風俗営業や深夜酒類提供飲食店営業におけるスライダックス（調光器）の規制について

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律（以下、風営法）では、暗がりのあるスペースがあることによってその空間で猥褻な行為や違法な取引が行われることを未然に防止するため、飲食店の営業所における照度についてルールが設けられています。実際に風俗営業や深夜酒類提供飲食店営業の現地確認においてよく指摘を受けるのが、営業所内におけるスライダックス（調光器）についてです。

他方、居抜きの実店舗ではスライダックスが当初から営業所内に設置されていることが多く、この規制を知らずに営業していると、違法営業として刑罰の対象となってしまうことがあります。

スライダックス（調光器）とは、一般的な電灯スイッチのようにオンオフのみで点消灯を切り替えるタイプのものではなく、下の画像にあるように、つまみで明るさを調節できる回転式のスイッチや、バーを上下にスライドさせて明るさを調節するタイプの電灯スイッチのことを指します。

単にスライダックスが営業所内に設置されているだけで許可が絶対に通らなかったり、届出が受理されないということではありませんが、たとえば大阪市における風俗営業の実査を担当する浄化協会は、営業所内にスライダックスが設置されている時点で営業所の構造基準について容赦なく「不適」の判断を下します。

この点は管轄警察署や現場確認を行う担当者によって判断が分かれる部分ではありますが、少なくとも電灯スイッチがオンの状態で、営業形態に応じて定められている以下の照度を下回る場合は、共通して構造基準を満たさないものとして判断されます。

飲食店施設	50ルクス超
飲食店の客室	10ルクス超
深夜酒類提供飲食店の客室	20ルクス超
区画席飲食店営業の客室	10ルクス超
雀荘又はパチンコ店の客室	10ルクス超
特定遊興飲食店営業の客室	10ルクス超
社交飲食店又は低照度飲食店の客室	5ルクス超

依頼者様との間では「契約当初から付いていたのに」とか「他の店舗には普通に付いているのに」とかいうやり取りを交わすことがありますが、残念ながら違法状態のまま申請（届出）を行うことはできず、当然ながら営業を開始することはできません。

改修方法について

スライダックスが居抜きで契約した店内に設置されている場合は、まずは所轄の警察署、それから物件を管理する不動産管理会社に相談するようにしましょう。改修を行う場合は簡易的な工事を行う必要があることがほとんどなので、工事について承諾をもらうようにしてください。

改修方法については、スライダックスをそもそもすべて取り外す方法の他に、調光部分（つまみやバー）が動かないようにプレートを貼り付ける方法、接着剤を流し入れる方法、釘で固定する方法等が考えられますが、いずれの方法にせよ、固定箇所が容易に外れないものである必要があります。

したがって、以下の画像のような事例では基準を満たさず、改修方法としては認められません。

なお、工事等にかかる費用は、1基につき5,000円から高くても2万円くらいが相場になります。

風営法関連手続きサポート

風俗営業や深夜酒類提供飲食店営業は法令や条例の規制をダイレクトに被る営業形態です。規制は各市区町村条例に及んでいることも多いため、市区町村によっては都道府県条例よりもさらに厳しい条例（いわゆる上乗せ条例）が施行されている地域も存在します。

このように想定外の落とし穴にはまってしまうこともあるため、風俗営業の見切り発車は非常にリスクの大きい行為です。知人の風俗営業者が色々と入れ知恵してくれたとしても、それがその時期その地域その営業形態にすべて合致する正しい情報とは限りません。いずれにせよ風俗営業をはじめようとする際は、所轄の警察署や風営法に精通した行政書士に相談することを強くお薦めします。

弊所では、全国各地において、風営法関連手続きの代行を承っています。事前調査、書類作成、関係各所とのやり取り及び書類提出に至るまで、まるっとフルサポートさせていただいています。また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。風営法関連のお手続きでお困りの際は、どうぞ弊所まで安心してご相談ください。