古物商における営業所の解釈とその要件について│よくあるQ&A付で解説

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自宅でも開業できるの?
賃貸物件でも大丈夫?
インターネット取引の場合はどうするの?

古物商許可申請を行うにあたってはインターネット取引のみを取り扱う場合を含めて古物営業を行う場所を「営業所」として届け出る必要がありますが、上記はその際に申請者の皆さまからよく受ける質問内容の代表例です。

法改正により古物商の営業所に係る基準は随分とマイルドになりましたが、それでもすべての規定が排除されたわけではありません。

そこで本稿では古物商許可を申請するにあたり基礎知識として備えるべく古物商における営業所に係る基準について詳しく解説していきたいと思います。

営業所とは

営業所とは、古物の売買、交換又はレンタル等の営業行為を行う拠点となる場所をいいます。

そもそも古物営業が許可制とされいるのは、中古品の流通経路を明確にして盗品が市場に出回ることを防止するという点にあるため、流通過程においてその要となる営業所は、警察としてもしっかりと把握する必要があります。

他方、厳密には古物商の許可要件に営業所の有無は含まれておらず、営業所を「なし」として申請することも認められています。

ただし、営業所を「なし」として申請するケースはいわゆる「行商」のような営業形態であり、実務上はインターネット取引のみを行う場合を含めて営業所「あり」として申請することが一般的です。

A:インターネット取引の場合はどうするの?
Q:インターネット取引のみを行う場合であっても、使用するPCを管理する場所や古物の保管場所は「営業所」と考えられるため、その場所を営業所として申請することが一般的です。

営業所の要件

営業所を設置する場合であっても、家屋さえあればこと足りるというわけではなく、営業所として認められるためには、以下3点の基準をすべて満たすことが要求されています。

  • 一定期間の使用権原があること
  • 物件の構造が独立管理できること
  • 管理者を常駐させること

一定期間の使用権原

営業所を特定できたとしてもその場所を使用する権限が不安定であると、捜査機関から見て、古物商との連絡や指導監督に不都合が生じるおそれがあります。

そのため営業所として使用する物件について自己所有であるか賃貸物件であるかは問われませんが、一定期間(おおむね1年以上)はその物件を古物商の営業所として使用する権限を有している必要があります。

A:自宅でも開業できるの?
Q:使用権限があれば自宅開業も可能です。

かつては賃貸借契約書や使用承諾書(賃貸物件の場合)、管理組合等の同意書(集合住宅である場合)を添付するよう求められましたが、法改正により多くの警察署ではこれらの書類を添付する必要がなくなりました。

独立管理

古物商の営業所には古物台帳等を備え付ける義務があるほか、在庫管理を行ったり顧客の機密情報を取り扱うことがあるため、第三者がその内容を盗み見したり不正に盗用すること等を防止するため、営業所はその独立性を確保する必要があります。

少なくとも古物商の営業所は、個室であるか壁等によりしっかりと区切られている構造であるかのどちらかが求めらます。

A:レンタルオフィスは使用可能なの?
Q:かつてはレンタルオフィスやバーチャルオフィス、コワーキングスペース等について営業所として使用することが認められない時代がありましたが、最近はこれらの施設であっても、広く認められることが増えました。

法人申請の場合

法人(会社)で申請する場合、登記上の本店ではなく、実際に古物営業を行う場所が営業所となります。このうち申請は「主たる営業所」の所在地を管轄する警察署に対して行います。

A:本店と営業所は別でもいいの?
Q:申請するのは実際に古物営業を行う場所となるので、営業所は必ずしも本店である必要はありません。

管理者の常駐

各営業所には1名の管理者を選任して常駐させる必要があります。管理者は古物取引に関して管理、監督及び指導を行う立場であることから、遠方に居住している者や勤務地が異なる者等勤務実態がない者を選任することは認められていません。

主たる営業所

古物商における「主たる営業所」とは、複数の営業所がある場合における古物営業の中心となる営業所のことをいいます。これに対し、主たる営業所以外の場所で古物営業を行う営業所は、「従たる営業所」と呼ばれます。

古物商許可申請にあたっては、複数の営業所から「主たる営業所」を定めてこれを届け出る必要がありますが、営業所がひとつのみの場合は、その営業所が「主たる営業所」となります。

なお、「主たる営業所」の所在地を管轄する警察署(公安委員会)から既に許可を受けている場合は、その他の都道府県において新たに「従たる営業所」を設置する場合であっても新たな許可を申請する必要はなく、「従たる営業所」についての「変更届」を提出するのみでこと足ります。

警察による現地調査

現地調査とは許可申請に関する行政官庁による審査の一環として行われる営業所等に係る調査をいいますが、古物商許可申請における現地調査は「調査」というよりも「確認」に近く、担当者が自宅や営業所内に直接立ち入るといったことは稀です。

現地確認はあくまでも申請書に記載した営業所の実在性や独立性について行われるものであり、営業所内部に立ち入ってまで調査を行うかどうかについては、申請に「疑義があるかどうか」によります。

まとめ

古物商許可申請における「営業所」の一般的な判断基準について解説しましたが、最終的な判断基準は所轄警察署ごとに異なることがあるため、特に本人申請を前提とする場合は、物件をチョイスする前段階から確認を行うようにしてください。

もしも警察署とのやり取りに不安を感じるやうであれば弊所にお問い合わせいただいても構いませんし、丸投げしていただいても構いません。

何にせよ独断で判断すると後々ややこしい状況に陥るリスクを伴うため、情報は常に新しいものを採り入れるように心がけましょう。

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