神戸市の住宅宿泊事業(民泊)における周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関する説明会について

神戸ポートタワーを望むシンメトリの世界

兵庫県神戸市において住宅宿泊事業(民泊)を始めようとするときは、住宅宿泊事業法(以下、法)及び神戸市住宅宿泊事業の実施の制限等に関する条例(以下、条例)に基づき、住宅宿泊事業を開始しようとする日の前日までに、住宅宿泊事業を営もうとする住宅ごとに、届出書を市長に提出する必要があります。

単に届出をすれば足りるわけではなく、届出が受理されるまでにクリアすべき基準は多岐にわたり、条例では周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項について、届出に先立ち、周辺地域の住民に対し、事業実施に伴う不安・トラブル等を未然に防止するため、「住宅宿泊事業の実施にかかる周知事項を記載した書面」を配布した上で、説明会を開催することを求めています。

このように一見すると手軽な事業であるかのように錯覚されがちな民泊事業ですが、事業計画を甘く見積もると、宿泊客や周辺住民との間でトラブルを生じるケースも多いため、営業をはじめる際は十分な準備が必要です。

そこで本稿では、神戸市において住宅宿泊事業(民泊)への参入を検討する皆さまに向けて、事前に開催すべき周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関する説明会について分かりやすく解説していきたいと思います。

住宅宿泊事業者が講ずべき措置

住宅宿泊事業者には、宿泊者や周辺住民の健康や財産を保護するため、宿泊者の衛生の確保宿泊者の安全の確保外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保宿泊者名簿の備付け周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明並びに苦情等への対応の措置を講ずることが求められます。

なお、実際に届出を行おうとするとき及び事業を始める前には、本稿のみならず、関係法令及びガイドブック(PDF:2.11MB)を必ず確認するようにしてください。

宿泊者の衛生の確保宿泊者の衛生の確保を図るために、届出住宅について、居室の床面積は宿泊者1人当たり3.3㎡以上を確保し、定期的な清掃及び換気を行うこと
宿泊者の安全の確保届出住宅について、非常用照明器具の設置、避難経路の表示、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置として国土交通大臣が定めるものを講ずること
外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保外国人観光旅客である宿泊者に対し、届出住宅の設備の使用方法に関する外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する外国語を用いた情報提供、外国語を用いた火災地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内、その他外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置を講ずること
宿泊者名簿の備付け届出住宅又は住宅宿泊事業者の営業所若しくは事務所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日のほか、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号を記載し、都道府県知事の要求があったときは、これを提出すること
宿泊者名簿は、正確な記載を確保するための措置を講じた上で作成し、その作成の日から3年間保存すること
周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明書面の備付けその他の適切な方法により、宿泊者に対し、騒音の防止のために配慮すべき事項、ごみの処理に関し配慮すべき事項、火災の防止のために配慮すべき事項その他届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し、必要な事項について説明すること
外国人観光旅客である宿泊者に対しては、外国語を用いて説明をすること
苦情等への対応届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問い合せについては、適切かつ迅速にこれに対応すること

周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明

住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し(外国人に対しては外国語を用いて)、書面の備付けその他の適切な方法により以下のことを説明する必要があります。これらの必要事項については、宿泊者が届出住宅に宿泊している間に、対面、必要事項が記載された書面を宿泊者の目につきやすい場所に備え付ける方法又はタブレット端末で表示する方法等により説明を行います。また、説明が確実になされるよう、居室内に電話を備え付けること等により、事前説明に応じない宿泊者に対して注意喚起をできるような措置を講ずる必要があります。

  • 騒音の防止のために配慮すべき事項
  • ごみの処理に関し配慮すべき事項
  • 火災の防止のために配慮すべき事項
  • その他届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項

これらの事項については、住宅宿泊事業の届出前に、事前説明会を開催して周辺の住民に対しても説明を行う必要があります。

なお、条例には、多くの自治体とは異なり説明会の開催時期や説明すべき周辺住民の範囲についての定めはありませんが、できる限り広範囲の住民に対して説明がなされるよう奨励されており、あまりに狭い範囲であるときは、追加で説明会を開催するよう求められることがあります。

騒音の防止のために配慮すべき事項

騒音を防止するため、宿泊者に対しては、大声での会話を控えること、深夜に窓を閉めること、バルコニー等屋外での宴会を開かないこと、届出住宅内は楽器を使用しないこと、スーツケースを引く音への配慮等について充分に説明を行い、周辺住民に対しては、そのために講ずる措置について説明を行う必要があります。

ごみの処理に関し配慮すべき事項

事業者は、宿泊者に対し、宿泊者が届出住宅内で排出したごみについて、神戸市における廃棄物の分別方法等に沿って、指定した方法(届出住宅内の適切な場所にごみを捨てること等を含む)により捨てるべきであること等を説明し、周辺住民に対しては、そのために講ずる措置について説明を行う必要があります。

また、実際に民泊から発生したごみは、住宅宿泊事業者が責任をもって処理しなければならない事業系ごみ(事業系一般廃棄物)として取り扱われるため、「事業系ごみ指定袋」に入れ、神戸市の許可業者へ収集・運搬を委託してください。家庭ごみ用のクリーンステーションに出すと不法投棄となり、5年以下の拘禁刑もしくは 1,000万円以下の罰金又はその両方が科されることがあります。

問い合せ先環境局業務課(総務排出指導担当)
TEL:078-595-6184

火災の防止のために配慮すべき事項

事業者は、宿泊者に対し、届出住宅及びその周辺地域の生活環境に応じ、ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法及びその際の注意事項、初期消火のための消火器の使用方法並びに火災等発生時の避難経路や通報措置等を説明し、周辺住民に対しては、そのために講ずる措置について説明を行う必要があります。

その他配慮すべき事項

性風俗サービスを届出住宅内で利用しないこと等、過去の苦情内容を踏まえ、届出住宅の利用にあたって、特に注意すべき事項を説明する必要があります。

説明会に関する手続き

事業開始までの流れはおおむね下図のとおりであり、周辺住民に対する事前説明会は、住宅宿泊事業の開始届に先立って実施する必要があります。

事業開始までの流れ

周知行為は、まず周辺住民に対して事前説明会のお知らせを配布することから始めます。

事前説明会のお知らせ

事前説明会のお知らせには、説明すべき必要事項を添付して配布します。

住宅宿泊事業の実施内容について

周知行為の内容や受け付けた意見及びその対応方法については、届出の際に報告書としてまとめ、これを提出する必要があります。

周知行為の実施状況等の報告書

事前説明については、必ずしも同意を必要とするものではありませんが、周辺住民から受け付けた意見等に対しては、誠実に対応することが求められています。

苦情等への対応

事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問い合わせについては、以下の事項に留意し、適切かつ迅速に対応する必要があります。なお、苦情が多発しているにもかかわらず、法第9条の説明(周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明)において何ら対応を講じない場合には、業務改善命令の対象となります。

  • 深夜早朝を問わず、常時、応答又は電話によりすみやかに対応すること
  • 宿泊者が滞在していない間も、苦情及び問合せについては対応すること
  • 回答を一時的に保留する場合であっても、相手方に回答期日を明示した上で後日回答する等の配慮をする等誠実に対応すること
  • 滞在中の宿泊者の行為により苦情が発生している場合において、宿泊者に対して注意等を行っても改善がなされないような場合には、現場に急行して退室を求める等、必要な対応を行うこと
  • 住宅宿泊管理業者が退室を求める場合には、宿泊契約の解除の権限をあらかじめ委託者から得ておくこと
  • 苦情及び問合せが、緊急の対応を要する場合には、必要に応じて、警察署、消防署、医療機関等の然るべき機関に連絡したのち、自らも現場に急行して対応すること

住宅宿泊事業届出サポート

民泊が一時流行したときに民泊事業をはじめた方の中には、「こんなはずじゃなかった」と言って事業の転換を図ろうとされる方もいらっしゃいますが、現在は状況が好転し、新たに民泊をはじめたいというご相談が増えています。

他方、民泊の運営については周辺からの苦情が多く、各自治体においては規制を強化すべきとの声が大きくなっているという現実があります。

一見すると、お手軽に見える民泊事業ですが、事業計画を甘く見積もると、事業として苦戦を強いられることは否めません。また、知識や人手の不足のために、宿泊客や周辺住民との間でトラブルを生じるケースも珍しくはありません。

コロナ禍を経て、観光業そのものに求められるニーズが変化しつつある現在、今いちどしっかりとした事業計画を立て直し、「おもてなし」の精神に基づいたサービスを提供していくことが民泊復活の鍵であるように思います。

弊所では、関西圏全域において民泊に関する手続きの代行を承っております。面倒な事前調査や保健所との事前協議から、書類作成、届出の代行及び現地調査に至るまで、しっかりまるっとサポートいたします。また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。その他住宅宿泊管理会社を紹介することも可能です。

神戸市における民泊開業の手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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