建築物空気環境測定業の登録│登録基準・空気環境測定実施者の要件と測定方法を行政書士が解説

建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)では、多数の人が利用する一定規模以上の建築物を特定建築物とし、その所有者や管理者に対して、空気環境を2か月以内ごとに1回測定し、建築物環境衛生管理基準に適合するよう維持管理することを求めています。管理基準に適合せず、衛生上の問題が生じている場合は、都道府県知事から改善命令や使用停止の処分を受けることもあるため、多くの特定建築物では、空気環境の測定を専門の測定業者に委託しています。
この空気環境の測定を行う建築物空気環境測定業は、建築物衛生法が定める建築物衛生管理業の8つの業種のうち2号業務に当たり、一定の基準を満たすことで都道府県知事の登録を受けることができます。本稿では、2号業務である建築物空気環境測定業について、登録の基準と空気環境測定実施者の要件、測定項目と測定方法、申請に必要となる書類と作成時の注意点を紹介します。
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建築物空気環境測定業とは
建築物衛生法では、建築物衛生管理業を次の8つの業種に区分しており、このうち建築物空気環境測定業は、建築物内の空気環境、すなわち温度、湿度、浮遊粉じん量、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、気流の測定を行う事業をいいます。
8業種(下表)ある建築物衛生管理業のうちでは「2号業務」に該当し、他の業種と同様、特に手続きを経ることなく営業を開始することができますが、後述する基準をすべて満たす事業者は、申請することにより、都道府県知事の登録を受けることができます。
| 号 | 業種 | 内容 |
|---|---|---|
| 1号 | 建築物清掃業 | 建築物内の清掃を行う事業(建築物の外壁や窓の清掃、給排水設備のみの清掃を行う事業は含まない。) |
| 2号 | 建築物空気環境測定業 | 建築物内の空気環境(温度、湿度、浮遊粉じん量、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、気流)の測定を行う事業 |
| 3号 | 建築物空気調和用ダクト清掃業 | 建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業 |
| 4号 | 建築物飲料水水質検査業 | 建築物における飲料水について、「水質基準に関する省令」の表の下欄に掲げる方法により水質検査を行う事業 |
| 5号 | 建築物飲料水貯水槽清掃業 | 建築物の飲料水貯水槽(受水槽、高置水槽等)の清掃を行う事業 |
| 6号 | 建築物排水管清掃業 | 建築物の排水管の清掃を行う事業 |
| 7号 | 建築物ねずみ昆虫等防除業 | 建築物内において、ねずみ昆虫等、人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物の防除を行う事業 |
| 8号 | 建築物環境衛生総合管理業 | 建築物における清掃、空気調和設備及び機械換気設備の運転、日常的な点検及び補修(以下「運転等」という。)並びに空気環境の測定、給水及び排水に関する設備の運転等並びに給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の検査並びに給水栓における水の色、濁り、臭い及び味の検査であって、特定建築物の衛生的環境の維持管理に必要な程度のものを併せ行う事業 |
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建築物空気環境測定業の登録
建築物空気環境測定業を営む事業者のうち、後述する基準をすべて満たす事業者は、都道府県知事に申請することで登録を受けることができます。登録の有効期間は6年で、6年を超えて登録業者の表示を続ける場合は、改めて登録(再登録)を受けることになります。
この登録は空気環境測定業を始めるための要件ではないため、登録を受けていなくても空気環境の測定を請け負うことはできます。ただし、「登録建築物空気環境測定業」の表示を使えるのは登録を受けた事業者に限られるため、対外的な信用が高まり、特定建築物の空気環境測定の委託先として選ばれやすくなるほか、公共施設の測定業務の入札で参加資格を得られるといったメリットがあります。空気環境測定業の登録業者は他の業種と比べて少なく、登録を受けることが他社との差別化にもつながります。
なお、登録の後に登録事項に変更が生じた場合は、変更があった日から30日以内に変更の届出を行う必要があります。
登録の基準
登録は営業所ごとに、営業所の所在地を管轄する都道府県知事が行いますが、登録を受けようとするときは、登録を受けようとする営業所について次の基準をすべて満たす必要があります。
- 次の機械器具を有すること
- 浮遊粉じん量測定器(1年以内ごとに較正を受けたもの)
- 一酸化炭素検定器
- 二酸化炭素検定器
- 温度計(0.5度目盛)
- 乾湿球湿度計(0.5度目盛)
- 風速計(毎秒0.2m以上の気流を測定できるもの)
- 測定器を固定するためのスタンドその他空気環境の測定に必要な器具
- 営業所ごとに1名以上の空気環境測定実施者が配置されていること
- 空気環境の測定と機械器具の維持管理の方法が、厚生労働大臣が定める基準に適合していること(後述)
機械器具は原則として事業者が所有している必要があり、同じ機械器具を2つ以上の営業所や他の業種の登録に充てることはできません。東京都のように借入れを原則として認めていない都道府県もあるため、リースやレンタルの機械器具で申請する場合は、事前に担当窓口に確認しておくことが大切です。なお、空気環境測定業には、他の業種のような従事者研修の要件は設けられていません。
空気環境測定実施者
空気環境測定実施者は、建築物空気環境測定業の登録を受けるために営業所ごとに1名以上配置することが求められる、空気環境の測定の責任者です。公益財団法人日本建築衛生管理教育センターが実施する空気環境測定実施者講習(再講習を含む)を修了し、修了から6年以内の者のうちから選任し、引き続き実施者を務めるには6年ごとに再講習を受ける必要があります。
建築物環境衛生管理技術者の免状を持つ者も実施者になることができますが、その免状で過去に一度も空気環境測定実施者として登録されたことがない者に限られます。そのため、免状保有者を実施者として登録できるのは初回の登録の際だけで、6年後の再登録までには講習を修了しておく必要があります。
なお、1人の空気環境測定実施者を2以上の営業所又は業務の監督者等とすることや、特定建築物における建築物環境衛生管理技術者との兼務は認められていません。

維持管理の方法の基準
空気環境の測定と機械器具の維持管理の方法は、厚生労働省告示第117号「清掃作業及び清掃用機械器具の維持管理の方法等に係る基準」において、次の基準が定められています。
- 空気環境の測定は、建築物衛生法施行規則第3条の2に定める方法に準じて行うこと
- 空気環境の測定結果を5年間保存すること
- 測定器を定期に点検し、必要に応じて較正、整備、修理を行い、点検の記録を測定器ごとに整理して保管すること
- 測定は原則として自ら実施し、やむを得ず業務を委託する場合は、受託者の氏名、委託する業務の範囲、委託の期間をあらかじめ建築物の維持管理権原者に通知したうえで、受託者から業務の実施状況の報告を受け、受託者の測定方法が基準を満たしていることを常に把握すること
- 建築物の維持管理権原者や建築物環境衛生管理技術者からの苦情と緊急の連絡に、迅速に対応できる体制を整えておくこと
測定項目と測定方法
施行規則に定める測定は、特定建築物の通常の使用時間中に、各階ごとに居室の中央部の床上75cm以上150cm以下の位置で行います。測定項目ごとの測定器と、特定建築物の管理基準値は次のとおりです。
| 測定項目 | 測定器・測定方法 | 管理基準値 |
|---|---|---|
| 浮遊粉じんの量 | グラスファイバーろ紙(0.3μmのステアリン酸粒子を99.9%以上捕集するもの)を装着して、相対沈降径がおおむね10μm以下の粉じんを重量法で測定する機器、または厚生労働大臣の登録を受けた者が1年以内ごとに較正した機器 | 0.15mg/m³以下 |
| 一酸化炭素の含有率 | 検知管方式による一酸化炭素検定器 | 6ppm以下 |
| 二酸化炭素の含有率 | 検知管方式による二酸化炭素検定器 | 1,000ppm以下 |
| 温度 | 0.5度目盛の温度計 | 18℃以上28℃以下(居室の温度を外気より低くする場合は、その差を著しくしないこと) |
| 相対湿度 | 0.5度目盛の乾湿球湿度計 | 40%以上70%以下 |
| 気流 | 毎秒0.2m以上の気流を測定できる風速計 | 毎秒0.5m以下 |
| ホルムアルデヒドの量 | 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン捕集―高速液体クロマトグラフ法、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール法、または厚生労働大臣が指定する測定器 | 0.1mg/m³以下 |
一酸化炭素から気流までの項目は、上記と同程度以上の性能を持つ測定器を使うこともできます。ホルムアルデヒドは、建築物の新築、増築、大規模の修繕・模様替えを行った場合に、使用を開始した日以後、最初に迎える6月1日から9月30日までの間に1回測定します。
登録申請に必要となる書類
建築物空気環境測定業の登録は都道府県知事が権限を持つ制度であるため、求められる書類は都道府県ごとに異なりますが、おおむね次の書類が必要となります。申請の窓口は都道府県や保健所が担っていることが多く、詳細は、営業所の所在地を管轄する都道府県の担当窓口に確認してください。
- 登録申請書
- 付近見取図、施設平面図
- 設備・機器名簿
- 監督者等名簿
- 作業実施方法等
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 機械器具の写真
- 機械器具の納品書の写し(借入れが認められる場合は貸出証明書やリース契約書の写し)
- 浮遊粉じん量測定器の較正済票の写し(1年以内ごとに較正を受けたことが分かるもの)
- 空気環境測定実施者(再)講習修了証書、または建築物環境衛生管理技術者免状の写し(原本照合のため原本も持参)
- 空気環境測定実施者の健康保険の資格確認書又は資格情報のお知らせの写し、若しくは従事証明書(雇用されていることが証明できるもの)
登録申請書
法人の場合、登録申請書の氏名欄には、登記事項証明書に記載されている名称と代表者の氏名に加え、代表者の住所を漏れなく記入します。
付近見取図、施設平面図
営業所の所在地が分かる付近見取図と、事務所と測定器の保管場所を記載した施設平面図を添付します。
設備・機器名簿
借入れによる占有が認められる都道府県で借入れの機械器具を記載する場合は、登録の有効期間を通じて長期的・恒常的に占有していることを証明する貸出証明書を添付します。
| 項目 | 留意点 |
|---|---|
| 機械器具等の名称 | 登録要件である機械器具等の名称をすべて記載し、すべての写真を添付すること |
| 型式の欄 | 製造会社名と型式の両方が記載され、添付する写真で確認できること |
| 購入年月日欄 | 納品書等の日付が記入され、納品書等の写しが添付されていること |
監督者等名簿
空気環境測定実施者の氏名と資格を記載し、その者が他の営業所や他の業種の監督者等として登録されていないこと、特定建築物の建築物環境衛生管理技術者を兼務していないことを確認したうえで提出します。
作業実施方法等
作業実施方法等については、以下の点に留意して作成するようにしてください。
- 同一の空気環境測定実施者が2以上の班を編成していることがないようにすること
- 告示に定める基準に合致する測定及び機械器具の維持管理の方法を記入すること
- 告示に定める基準に次の内容を含ませること
- 測定の方法(測定位置、測定時刻、測定項目ごとの測定器)
- 測定器の点検と較正の方法、記録の保管方法
- 測定結果報告書の作成手順、記入する内容、保存の方法と保存責任者の氏名
- 定期的に行う点検等の項目については、明確に実施回数を記載すること(例:○月に○回以上)
- 測定及び機械器具の維持管理は原則として自ら実施し、業務委託の有無を○で囲むこと
- やむを得ず業務を委託する場合は、委託を受ける者の氏名(法人は名称)、委託する業務の範囲、受託者の業務の方法が告示に定める基準を満たしていることを把握する方法を記入すること
- 委託先が建築物衛生管理業の登録を受けている場合は登録番号を記入して登録証明書の写しを添付し、登録を受けていない場合は、委託先の「設備・機器名簿」「監督者等名簿」「監督者としての資格を証明するもの」「作業実施方法等」を添付すること
- 建築物維持管理権原者又は建築物環境衛生管理技術者からの苦情及び緊急の連絡に迅速に対応できる体制を記載し、24時間対応可能な緊急連絡先の電話番号とともに、24時間対応可能である旨についても明記すること
まとめ
換気や室内の空気環境に対する関心が高まるなか、特定建築物に義務づけられた空気環境の測定を担う空気環境測定業の役割は、ますます大きくなっています。建築物空気環境測定業の登録は任意の制度ですが、対外的に事業者の資質や能力を証明することにつながるうえ、登録業者が少ない業種であることから、経営面においても大きなメリットのある制度です。
一方で、測定器の整備や較正、空気環境測定実施者の確保、作業実施方法等の作成と、手続きが少々複雑なのが難点です。手続きをその道の専門家に任せて、本業に注力することも選択肢としてお考えください。
弊所では、建築物空気環境測定業登録申請かのサポートを行っております。担当窓口との事前協議から、書類の作成、申請の代行、及び現地確認の立会いに至るまで、しっかりまるっとサポートいたします。さらに、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。建築物空気環境測定業登録の申請手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
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