スポーツバー・ナイトクラブ・ライブハウスをはじめる前に│特定遊興飲食店営業開業ガイド

お酒好きを大別すると、サクッと一人飲み派とワイワイ賑やか飲み派に分かれるような気がします。かくいう私はというと、どちらかと言えば後者のタイプで、お酒そのものよりも場の雰囲気を楽しむタイプだと思います。
ごめんなさい。誰も興味ないですよね。
さて、本稿では私のようなワイワイ賑やか飲み派にはジャストミートな飲食店である特定遊興飲食店営業についてご案内します。比較的新しい業態の飲食店なので、その定義や許可を受けるための要件などについても詳しく解説していきたいと思います。
目 次
特定遊興飲食店営業とは
特定遊興飲食店営業とは、ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る)で、午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く)をいう。
(風俗営業法第2条第11項)
上記が特定遊興飲食店営業を定義する風営法の条文です。平たく分解すると、以下の4つの条件をすべて満たす業態が特定遊興飲食店営業に該当することになります。
- 設備を設けていること
- 客に遊興をさせること
- 客に酒類を提供すること
- 深夜(午前0時から午前6時まで)に営業すること
具体的には、上記の条件を満たすスポーツバー、ナイトクラブ、ライブハウス、ショーパブなどが該当します。注意すべき点は、「酒類の提供」と「深夜営業」の部分です。要するに、客に遊興をさせる設備のある店舗であっても、お酒を提供しなかったり、深夜営業を行わない飲食店は、この規制の対象外となります。これはつまり、この規制が飲酒と遊興による享楽的な雰囲気により客が深夜まで騒ぎ立てることで近隣住民との間にトラブルを発生させないようにするためのものだからです。
警察庁公式サイトにおいて該当非該当をチェックできるページがあるので確認してみてください。
▶警察庁公式サイト(外部リンク)
遊興とは
遊興とは、文字どおり「遊び興じさせること」を意味します。警察庁の見解によれば、具体例としては次のようなものが遊興として示されています。
不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる行為
不特定の客に歌手がその場で歌う歌、バンドの生演奏等を聴かせる行為
客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為
のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為
カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し、不特定の客の歌に合わせて照明の演出、合いの手等を行い、又は不特定の客の歌を褒めはやす行為
バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為
上記のほか、営業者側の積極的な働き掛けにより不特定の客に遊び興じさせる行為
ポイントは、店舗側から積極的に働きかけている行為であることです。そのため、単に店内で映像を流しているだけの場合や、カラオケ機器を設置しているだけの場合などは遊興には該当しません。ちなみに対象が「不特定の客」となっていますが、「特定の客」を対象に遊興させる場合は、「接待」に該当し、風俗営業の規制対象となります。
事業性について
事業ですので、営利性と継続性といった事業性があることも特定遊興飲食店営業の該当条件となります。したがって、忘年会や結婚式の二次会などのような単発的で非営利な催しや、サッカーのワールドカップのような短期間のイベント(※)に併せて営業することは、特定遊興飲食店営業には該当しません。あくまで営利性と継続性を持って営業することが特定遊興飲食店営業の該当条件となります。
(※)短期間のイベントとは、1回につき一晩のみ開催されるもので、引き続き6ヶ月以上開催されないものをいいます。
遊興させるための設備
具体的には映像を流すモニターやカラオケ機器、ショーのためのステージ等が該当します。もちろんお酒を提供することを前提としないコンサートホールやスタジアムは、設備はあっても条件を満たさないため特定遊興飲食店営業には該当しません。また、飲食のスペースと遊興のスペースとが明確に区画されているような場合も特定遊興飲食店営業には該当しません。
営業時間
条件にあるとおり、営業時間は午前0時から午前6時までの間に限られます。ただし、営業時間については都道府県条例によって制限をすることができるため、都道府県ごとに営業時間がまちまちであったり営業することができない時間が設定されていたりすることがあるので注意が必要です。
午前0時までの営業はできないの?と思われた方もいらっしゃると思いますが、こちらについては通常の飲食店営業許可の範疇で営業することができます。したがって、深夜営業を行わないライブハウスなどでお酒を提供していたとしても、特定遊興飲食店営業の許可を取得する必要はありません。
ちなみに風俗営業との兼業は、ほぼ不可能であるものと考えて間違いありません。
特定遊興飲食店営業許可
特定遊興飲食店営業を営むためには、次の要件をすべて満たした上で営業地を管轄する警察署に申請し、都道府県公安委員会の許可を受ける必要があります。また、飲食店ですので、当然ながら飲食店営業許可を取得することが前提条件です。
- 場所的要件
- 人的要件
- 構造の要件
風俗営業にも同様の要件が必要とされますが、違いも多く存在します。また、各都道府県ごとに求められる基準が異なることについても注意が必要です。
場所的要件
各都道府県において営業所設置許容地域が告示されており、その地域内でなければ営業所を設けることができません。例えば兵庫県であるならば、営業所設置許容地域は以下のとおりです。

兵庫県においては、神戸市、尼崎市、姫路市の限られた一部においてのみ営業が許されています。さらには以下に記すように、保全対象施設からも一定の距離を置く必要もあります。
保全対象施設からの距離制限
こちらも都道府県ごとに施設の種類や制限される距離は異なります。例えば兵庫県の保全対象施設は病院と有床診療所(入院施設のある診療所)のみであり、離すべき距離も30mですが、大阪府の場合は、下のような施設が保全対象施設となり、離すべき距離も100mと定められています。
- 病院及び有床診療所
- 児童福祉施設(児童等が入所するもの)
- 助産施設
- 乳児院
- 母子生活支援施設
- 児童養護施設
- 障害児入所施設
- 情緒障害児短期治療施設
- 児童自立支援施設
人的要件(欠格事由)
申請者(法人の場合は役員)又は管理者が次のような事由に該当する場合は、許可を受けることができません。
- 成年被後見人・被保佐人
- 破産者で復権を得ないもの
- 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は無許可風俗営業、刑法等一定の法律に違反して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられてから5年が経過しないもの
- 風俗営業許可を取り消されて5年を経過しないもの
- アルコール・麻薬・大麻・アヘン・覚せい剤の中毒者
また、外国人である場合は以下の在留資格を有する者のみが申請することができます。
- 日本人の配偶者等
- 永住者、特別永住者、永住者の配偶者等
- 定住者
- 経営・管理
構造の要件
店舗の構造においてもさまざまな要件が定められており、下記の要件をすべて満たさなければ許可を受けることができません。
客室の床面積は、1室につき33㎡以上とすること
客室に見通しを妨げる設備がないこと(1mを超える間仕切りなど)
営業所内の照度が10ルクス以下とならないよう維持されるため必要な設備を有すること
風俗を害するおそれのある写真・装飾等の設備がないこと
騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないよう維持されるため必要な設備を有すること
客室の出入口(営業所外に直接通ずる出入口は除く)に施錠の設備を設けないこと
必要となる書類
- 許可申請書
- 営業の方法
- 営業所の平面図
- 営業所の使用権限証明書類
- 使用承諾書
- 賃貸借契約書の写し
- 建物登記簿謄本など
- 申請者・役員の住民票の写し(本籍地記載)
- 誓約書(申請者・役員・管理者)
- 身分証明書(申請者・役員・管理者)
- 登記されていないことの証明書(申請者・役員・管理者)
- 管理者の写真
- 飲食店営業許可証の写し
- 定款(法人)
- 登記事項証明書(法人)
まとめ
特定遊興飲食店営業は、比較的新しい飲食店の形態です。風俗営業とは異なりますが、同様に厳しい規制を受ける業態であることは間違いありません。場所的要件なども厳しく、物件を契約したものの営業が認められない立地であったなんてことにならないように、事前にしっかり調査して細かい事業計画を練ることが重要です。
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特定遊興飲食店営業許可 | 165,000円 |
飲食店営業許可 | 38,500円 |
特定遊興飲食店営業許可 + 飲食店営業許可 | 187,000円 |
深夜酒類提供飲食店 | 71,500円 |
深夜酒類提供飲食店 + 飲食店営業許可 | 88,000円 |
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