社交飲食店営業の新規開業と手続きの進め方【風営法1号許可】

乾杯するシャンパン

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)では、キャバクラ、ラウンジ、スナック、コンカフェ、ホストクラブなど、その名称を問わず、設備を設けて客の「接待」をし、遊興または飲食をさせる営業を「社交飲食店」として規定しています。

これは、実態として「接待」を提供する飲食店であれば、屋号が「バー」や「居酒屋」、極端な例を挙げれば「ラーメン店」であっても例外なく風俗営業に該当します。そのため、営業を開始するにあたっては、通常の飲食店営業許可とは別に、風俗営業許可を取得しなければなりません。

しかし、必要書類の収集や精緻な図面の作成、さらには警察署や消防署との事前協議など、風俗営業の許可申請手続きは想像以上に複雑かつ煩雑です。手続きに不慣れな方がご自身で進めようとすると、膨大な労力と時間を費やすことになり、開業スケジュールの遅延を招く恐れもあります。

そこで本稿では、これから社交飲食店(1号営業)を開業しようとされている皆さまに向けて、その概要や手続きを円滑に進めるためのポイントについて詳しく解説いたします。

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風俗営業とは

一般的に「風俗営業」と聞くと、多くの方がいわゆるアダルト・ピンク系の業態をイメージされます。しかし、風営法における本来の目的は、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止すること」にあります。

この法令上の定義と世間一般の認識との間には、少なからず「ズレ」が生じているのが実情です。

個人の見解はさておき、過度に歓楽的な雰囲気や、不良行為を誘発しやすい環境が形成されることは、地域の風紀維持の観点からは好ましいことではありません。そのため風営法では、風紀を乱すおそれがあると考えられる以下の5つの営業形態を「風俗営業」として定め、厳格な規制の対象としています。

1号営業キャバレー、待合、料理店、カフェその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業キャバクラ、ラウンジ、ホストクラブ
2号営業喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計った営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの低照度飲食店
3号営業喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5㎡以下である客席を設けて営むもの区画席飲食店
4号営業まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業雀荘ぱちんこ店
5号営業スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く)においてその遊技設備により客に遊技をさせる営業ゲームセンター、アミューズメント施設

風俗営業は上表の通り1号から5号までの5形態に区分されていますが、そのうち許可を得て「接待」を提供する飲食店は、風営法第2条第1項第1号に規定されていることから一般に「社交飲食店」や俗に「1号営業」と呼ばれています。

なお、デリヘル等に代表されるアダルト系のいわゆる「性風俗店」については、風俗営業とは異なる規制を受ける「性風俗関連特殊営業」として、法的に全く別の営業形態に区分されています。

風俗営業のメリットとデメリット

社交飲食店として風俗営業許可を受ける最大のメリットは、「接待」を堂々と提供できるという点に尽きます。

後述する「接待」の定義にも関わりますが、通常の飲食店では禁止されている「客との談笑」や「デュエット」等の行為を唯一合法的に提供できる点こそが、許可を得た社交飲食店ならではの強みと言えます。

その反面、社交飲食店では原則として深夜0時から早朝6時までの営業が認められていないため、深夜営業を希望する場合には、接待を行わない「深夜酒類提供飲食店」としての形態を選択する必要があります。しかし、この届出を行った飲食店は時間帯を問わず接待を提供することができないため、「接待」と「深夜営業」を両立させることはできません。

「両方申請すればいいのでは?」という質問をいただくこともありますが、もしこのスキームが可能であれば風営法の規制趣旨を損なうことになるため、同一営業所内において深夜酒類提供飲食店と社交飲食店の営業は、原則として両立し得ないものと考えるのが妥当です。

営業形態手続き営業時間接待
お酒メインの飲食店(深夜営業なし)飲食店営業許可のみ0〜6時は営業不可
お酒メインの飲食店(深夜営業あり)飲食店営業許可

深夜営業の届出
一日中
接待を伴う飲食店飲食店営業許可

風営営業の許可
0〜6時は営業不可
食事メインの飲食店飲食店営業許可のみ一日中

接待について

風営法における「接待」とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を指し、その意味は「特定客の慰安を求める心に応える形で会話やサービス等を提供すること」とされています。

一般的に「接待」といえば、ビジネスシーンで取引先をもてなすことを連想される方が多いかと思いますが、風営法における「接待」の定義は、以下の通りその用法とは少々趣旨が異なります。

接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいう。
この意味は、営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うことをいう。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことである。

(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の解釈運用基準)

上記は取締りを行う警察が風営法を運用する基準(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準 :792KB)の一文ですが、これを要約すると、特定客の「もてなされたい」という心情に応える形で提供する会話やサービスが「接待」に該当します。

具体的に以下の行為が「接待」として明示されており、これらを一部でもサービスとして提供する営業を営もうとするときは、風俗営業(社交飲食店営業)の許可を取得することが求められています。(上記「3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等」)

談笑・お酌特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為
踊り等特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、歌舞音曲、ダンス、ショウ等を見せ、又は聞かせる行為
歌唱等特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくはほめはやす行為
客と一緒に歌う行為
遊戯等客とともに、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為
ボディタッチ客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為
飲食物の提供客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為
(※)コンカフェでよく見かける特定客との個別ツーショットチェキの撮影も、「接待」に該当するものと解釈されます。

「カウンター越しの談笑なら大丈夫」や「数分でキャストが交代すればOK」といった風説を耳にすることもありますが、これらは明確な誤りであり、そのような規定や警察の運用方針は存在しません。極端な話、レストランやラーメン店であっても、客の傍に座り話し込む行為が常態化していれば「接待」とみなされる可能性があります。

また、女性によるお酌のような分かりやすいものだけでなく、ダーツバーで従業員が客と対戦する行為など、一見すると該当しないように思えるサービスも「接待」と判断される場合があるため注意が必要です。

昨今は接待行為の有無が厳格に判断される傾向にあるため、まずは「接待」の定義を正しく把握することが重要です。

営業許可の要件

風俗営業は、騒音や酔客によるトラブルが発生しやすく、歴史的に反社会的勢力が関与しやすい土壌にあります。そのため風営法では、これらの懸念を排除すべく「人的要件(人)」「場所的要件(場所)」「構造要件(店舗設備)」という3つの厳しい基準を設け、すべてを満たす場合にのみ許可を付与しています。

特に場所に関する営業の可否は、簡易的な外部情報だけでは判断が難しいため、綿密な事前調査が不可欠です。

なお、令和7年(2025年)6月28日の改正風営法施行以降、風俗営業への該当性はより厳格に判断されるようになっています。「バレなければ大丈夫」や「他店もやっているから」といった安易な考えは一切通用しません。改正点を含めた法の趣旨を正しく把握し、適切な手続きを進めることが重要です。

また、6月の改正に続き、同年11月28日に施行された改正法により、法人による風俗営業への規制が大幅に強化されました。 これにより、個人で申請するか法人で申請するかという選択は、経営戦略上の極めて重要な判断材料となっています。

人的要件

犯罪傾向のある人物や反社会的勢力とつながりのある人物等、適格性を欠く人物を風俗営業に関与させることは、健全な娯楽環境を損なうため極めて不適当です。そのため、風営法及び風営法施行規則では、風俗営業を営むことができない事由(欠格事由)を具体的に列挙しており、これらいずれかの事由に該当する者を、当初より風俗営業の主体から厳格に排除しています。

  1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 1年以上の拘禁刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  3. 風営法その他の一定の法律に違反したことにより、1年未満の拘禁刑に処され、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  4. 集団的又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある者
  5. アルコール、麻薬、大麻、阿片、覚醒剤の中毒者
  6. 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
  7. 風俗営業の許可を取り消され、取消しの日から5年を経過していない者(法人である場合は取消処分に係る聴聞公示日以前60日以内に法人の役員であった者で、取消しの日から5年を経過していない者
  8. 風俗営業許可の取消し処分に係る聴聞公示日から処分をする日又は処分をしない事を決定した日の間に風俗営業を廃止した事を理由とする許可証の返納をした者で、返納日から5年を経過していない者
  9. 風俗営業許可の取消処分に係る聴聞公示日から処分をする日又は処分をしない事を決定した日の間に合併により消滅した法人、許可証を返納した法人、分割により聴聞に係る風俗営業を承継させた法人、分割により聴聞に係る風俗営業以外の風俗営業を承継した法人の取消処分に係る聴聞公示日以前60日以内に役員であった者で消滅・返納・分割の日からそれぞれ5年を経過していない者
  10. 営業に関し、成年者と同一の能力を有しない未成年者(その者が営業者の相続人であって、その法定代理人が上記のいずれにも該当しない場合は除く)
  11. 法人の役員、法定代理人が欠格事由に該当する場合

管理者の選任

風俗営業者は、営業所ごとに、営業所における業務の実施を統括管理する者のうちから、営業所における業務の適正な実施を確保するため必要な業務を行う者として、管理者1人を選任する必要があります。

営業者自らが営業所内における業務の実施を直接統括管理する場合には、営業者が自らを管理者として選任すればよく、他に管理者を選任する必要はありません。

また、管理者は複数の営業所の管理者を兼任することはできず、その営業所に常勤して管理者の業務に従事しうる状態にあることが原則ですが、2つの営業所が接着しており、双方を同時に統括管理し管理者の業務を適正に行い得る場合にあっては、2つの営業所の管理者を同一人とすることが認められます。

なお、このように重要なポジションであることから管理者には営業者の欠格事由に準ずる欠格事由があり、さらに管理者の現住所があまりに遠方であるとき(片道おおむね2時間以内で通勤することが困難な場合)は、警察から「待った」が入ることがあります。

場所的要件

すでに説明した通り、風俗営業許可を取得する上で、物件の場所選びは成功の鍵を握る重要なポイントです。理想的な物件に巡り会えても、そこが風俗営業を禁止されている区域であれば、せっかくの準備も無駄になってしまいます。物件を契約してしまう前に、以下の事項を必ず確認し、現状を正確に把握しておきましょう。

用途地域

用途地域とは、住居・商業・工業などの混在を防ぐために自治体が設定する区分ですが、風営法から委任を受けた都道府県条例では、この区分を基準として風俗営業の場所的規制を行っています。

風営法施行令第3条に基づき、風俗営業の許可を制限する地域として「住居の安寧を維持し、又は青少年の健全な育成を妨げるおそれのある地域」が指定されており、これを受けた各都道府県の条例では、以下の地域を原則として営業を禁止する用途地域と定めています。

  • 第1種低層住居専用地域
  • 第2種低層住居専用地域
  • 第1種中高層住居専用地域
  • 第2種中高層住居専用地域
  • 第1種住居地域
  • 第2種住居地域
  • 準住居地域
  • 田園住居地域
  • 工業専用地域(都市計画法上の規制)

これを逆説的に捉えれば、風俗営業の設置が認められる地域は、繁華街や工業地帯を想定した以下の用途地域内に限定されることになります。

  • 商業地域
  • 近隣商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 無指定地域

契約書等に記載されている「○○地域」という表記は、都市計画法上の用途地域を指しますが、稀に誤った内容が記載されているケースがあるため、自治体が発行する用途地域証明書や公式サイト等で最新情報を必ず確認するようにしてください。

なお、風営法における制限地域はあくまで標準的な指針であり、各自治体が制定する独自の条例によって、特定の用途地域内であっても例外的に営業を認めている場合があります。

複数の都道府県で申請に携わると、自治体ごとに運用の詳細が異なることを強く実感します。不許可リスクを回避し、スムーズに許可を取得するためには、その地域特有のルールを事前に精査し、入念な裏付け調査を行うことが不可欠です。

保全対象施設

各都道府県の条例では、風俗営業による影響から保護すべき施設を「保全対象施設」と規定しており、営業所の設置にはその施設の敷地から一定の距離を確保することを必須要件としています。

保全対象施設は自治体により異なりますが、一般に学校、児童福祉施設、病院、有床診療所等がその代表例です。

これらの規制は、既存の施設のみならず、将来的に施設として供されることが決定している敷地にも適用されるため、出店に際しては制限距離を超えた区域であることを厳格に確認する必要があります。

営業所の構造要件

社交飲食店の施設構造には、風営法に基づき厳格な基準が設けられています。これは、死角の多い個室や遮蔽物によって「密室状態」が生じると、違法な取引や風紀を乱す行為の温床となる恐れがあるためです。

また、公衆道徳上の観点から「歓楽的な雰囲気」を外部に漏らさない配慮が求められる一方で、万が一の際にお客さまの安全が脅かされる(監禁状態となる)ような構造は、健全な営業の妨げとなります。

こうした事態を未然に防ぎ、安心・安全な営業環境を確保するため、風営法では以下の表に掲げる構造設備基準を定め、申請者に対してその全項目の遵守を義務付けています。

客室の床面積16.5㎡(和室は9.5㎡)以上あること
客室が1室の場合は面積要件なし
客室内部構造客室に見通しを妨げる設備を設けないこと
外部からの視認客室の内部が営業所の外部から容易に見通すことができないこと
客室の出入口施錠の設備を設けないこと
営業所外に直接通ずる出入口は可
営業所の照度5ルクス超であること
掲示物等善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと
騒音、振動騒音又は振動の数値が一定の数値に満たない要すること
その他性的好奇心をそそる物品を提供する自動販売機その他の設備を設置しないこと

本来、許可を受けた営業所であっても、構造に変更を加えた際には「変更届」を提出する義務があります。しかし実務上は、この届出を行わずに内部を違法な状態へ改築したまま退去するケースも珍しくありません。また、前テナント自体が無許可営業であった可能性も否定できないため、「同種の営業を行っていた居抜き物件」というだけで安易に適合性を判断するのは危険です。物件選定の際は、現況が現在の法令基準を完全に満たしているか、改めて厳格に精査する必要があります。

客室の床面積

VIPルームなどの個室を設け、複数の客室で構成される店舗として申請する場合、各客室の床面積はすべて16.5㎡以上(和室は9.5㎡以上)でなければなりません。

この面積規制は、あくまで「客室を2室以上に分ける場合」に適用されるものであり、客室が1室のみの「単室構造」であれば、床面積の下限は特に制限されません。

しかし、16.5㎡(約10畳)という広さは、一般的な飲食店の個室としてはかなりの開放感があり、体感的にも相当な広さを要します。仮に「メイン客室+個室1室」という構成にするだけで、客室部分のみで最低33㎡(約20畳)の面積が必要になるため、物件選定や内装設計の際にはこの基準を十分に考慮する必要があります。

★個室あり営業所の床面積

客室の総床面積数≧16.5㎡×客室数

外部からの視認

風俗営業では、歓楽的な雰囲気が外部に漏れることを防ぎ、利用客のプライバシーを保護する目的から、客室内部が外部から見通せる状態で営業することは認められていません。

この規制への対応については、単にカーテンを引くといった簡易的な処置では不十分とされるケースが多々あります。所轄警察署の判断にもよりますが、窓ガラスに不透過フィルムを貼付したり、ベニヤ板を打ち付けたりするなど、「容易に外すことができない状態」で完全に遮蔽する工夫が求められます。

なお、この規制の対象はあくまで「客室」内部です。調理場や事務所といった「客室外」のスペースのみが外部から見えている状態であれば、基本的にこの規制に抵触することはありません。

客室内部構造

客室内の見通しを常に良好に保つ必要があることから、風営法では「客室の見通しを妨げる設備」を設置することが原則として認められていません。具体的には、テーブル、椅子、カウンターといった家具類から、観葉植物やラックなどの備品に至るまで、客室内に置くすべての物品において、高さが1m以上となるものが「見通しを妨げる設備」に該当します。

この高さ制限については、実地検査の際にもミリ単位で厳格に指導されるため、細心の注意が必要です。たとえば高さ調節が可能な椅子などを導入する場合は、座面を一番高くした状態で1m未満に収まるものを選定しなければなりません。

さらに、什器だけでなく客室の構造そのものにも注意が必要です。極端なL字型など、構造上の理由で室内の見通しが悪い場合には、やはり「見通しを妨げる構造」として指摘を受けることがあります。

このようなケースでは、客室を物理的に分割して「2室」として申請することで死角の問題を解消する手法が採られます。しかし、すでに述べた通り、複数の客室を設ける場合には各客室に最低床面積の規制が適用されます。結果として、1室あたり16.5㎡、2室であれば合計33㎡以上という広大な客室面積を確保しなければならず、設計上の大きなハードルとなる点に留意してください。

客室の出入口

客室内に施錠設備を設けることは原則として認められていないため、たとえ「鍵付きのVIPルーム」であっても、個室の出入口に鍵を設置することはできません。また、入り口に二重扉を設け、その双方に施錠ができるような構造も、客室を密室化させる要因となるため許可の対象外となります。

ただし、営業所全体の出入口となる扉については、防犯や施設管理の観点から当然に施錠が必要となるため、鍵が設置されていても特に問題はありません。あくまで「客室」という単位において、外部からの立ち入りを拒んだり、内部の状況を秘匿したりするような施錠設備が禁じられているという点に留意が必要です。

営業所の照度

営業所内での不適切な行為を防止するため、社交飲食店の客室は常に5ルクスを超える明るさを維持しなければなりません。

5ルクスという照度は、寝室の豆電球(常夜灯)よりもわずかに暗い程度のレベルであるため、通常の営業状態で下回ることは稀ですが、実務上で特に注意すべきは「調光器(スライダックス)」の存在です。

居抜き物件などで、つまみを回して明るさを任意に調整できる調光器が設置されている場合、そのままの状態で風俗営業許可を受けることはできません。もし設置されているのであれば、あらかじめ取り外すか、あるいは物理的に操作できないよう固定するなどの改修作業が必要となります。

なお、風俗営業の区分には「低照度飲食店」(2号営業)という形態も存在しますが、たとえこの形態であっても5ルクス以下の照度で営業することは認められていません。

また、ほとんどの地域において「社交飲食店」と「低照度飲食店」の兼業は認められていない点にも留意が必要です。そのため、接待を伴う飲食店を営む場合は、必然的にすべて「社交飲食店」として許可を申請することになります。

★5ルクスの目安

5ルクスといえば、停電時に点灯する非常灯(誘導灯)や上映中の映画館であって通路の足元灯などが点灯している状態の明るさです。

これらの例から分かるように、5ルクスは作業をするための明るさではなく、かろうじて周囲の状況が認識できる最低限の明るさであると言えます。

5ルクスのイメージ

その他

営業所の構造だけでなく、騒音や振動の数値が一定の基準値を下回っていることも、許可取得の不可欠な条件とされています。具体的な規制値は各自治体の条例によって細かく定められているため、事前調査の段階で立地環境に応じた数値を正確に確認しておく必要があります。

また、実地検査(実査)の際には、警察だけでなく自治体の建築指導課や所轄消防署の担当者が同席するケースも少なくありません。そのため、風営法のみならず、建築基準法や消防法に基づく各種手続きや適合状況についても、漏れなく把握し対応しておくことが重要です。

手続きの流れ

社交飲食店を開業する際は、営業所の所在地を管轄する警察署を窓口として申請を行い、最終的に都道府県公安委員会から風俗営業の許可を受ける必要があります。申請内容や所轄警察署によって細かな運用は異なりますが、標準的な申請の手順は以下の通りです。

  1. 事前調査
  2. 飲食店営業許可の取得
  3. 施設・設備の確認と測量
  4. 必要書類の収集と作成
  5. 許可申請
  6. 警察による実地調査(実査)
  7. 営業許可(申請から約2か月)
  8. 営業開始(許可前営業は違法です

事前調査

すでに説明した通り、風俗営業許可の申請において事前の立地・構造調査は成否を分ける最重要プロセスです。一度契約や内装工事に着手してしまうと、後から用途地域の誤りや保全対象施設の存在が判明しても取り返しがつかず、多大な損失を招くリスクがあります。

したがって、多額の投資を行う前に、自治体独自の条例や運用ルールを徹底的に精査し、所轄警察署との事前協議を重ねることこそが、確実かつ円滑な許可取得への不可欠な条件となります。

飲食店営業許可

社交飲食店はあくまで「飲食店」の一種であるため、風俗営業許可を申請する大前提として、まず飲食店営業許可を取得していることが必要です。

保健所への申請後には実地調査が行われますが、調査で適合と判断されても、実際に許可証が交付されるまでには数日から2週間程度の期間を要します。新規開業の計画を立てる際は、このタイムラグを十分に考慮しなければなりません。

なお、営業所を設置する自治体(保健所)ごとに手続きの詳細や設備基準が微調整されている場合があるため、事前の確認が不可欠です。

申請に必要となる書類

申請は営業所所在地を管轄する警察署の生活安全課に対して必要書類を提出することにより行います。

必要書類の構成は全国で概ね共通していますが、運用や細かな書式については管轄の警察署ごとに独自の取扱いがなされる場合もあります。一般的に、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課へ提出が求められる主な書類は以下の通りです。

  • 風俗営業許可申請書
  • 営業の方法を記載した書類
  • 営業所に係る賃貸借契約書の写し
  • 営業所に係る使用承諾書
  • 営業所の建物に係る登記事項証明書
  • 営業所の平面図
  • 営業所の配置図
  • 営業所及び客室の求積図
  • 照明・音響・防音設備の配置図
  • 営業所の周囲の略図
  • 営業所が所在する位置の用途地域を証明する書類
  • 欠格事項に該当しない旨の誓約書(申請者・役員・管理者)
  • 誠実に業務を行う旨の誓約書(管理者)
  • 住民票の写し(申請者・役員・管理者)
  • 市区町村長の身分証明書(申請者・役員・管理者)
  • 定款(法人の場合)
  • 法人に係る登記事項証明書(法人の場合)
  • 株主名簿の写し(株式会社の場合)
  • 密接な関係を有する法人の名称等を記載した書面(法人であって密接な関係を有する法人がある場合)
  • 管理者の写真2枚(縦3.0cm、横2.4cm)

(※)弊所のサポートをご利用いただける場合、皆さまが準備されるのは赤文字で示した書類のみです。残りの書類はすべて弊所がそろえますのでご安心ください。

申請時に添付する図面には高い精度が要求されるため、実務経験のない方が作成しようとすると、その多くがこの段階で大きな壁に直面します。ミリ単位の正確な計測と、法令に則った適切な表記がなされていない図面では受理すら叶わないことも少なくありません。

以下の記事では、専門的な知見に基づいた「図面作成の具体的な手順とポイント」を詳しくまとめています。スムーズな許可申請に向けたガイドとしてご活用ください。

申請後の流れ

申請後2〜4週間を目安に、警察署等による実地実査(店舗検査)が行われます。図面と現況にわずかな相違(例:0.5cm程度の誤差)があるだけでも、厳しく再提出を求められるのが風営法審査の実態です。
検査合格後、警察内部での審査期間を含め、許可証交付までは申請からトータルで約2ヶ月を要します。

図面の微修正(補正)は申請プロセスにおける「定番の作業」ですが、熟練の行政書士に依頼していれば、これらを見越して柔軟かつ速やかに対応するため、開業スケジュールの遅延を最小限に抑えることができます

運営上の注意点

風俗営業許可を無事に取得した後も、営業者には法令を遵守し続ける一貫した義務が課せられています。そのため、許可取得時の状態を維持できず、基準に違反したまま運営を継続することは決して認められません。常に適正な営業環境を保つことが、事業継続の絶対条件となります。

営業時間の規制

風俗営業は、原則として深夜帯(午前0時から午前6時まで)の営業が禁止されていますが、その運用は一律ではなく、各都道府県の条例によって地域や時期に応じた例外規定が設けられています。

具体的には、繁華街などの特定地域における営業時間の延長や、年末年始等の行事に伴う営業時間延長の特例が認められるケースがある一方で、地域の風紀維持を目的として、通常より早い閉店時間が義務付けられる場合もあります。

したがって、営業可能時間は店舗の所在地や時期によって細かく変動するため、各都道府県の最新の条例を必ず確認し、法令を遵守した適切な運営に努めることが重要です。

未成年者の立入制限

風営法では、未成年者(18歳未満の者)が社交飲食店営業の営業所に立ち入ることを全面的に禁止しています。

風俗営業者の遵守事項

都道府県条例では、法令とは別に風俗営業者に対する遵守事項が定められており、厳格な義務が課されています。また、都道府県条例の枠組みに加え、市町村独自の条例が適用される場合もあるため注意が必要です。特に青少年保護育成条例は風俗営業との関わりが深く、営業内容に直結するため、必ず詳細を把握しておくようにしてください。

社交飲食店開業サポート

風俗営業の許可申請は、膨大な必要書類の準備に加え、立地や設備に関する厳密な事前調査が求められるため、手続きには相当な労力と専門知識を要します。都道府県ごとに条例や運用ルールが異なる点も難易度を高めており、風営法に精通していなければ、たとえ専門家である行政書士であっても非常に困難な業務といえます。

弊所は、風俗営業に関する諸手続きに深く精通しており、特に社交飲食店の開業支援においては、同業他社を凌駕する数多くの実績を積み重ねてまいりました。兵庫・大阪の近畿圏はもとより、全国各地での申請取扱い実績も豊富に有しております。

そのためご依頼をいただいた際は、煩雑な事前調査から所轄警察署との協議、書類の作成・収集、そして実査の立ち会いに至るまで、すべてのプロセスを迅速かつ的確にフルサポートいたします。

また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。風俗営業許可の取得でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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