接待営業と深夜営業(キャバクラとガールズバー)

歓楽街のイメージ画像

検索でこの記事にたどり着いたということは、恐らくナイトビジネスに興味がある方か、既に何らかの関わりを持っている方、そうでもなければ私の友人くらいのものでしょう。

私自身、分かりやすい体育会系気質なので、若い頃は先輩や後輩との交流の場として、いわゆる夜のお店をよく利用させていただきました。現在は行政書士として夜の飲食店に関与する機会が増えましたが、適正に運営されているお店については、これからも社交の場として存続していただきたいというのが行政書士、もとい酒飲みの本音です。

そこで本稿では、たびたび質問される「接待営業」と「深夜営業」の関連性について解説していきたいと思います。ご自身の運営するお店や、これから開店しようとするお店を適正に運営していくためにも、まずは法令による規制を再確認し、正しく理解するように心がけましょう。

キャバクラとガールズバー

カクテルの画像

キャバクラとガールズバーは、法令上はどちらも飲食店に該当します。また、接待行為や風俗営業を規制する風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)でも、特に名称やコンセプトのみをもって両者を明確に区分していません。

キャストが横についてお酒を注いでくれるのがキャバクラで、カウンター越しに女性がお酒を作ってくれるのがガールズバーという風に、何となくこんな感じで棲み分けをしているというのが皆さまの認識でしょうし事実であるように思います。

何となしにガールズバーの方がライトな印象を受けることは事実ですが、風営法について少しご存じの方であれば、さらに以下のようなイメージをお持ちの方も多いのではないかと思います。

キャバクラ→深夜営業NG
ガールズバー→深夜営業OK

実はここにこそ誤認があって、深夜営業が許容されるかどうかは、飲食店内において接待を提供しているかどうかによって判断されます。したがって外見上ガールズバーの体裁をとっていたとしても、接待行為が伴う場合には風俗営業に該当し、キャバクラ(社交飲食店)に対するものと同様の規制が適用されることになります。

注意すべき点

バーのイメージ画像

上の表で簡単にまとめたとおり、接待を伴う営業形態の場合、深夜営業(午前0時〜6時)を行うことはできません。逆にそれ以外の営業形態の場合、有効な許可を受けるか届出をすれば、朝から晩まで一日中営業を行うことが可能になりますが、接待を提供することはできません。

業態手続き営業時間接待
接待を伴う飲食店飲食店営業許可

風俗営業許可
0〜6時は営業不可
接待を伴わない飲食店(お酒メイン)飲食店営業許可

深夜営業の届出
一日中
食事メインの飲食店飲食店営業許可のみ一日中

なお、風俗営業の許可申請と深夜営業(深夜における酒類提供飲食店営業)の届出とは、ひとつの営業所について同時に行うことができません。このため、午前0時〜6時の間に接待を提供できる営業形態は、事実上存在しません。

これを闇雲に認めてしまうとなると、風俗営業者の深夜営業を禁止する風営法の主旨を損ない、また、規制逃れのためのスキームの構築に利用されてしまうおそれがあるからです。

制度として例外を認める解釈もあることはありますが、実務上同一の事業者が同一の営業所で兼業を行うことは、不可能に近い高いハードルがあるものとご理解ください。

選択する際のポイント

カウンターに置いたジントニックの画像

接待を提供する限り深夜営業を行うことはできず、深夜営業を行う限り接待を提供することはできないという点は原則として把握するようにしてください。

どちらも一長一短ですので、以下の点についても十分に比較し考慮した上で最終的な営業形態を選択するようにしてください。

深夜営業接待営業
接待禁止可能
営業時間届出をすれば自由6時〜24時前
手続き届出(比較的容易)許可(厳しい)
規制やや厳しい厳しい
開店までの期間20日月程度2ヶ月程度
人件費やや高い高い
サービスのメインお酒キャストによる接待
その他昼はカフェ営業で夜はBar営業といった業態も可能深夜帯を超えることがないためキャストが働きやすい

また、風俗営業には「保全対象施設」という概念が存在し、場所的な制限が深夜営業よりも厳しく設定されています。このため、現場に赴いてから実は風俗営業許可を取得することが出来ない場所であることが判明し、その場で風俗営業許可申請から深夜営業届出に依頼内容が切り替わったこともありました。1

  1. そもそも営業形態が変わるため、積極的にお薦めできることではありません。この場合、もちろん接待を提供することはできません。また、これとは逆パターンもありました。 ↩︎

お店のコンセプトは重要な要素ですから、まずはしっかりとした事業計画を立てることから始めるようにしてください。

まとめ

昨今はコロナ禍からの回復が見られ、ナイトビジネス周囲の環境は、徐々に復調傾向にあります。実際に弊所への開業相談は増加しており、ナイトビジネス全体としては良い方向に流れが向かっているのではないかと思います。

だからと言って、規制を無視することはできません。今いちど改めてご自身の事業計画を確認した上で適法な営業を心がけ、これからも酒席を盛り上げていただければ幸いです。

弊所でも、風俗営業許可申請や深夜酒類提供飲食店営業の届出についてご相談に応じています。風俗営業や風営法に関する手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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