風俗営業許可申請に必要な図面の書き方と作成上のポイントについて

兵庫県警察本部玄関
兵庫県警察本部庁舎玄関

キャバクラ、ラウンジ、雀荘、パチンコ店、そしてゲームセンターなど、これから風俗営業の許可を申請しようとする方の前に、大きな壁として立ちはだかるのが「図面の作成」ではないでしょうか。

もちろん、許可申請にあたって留意すべきポイントは他にも多々ありますが、図面作成が手続きにおいて最も多くの手間と労力を要する作業であることは間違いありません。求められる精度は極めて高く、数センチの誤差や記載漏れが原因で、補正や再測量を余儀なくされるケースも珍しくないからです。

そこで本稿では、全国各地のさまざまな繁華街で数多くの許可申請を代行してきた実績を持つ行政書士が、実務でもそのまま応用できる図面を用いながら、作成上の重要なポイントを詳しく解説していきます。

記事の途中には、専門家のアドバイスが必要になった際のお助けリンクを差し挟んでおります。手続きの煩雑さに限界を感じたときや、確実な受理を目指したいときは、どうぞお気軽にお問い合わせください^^

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本稿は風俗営業の概説をはじめ、実務に不可欠な必要情報を網羅的に記載しているため、全体としてボリュームのある構成となっています。

そのため、ページ上部の目次を活用していただき、すでにご存知の項目や現時点で不要な箇所については適宜読み飛ばしながら、ご自身にとって必要な部分を中心に効率よく読み進めていただくのが便利です。

風俗営業の概説

メインの図面解説に入る前に、まずは改めて「風俗営業」の定義とその範囲について整理しておきましょう。ご自身が計画されている営業形態が、これから解説する風俗営業の許可を必要とするものか、改めて確認してみてください。

風俗営業の定義と区分

風俗営業とは、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために規制を行う必要があるもの」として、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)に定められている5つの営業形態を指します。

それぞれの営業形態によって、施設の構造要件や具体的な規制内容には細かな違いがありますが、いずれも公安委員会からの許可を必要とする点では共通しています。

また、営業可能な場所や時間が厳格に定められるなど、許可を取得した後も継続的に警察の監視下に置かれ、その監督を受けることになるのが大きな特徴です。

社交飲食店営業(1号営業)

風営法における「接待」とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を指し、その本質は「特定客の慰安を求める心に応える形で会話やサービス等を提供すること」と定義されています。

具体的には、以下に挙げるような行為が「接待」の典型として明示されており、これらの行為を伴って客に遊興や飲食をさせる営業は「社交飲食店営業」(1号営業)に該当し、公安委員会の許可なくこれを行うことは禁止されています。

低照度飲食店・区画席飲食店(2・3号営業)

明るさの指標として「ルクス」という単位が用いられますが、営業所内を10ルクス以下という極端な暗がりにして営む飲食店は「低照度飲食店」(2号営業)として風営法の規制対象となります。

また、メインの客室とは別に、外部から見通すことが困難で、かつその広さが5㎡以下という狭小な客席を設けて営業する形態は「区画席飲食店」(3号営業)に該当し、同様に規制の対象に含まれます。

こうした極端に暗い空間や閉鎖的な狭い個室は、営業所全体の見通しを著しく妨げるだけでなく、その秘匿されたスペースにおいて違法行為が行われるリスクを誘発しかねません。そのため、たとえ特定の客に対する「接待行為」を一切行わない営業スタイルであっても、このような設備構造を有する飲食店は風俗営業とみなされ、厳格な法的規制が適用されることになります。

マージャン屋・パチンコ店(4号営業)

射幸心とは、自らの努力ではなく、幸運や偶然によって思いがけない利益を得ることを期待する心理を指します。このような射幸心を煽(あお)る営業は、賭博等の違法行為を誘発する温床となったり、未成年者の健全な育成を妨げる大きな要因となったりしうることから、風営法上の厳格な規制対象とされています。

具体的には、麻雀やパチンコといった遊技について、その仕組み自体が「客に射幸心をそそるおそれのある遊技」にあたると定義されています。したがって、これらの遊技機や設備を設けて客に利用させる営業はすべて風営法の規制下に置かれ、店舗の構造や設備の配置に関しても、一点の妥協もない正確な図面をもって適合性を証明する必要があります。

ゲームセンター等営業(5号営業)

スロットマシンやテレビゲーム機といった遊技設備は、本来の健全な娯楽としての用途を超えて、射幸心をそそるおそれのある遊技に転用されうる性質を持っています。そのため、これらの設備を設置して客に遊技をさせる営業は、風営法の厳格な規制対象となります。

規制の対象となる遊技設備の具体的な範囲については、国家公安委員会規則および警察庁の通達によって細かく列挙されています。以下のいずれかに該当する遊技設備を設置し、客に遊技をさせる営業を営む場合は、風俗営業として事前に公安委員会から営業許可を受けることが義務付けられています。

  • スロットマシンその他遊技の結果がメダル等の数量で表示される構造の遊技設備
  • テレビゲーム機(勝敗を争うことが目的の内容又は遊技の結果が画面に表示されるもの)
  • フリッパーゲーム機(ピンボール)
  • トランプ、トランプ台を使用するトランプ遊技
  • ルーレット、ルーレット台を使用するルーレット遊技
  • クレーンゲーム機
アミューズメントカジノ

ポーカールームやポーカーバーのように、擬似的にカジノの雰囲気を楽しめる施設は便宜上「アミューズメントカジノ」と呼称されることがありますが、風営法上の区分ではゲームセンターと同じ「ゲームセンター等営業」(5号営業)として規制の対象となります。

したがって、一般的なゲームセンターに適用される法令や各都道府県の条例による規定は、アミューズメントカジノにもすべて等しく適用されることになります。

許可申請に係る書類

所轄警察署や5つの営業形態の別に若干求められる書類が異なりますが、おおむね以下のものが風俗営業許可申請時に共通して必要となる書面です。

  • 風俗営業許可申請書
  • 営業の方法を記載した書面
  • 欠格事項に該当しない旨の誓約書(申請者・役員・管理者)
  • 誠実に業務を行う旨の誓約書(管理者)
  • 営業所の使用権原を証明する書類
  • 用途地域を証明する書類
  • 営業所周辺の略図
  • 周辺施設の概略図
  • 営業所の平面図
  • 設備配置図
  • 営業所の求積図
  • 照明・音響設備の配置図
  • 住民票の写し(申請者・役員・管理者)
  • 身分証明書(申請者・役員・管理者)
  • 定款の写し(法人の場合)
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 株主名簿の写し(株式会社の場合)
  • 密接な関係を有する法人の名称等を記載した書面(法人であって密接な関係を有する法人がある場合)
  • 飲食店営業許可書の写し
  • 料金表・メニュー表の写し
  • 管理者の写真

必要書類の内容と記載例

図面作成が最大の難所であることは間違いありませんが、風俗営業の許可申請を完成させるためには、それ以外にも多岐にわたる書類を揃える必要があります。

これらの書類は、経営者の適格性や建物の使用権原、さらには営業所の周辺環境が法的な基準を満たしているかを証明するための重要な役割を担っています。

ここからは、図面とあわせて提出が求められる主な必要書類について、それぞれの役割と収集時の注意点を整理して解説していきます。図面作成と同様に、一点の不備も許されない正確な書類準備が求められますので、漏れのないよう確認していきましょう。

風俗営業許可申請書

申請者本人や営業所に関する基本情報を正確に記載していきます。

記載にあたっての注意点は、お手元の公的書類の表記と一字一句違わずに合わせることです。申請者が個人の場合は「住民票」に記載されている住所をそのまま書き写し、法人の場合は「履歴事項全部証明書(登記簿)」の表記通りに記載する必要があります。

風俗営業許可申請書(社交飲食店)(1)

客室が1室のみの単室構造であれば床面積は問題になりませんが、社交飲食店営業(1号営業)でVIPルーム等の個室を設ける場合は、各客室ごとに16.5㎡(和室は9.5㎡)以上の広さを確保しなければならない構造基準があるため注意が必要です。

風俗営業許可申請書(社交飲食店)(2)

営業の方法を記載した書面

社交飲食店であれば接待の提供方法、ゲームセンターであれば使用する遊技機の種類や台数など、実態に即した具体的な営業の手法を記載していきます。

営業の方法(社交飲食店)(1)

カラオケやデジタルダーツ等の遊興をさせる場合は、その具体的な内容と時間帯を記載しますが、多くの地域では条例によって遊興可能な時間が制限されているため、事前の確実な確認が必要です。

営業の方法(社交飲食店)(2)

営業所の使用権限を証明する書類

営業所が自己所有物件であれば建物の登記事項証明書の原本、賃貸借物件であれば賃貸借契約書の写しを添付する必要がありますが、後者の場合は物件の使用権原を証する書類に加え、深夜営業を行うことに対する「使用承諾書」の提出を求められるケースが多々あります。

深夜営業や酒類提供を忌避する貸主との間で後々トラブルに発展することを防ぐためにも、賃貸借物件で開業する際は、あらかじめ貸主側に対して深夜帯に酒類を提供する店舗であることを明確に伝え、合意を得ておくことが極めて重要です。

住民票の写し

住民票の写しについては、発行から3ヶ月以内の原本で、「本籍地」が記載されており、かつ「マイナンバー(個人番号)」が記載されていないものを添付する必要があります。

個人による届出の場合は申請者本人の分のみで足りますが、法人による届出の場合は、代表取締役だけでなく監査役を含む役員全員分の住民票を用意する必要があります。

住民票の写しは、現住所を管轄する市区町村役場の窓口で取得できるほか、郵送請求や、マイナンバーカードを利用したコンビニ交付サービス(一部自治体では住民基本台帳カードも可)を利用して手軽に発行することも可能です。

身分証明書

ここでいう「身分証明書」とは、運転免許証やパスポートなどの一般的な本人確認書類ではなく、市区町村長が発行する公的な証明書類を指します。具体的には、「成年被後見人または被保佐人とみなされる者」および「破産者で復権を得ない者」に該当しないことを証明するものです。

この書類は、本籍地の市区町村窓口または郵送にて請求することになりますが、最大の注意点は、請求先が「住所地」ではなく「本籍地」であるという点です。本籍地が遠隔地にある場合には、郵送での請求手続きが必要となります。

証明事項は、「成年被後見人等に該当しない旨」および「破産者で復権を得ない旨」の2項目です。発行手数料は自治体により異なりますが、概ね300円から600円程度に設定されています。

なお、許可申請にあたっては住民票の写しと同様、申請者本人(法人の場合は役員全員)および営業所管理者の全員分を揃える必要があります。

定款の写し及び法人登記事項証明書登記

法人が申請者となる場合には、定款の写しおよび登記事項証明書(登記簿謄本)の添付が必須となります。

このうち「履歴事項全部証明書」などの登記事項証明書については、最寄りの法務局窓口やオンライン請求を利用することで、役員本人に限らずどなたでも取得することが可能です。

株主名簿の写し

令和7年11月28日の法改正に伴い、新たに必要となった添付書類です。この書類は、親会社と子会社の関係性や、株式を通じて誰が支配権を有しているのかを疎明するために、申請の際、提出が求められます。

株主等名簿の書式に特別な指定はありませんが、記載内容には①株主の氏名または名称、②住所、③所有株式数、④株式の取得日、および⑤株券番号(株券不発行会社の場合は不要)が含まれている必要があります。そもそも会社法において、株式会社には株主名簿の備え付けが義務付けられているため、既存の名簿の写しを提出する方法でも差し支えありません。

なお、合同会社などの持分会社については、定款が実質的な社員名簿(出資者名簿)としての役割を果たすことから、原則としてこうした名簿を別途添付する必要はありません。

株主等名簿記載例

密接な関係を有する法人の名称等を記載した書面

令和7年11月28日の法改正に伴い、株主名簿と併せて新たに追加された添付書類です。

この改正では、申請法人と密接な関係にある法人が風俗営業許可を取り消され、その日から5年を経過していない場合、申請法人自身も許可を受けられないという「欠格事由」が新設されました。これを受け、不適格な法人の流入を防ぐための確認書類が必要となったものです。

ここでいう「密接法人」とは、主に親会社、子会社、兄弟会社などを指します。法人名義で申請を行う際、こうした密接法人が存在する場合には、その名称、所在地、および代表者氏名を正確に申告することが義務付けられています。

密接な関係を有する法人に関する書類記載例①

飲食店営業許可書のコピー

飲食店営業を兼業する風俗営業の許可申請を行うにあたっては、その前提として保健所による「飲食店営業許可」を取得していることが必須要件となります。原則として、これら二つの手続きの順序を逆転させることはできません。

実務上の運用として、保健所の実査(施設検査)を終え、既に営業許可が下りている状態であれば、正式な「営業許可証」の原本交付を待たずとも、保健所発行の「営業許可証明書」や「申請書の副本」による代用で警察署への申請受理が可能となるケースがあります。

ただし、これはあくまで暫定的な措置に過ぎず、手元に正式な許可証が届き次第、速やかにその写しを管轄警察署へ追加提出(追完)し、申請書類一体を完結させる必要があります。

メニュー

メニューについては、提供するお酒の種類や料金が判別できる程度であれば、手書きの箇条書きといった簡易的なものでも受理されます。

ただし、近年の風営法改正等の影響もあり、「○○円〜」のような曖昧な表記や「時価・ASK」といった変動料金については厳しく指導が入るため、必ず全て税込価格による固定料金で記載するようにしてください。

その他の書類

法定書類として明文化されているわけではありませんが、実務上の経験則から、用途地域証明書や建築確認済証といった物件の適法性を裏付ける書類の提示を求められるケースが多々あります。

また、一連の届出手続きを行政書士へ一任される場合には、別途、代理権を証明するための委任状も必要となります。

図面作成のポイント

実地調査(実査)は図面に基づく聞き取りと調査を中心に進行するため、当初から精密な図面を用意する必要があります。「不動産屋の間取り図」や「飲食店営業許可申請の添付図面」が流用できるかという相談も多いですが、残念ながらこれらはほぼ使えません。

また、手書きの図面でも受理はされますが、現場での確認作業に支障が出やすく、高い確率で補正を命じられることになります。そのため、修正作業にも柔軟に対応できるJW-CAD等のフリーソフトを活用することをお薦めします。

営業所周辺の略図

まずは営業所の位置関係を示す見取図を作成します。ゼンリンの住宅地図(コンビニで400円程度で入手可能)に印を付けたものを使用するのが一般的ですが、他の提出書類にも流用できるため、原本を一部保管しておき、必要に応じてコピーして使用すると便利です。

用途地域を証明する書類

インターネット上でも用途地域が記載された地図を印刷することは可能ですが、所轄警察署によっては、市町村発行の地図や「用途地域証明書」の添付を求められることがあります。

市町村の都市計画課等では用途地域図のプリントアウトが可能なため、建築確認済証等を取得するタイミングであわせて入手しておくのが効率的です(費用は100〜200円程度)。

周辺施設の概略図

風俗営業の営業所には、学校や入院施設のある病院といった「保全対象施設」から、一定の距離を離して設置しなければならないという場所的要件があります。

そのため申請時には、営業所の周囲に保全対象施設が存在しない(または制限距離を超えている)ことを証明する「周辺施設の概略図」の添付が必要です。この図面は、ゼンリンの地図等に営業所を中心とした制限距離の半径(例:50mや100m)の円を描き、対象施設に①②③…と番号を振って作成します。

ここでは、弊所が入居するビルでラウンジ(1号営業)を営むと仮定した、以下の周辺施設一覧表と図面を用いて解説を進めます。

用途地域の調査

尼崎市の公式サイト(地図情報あまがさき)にて用途地域を確認したところ、弊所所在地の用途地域は「準工業地域」であることが判明しました。

兵庫県条例の地域区分においては「第2種地域」に該当するため、風俗営業が原則禁止される「第1種地域」ではないことが確定しました。

都市計画図
保全対象施設の調査

所在地の用途地域が風俗営業の許可区域内であったとしても、それだけで安心することはできません。風俗営業の営業所は、いわゆる「保全対象施設」から一定の距離を隔てていなければ設置することができないという、厳しい距離制限が存在するためです。

具体的に兵庫県条例の規定を確認すると、弊所が所在する「第2種地域」においては、病院および有床診療所から50メートル、さらに学校・図書館・保育所・認定こども園からは70メートルを超える位置に限り、営業所の設置が許容されています。

本調査ではこれらの諸条件を厳密に踏まえ、弊所の位置を中心点として半径50メートルおよび70メートルの円を描画した概略図を作成いたしました。

道意町7丁目

作成した概略図上には、保全対象施設として該当の可能性がある、あるいは慎重な調査を要する施設を抽出し、「①②③……」と番号を付して正確に配置しております。

さらに、これらの各施設については、物件との実距離や用途の判定を含め、以下の通り詳細な調査結果を一覧として整理します。

保全対象施設一覧

以上の調査結果により、弊所所在地は社交飲食店の営業許可取得が法的に可能な場所であることが、客観的なデータに基づき証明されました。(やったね!)

さて、ここからは無事に許可要件をクリアし、晴れて開業の運びとなった「ラウンジTSUNAGU」さんをモデルケースとして、実務の核心である「営業所図面」の作成について解説を進めてまいります。

「もうお腹いっぱい!」という方や、お急ぎの方は、末尾の「お助けリンク」をぜひご活用ください。それでは、許可申請の最難関とも言われる営業所図面の世界を覗いてみましょう。

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営業所図面の作成

図面作成にあたっては、すべての図面で方角(真北)を統一し、客室の内外を明確に色分けして区分することが鉄則です。

一般的に、営業所の外郭を青色、客室の範囲を赤色、そして調理場の範囲を緑色で着色するという実務上の「暗黙のルール」が存在します。ただし、この色分け指定は全国一律ではなく、管轄の警察署や自治体によって取り扱いに無視できない差異が見受けられます。

たとえば大阪府下の運用では、客室に赤色を用いる点は共通しているものの、営業所の外郭については緑色で示すよう指導されることがあります。

このように、地域ごとに独自の運用ルールが存在する点には細心の注意を払う必要があります。

営業所平面図

平面図は、営業所を水平に切断した断面を真上から投影した図面であり、すべての申請図面の基礎となる極めて重要な資料です。

壁芯や内法の寸法、柱の位置、開口部(出入口)などを正確に反映させる必要があるため、この平面図に狂いが生じると、求積図や音響・照明・換気設備図など、連動するすべての図面の整合性が失われてしまいます。したがって、実査(現地調査)に基づいた精密な作図が、許可申請の成否を分ける第一歩となります。

店舗内平面図

測量は、壁面に沿って時計回り(または反時計回り)に一方向で進め、「外枠」→「壁・柱」→「家具」の順に数値を書き込んでいく手法が効率的です。

この手順を徹底することで、測定漏れや重複を防げるだけでなく、図面作成時の整合性も格段に高まります。

店舗内平面図(2)

営業所の範囲

ところで、風俗営業における「営業所」の境界がどこにあるかをご存じでしょうか。テナント物件の場合、賃貸借契約書に記載された面積がそのまま営業所の範囲になるとは限りません。

たとえば「ラウンジTSUNAGU」さんのように、店舗にバルコニーが接しているケースを想定してみましょう。もしそのバルコニーに避難用タラップが設置され、緊急時に他テナントの避難経路となる構造であれば、そこは「共用スペース」とみなされるため、営業所には算入しません。

このように、壁や扉の向こう側が「排他的な支配下にあるか」を個別に精査することが、正確な図面を作成する上での大前提となります。

避難はしご
避難はしご

また、床から天井までを構造的に支える「壁」や「柱」についても、営業所の純粋な面積からは除外して計算します。

一方で、上部または下部が開口している単なる「間仕切り」や「パーテーション」は、構造物ではなく設備の一部とみなされるため、営業所面積に算入します。

この「壁」と「造作」の境界線は少々ややこしい点ですが、警察による実査(現地調査)では必ずと言っていいほど厳格に確認されるポイントです。

間仕切壁
間仕切壁

客室と客室以外の区分

風営法において、客室の床面積は構造上の重要事項と位置付けられており、その範囲の特定は許可の成否を分ける極めて重要なポイントです。

法令上の客室とは「客に飲食をさせ、または客に遊興をさせるために客に利用させる場所」と定義されています。したがって、玄関(風除室)やトイレはもちろんのこと、構造体である壁や柱、さらには間仕切り壁なども客室面積からは除外して算出します。

また、壁と客席の間に設置された固定の台や、家具を配置しているデッドスペース等についても、客が直接利用する場所ではないため、客室には算入しません。

カウンターの仕切り

上の画像に示すカウンター端の「仕切り」(□部分)は、構造上または意匠上の突起物とみなされ、客室面積から除外されるケースがあります。こうした微細な造作物は、客が実際に飲食や遊興を楽しむスペースとは言い難いためです。

図面作成においては、どこまでを「客席(客室)」とし、どこからを「什器・備品」あるいは「構造物」として扱うかの線引きが極めて重要です。この判断を誤ると、客室面積の合計値が実態と乖離し、許可要件に影響を及ぼす恐れがあります。

営業所客室
客席含める含める
玄関、調理場、トイレ含める含めない
共有するベランダ含めない含めない
共有しないベランダ含める含めない
壁・柱含めない含めない
間仕切壁、パーテーション、仕切部分含める含めない
家具を設置する場所含める含めない

設備配置図

営業所平面図を下敷きにして、客室内に配置されている全ての設備を、その長さ・幅・高さを含めて漏れなく書き込んでいきます。

ちなみに、実務上の効率化を図るため、弊所では「営業所平面図」と「設備配置図」をあえて分けず、兼用として一枚の図面に集約させています。

設備配置図

設置する設備については、その長さ、幅、および高さを正確に計測し、別紙に記録した上で図面と整合させておく必要があります。また、所轄警察署によっては設備の現況を確認するため、写真の添付を求めてくる場合も少なくありません。

特に注意すべきは、高さがおおむね100cm(1.0m)を超える設備です。これらは「客室の見通しを妨げるもの」とみなされ、客室内に設置することが原則として認められません。

実査の段階で「1.0mルール」に抵触する設備が見つかると、即座に撤去や改修を命じられるリスクがあります。そのため、什器の選定や配置を検討する初期段階から、この数値制限を厳格に守ることが、スムーズに許可を得るための不可欠な確認事項となります。

設備一覧(ソファー)
設備一覧(イス・テーブル)

求積図

これまで述べた通り、「客室」「客室外」および「営業所外」の区分を厳格に意識し、各箇所の数値を正確に図面へ落とし込んだ上で計算式を導き出します。

図面1枚にすべての情報を詰め込むと、計算ミスや記載漏れを誘発する恐れがあります。その場合は、「客室」と「客室外」の求積図を分割するなどの措置を講じ、とにかく情報の欠落がないよう精緻に仕上げてください。

求積図

ラウンジTSUNAGUさんは少々歪(いびつ)な形状をしているため、特に複雑な計算を要する①と②の箇所については、詳細を以下の通り別紙へ切り出して記載することとします。

拡大図(1)
拡大図(2)

面積計算の根拠を明らかにするため、計算式は別紙に詳細に記載していきます。たとえば、Eの面積を求める際の計算式は以下の通りです。

具体的な求積図
具体的な求積式

求積の具体的な手法については後述しますが、いずれにせよ「算入する面積」と「控除する面積」を厳格に区分し、数値の漏れや計算上の矛盾が生じないよう細心の注意を払う必要があります。

求積式①
求積式②
求積式③

照明及び音響設備配置図

照明及び音響設備配置図は、店舗内平面図をベースにして、光や音を発する全ての設備の位置を正確に落とし込んで作成します。

具体的には、照明器具(ダウンライト、スポットライト、ペンダントライト等)やスピーカー、モニター、カラオケ機器といった音響設備の配置を明記し、それぞれの種類や設置場所が一目で分かるように図示する必要があります。

都道府県によっては、照明のスイッチや火災報知器・誘導灯といった消防設備の位置、さらには使用する機器の具体的な型番まで記載を求められるケースがあるため注意が必要です。

音響・照明設備図

照明設備については、以下の表を参考にして種類ごとに区分した上で、それぞれの定格消費電力(W)、設置箇所、および数量を、図面の余白または別紙の「照明一覧表」に明記する必要があります。

照明の種類
照明の種類
音響・照明設備一覧

なお、風俗営業では店舗内の明るさを常時10ルクス超(社交飲食店、低照度飲食店については5ルクス超)に保たなければならないというルールがあり、つまみの調整によりこの照度以下に調整することが可能な調光器(スライダックス)については、設置すること自体が禁止されています。

スライダックス
調光器

居抜き物件や既存の店舗では調光スイッチが一般的に設置されているケースも多いですが、その場合は調光器自体を撤去して通常のON/OFFスイッチに交換するか、あるいは物理的に固定するなどの施工を行い、最小の明るさが20ルクスを下回らないように対策を講じる必要があります。

電気業者に依頼すれば改修作業自体は比較的容易ですが、賃貸物件の場合は原状回復の兼ね合いもあるため、事前に家主としっかり協議を行い、後々のトラブルに発展しないよう慎重に進めることが重要です。

調光器の改修について

求積の方法

求積の具体的な取り方には地域ごとに多少の特色がありますが、用いる計算式の構成については概ね統一されています。ここでは、実務で多用される主要な求積手法について整理し、その運用の実際を確認していきましょう。

三角形の求積

三角形の求積は、誰もが知る「底辺 × 高さ ÷ 2」という計算式を用います。この公式については、記憶に定着している方が多いはずです。まさに小学校で学んだ算数が、実務の最前線で見事に真価を発揮する場面といえます。

底辺×高さ÷2

台形の求積

台形の求積には、「(上底 + 下底)× 高さ ÷ 2」という公式を用います。今回のラウンジTSUNAGUさんの図面には該当箇所がありませんでしたが、不整形な物件を扱う上では必須の知識といえます。

(上底+下底)×高さ÷2

円形の求積

こちらも実務において欠かせない計算式です。もっとも、営業所の構造として完全な真円が現れるケースは極めて稀であり、大半は半円や、4分の1円(直角の扇形)といった形状での算出が主となります。

こうした曲線部を含む区画の求積では、「半径✕半径✕3.14」という基本式に、円弧の角度(180/360や90/360など)を乗じることで正確な面積を導き出します。

半径×半径×3.14×(角度/360)

楕円の求積

楕円の面積計算は意外に知られていませんが、その考え方の根拠は円の公式と共通しています。実務上、営業所内のカウンターの角や装飾柱、あるいは変形したフロア形状などで目にする機会が非常に多い形状です。

長径×短径×3.14×(角度/360)

弓形の求積

本来はコサイン(cos)などの三角関数を用いて斜辺や底辺を算出する場面ですが、実務上はより簡便な計算手法で処理されるのが一般的です。一見するとマイナーな知識に思えますが、店舗内にはこうした角度のついた箇所が意外なほど多く存在します。

「学生時代の高等数学など一生使わない」という先入観が、現場の測量と図面作成を通じて覆される瞬間といえます。

弦の長さ×高さ×(2/3)

実査について

風俗営業許可申請における最大の関門が、警察署員や浄化協会による「実査(じっさ)」です。この実地調査の運用には地域ごとに特色があり、例えば大阪市では浄化協会担当者の2名体制、兵庫県では警察の担当者と浄化協会の担当者がペアで来訪する形式が一般的です。

実査では店舗構造から設備までが克明に照合され、計測値にわずか0.5cm程度の誤差があるだけで、躊躇なく図面の書き換え(補正)を命じられます。図面と現場の実態があまりに乖離している場合は、後日再検査となる事態も避けられません。

とはいえ特別に構える必要はなく、図面をきっちり仕上げてやるべきことをしっかりとこなせば問題はありませんから、十分な準備をして落ち着いて実査に臨むようにしましょう。

まとめ

正直なところ、「これほどまでに緻密な図面が果たして必要なのか」と自問自答することも少なくありません。時には、審査担当者の前でその思いを吐露したことさえあります。1cmの誤差が社会に多大な影響を及ぼすとは考えにくいのが本音ですが、それを議論していても前には進みません。眼前に立ちはだかる高い壁を一つひとつ乗り越えていくことこそが、許可への唯一の道であるのは動かしがたい事実です。

一般に、本人申請と行政書士が関与するケースとでは、許可取得までの期間に1か月以上の開きが生じます。不慣れな手続きで開業が後ろ倒しになる損失を考えれば、一日も早く営業を開始することこそが最大の経済的メリットに直結します。

確実かつ迅速に手続きを完了させるためにも、風営法の実務に精通した行政書士へ依頼し、早期の許可取得を目指す選択を強くお薦めいたします。

弊所では、日本全国を対象に風俗営業許可申請の代行を承(うけたまわ)っております。現地の事前調査から複雑な求積図面を含む書類作成、さらには関係各所との折衝や窓口への提出に至るまで、一貫したフルサポートを提供いたします。また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、画一的な対応ではなく、ご依頼者様一人ひとりの事情に寄り添った柔軟な対応を常に心がけています。風俗営業許可の取得をご検討の際は、実務経験豊富な当事務所まで、どうぞ安心してご相談ください。

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