する条文こそないものの、申請者が同一である場合、同一の営業所内でこれを明確に区分して営業することは事実上困難であるため、警察本部の判断として、実務上これが認められることはほぼありません。
社交飲食店営業と深夜酒類提供飲食店営業のメリットデメリットは下表のとおりですが、これらの違いについては、開業当初からしっかりと把握して営業形態を選択するようにしてください。
営業 | 手続き | 営業時間 | 接待 |
---|---|---|---|
お酒メインのお店 (深夜営業なし) | 飲食店営業許可のみ | 0〜6時は営業不可 | ☓ |
お酒メインのお店(深夜営業あり) | 飲食店営業許可 + 深夜営業の届出 | 一日中 | ☓ |
社交飲食店 | 飲食店営業許可 + 風俗営業許可 | 0〜6時は営業不可 | ○ |
食事メインのお店 | 飲食店営業許可のみ | 一日中 | ☓ |
その他の風俗営業との関連
風俗営業は何も社交飲食店(1号営業)に限定されていないため、たとえば客室内照度が10ルクス以下の暗いバーは「低照度飲食店」(2号営業)、5㎡以下の狭い個室のある飲食店は「区画席飲食店」(3号営業)、雀卓を備える飲食店は「まあじゃん屋」(4号営業)、ゲームマシンを設置する施設は「アミューズメント施設」(5号営業)といったように、風俗営業に該当するタイプの飲食店は数多く存在しています。
以下に風俗営業の5形態を案内しているので、ご自身が開店しようとする飲食店がいずれにも該当しないことをしっかりと確認してから先にお進みください。
1号営業 | キャバレー、待合、料理店、カフェその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業 | キャバクラ、ラウンジ、ホストクラブ |
2号営業 | 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計った営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの | 低照度飲食店 |
3号営業 | 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5㎡以下である客席を設けて営むもの | 区画席飲食店 |
4号営業 | まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業 | 雀荘、ぱちんこ店 |
5号営業 | スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業 | ゲームセンター、アミューズメント施設 |
特定遊興飲食店営業について
風営法では、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせる深夜酒類提供飲食店を特定遊興飲食店営業として取り扱い、深夜酒類提供飲食店とも風俗営業とも異なる規制の対象としています。
この条件を満たす営業であれば、ナイトクラブ、DJクラブ、スポーツバー、ライブハウス、ショーパブなど、営業形態の別を問わず特定遊興飲食店に該当し、営業をはじめようとするときは、公安委員会(警察)からの許可が必要となります。
ポイントは深夜帯に「遊興」をさせているかどうかであり、客に遊興をさせる設備のある店舗であっても、お酒を提供しない店舗であったり、そもそも深夜帯に営業を行わない飲食店であれば、この規制の対象からは除外されることとなります。
ただし、特定遊興飲食店営業は、商業地域内のごく一部の区域にのみ認められている営業であるため、特定遊興飲食店営業に該当するかどうかについては、事前にしっかりと確認するようにしてください。
深夜酒類提供飲食店営業の届出

深夜酒類提供飲食店として営業を開始するためには、深夜営業を開始する日の10日前までに、営業所所在地を管轄する警察署に対し、深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出する必要があります。
よくある勘違いですが、深夜営業を行うための許可というものはそもそも存在せず、届出により手続きは完結するため、許可書や届出手数料というものも存在しません。
だからといって手続きが簡単なわけでもなく、少なくとも飲食店営業の許可申請よりは格段に面倒な手続きを求められます。
また、届出の前提として飲食店の営業許可を先行して取得する必要がありますが、飲食店の営業許可は取得するまでに通常1〜2週間程度の期間を要するため、これに10日の期間を算入して開業までの経営戦略を立てるようにしましょう。
設備の要件
深夜酒類提供飲食店については、ヒトに関する要件こそありませんが、以下のように施設や施設内設備の構造基準を満たす必要があります。
- 客室の床面積は9.5㎡以上確保すること
- 客室には見通しを妨げるものを設置しないこと
- 客室部分を施錠しないこと
- 公序良俗に反する広告、写真、装飾を設置しないこと
- 店内の照明は照度20ルクス以上であること
- 条例で定められた数値以上の騒音や振動を発しないこと
このうち9.5㎡以上という客室の面積要件については、客室を複数設けるような場合に要求される条件であって、カウンターだけが設置されている狭い単室構造のいんには適用されません。
ただし、5㎡以下の狭い個室を設けると、「区画席飲食店」として、風俗営業の許可を受ける必要があります。
また、おおむね100cmを超える高さの設備は、「見通しを妨げるおそれがある設備」として、これを客室に設置することは原則として認められていません。
深夜酒類提供飲食店営業の禁止区域
各自治体の条例による特例はありますが、都市計画法上の住居地域(下記)においては、原則として深夜酒類提供飲食店営業を行うことはできません。
都市計画法上の用途地域は各自治体が公開するインターネット上のサイトで調べることができるので、テナントや物件を取得しようとするときは、必ず物件が所在する場所の用途地域を確認するようにしてください。
- 第1種低層住居専用地域
- 第2種低層住居専用地域
- 第1種中高層住居専用地域
- 第2種中高層住居専用地域
- 第1種住居地域
- 第2種住居地域
- 準住居地域
必要となる書類
深夜酒類提供飲食店の届出は、以下の書類を営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課(係)の担当者に提出することにより行います。
- 深夜酒類提供飲食店営業営業開始届出書
- 営業方法
- 各種図面
- 周辺図
- 店舗内平面図
- 店舗があるフロア平面図
- 客席配置図
- 客席求積図
- 照明及び音響配置図
- 飲食店営業許可証
- メニュー
- 賃貸借契約書(テナントの場合)
- 賃貸人の深夜営業に対する承諾書
- 住民票(本籍記載、法人の場合は役員すべて)
- 定款(法人の場合)
- 法人登記簿謄本(法人の場合)
- その他管轄警察署で求められた書類
このうち特に煩(わずら)わしい作業が図面の作成であることは間違いないので、以下の記事でしっかりと確認し、それでも心折られたときは、弊所までどうぞご遠慮なくご連絡ください。笑
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弊所は兵庫県大阪府京都府を中心に、年間数十件の店舗と300件以上もの申請に携わります。最近は首都圏・四国圏・東海圏・中国圏・東北圏・九州圏からも発注があり、この手続きには熟達しているという自負があります。
さらに弊所では「話しの分かる行政書士事務所」を標榜し、迅速、格安での対応をお約束しています。深夜酒類提供飲食店営業開始届であれば、最短訪問の翌日には手続きを完了させることが可能です。むしろ経験豊富で迅速であるからこそ工期を短縮することができるので、格安料金での対応が実現可能となっています。
近年は扱いやすい見積もりサイトが台頭していますが、やり取りが煩(わずら)わしく、プロ側には極めて高い手数料が設定されているため、これを回収すべく何だかんだ付け加え、かえって高額になるケースも多くあるようです。弊所ではこれらとの相見積りにも応じているほか、負担となりがちなやり取りについても、最低限で完結するように心がけています。無駄なコストは費用も時間もカットするのが最良の策です。
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