風俗営業許可申請ガイド│風営法の許可要件・開業までの流れを行政書士が徹底解説

世間一般の「風俗」に対するイメージとは異なり、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)に定められる「風俗営業」は、キャバクラや雀荘、ゲームセンターなど、実は私たちの身近に存在する営業形態を広く指しています。
風営法は非常に取締りが厳しい法律として知られ、違反摘発の報道を目にする機会も多いですが、摘発される中には法規制への認識が甘く、悪意なく違反してしまったケースも少なくありません。しかし、どれほど悪意がなかろうと「知らなかった」という言い訳は警察には通用しません。赤信号を無視して「見落としただけだから勘弁して」という理屈が通らないのと全く同じです。
本稿では、風営法の規制対象である「風俗営業」の全体像を解説します。これから開業を考えている方はもちろん、現在すでに営業を行っている方も、自身の店舗が法令を遵守できているか、改めて確認してください。
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風俗営業の5つの営業形態

風営法第2条第1項は、「風俗営業」を、善良な風俗と清浄な風俗環境の保持、ならびに少年の健全な育成に支障を及ぼすおそれのある営業と定義しています。
警察の実務においては、条文の号数に基づき、以下の5つの営業形態を「○号営業」として区分し、それぞれに規制を設けています。なお、いわゆる性風俗店については、これとは別個のカテゴリーである「性風俗関連特殊営業」として規定されています。
社交飲食店(1号営業)
風営法における「接待」とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。これは単なる接客を指すのではなく、特定の客の慰安を求める心理につけ込み、会話やサービスなどを提供する行為を指します。
具体的には以下のような行為が「接待」に該当し、これらを通じて客に飲食や遊興を提供する場合、その店舗は「社交飲食店(1号営業)」として風営法の厳格な規制対象となります。
| 談笑・お酌 | 特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為 |
| 踊り等 | 特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、歌舞音曲、ダンス、ショウ等を見せ、又は聞かせる行為 |
| 歌唱等 | 特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくはほめはやす行為 |
| 客と一緒に歌う行為 | |
| 遊戯等 | 客とともに、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為 |
| ボディタッチ | 客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為 |
| 飲食物の提供 | 客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為 |
低照度飲食店営業(2号営業)
喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業のうち、営業所内の照度を10ルクス以下に維持するものは、風俗営業の「2号営業」に該当します。
10ルクスとは、おおむね「上映中の映画館」程度の明るさです。これよりも暗い照明で営業するバーやクラブなどの飲食店は、いわゆる「低照度飲食店」として、風営法の厳格な規制対象となります。
ただし、照度の制限が社交飲食店営業(1号営業)と同一であるため、純粋な低照度飲食店営業として許可を取得することは極めて稀なケースです。
区画席飲食店営業(3号営業)
喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業において、他から見通すことが困難かつ面積が5㎡以下の客席を設けて営むものは、風俗営業の「3号営業」に該当します。
これはカップル喫茶等を念頭に置いた規定ですが、「飲食設備を有し、見通しが困難で、かつ5㎡以下の客席がある」という要件を満たす場合、マンガ喫茶やインターネットカフェ等も「区画席飲食店」として風営法の規制対象となる可能性があります。
マージャン屋、パチンコ店(4号営業)
射幸心とは、幸運や偶然に期待して思いがけない利益を得ようとする心理を指します。こうした射幸心を煽る営業は、賭博等の違法行為を誘発したり、未成年者の健全な育成を妨げたりする恐れがあるため、風営法上の規制対象となっています。
麻雀店やパチンコ店のように、遊技そのものが「客の射幸心をそそるおそれがある」とされる業態は、風俗営業の「4号営業」として風営法の厳格な規制を受けます。
★政令第8条に規定する営業
風営法では、パチンコ店のほか、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(以下、政令)第8条に規定する営業を規制対象としています。
ここで言う「政令第8条に規定する営業」とは、回胴式遊技機(パチスロ)、アレンジボール遊技機、じゃん球遊技機その他遊技球等の数量又は数字により遊技の結果を表示する遊技機を設置して客に遊技をさせる営業であって遊技の結果に応じ賞品を提供して営むものを指し、これらの営業とパチンコ店とを合わせ、「パチンコ店等営業」として風営法の規定が適用されます。
ゲームセンター等営業(5号営業)
スロットマシンやテレビゲーム機等の遊技設備は、本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができることから、これらの遊技設備を設置して客に遊技をさせる営業は風営法の規制対象となります。
規制対象となる遊技設備の具体例は国家公安委員会規則及び警察庁の通達において列挙されており、以下のいずれかの遊技設備を設置して客に遊技をさせる営業は、風俗営業として公安委員会から営業許可を受ける必要があります。
- スロットマシンその他遊技の結果がメダル等の数量で表示される構造の遊技設備
- テレビゲーム機(勝敗を争うことが目的の内容又は遊技の結果が画面に表示されるもの)
- フリッパーゲーム機(ピンボール)
- トランプ、トランプ台を使用するトランプ遊技
- ルーレット、ルーレット台を使用するルーレット遊技
- クレーンゲーム機
★アミューズメントカジノ
ポーカールームやポーカーバーのように擬似的にカジノの雰囲気を楽しめる施設を便宜上アミューズメントカジノと呼称することがありますが、風営法上はゲームセンターと同じく「ゲームセンター等営業」としてその規制対象となります。
したがって、ゲームセンターに係る法令や条例の規定はアミューズメントカジノにもすべて適用されることとなります。
該当性確認の上での注意点
風営法の規制対象である「風俗営業」に該当するかどうかは、名称や業種といった形式的な表面情報ではなく、実際の営業実態に基づいて厳格に判断されます。法律の定義と実際のサービス内容に少しでも食い違いがあれば、法的な該当性を見誤る大きなリスクが生じます。
この判断を安易に行い、無許可のまま営業を開始することは、意図に関わらず重大な法令違反となります。自社の業態が規制対象に含まれるかを正確に把握するためには、法令の定めた要件と自社の営業構造を徹底的に照らし合わせて慎重に精査する必要があります。
接待の有無
社交飲食店営業の項で少し触れたとおり、接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいいます。キャストがお酌をしたり談笑する行為がこれに該当するほか、デュエットやカラオケの合いの手なども接待に当たります。
接待を提供する飲食店は社交飲食店(1号営業)に該当するため、許可なく接待を提供することはできません。また、2025年の改正風営法施行以降は接待の該当性がより厳格に判断される傾向にあるため、グレーゾーンの接客形態には特に注意が必要です。
遊興の有無
風営法における「遊興」とは、ダンス、ショー、イベントなど、客を積極的に楽しませる行為を指します。遊興を提供する行為自体は単独で風俗営業となるわけではありませんが、接待を伴う飲食提供において客に遊興をさせる場合は風俗営業(1号営業:社交飲食店)に該当します。また、深夜の時間帯に遊興を提供する酒類提供飲食店については「特定遊興飲食店営業」として分類されます。
店内の明るさについて
飲食店等の施設では、それぞれ以下のとおり照度に関する規制が設けられています。このうち店内の照明を10ルクス以下にして営業する飲食店は、接待を提供しない場合であっても、風俗営業の低照度飲食店(2号営業)に該当します。
10ルクスとは上映中の映画館程度の明るさですが、バーやクラブなどでムードを演出するために照明を落とす際は、この基準を下回らないよう注意が必要です。
| 飲食店の施設 | 50ルクス超 |
| 飲食店の客室 | 10ルクス超 |
| 深夜酒類提供飲食店の客室 | 20ルクス超 |
| 区画席飲食店営業の客室 | 10ルクス超 |
| 雀荘又はパチンコ店の客室 | 10ルクス超 |
| 特定遊興飲食店営業の客室 | 10ルクス超 |
| 社交飲食店又は低照度飲食店の客室 | 5ルクス超 |
客室の広さについて
客室を設けて営業を行う風俗営業には、それぞれの営業形態に応じて床面積の規制が設けられています。また、5㎡以下の区画された客席を設けて飲食を提供するスタイルの店舗は、区画席飲食店(3号営業)に該当する場合があるため注意が必要です。
| 飲食店内に設置する個室全般 | 5㎡以下は風俗営業に該当する |
| 深夜酒類提供飲食店の店内に設置する個室 | 9.5㎡未満の個室は使用不可 |
| 接待飲食店又は低照度飲食店の店内に設置する個室 | 16.5㎡未満の個室は使用不可 |
| 雀荘又はパチンコ店の客室 | 個室は使用不可 |
| ゲームセンター等の客室 | 個室は使用不可 |
| 特定遊興飲食店営業の客室 | 1室につき33㎡以上とすること |
ダーツやゲーム機などの設置について
店内にダーツやゲーム機などを設置して遊技を提供する営業は、風俗営業としてゲームセンター等(5号営業)に該当する可能性があります。ただし、すべてのアミューズメント設備が規制対象となるわけではなく、対象となる場合でも許可が不要なケースがあるため、営業を開始する際は法令の適用範囲を正確に確認する必要があります。
深夜営業について
風俗営業者は、原則として午前0時から午前6時までの深夜時間帯において、その営業を営むことができません。この深夜営業禁止の規制を免れるために、実態を隠蔽して風俗営業ではないように装う店舗も見受けられますが、警察の監視は極めて厳格です。発覚した場合には無許可営業として重い罰則が科されるため、法令との境界を明確にし、適正な営業を徹底してください。
風俗営業許可申請
風俗営業を適法に営むためには、営業所を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けることが法律上の必須条件です。この手続きは単なる届出ではなく、複雑な法的要件をクリアした上で、厳格な審査を経てようやく営業が認められるものです。
申請に当たっては、立地や内装の基準を満たしていることを図面等で正確に証明し、審査を通過しなければ営業を開始することはできません。もし不備や虚偽があれば、開業直後の摘発や許可の取り消しなど、経営そのものを即座に失うリスクがあるため、申請は極めて慎重に行う必要があります。
申請の流れ
申請内容や所轄警察署により多少の差異はありますが、大まかな申請の手順については以下の流れとなります。
- 事前調査
- 申請書類の作成
- 書類の提出
- 実査
- 許可証の交付
事前調査
後述するとおり、風俗営業許可を取得するためには、ヒトに関する要件(人的要件)、場所に関する要件(場所的要件)及び営業所の構造に関する要件(構造要件)のすべてを満たす必要があります。
特に営業所の所在地は重要な要素であり、良物件と見込んで契約したところ、その場所が実は風俗営業の営業禁止区域であったということもそう珍しいことではありません。(不動産業者は風営法の規制についてあまり詳しくはありません。)
このような不測の事態を回避するため、まずは営業所を設置する場所が風俗営業を行うことができる区域に該当するかどうかをしっかりと確認し、慎重に物件を選択するようにしてください。
許可申請に必要となる書類
風俗営業の許可申請は、以下の書類を営業所を管轄する警察署の生活安全課保安係の窓口に提出することにより行います。所轄によってはさらに事前協議を求められることもあるため、申請前にはその流れについて事前に確認の連絡を入れるようにしましょう。
なお、警察署はローカルルールに縛られることが多いため、これらの書類とは異なるものを求められることがあります。
- 風俗営業許可申請書
- 営業の方法を記載した書類
- 営業所に係る賃貸借契約書の写し
- 営業所に係る使用承諾書
- 営業所の建物に係る登記事項証明書
- 営業所の平面図
- 営業所の配置図
- 営業所及び客室の求積図
- 照明・音響・防音設備の配置図
- 営業所の周囲の略図
- 営業所が所在する位置の用途地域を証明する書類
- 使用する建物が違法建築物でないことを証明する書類(建築確認概要書等)
- 欠格事項に該当しない旨の誓約書(申請者・役員・管理者)
- 誠実に業務を行う旨の誓約書(管理者)
- 住民票の写し(申請者・役員・管理者)
- 市区町村長の身分証明書(申請者・役員・管理者)
- 定款(法人の場合)
- 法人に係る登記事項証明書(法人の場合)
- 株主名簿の写し(株式会社の場合)
- 密接な関係を有する法人の名称等を記載した書面(法人であって密接な関係を有する法人がある場合)
- 飲食店営業許可証の写し
- 料金表・メニュー表の写し
- 管理者の写真2枚(縦3.0cm、横2.4cm)
添付する図面については相応に精度の高いものを要求されるため、大多数の方がまず図面作成の段階でつまづかれます。物件管理会社が準備する簡易的な図面では不足し、建築士が作成する図面とも趣旨が異なることから、不慣れな方が一連の作業の中で最も苦心する工程となることは間違いありません。
適切な図面が提出されなければ審査はいつまで経っても進捗しないため、少しでも早く営業を開始するためには、行政書士等の専門家を入れるなどの対策を検討するようにしてください。
★行政書士実務メモ
最近はAIで何でも調べられる時代になりましたが、風営法周りの実務についてはAIの回答をそのまま採用するのは危険です。
実際に過去事例十数件をサンプルに営業可能区域の該当性をAIに確認したところ、誤った判断や「おそらく大丈夫」といった確率的な回答が返ってくるケースが見られました。しかし営業の可否は確率で決まるものではなく、法令・条例上で明確に適否が判断されるものです。
また、図面作成についても同様で、客室の形状や柱の位置、照明配置など、現場ごとの具体的事情が反映されなければ担当者を納得させる図面として成立しません。現地確認を伴わない一般的な知識だけでは正確な書類作成は困難です。
風営法関連の実務は条文だけを見れば単純に見えますが、実際には現場判断・警察運用・物件ごとの個別事情に大きく左右されます。このような領域では、経験に基づく判断の有無が結果を分けることになります。
申請後の流れ
申請後2〜6週間ほどを目処に、警察担当者が営業所に立ち入り、提出した図面をもとにした営業所の構造確認(実査)を実施します。
実査はどの都道府県も手厳しく、測量した図面に0.5cm程の違いがあるなど申請内容に不備があれば図面の再提出を求められます。実査で明らかな欠陥があると再検査となり、その欠陥が致命的なものである場合には最悪申請の取下げを勧告されるケースもあります。
申請書類に不備がなく、又は補正を完了した後は書類が警察署と警察本部とを往復し、申請から約2か月前後(45日〜60日)の期間を経て許可証と管理者証が交付されます。
補正命令は結構定番の作業工程ですが、基本的に風俗営業許可の申請に手慣れた行政書士であれば当初からある程度の補正があることを見込んでいるため、すんなりと補正作業にも対応してくれます。
営業許可の要件
風俗営業は、これを営む上で騒音や酔客による迷惑行為といったトラブルが発生しやすく、歴史的に見ても暴力団などの反社会的勢力が関与しやすい土壌にあります。風営法ではこれらの懸念点を営業開始時点で最大限排除するため、営業に関与する人(人的要件)、営業所を設置する場所(場所的要件)及び店舗の構造(構造要件)の3つの観点から厳しい要件を設け、これをすべて満たすものについてのみ許可を付与することを規定しています。
特に場所に係る営業の可否については簡易的な外部情報だけでは判断が難しいことから、できる限り多くの情報を集めるなど事前調査が不可欠となります。
また、令和7年6月28日の法改正以降、風俗営業の該当性はより厳格に判断されるようになりました。安易な自己判断は通用しないため、改正内容を含めた法の趣旨を正しく把握し、適正な運営を徹底してください。
さらに同年11月28日の法改正により、法人に対する規制が大幅に強化されました。このため、個人と法人のどちらで申請を行うかは、経営戦略やコンプライアンスの観点から非常に重要な判断となります。
人的要件
犯罪傾向がある人物や反社会的勢力とつながりのある人物等、適格性を欠く人物を風俗営業に関与させることは好ましくないことから、風営法及び国家公安委員会規則では風俗営業を営むことができない事由(欠格事由)を以下のとおり列挙し、このうちいずれかの事由に該当する者を当初より風俗営業者の対象から排除しています。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 1年以上の拘禁刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 風営法その他の一定の法律に違反したことにより、1年未満の拘禁刑に処され、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 集団的又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある者
- アルコール、麻薬、大麻、阿片、覚醒剤の中毒者
- 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
- 風俗営業の許可を取り消され、取消しの日から5年を経過していない者(法人である場合は取消処分に係る聴聞公示日以前60日以内に法人の役員であった者で、取消しの日から5年を経過していない者
- 風俗営業許可の取消し処分に係る聴聞公示日から処分をする日又は処分をしない事を決定した日の間に風俗営業を廃止した事を理由とする許可証の返納をした者で、返納日から5年を経過していない者
- 風俗営業許可の取消処分に係る聴聞公示日から処分をする日又は処分をしない事を決定した日の間に合併により消滅した法人、許可証を返納した法人、分割により聴聞に係る風俗営業を承継させた法人、分割により聴聞に係る風俗営業以外の風俗営業を承継した法人の取消処分に係る聴聞公示日以前60日以内に役員であった者で消滅・返納・分割の日からそれぞれ5年を経過していない者
- 営業に関し、成年者と同一の能力を有しない未成年者(その者が営業者の相続人であって、その法定代理人が上記のいずれにも該当しない場合は除く)
- 法人の役員、法定代理人が欠格事由に該当する場合
★管理者の選任
風俗営業者は、営業所ごとに、営業所における業務の実施を統括管理する者のうちから、営業所における業務の適正な実施を確保するため必要な業務を行う者として、管理者1人を選任する必要があります。
営業者自らが営業所内における業務の実施を直接統括管理する場合には、営業者が自らを管理者として選任すればよく、他に管理者を選任する必要はありません。
また、管理者は複数の営業所の管理者を兼任することはできず、その営業所に常勤して管理者の業務に従事しうる状態にあることが原則ですが、2つの営業所が接着しており、双方を同時に統括管理し管理者の業務を適正に行い得る場合にあっては、2つの営業所の管理者を同一人とすることが認められます。
なお、このように重要なポジションであることから管理者には営業者の欠格事由に準ずる欠格事由があり、さらに管理者の現住所があまりに遠方であるとき(片道おおむね2時間以内で通勤することが困難な場合)は、警察から「待った」が入ることがあります。
営業場所の制限
地域の風紀に影響を及ぼす性質上、風俗営業の営業場所には厳しい制限があります。この制限は風営法以上に各自治体の条例による影響が大きく、地域間で規制内容が大きく異なります。物件の場所によっては営業許可が一切下りない場合もあるため、候補地を検討する段階で自治体の条例を必ず調査してください。
用途地域
用途地域とは、市街地における住居、商業、工業といった各機能の混在を避け、計画的な都市形成を図るために自治体が定める区分です。風俗営業については、住宅環境への影響を考慮し、原則として住宅系などの一部地域では営むことができません。一般的に許可されるのは、商業系や近隣の商業的機能を有する特定の用途地域(以下参照)に限定されています。
ただし、各都道府県の条例においては、風営法の原則よりも広い範囲で営業可能な地域が設定されているケースが多くあります。
★風俗営業が許容される用途地域
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 工業地域
- 準工業地域
保全対象施設(保護対象施設)
各自治体の条例は、風俗営業による有害な影響から特定の施設を守るため、これらを保全対象施設(保護対象施設)として指定しています。風俗営業の営業所は、定められた用途地域内であることに加え、これらの施設から一定以上の距離を確保することが義務付けられています。
以下に代表的な施設を挙げますが、具体的な対象施設や必要な離隔距離は自治体ごとに異なるため注意が必要です。
★保全対象施設(例)
- 学校、図書館、児童福祉施設
- 病院、入院施設のある診療所 など
構造要件
健全な営業と清浄な環境を維持するため、風俗営業の営業所の構造や設置する設備については細やかな要件が定められています。
客室の床面積
社交飲食店(1号営業)において複数の客室を設けるときは、客室一室につき16.5㎡以上(和風は9.5㎡以上)の広さを確保する必要があります。
また、低照度飲食店(2号営業)の客室は5㎡以上の広さを確保する必要があり、客に遊興させる態様の営業であるときは33㎡以上の広さを確保する必要があります。
客室内部構造
区画席飲食店(3号営業)を除き、高さが1m以上となる遮蔽物(しゃへいぶつ)は、「見通しを妨げる設備」としてこれを客室内に設置することはできません。
遮蔽物には客室内に設置するテーブル、イス、カウンターテーブル等の什器のほか、観葉植物やラック等すべての物品が含まれますが、ゲームセンター等営業で使用する遊技設備等については特例的措置が講じられています。
高さについてはその最大値が1m未満である必要があり、実査の際にはミリ単位で指摘を受けます。たとえば高さを調節できるイス等については、一番高くした状態にして、その最も高い位置が1m未満である必要があります。
また、客室の構造が極端なL字型であったり、客室全体を見通す際に死角となる狭いスペースがある構造も、「見通しを妨げる施設」として指摘を受けることがあります。
対策として、該当部分を客室から除外するという方法がありますが、あまりいびつな形状の物件は、選定段階から回避する方が賢明です。
外部からの視認
客室内部構造について見通しを妨げる設備を設置することが禁止されている一方で、マージャン屋、パチンコ店等営業及びゲームセンター等営業を除き、客室が営業所の外部から見える構造は認められていません。
したがって、客室内部を外部から視認することができる小窓などが設置されている場合は、その内側に何らかの方法によって目隠しとなる措置を施す必要があります。
目隠しの方法の適否については所轄署ごとに判断基準が異なりますが、多くのケースで単にカーテンを取り付けるだけでは足りず、ベニヤ板を打ち付けるか、あるいはガラスを完全に不透明な素材のものに交換するなど「容易に外すことができない」方法によって措置を施す必要があります。
客室の出入口
営業所外に直接通ずる出入口を除き、客室に施錠をすることは認められていないため、鍵付きVIPルームのような個室を設けることはもちろんのこと、二重扉を設けてその両方に施錠をするような構造も認められません。
なお、外部からの視認をシャットアウトすべきなのは「客室」についてであり、客室以外の「営業所」を視認できたとしても問題ありません。
照度の規制
薄暗い空間は非行の温床となりうるため、その客席は常に5ルクス(社交飲食店、低照度飲食店)又は10ルクス(区画席飲食店、マージャン屋、パチンコ店等営業、ゲームセンター等営業)を超える明るさを保つ必要があります。
つまみを回して(あるいはスライドして)明るさを任意に調整することができる調光器(スライダックス)は警察から敬遠されることが多く、これを設置している物件については、つまみ部分を最小下限に絞った場合でも客席照度が規定の数値を下回らないよう改良するか、もしくはスライダックスそのものを撤去する必要があります。
掲示物等
風俗営業の営業所では善良の風俗もしくは清浄な風俗環境を害する恐れのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けることが禁止されています。(ポルノ画像やアダルトグッズ等)
騒音及び振動
条例では騒音又は振動の数値について基準が設けられており、風俗営業はこの数値を超える状態で営業を営むことはできません。
ローカルルールに注意!
先ほど少し触れたとおり、風営法関連の手続きは、法令そのもの以上に各都道府県の運用や所轄警察署ごとの判断基準の影響を強く受ける分野です。
同一都道府県内であっても、担当官や警察署が異なれば、図面の記載レベルや求められる書類が変わることは珍しくありません。ある署では問題なく受理される内容でも、別の署では追加の修正や詳細な補足を求められることがあります。
また、運用上の判断により、マニュアルに明記されていない資料の提出を求められる一方で、別の署では同じ書類が不要とされるなど、対応が分かれるケースも見られます。このため、法令条文のみを基準に機械的に準備を進めるのではなく、実務上の運用差を前提にした対応が不可欠です。
結果として、どの警察署で手続きを行うかによって、必要な準備内容や完成度の要求水準は大きく変わるため、事前に各所轄の運用傾向を把握しておくことが重要になります。
運営上の注意点
無事に風俗営業許可を取得した後も、風俗営業者には禁止されている行為や遵守すべき義務があり、これに違反した状態で運営を継続することはできません。なお、遵守事項や禁止事項は風営法等の法令だけでなく、各都道府県の条例で独自に定められている項目も多いため、運営にあたっては必ず管轄自治体の条例も併せて確認してください。
営業時間の規制
風俗営業者は、原則として深夜帯(午前0時から午前6時までの時間)において風俗営業を営むことができません。パチンコ店等の営業については、各都道府県の条例により、この時間制限に加えてさらなる営業時間短縮が課されているのが一般的です。
未成年者の立入制限
風営法では、未成年者(18歳未満の者)が風俗営業の営業所に立ち入ることを全面的に禁止しています。その特性上、ゲームセンターについて未成年者の立入りそのものは禁止されていませんが、都道府県条例により年齢や時間帯を定めて立入りを制限する規定が設けられています。
風俗営業者の一般的遵守事項
風営法では、風俗営業者とその営業に対し、以下の事項を遵守しなければならない旨の規定を定めています。
- 名義貸しの禁止
- 客引きをすること
- 客引きのため、道路その他公共の場所で人の身辺に立ちふさがり又はつきまとうこと
- 営業所で18歳未満の者に客の接待をさせ又は客の相手となってダンスをさせること
- 営業所で午後10時から翌日の日出時までの時間において18歳未満の者を客に接待させること
- 18歳未満の者を客として立ち入らせること
- 営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること(20歳未満の客が持参した酒類やたばこを飲んだり吸ったりさせることも含む)
遊技場営業者の遵守事項
マージャン店、パチンコ店及びゲームセンター等営業については、上記の禁止行為のほか、以下の行為も禁止されています。
- 遊技の結果に応じて商品を提供すること(パチンコ店を除く)
- 現金又は有価証券を商品として提供すること(パチンコ)
- 遊技の用に供する玉・メダルその他遊技球を営業所外に持ち出させること
- 遊技の用に供する玉・メダルその他遊技球の保管証明書を客に発行すること
Q. どのような営業が「風俗営業」に該当しますか?
A. 風営法で定められた1号から5号までの営業形態を指します。代表的なものとして、接待を伴う飲食店(1号営業)、パチンコ店(4号営業)、ゲームセンター(5号営業)などがあります。自身の営業が許可の対象となるか否かは、提供するサービスや設備内容によって判断されます。
Q. 営業所を設置する場所にはどのような制限がありますか?
A. 都市計画法に基づく「用途地域」による制限に加え、各都道府県の条例による「保全対象施設」(学校、図書館、病院等)からの離隔距離制限があります。場所の適格性は物件選定の段階で決定するため、契約前に管轄の警察署や自治体窓口で詳細を確認する必要があります。
Q. 「欠格事由」とは何ですか?
A. 営業の許可を得ることができない事由のことです。過去の犯罪歴や反社会的勢力との関係、または申請者(法人の場合は役員を含む)が未成年であることなどが該当します。これらに該当する者は、許可を申請しても受理されません。
Q. テナントを借りる場合、大家さんの承諾書は必ず必要ですか?
A. 必要です。物件契約後に承諾が得られないトラブルも実際に起きているため、契約前の確認をお薦めします。
Q. 令和7年の法改正による影響はありますか?
A. あります。令和7年6月および11月の法改正により、風俗営業への該当性判断が厳格化され、法人に対する規制も大幅に強化されました。改正後の基準を正しく理解していない場合、無許可営業のリスクが高まるため、最新の要件を十分に精査する必要があります。
Q. 「遊興」と「接待」の違いは何ですか?
A. 「遊興」とはダンス、ショー、イベントなど客を積極的に楽しませる行為を指します。一方、「接待」とは客の側に付いて歓談や飲食の介添え等を行う行為です。
Q. 社交飲食店でダンスやイベントを行う場合はどうなりますか?
A. 深夜(午前0時から日の出まで)でなければ問題ありません。深夜に酒類提供を行いながら遊興を提供する場合は、「特定遊興飲食店営業」の許可が必要です。ただし、風俗営業との兼業は事実上不可能です。
Q. 風俗営業の営業時間に制限はありますか?
A. はい、原則として深夜(午前0時から午前6時まで)の営業は禁止されています。パチンコ店営業については、風営法の原則的な制限に加え、各都道府県の条例により地域の実情に応じたより厳しい営業時間短縮が定められていることが一般的です。
Q. 大阪・兵庫・京都以外の地域でも対応してもらえますか?
A. 対応可能です。近年は首都圏や四国、東海、九州など全国各地からもご依頼をいただいております。遠方であれば「図面だけ」というご依頼にも応じます。まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
風俗営業は案外身近に存在する営業形態でありながら、営業場所・営業時間・構造要件など、多くの制限を受ける営業形態でもあります。そのため規制を免れようとして実態を偽りながら営業を行う事業者が後を絶たず、警察機関との摘発事例が繰り返されている状態にあります。
特に2025年の法改正以降は、形式上の許可取得だけでなく、営業実態・広告表現・接客の実情まで含めた総合的な法令遵守が求められます。許可を取得して終わりではなく、開業後も継続して法令の動向を把握し、適正な営業を維持することが重要です。
営業形態によって特有のメリット・デメリットがあるため、どの形態で開業するかは慎重に検討するようにしてください。
弊所では、関西圏を中心に全国各地で風俗営業の許可申請をサポートしています。風俗営業であれば、社交飲食店、雀荘、パチンコ店、ゲームセンター、アミューズメントカジノ等の業種は問いません。性風俗関連特殊営業のほか、特定遊興飲食店も守備範囲です。
また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」を標榜するため、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。風俗営業許可取得等、風営法関連の手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
キャバクラ、ラウンジ、スナック、クラブ、雀荘、パチンコ店、ゲームセンターなど、風俗営業のご相談はお気軽に♬
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