風俗営業許可申請における必要書類(添付書類)の内容と集め方について

デスク上の書類

風俗営業許可の申請をする際に、申請書類を作成することと同様に煩(わずら)わしい工程が添付書類を収集する作業です。

例えば、申請者が住居不定でないことを証明するためには住民票を添付する必要がありますし、法人であれば実在を証明するために定款や登記事項証明書の添付を求められます。

こういった書類に普段から接している方であればともかく、手続きに不慣れな方であれば、どこで何の書類を取得すれば良いのか見当もつかないのではないかと思います。

そこで本稿では、風俗営業許可の申請をするにあたり必要とされる添付書類の内容及びその収集方法について詳しく解説していきたいと思います。

風俗営業許可申請の必要書類

都道府県ごとに要求される書類の種類や様式が若干異なることはありますが、風俗営業許可申請の際には、おおむね以下の書類を提出するよう求めらます。

  • 風俗営業許可申請書
  • 営業の方法
  • 住民票の写し
  • 欠格事項に該当しない旨の誓約書
  • 誠実に業務を行う旨の誓約書
  • 身分証明書
  • 営業所使用権原を証明する書類
    • 賃貸契約書の写し
    • 営業所の使用承諾書
    • 建物登記簿謄本
  • 違法建築物でない旨を疎明する書類
  • 用途地域を証明する書類
  • 各種図面
    • 営業所周辺の概略図
    • 営業所の配置図
    • 求積図
    • 照明・音響・防音設備の配置図
  • 飲食店営業許可書の写し
  • 料金表・メニュー表の写し
  • 定款・登記事項証明書(法人)

上記のうち、「営業許可申請書」「営業の方法」「誓約書」「各種図面」及び「料金表・メニュー表」については、自ら作成するものですが、これら以外の書類は、役所を回るなり大家さんに請求するなりして取得する必要があります。

住民票の写し

誰でも一度は手にされた経験があるように思いますが、住民票は、申請者が住居不定でないことや、国籍がどこにあるのかを確認するために添付する書類です。

お住まいの市区町村の役所の窓口で直接又は郵送で請求することもできるほか、最近ではマイナンバーカードの利用(一部の自治体では住民基本台帳カードでも利用可能)によるコンビニでの発行も可能になっています。

申請者本人のほか、営業所管理者、法人である場合は役員全員分の住民票を添付する必要があります。交付から3ヶ月以内のものであって、本籍地が記載され、マイナンバーの記載がないものを添付します。

取得方法特徴手数料
窓口○ 特別な事前準備は不要
△ 役所への訪問が必要
300円ほど
郵送○ 役所への訪問が不要
△ 準備の手間や費用、日数が少し増える
300円ほどの郵便小為替
(+郵送料)
コンビニ○ 全国の多くのコンビニが対応し即時入手可能
○ 手数料が低く設定されていることが多い
△ マイナンバーカードが必要
200円ほど

身分証明書

ここでいう身分証明書とは、運転免許証やパスポートといった類のものではなく、「成年被後見人又は被保佐人とみなされるもの」及び「破産者で復権を得ない者」に該当しない旨を市区町村の長が証明する書類を指します。

本籍地市区町村の役所窓口又は郵送にて請求することになりますが、注意すべきは、請求する役所が「住所地」ではなく「本籍地」の市区町村となっている点です。このため、本籍地が遠隔地である場合には、郵送で請求することなります。

証明すべき事項は、「成年被後見人又は被保佐人とみなされるものに該当しない旨」及び「破産者で復権を得ない者に該当しない旨」の2項目で、自治体により異なりますが、おおむね300円から600円の手数料が必要になります。

なお、住民票と同様に、申請者本人のほか、営業所管理者及び役員全員分の身分証明書が必要になります。

誓約書

風営法には、風俗営業を営むことができない事由(欠格事由)が定められており、この「欠格事由」に該当しないことを自ら証明する必要があります。また、管理者については、管理者として誠実に業務を行う旨の誓約書を別に添付する必要もあります。住民票や身分証明書と同様に、申請者、管理者及び役員全員分の誓約書が必要になります。なお、誓約書を連名で提出することは特に差し支えありません。

各都道府県警察のサイトに書式が公開されていますが、公開されていないこともあるため、その場合には、ゼロから自分で作成することになります。

営業所使用権原を証明する書類

「営業所の使用について権原を有することを疎明する書類」とは、所有権、賃借権等、営業所の使用方法を最終的に決定することができる権原に関する書類です。

警察は民間の紛争に巻き込まれることを嫌う傾向にあるため、この書類の取扱いについては特にナーバスになります。

賃貸借契約書の写し

営業所が賃貸物件である場合に、賃貸契約を仲介した不動産屋さんや大家さんから直接交付された賃貸借契約書の写しを添付します。ただし、営業所の所有者から直接賃借していない(いわゆる「又借り」)場合には、これに加えて、賃貸人との間で締結された賃貸借契約書の写し又は本来の所有者及び賃貸人の使用承諾書を添付する必要があります。

所有者と賃貸人の間に、営業所に係る賃貸借契約を締結した者がいる場合には、これらの契約当事者全てについて、これらの書類が必要になります。

営業所の使用承諾書

風俗営業という性質上、賃貸人(貸主)との間で物件の使用方法を巡るトラブルが発生することも多く、事前の承諾によりこれを未然に防止する必要性から、風俗営業許可申請の際には、賃貸借契約書とは別に、建物所有者からの使用承諾書を添付することを求められます。

このため、賃貸契約の目的の欄に「風俗営業」と明記されている場合には使用承諾書は必要とされません。(管轄によっては、それでも別に使用承諾書を求められることがあります。)

建物登記簿謄本

営業所の物件所有者をはっきりさせるために添付する書類です。自己所有物件である場合には、こちらを添付すれば使用承諾書は不要です。全国の法務局・地方法務局の窓口で申請できるほか、郵送やオンラインにより請求することもできます。

取得方法受取方法手数料
窓口法務局窓口600円ほど
郵送郵送500円ほど
オンライン法務局窓口480円ほど

オンライン申請について

違法建築物でない旨の疎明書類

あまり耳に馴染みのない書類だと思いますが、違法建築物でない旨を疎明(証明)するためには、建築確認検査済証、建築計画概要書又は建築確認台帳記載事項証明書等の書類を添付する必要があります。兵庫県や大阪府においては、建築計画概要書があれば特に問題なく受理されます。

このうち建築計画概要書は、建築確認申請の際に施主が提出するもので、敷地や建物の面積及び高さ等のほか、建物がどのような許可を受けているのかについて記載されている書類です。

各市区町村の建築指導課で誰でも自由に取得することが可能で、 たとえば大阪市においては、北区中之島の大阪市役所3階の建築指導部内に備付けの市民用建築情報検索システム端末にて閲覧や写しの交付が可能です。

用途地域を証明する書類

風俗営業は営業することのできる地域が限られており、さらにはと学校や病院(保全対象施設)からも一定の距離を置く必要があります。これらを疎明(証明)する書類こそが風俗営業許可申請のメインディッシュといっても過言ではなく、調査に関する苦労話しだけで丸々サイトが作れるのではないかと思うレベルです。笑

用途地域の検索

大阪市においては、「マップナビおおさか」という便利なツールがあり、こちらで検索したい住所を打ち込むと、該当する住所やその周辺の用途地域が色分けされた地図として検出されますので、これを印刷したものをそのまま添付します。

ただし、市区町村によっては、都市計画課等が交付する「用途地域証明」を提出するよう求められることがあります。

保全対象施設の調査

以下は大阪府における保全対象施設ですが、保全対象施設が商業地域にある場合はこれらの施設から50m以内、保全対象施設が商業地域以外にある場合は100m以内において風俗営業を営むことはできません。用途地域については比較的簡単に調査することが可能ですが、保全対象施設の調査については、それなりに困難な作業を強いられることになります。

  • 病院・入院施設のある診療所
  • 学校教育法に定めのある学校
    • 幼稚園・小学校・中学校・高等学校
    • 中等教育学校・特別支援学校
    • 大学・高等専門学校
  • 認定保育所・幼保連携型認定こども園
  • 図書館
  • 児童福祉施設
①地図の入手

まずは営業所周辺の地図を入手します。弊所においてはゼンリンの地図を利用していますが、こちらはコンビニなどでも1通300円で手軽に入手することが可能です。

テナント物件等は開廃業のサイクルが速く現状が地図に反映されていないことも珍しくはないため、古い地図は頼りにせず、地図を利用する際にはその時点で最も新しいものを利用するようにしましょう。

②距離の記載

最新の地図を入手したら、地図上の営業所を中心にコンパスで円を描きます。大阪府においては100mと50mの2つの距離制限があるので、営業所から半径100mと50mの2つの円を描きます。

③保全対象施設の調査

インターネットを駆使する現代人らしく、まずはデジタル式の調査方法で周辺施設を検索するのですが、加えて弊所では目で見て確認するというアナログ式の調査を実施しています。診療所は入院設備の有無を外見のみでは判別できないため、このような場合にはその施設に直接聞き取りも行います。

テナント物件の開廃業のサイクルは速く、街ブラしながら確認していくと、デジタル式の調査方法では見えてこない多くの情報に気づきます。インターネットの情報とはいえ過信はせず、必ず自分の目や耳で確認するようにしてください。

認可外保育施設について

認可保育園は保全対象施設に含まれますが、企業主導型保育事業と呼ばれる認可外保育施設については保全対象施設には含まれません。このように一般には伝わりにくい取扱いの違いも存在するため、事前調査と事前確認は欠かさず実施するようにしてください。

開設予定の施設について

保全対象施設については、現存する施設のみならず、風俗営業許可の申請時点において、開設手続き中の施設や工事の届出をしている施設も含まれます。

このため、空き地や空きテナントがある場合には、土地や家屋の登記事項を閲覧するなど万全の対策が必要になります。

④保全対象施設の記載

円を描いた地図上の保全対象施設に、①②③…と番号を振ります。さらに別欄において、各施設の名称、用途地域及び距離を記載し、風俗営業の営業所として問題がないことを疎明(証明)します。

⑤用途地域の色分け

最後に用途地域図を参考にしながら、地図上の用途地域ごとに、色鉛筆やマーカー等で薄く色付けしていきます。作業していくと気づくのですが、用途地域が入り組んでいる地域は多く、建物によっては複数の用途地域にまたがっていることも普通にあるので、手作業者にはとても辛い作業になります。

料金表・メニュー表

料金表及びメニュー表については、申請時点において、提供するお酒の種類や料金が分かる程度のものであれば手書きによる簡易的なものでも構いませんが、正式なものが出来上がった際は、改めて提出するように求められることがあります。

定款・登記事項証明書

法人(会社)の定款と登記事項証明書は、いわば個人における「戸籍」や「住民票」に相当する書類です。定款は、法人の基本的ルールを定めた書面であり、法人設立の際には必ず必要となるものです。また、登記事項証明書は法人の基本的事項を記載し高じするための書面です。登記事項証明書については、全国の法務局・地方法務局の窓口で申請することができるほか、郵送やオンラインにより請求も可能です。

添付図面

風営法の手続きのうち、最も煩(わずら)わしい作業が添付図面の作成です。内容にかなりのボリュー厶があるため、作成方法については、以下のリンク先でしっかりとご確認ください。確認した後くじけそうになったときは、弊所までどうぞご遠慮なくご一報ください。笑

まとめ

各都道府県警察のサイトを確認してみても、説明が不足していたり、書式が用意されていなかったりするなど、申請者にとっては決して親切な対応がされているようには感じません。初めての申請であれば、事前協議を経ずにいかなり出向いたとしても、「あの書類が足りない。やり直し!」と言われて、受理に至らないことも多いのではないかと思います。

添付書類を揃えるために役所回りをする時間を考慮しても、日頃この手の申請を十八番とする行政書士に依頼する値打ちはそれなりにあるのではないかと思います。

弊所は関西圏を中心に、年間数十件の店舗と300件以上もの申請に携わります。そのうちの多くは風俗営業の許可申請や深夜酒類提供飲食店の届出等の手続きが占め、風営法関連の手続きは弊所におけるキラーコンテンツのひとつとなっています。また、最近は首都圏・四国圏・東海圏・中国圏・九州圏からも発注があり、着々と活動地域を拡大しています。

弊所では「話しの分かる行政書士事務所」を標榜し、迅速、格安料金での対応をお約束しています。むしろ経験豊富で迅速であるからこそ工期を短縮することができるので、格安料金での対応が実現可能となっています。

近年は扱いやすい見積もりサイトが台頭していますが、やり取りが煩(わずら)わしく、プロ側には極めて高い手数料が設定されているため、これを回収すべく契約後に加算がなされ、かえって高額になるケースも多くあるようです。何よりも全体的な印象として登録者が経験に欠けるため、見積もりサイトから受注した行政書士から業務を引き継いだ経験が数回あります。無駄なコストは費用も時間もカットするのが最良の策です。風営法関連の手続きでお困りの際は、どうぞ弊所までお気軽にお問い合わせください。

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