飲食店における客室及び客席の定義について

カフェの客席

飲食店に関する許認可の申請や届出を請け負っていると、客室(客席)とそれ以外とを明確に区分しなければならない場面が結構出てきます。中には、客室床面積の広さを許認可の条件に含む手続きもあるので、実は手続き上の重要ポイントであることは多いです。(深夜酒類提供飲食店の個室は9.5㎡以上、風俗営業店の個室は16.5㎡以上など)

飲食店における客室とは、客に飲食をさせ、又は客に遊興をさせるために客に利用させる場所を指します。つまり、調理場、洗面所、和風の営業所における床の間、押入れ、廊下、ショーや歌舞音曲を実演するためのステージで客が位置しないもの等は、客室には含まれません。

また、客席とは、客に飲食をさせるために設けられた食卓、椅子その他の設備及び当該設備を使用する客が通常利用する客室の部分を指します。

この定義から考えれば、客が通常使用する椅子、テーブル、ソファー及びカラオケステージなどのほか、客が使用するであろう位置にあるボトル棚、ついたて及び飾り棚なども客室(客席)に含まれることになります。逆に言えば、単なる建物内の柱や、キャストが使用する衣装棚などは客室にも客席にも該当しないことになります。

また、カウンターテーブルの場合、客がお酒を飲んだりカラオケをする部分(厨房から見て外側)については、客室(客席)とみなされることが多く、おもに従業員が使用し、客が位置しない部分(厨房から見て内側)については、客室外(厨房)として取り扱われることが多いです。

とはいえ、実務上は規制の目的によりケースごとに判断されるようで、実際に弊所が請け負った風俗営業の店舗においては、以下の3パターンが存在しました。

  1. カウンターすべてを客室に含めるパターン
  2. カウンターの半分を客室に含めるパターン
  3. カウンターすべてを客室から除くパターン

たとえば遊技を提供する風営法5号営業の許可を申請した飲食店(アミューズメントバー)では、「カウンターでは遊技を提供しないので客室には該当しない」との判断から、3のパターンを経験したことがあります。

この辺りは地域性や管轄行政庁の違いによる判断の相違があるものと思われるため、所轄する行政庁との事前協議において確認するか、飲食店の手続きに詳しい行政書士に相談することが無難なように思います。

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