大阪における建築物飲料水貯水槽清掃業の登録申請について

建築物における衛生的環境の確保に関する法律(以下、建築物衛生法)では、建築物の環境衛生面での管理を業として営んでいるものであってその設備機器及び従事者等が一定の基準に適合するものについて、事業の種別及び営業所ごとに知事の登録を受けることができるという制度を設けています。
登録を受けた者以外の者は登録を受けた旨の表示をすることはできませんが、業務を開始するための必須条件ではなく、登録自体はあくまでも任意の制度となっています。
海外から技能実習生を受け入れる際の必須条件になっている等登録をすることよるメリットが多岐にわたるため、弊所でも相談件数が増加傾向にある手続きですが、登録を行う機関が都道府県知事であることから必然的に手続方法は各都道府県ごとに異なります。
そこで本稿では、建築物衛生管理業のうち建築物飲料水貯水槽清掃業に係る登録制度の概要及び大阪府における申請方法について詳しく解説していきたいと思います。
目 次
登録制度の概要
冒頭でお伝えしたとおり、登録は事業者が建築物の維持管理に関する業務を行うことの開始条件ではないため、登録を受けない事業者であっても建築物飲料水貯水槽清掃業を行うことに何ら制限はありません。
他方、登録を受けていない同業他社との差別化に資するほか、海外から技能実習生や特定技能外国人を受け入れることが可能となったり公共事業の入札に参加できる等のメリットを享受することができます。
登録を受けようとするときは、後述する基準をすべて満たした上で、建築物飲料水貯水槽清掃業を行う営業所ごとに、営業所の所在地を管轄する都道府県知事に対し、必要書類を提出して申請を行います。
実際の担当窓口は都道府県の担当課になりますが、保健所を設置する政令指定都市(大阪市及び堺市)や中核市(豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、八尾市、寝屋川市及び東大阪市)では、市の保健所が申請窓口となります。(詳細は後述)
登録の有効期間は6年間ですが、6年を超えて登録事業者である旨の表示をしようとする場合には、有効期間満了日の1ヶ月前までに新たに申請を行い、改めて登録を受ける必要があります。
登録業種区分
建築物衛生管理業の登録は、下表の事業区分に応じ、その営業所ごとに営業所の所在地を管轄する都道府県知事が行います。このうち建築物飲料水貯水槽清掃業は建築物の飲料水貯水槽(受水槽、高置水槽等)の清掃を行う事業区分です。
各事業の登録はそれぞれ独立して別個に受けるものであり、たとえば建築物清掃業者として登録を受けている場合であっても建築物飲料水貯水槽清掃業者として登録を受けていない場合は建築物飲料水貯水槽清掃業である旨の表示をすることはできません。
| 1号 | 建築物清掃業 | 建築物内の清掃を行う事業(建築物の外壁や窓の清掃、給排水設備のみの清掃を行う事業は含まない。) | 詳細はこちら |
| 2号 | 建築物空気環境測定業 | 建築物内の空気環境(温度、湿度、浮遊粉じん量、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、気流)の測定を行う事業 | 詳細はこちら |
| 3号 | 建築物空気調和用ダクト清掃業 | 建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業 | 詳細はこちら |
| 4号 | 建築物飲料水水質検査業 | 建築物における飲料水について、「水質基準に関する省令」の表の下欄に掲げる方法により水質検査を行う事業 | 詳細はこちら |
| 5号 | 建築物飲料水貯水槽清掃業 | 建築物の飲料水貯水槽(受水槽、高置水槽等)の清掃を行う事業 | 詳細はこちら |
| 6号 | 建築物排水管清掃業 | 建築物の排水管の清掃を行う事業 | 詳細はこちら |
| 7号 | 建築物ねずみ昆虫等防除業 | 建築物内において、ねずみ昆虫等、人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物の防除を行う事業 | 詳細はこちら |
| 8号 | 建築物環境衛生総合管理業 | 建築物における清掃、空気調和設備及び機械換気設備の運転、日常的な点検及び補修(以下「運転等」という。)並びに空気環境の測定、給水及び排水に関する設備の運転等並びに給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の検査並びに給水栓における水の色、濁り、臭い及び味の検査であって、特定建築物の衛生的環境の維持管理に必要な程度のものを併せ行う事業 | 詳細はこちら |
登録の基準
登録を受けるためには、モノに関する基準(物的基準)、ヒトに関する基準(人的基準)及びその他の基準(清掃作業及び清掃用機械器具の維持管理の方法等に係る基準)すべてを満たす必要があります。
★登録のための3基準
- 機械器具その他の設備に関する基準(物的基準)
- 事業に従事する者の資格に関する基準(人的基準)
- その他作業方法や機械器具の維持管理方法などに関する基準
人的基準
建築物飲料水貯水槽清掃業の登録を受けようとする事業者は、貯水槽清掃作業監督者講習会を修了した者又は建築物環境衛生管理技術者の免状を有する者(建築物環境衛生管理技術者の免状を有する者が再登録時に引き続き実施者となる場合は再講習会を修了しておくこと)に貯水槽等の清掃作業を監督させる必要があります。
貯水槽清掃作業監督者の選任が建築物飲料水貯水槽清掃業の登録を目指す上で最大のハードルであることは間違いなく、まずは資格者を確保することがスタートラインです。
また、貯水槽等の清掃作業に従事する者についても、社内研修又は登録団体が実施する研修を受講することが義務付けられています。ただし、新規登録申請の場合は、研修計画を提出すれば足ります。
なお、再登録の際に人的要件に係る資格要件に該当する者は、資格有効期間内に厚生労働大臣登録の再講習を受講しておく必要があります。
物的基準
建築物清掃業の登録を受けようとする事業者は、①揚水ポンプ、②高圧洗浄機、③残水処理機、④換気ファン、⑤防水型照明器具 、⑥色度計、濁度計及び残留塩素測定器を保有することが求められます。
これらの機材は必ずしも自己所有である必要はありませんが、申請の際には使用権限を有することを証明する資料として納品書のコピーやリース契約書等を添付するよう求められます。
納品書等を紛失した場合であっても弊所では対応可能です。ご遠慮なくご相談ください。
また、これらの機械器具については、適切に保管することのできる専用の保管庫であって以下の基準を満たすものを有することが求められます。
- 機械器具に雨水等がかかるおそれのない構造であること
- 機械器具を置く棚、箱などは水切り、水抜きが簡単にでき、水が溜まらない構造であること
- 機械器具を保管するのに適切な規模であること
- 他の用途に用いる機械器具類も併せて保管している倉庫の一部が保管庫となっているような場合には、貯水槽清掃作業に用いる機械器具を保管する場所が独立して設けられており、他のものと誤用するおそれがないようになっていること
- 保管庫は施錠でき、みだりに機械器具を持ち出せないようになっていること
なお、原則として自動車を保管庫とすることはできませんが、作業件数が極めて多く、その都度機械器具の積み降ろしをすることが繁雑な場合には、以下の要件をすべて満たしている場合に限りこれが認められます。
- 機械器具に雨水等がかかるおそれのない構造であること
- 機械器具を置く棚、箱などは水切り、水抜きが簡単にでき、水が溜まらない構造であること
- 機械器具を保管するのに適切な規模であること
- 自動車は貯水槽清掃作業専用であって、他の用途には用いないこと
- 自動車を適切に保管できる車庫(施錠でき、屋根、壁、シャッターなどで囲まれ、みだりに人が出入りすることができない構造のもの)を有すること
- 冬季等長期にわたって作業のない時期に機械器具を自動車から降ろす場合には、別途専用の保管場所が用意されていること
その他の基準
ここまで説明した人的基準と物的基準以外でも、作業方法や機械器具の維持管理方法等について以下の基準が設けられています。
- 受水槽の清掃を行った後、高置水槽、圧力水槽等の清掃を行うこと
- 貯水槽(貯湯槽を含む)内の沈でん物質及び浮遊物質並びに壁面等に付着した物質を洗浄等により除去し、洗浄を行った場合は、用いた水を完全に排除するとともに、貯水槽周辺の清掃を行うこと
- 貯水槽の清掃終了後、塩素剤を用いて2回以上貯水槽内の消毒を行い、消毒終了後は、消毒に用いた塩素剤を完全に排除するとともに、貯水槽内に立ち入らないこと
- 貯水槽の水張り終了後、給水栓及び貯水槽内における水について、下表の事項について検査を行い、それぞれ設けられた基準を満たしていることを確認すること
- 上記の基準を満たしていない場合は、その原因を調査し、必要な措置を講ずること
- 貯水槽の清掃作業に用いる機械器具その他の設備について、定期に点検し、必要に応じ、整備又は修理を行うこと
| 残留塩素の含有率 | 遊離残留塩素の場合は100万分の0.2以上、結合残留塩素の場合は100万分の1.5以上 |
| 色度 | 5度以下であること |
| 濁度 | 2度以下であること |
| 臭気 | 異常でないこと |
| 味 | 異常でないこと |
登録申請の方法
申請者は以下の書類に手数料35,000円を添えて営業所所在地を所管する保健所等へ申請します。
登録申請書等は大阪府インターネットホームページ(外部サイト)から取得することができます。
- 登録申請書(様式4号)(正本1部、写し1部)
- 監督者名簿
- 人的要件の資格に関する証明書(原本と写し2部)
- 研修実施状況又は研修計画
- 作業実施方法等
- 設備機器名簿(種別ごとに機器を特定できるよう型式を記入)
- 保管庫の図面
登録証明書は原則として登録申請書提出窓口での交付とされていますが、郵送を希望する場合、申請書提出時に登録証明書郵送用のレターパックプラス等(宛先記入済みのものに限る)を提出することで郵送により交付することも可能です。
申請手数料
申請手数料の納付は、①納付書を使用しての府指定金融機関等での納付、②連絡票を使用しての府庁舎(府庁本館、府庁別館、咲洲庁舎)に設置する手数料納付窓口での納付、③大阪府コンビニ納付サービスを使用してのコンビニでの納付【別途取扱手数料(税込み198円/件)が必要】 のいずれかの方法を選択して行います。
申請窓口
申請窓口は、営業所の所在地に応じて下表の保健所の衛生課等となります。
| 大阪市保健所環境衛生監視課 | 〒541-0055 大阪市中央区船場中央1-3-2-224船場センタービル2号館 2階 06-6647-0776 | 大阪市 |
| 堺市保健所生活衛生課 | 〒590-0078 堺市堺区南瓦町3-1 市役所本館6階 072-222-9940 | 堺市 |
| 豊中市保健所保健安全課 | 〒561-0881 豊中市中桜塚4-11-1 06-6152-7321 | 豊中市 |
| 吹田市保健所環境衛生管理課 | 〒564-0072 吹田市出口町19-3 06-6339-2226 | 吹田市 |
| 高槻市保健所保健衛生課 | 〒569-0052 高槻市城東町5-7 072-661-9331 | 高槻市 |
| 枚方市保健所保健衛生課 | 〒573-1197 枚方市禁野本町2-13-13 072-807-7624 | 枚方市 |
| 八尾市保健所保健衛生課 | 〒581-0006 八尾市清水町1-2-5 072-994-6643 | 八尾市 |
| 寝屋川市保健所保健衛生課 | 〒572-0838 寝屋川市八坂町28-3 072-829-7721 | 寝屋川市 |
| 東大阪市保健所環境薬務課 | 〒578-0941 東大阪市岩田町4-3-22-500希来里施設棟5階 072-960-3804 | 東大阪市 |
| 池田保健所保健衛生課 | 〒563-0041 池田市満寿美町3-19 072-751-3195 | 池田市、箕面市、豊能町、能勢町 |
| 茨木保健所保健衛生課 | 〒567-8525 茨木市大住町8-11 072-620-6706 | 茨木市、摂津市、島本町 |
| 守口保健所保健衛生課 | 〒570-0083 守口市京阪本通2-5-5(守口市役所内) 06-6993-313 | 守口市、門真市 |
| 四條畷保健所保健衛生課 | 〒575-0034 四條畷市江瀬美町1-16 072-878-4480 | 大東市、四條畷市、交野市 |
| 藤井寺保健所保健衛生課 | 〒583-0024 藤井寺市藤井寺1-8-36 072-952-6165 | 柏原市、松原市、羽曳野市、藤井寺市 |
| 富田林保健所保健衛生課 | 〒584-0031 富田林市寿町3-1-35 0721-23-2682 | 富田林市、河内長野市、大阪狭山市、太子町、河南町、千早赤阪村 |
| 和泉保健所保健衛生課 | 〒594-0071 和泉市府中町6-12-3 0725-41-1382 | 和泉市、泉大津市、高石市、忠岡町 |
| 岸和田保健所保健衛生課 | 〒596-0076 岸和田市野田町3-13-1 072-422-568 | 岸和田市、貝塚市 |
| 泉佐野保健所保健衛生課 | 〒598-0001 泉佐野市上瓦屋583-1 072-462-7982 | 泉佐野市、泉南市、阪南市、熊取町、田尻町、岬町 |
変更・廃止・書換え・再交付
登録業者は、登録事項に変更があったとき、又は事業を廃止したときは、当該事項が発生した日から30日以内に、その旨を知事に届け出る必要があります。また、登録証明書の内容に変更が生じた場合や紛失した場合は、登録証明書の書き換え交付又は再交付を受けることができます。
なお、営業所の移転により所管保健所が変わる場合は、移転先の地域を所管する保健所で手続きを行います。
| 変更事項 | 添付書類等 |
|---|---|
事業者名、事業者の住所、営業所名、営業所の所在地、代表者氏名、代表者の住所営業所の責任者の氏名 | 営業所が移転した場合は、付近見取図(水質検査室、保管庫の変更事項についても併せて添付すること) 法人で変更がある際は、その継続性を履歴事項全部証明書等で確認する場合もあります。 |
| 登録の基準に係る主要な機械器具等 | 機器の名称、型式、数量、購入年月日を記載した書類 |
| 飲料水水質検査業における水質検査室 | 設置場所、構造及び機器の配置を明らかにする図面 |
| 飲料水貯水槽清掃業、排水管清掃業、ねずみ昆虫等防除業における保管庫 | 設置場所、構造及び保管状態を明らかにする図面 |
| 各種監督者、実施者及び統括管理者 | 有資格者であることを証する書類(原本及び写し2部) |
| 設備の維持管理の方法等 | 作業手順又は機械器具の維持管理方法を明らかにした書類 |
建築物飲料水貯水槽清掃業登録申請サポート
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