建築一式工事とは

建築工事現場の金網の画像

建築一式工事(建築工事業)は建設業の許可業種のひとつですが、この「一式」という表現が非常に紛らわしく、この許可さえあれば、まるですべての専門工事が請け負えるものと誤解されている方も散見されます。そこで本稿ではこの「建築一式工事」がいったいどのような工事なのかについて掘り下げて解説してみたいと思います。

建設業許可の全体像について

建築一式工事とは

現場監督のイメージ画像

建築一式工事とは、「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」をいいます。工事も規模が大きくなればなるほど複雑になり各専門工事間を横断してマネージメントする必要性が生ずるため、これらを総合的に企画し、指導及び調整を行う部門が建築一式工事ということになります。

たとえば住宅の新築工事であれば、大工工事、内装工事、電気工事、管工事などの複数の専門工事が必要になるわけですが、これらの専門工事業者を統括する役割を担うのが元請業者たる建築一式工事業者です。具体的には、建築確認を必要とする新築工事・増改築、大規模改修工事などが「建築一式工事」に該当することになります。

許可の対象事業者

下請業者がこのように総合的な工事を請け負うことは、丸投げ禁止の観点からみても不当です。また、建築工事業の建設業許可はあくまでも建築一式を請け負う為の許可なので、この許可を取得するだけでは他の専門工事を請け負うことは出来ません。

一般社会(?)に置き換えると、総合プロデューサーが「建築一式工事業者」で、プロデュースを受けるアイドルが各専門工事業者といったところです。プロデューサーが自らステージに立つことはもちろん構いませんが、そのためには「歌」や「トーク」を磨かなければならないのと一緒であると考えてみてください。

専任技術者の資格要件

建築工事業(建築一式工事)で許可を受けるためには、以下の資格または実務経験を有する者を専任技術者として営業所ごとに設置する必要があります。

  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(建築)
  • 1級建築士
  • 2級建築士
  • 建築工事業につき10年以上の実務経験を有する者
  • 「建築学」「都市工学」に関する学科を卒業後5年以上の実務経験を有する者
  • 「建築学」「都市工学」に関する学科を卒業後3年以上の実務経験を有する者(大卒、高度専門士、専門士)

なお、建築工事業(建築一式工事)は「指定建設業」に定められているため、下請業者に対して総額4000万円以上の工事を元請として発注する場合に必要となる特定建設業の許可を受けようとする場合には専任技術者は1級の国家資格者又は技術士等でなければなりません。

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