建築物空気調和用ダクト清掃業の登録基準と申請方法について

空調ダクト

空調ダクトとは、おもにオフィスビルや大規模な商業施設の内外に設置される管(道)を通して、建物内の空気量や室温などをコントロールするための設備です。

建築物空気調和用ダクト清掃業とは、この空調ダクトの清掃を行う事業のことを指し、建築物衛生管理業8業種のうちでは、3号業務に区分されています。

建築物衛生管理業における事業登録制度の全体像については下のリンク先記事に解説を委ねることにして、本稿では3号業務である建築物空気調和用ダクト清掃業の登録を受けるために必要となる基準や書類作成上のポイントについて解説していきたいと思います。

建築物空気調和用ダクト清掃業とは

1号建築物清掃業建築物内の清掃を行う事業(建築物の外壁や窓の清掃、給排水設備のみの清掃を行う事業は含まない。)
2号建築物空気環境測定業建築物内の空気環境(温度、湿度、浮遊粉じん量、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、気流)の測定を行う事業
3号建築物空気調和用ダクト清掃業建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業
4号建築物飲料水水質検査業建築物における飲料水について、「水質基準に関する省令」の表の下欄に掲げる方法により水質検査を行う事業
5号建築物飲料水貯水槽清掃業建築物の飲料水貯水槽(受水槽、高置水槽等)の清掃を行う事業
6号建築物排水管清掃業建築物の排水管の清掃を行う事業
7号建築物ねずみ昆虫等防除業建築物内において、ねずみ昆虫等、人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物の防除を行う事業
8号建築物環境衛生総合管理業建築物における清掃、空気調和設備及び機械換気設備の運転、日常的な点検及び補修(以下「運転等」という。)並びに空気環境の測定、給水及び排水に関する設備の運転等並びに給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の検査並びに給水栓における水の色、濁り、臭い及び味の検査であって、特定建築物の衛生的環境の維持管理に必要な程度のものを併せ行う事業

上に掲げた建築物衛生管理業8業種のうち、建築物空気調和用ダクト清掃業とは、建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業を言います。単に建物内の清掃を行う事業は、建築物清掃業(1号業務)に該当します。

建築物空気調和用ダクト清掃業の登録

建築物空気調和用ダクトのうち、後述する基準をすべて満たす事業者は、都道府県知事に対して申請を行うことによって、その登録を受けることができます。

この登録は建築物空気調和用ダクト清掃業を開始するための要件ではありませんが、特定建築物のダクト清掃を受注できたり、公共事業の入札参加資格を獲得できたりといったメリットを享受することができるようになります。

登録の基準

登録は、その営業所ごとに、営業所の所在地を管轄する都道府県知事が行います。登録を受けるためには、登録を受けようとする営業所について、以下の基準をすべて満たすことが求められます。

  • 電気ドリル及びシャー又はニブラ(ダクトを構成する部材を開口し、切断できるもの)、内視鏡(写真を撮影することができるもの)、電子てんびん又は化学天びん(1mg以上の分解能を有するもの)、コンプレッサー、集じん機、真空掃除機を有すること
  • 営業所ごとに1名以上の空気調和用ダクト清掃作業監督者が配置されていること
  • ダクト清掃作業に従事する者が、次の要件に該当する研修を修了したものであること
    • 研修はダクト清掃作業に従事する者のすべてが受講できるものであること
    • 登録を受けようとする者又は厚生労働大臣の登録を受けた者が、実施主体となって定期的に行われる研修であること
    • 空気調和用ダクトの清掃作業に用いる機械器具の使用方法並びに空気調和用ダクトの清掃作業の安全及び衛生に関する研修であること
    • 研修の指導にあたる者は、指導するのに適当と認められる者(ダクト清掃作業監督者又は建築物環境衛生管理技術者等)であること
  • 空気調和用ダクトの清掃作業及び空気調和用ダクトの清掃作業に用いる機械器具その他の設備の維持管理の方法が、厚生労働大臣が定める基準に適合していること

空気調和用ダクト清掃作業監督者

空気調和用ダクト清掃作業監督者は、上のフローを経て空気調和用ダクト清掃作業監督者講習を修了した国家資格者です。また、建築物環境衛生管理技術者の免状の交付を受けた者を空気調和用ダクト清掃作業監督者とすることもできますが、事業登録の有効期間経過後、引き続き空気調和用ダクト清掃作業監督者として再登録を受けようとする場合は、再講習の課程を修了し、その修了した日から6年を経過していない者でなければなりません。

空気調和用ダクト清掃作業監督者は、登録しようとする営業所について、1名以上配置する必要がありますが、1人の空気調和用ダクト清掃作業監督者を2以上の営業所又は業務の監督者等とすることや、特定建築物における建築物環境衛生管理技術者との兼務は認められていません。

維持管理の方法の基準

  • ダクトの配管系統、寸法、形状及び材質を図面等により確認するほか、清掃を行おうとする日の建築物の使用状況及びダクトの運転状況を考慮した適切な方法により行うこと
  • 清掃に使用する資機材の搬入時及び清掃時における天井、壁及び床並びに室内における備品等の汚損を防止するため、必要な場所にフィルムシートによる養生等を行うこと
  • 清掃の前後において、ダクト内部の粉じんの堆積状況等を内視鏡により点検するとともに、堆積している粉じんの量を測定して清掃の効果を確認すること
  • 清掃後、送風機を試運転し、ダクト内部に残留した粉じんが室内に流入しないことを確認すること
  • 粉じんの室内への流入が認められる場合は、再度清掃を行う等必要な措置を講ずること
  • 空気調和用ダクトの清掃作業に用いる機械器具その他の設備について、定期に点検し、必要に応じ、整備又は修理を行うこと

必要となる書類

  • 登録申請書(WARD:46KB)
  • 付近見取図、施設平面図等
  • 設備・機器名簿
  • 監督者等名簿
  • 研修実施状況(計画)
  • 作業実施方法等
  • 登記簿謄本(法人)
  • 機械器具の写真
  • 内視鏡とカメラを接続した写真、カタログなど、内視鏡が写真撮影可能であることが確認できるもの
  • 機械器具等の納品書、リース契約書など、登録しようとする営業所にて所有、占有していることを証する書類
  • 空気調和用ダクト清掃作業監督者(再)講習会修了証書の写し及び原本(原本照合のため)
  • 空気調和用ダクト清掃作業監督者の健康保険証の写し又は従事証明書(雇用されていることが証明できるもの)
  • 建築物環境衛生管理技術者の免状の写し等、研修の指導にあたる者が、指導者として適当であることを証する書類(登録を受けようとするダクト清掃作業監督者が研修を行う場合)
  • 厚生労働大臣の登録を受けた者が実施主体となって行う従事者研修を受講した場合は、修了証書の写し
  • 登録手数料35,000円〈都道府県収入証紙〉

また、登録期間中に登録申請事項に変更が生じた場合には、変更があった日から30日以内に変更の届出を行う必要があります。

書類作成のポイント

登録申請書

法人の場合、登録申請書の氏名欄には、登記簿に記載されている名称及び代表者氏名に加え、代表者住所を漏れなく記入します。

付近見取図、施設平面図等

営業所の所在地がわかる付近見取図と、事務所及び保管場所を記載した施設平面図を添付します。

設備・機器名簿

  • 機械器具等は営業所ごとに所有、占有されていること
  • 登録要件である機械器具等の名称をすべて記載し、すべての写真を添付すること
  • 型式の欄には、製造会社名と型式の両方が記載され、添付する写真で確認できること
  • 購入年月日欄には、納品書等の日にちが記入され、納品書等の写しが添付されていること

監督者等名簿

  • ダクト清掃作業監督者は、2以上の営業所又は業務の監督者等として登録されていないこと
  • ダクト清掃作業監督者は、特定建築物における建築物環境衛生管理技術者を兼務していないこと

研修実施状況(計画)

研修は、清掃作業監督者又は清掃作業監督者と同等以上の知識、技能を有する者(建築物環境衛生管理技術者等)が、1年に1回以上、ダクト清掃作業に従事する者すべてを対象にして、空気調和用ダクトの清掃作業に用いる機械器具の使用方法並びに空気調和用ダクトの清掃作業の安全及び衛生について指導を行うものです。

日にちは分けて実施しても構いません。研修の時間数については、おおむね7時間とされています。

新規登録の場合は過去1年間、再登録の場合は過去6年間の研修実績を、今後1年間の研修計画とともに記載します。なお、研修計画の参加従事者数については記載する必要はありません。

作業実施方法等

  • 同一の監督者が2以上の班を編成していることがないようにすること
  • 告示に定める基準に合致する作業及び機械器具等の維持管理の方法を記入すること
  • 告示に定める基準に次の内容を含ませること
    • 作業工程(ダクト清掃の効果の確認方法に関する事項を含む。)
    • 機械器具等の点検の方法
    • ダクト清掃に伴って排出されるごみの処理方法
    • 作業報告作成の手順・記入する内容(作業報告書の添付に替えることも可能。)
  • 点検等の定期的に行われなければならない項目については、明確に実施回数を記載すること(例 : ○月に○回以上)
  • 空気調和用ダクトの清掃作業及び空気調和用ダクトの清掃作業に用いる機械器具その他の設備の維持管理は、原則として自ら実施すること
  • 業務委託の有無を○で囲むこと
  • やむを得ず業務を委託する場合は、以下の内容を記入すること
    • 委託を受ける者の氏名(法人は名称)、委託する業務の範囲及び業務を委託する期間を建築物維持管理権原者に通知するとともに、受託者から業務の実施状況について報告を受けること等により、受託者の業務の方法が告示に定める基準に掲げる要件を満たしていることを常時把握すること
    • 委託を受ける者の氏名(法人は名称)
    • 委託する業務の範囲
    • 受託者の業務の方法が、告示に定める基準に掲げる要件を満たしていることを把握する方法
  • やむを得ず業務を委託する場合で、委託先が建築物衛生管理業の登録を受けている場合は、登録番号を記入し、登録証明書の写しを添付すること
  • やむを得ず業務を委託する場合で、委託先が登録を受けていない場合は、業務が正しく行われていることを把握するために、委託先にも「設備・機械名簿」「監督者等名簿」「監督者としての資格を証明するもの」「研修実施状況(計画)」「作業実施方法等」の必要書類を提出してもらい、それらを添付すること
  • 建築物維持管理権原者又は建築物環境衛生管理技術者からの空気調和用ダクトの清掃作業及び空気調和用ダクトの清掃作業に用いる機械器具その他の設備の維持管理に係る苦情及び緊急の連絡に対して、迅速に対応できる体制を整備しておくこと
  • 緊急連絡先の24時間対応可能な電話番号を記入し、24時間対応可能である旨についても明記すること

まとめ

コロナ禍においては、換気の重要性が改めて世に示されることとなりました。建物内における空気循環の要を担う空調ダクトの清掃業者に対する潜在的な需要も、今後はますます高まっていくのではないでしょうか。

登録は任意ですが、対外的に明確な信用力の向上につながるため、組織のブランディングに貢献する制度であるといえます。登録を検討する場合、複雑な手続きは専門家に任せ、自社においては本業に注力することをお薦めしています。

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