古物商における管理者の職務内容と選任に関する注意点

古物営業をはじめようとするときは公安委員会(警察)に申請してその許可を受ける必要がありますが、その営業所には古物取引について統括管理を行う管理者を1人選任する必要があります。
管理者について特別な資格や実務経験は求められておらず、開設者本人を管理者としても差し支えありませんが、少なくとも古物営業に関して管理、監督及び指導ができる立場であることが求められています。
このように古物営業において重要な役割を担う管理者ですから、その職務内容や選任に係るルールは、古物商として必要最低限の基礎知識です。そこで本稿では、古物商における管理者の職務内容と選任に関する注意点について、詳しく解説していきたいと思います。
管理者の選任
冒頭で記述したとおり、古物商はその営業所ごとに管理者1人を選任する必要があります。
古物営業を営むにあたっては、インターネット取引のみを取り扱う場合を含めて古物営業を行う場所を「営業所」として届け出る必要がありますが、管理者はこの「営業所ごとに」選任するものとされていることから、営業所が複数ある場合には、それぞれの営業所について、必ず1人の管理者を選任する必要があります。
また、たとえば宅建業では「従業員5人に対して1人以上の宅建士」を選任する必要がありますが、古物営業法には「1人」という記載しかないことから、古物商の管理者は、その事業規模にかかわらず1営業所につき1人の管理者を選任すれば足ります。
管理者の常勤性
管理者は、その職務内容の重要性から、それぞれの営業所に常勤することが原則です。
したがって、居住の実態が営業所の遠方にある者(通勤時間がおおむね2時間超)や、実際の勤務地が営業所とは異なる者等、勤務の実態がない者あるいは疑義のある者については、その者を管理者として選任することができません。
★常勤とは
常勤とは、所定労働時間を、所定の期間(一般的には週)勤務する労働形態を指します。これは、一般的に「フルタイム」で働くことを意味し、週40時間勤務などが該当します。
正社員の多くが該当しますが、パートや契約社員であっても所定労働時間内であれば常勤とみなされます。
管理者の兼任
管理者は常勤性を求められるため、原則として他の営業所の管理者や従業員を兼任することはできません。
ただし、同じビル内や同一敷地内に同一古物商の営業所がある場合など、互いの営業所が近接しており、双方の営業所を実質的に統括管理することができ、管理者の業務を適正に行いうる場合は、同一人が複数の営業所の管理者を兼任することができます。
管理者の職務内容
古物商における管理者は、営業所内の古物取引業務全般を管理監督し、従業員に対して古物営業法等の法令を遵守させ、業務が適正に行われるように指導します。
また、法定化された職務ではありませんが、古物商に係る手続きや古物取引に関するトラブル発生時など、警察とのやり取りの窓口となることがあります。
なお、古物営業法では古物商について、管理者に対し、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要な知識、技術又は経験を得させるよう努めなければならない旨の規定が設けられています。(古物営業法第13条第3項)
自動車商やオートバイ商については特に厳しく、一定事項について不正を判定するために必要とされる知識、技術又は経験が、これらの知識等を必要とする古物営業(自動車商又はバイク商)の業務に3年以上従事した者と同程度に有するものであることを勧奨しています。
ただし、この規定は努力義務規定であり、必ずしも申請時点でこれらの知識や実務経験を有することまで求めるものではありません。
管理者の資格
管理者について特別な資格や実務経験が必要ないことはすでに説明したとおりですが、古物営業法には管理者としての適格性を欠くものとして一定の事由(欠格事由)が定められており、これらの事由に該当する者については管理者として選任することができない旨を明示しています。
管理者の欠格事由
古物営業法では以下の事由が管理者の欠格事由として定められているため、これらのうちいずれかの事由に該当する者を管理者として選任することはできません。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮刑や懲役刑に処せられその執行を終わり、又はその執行を受けなくなってから5年を経過しない者
- 古物営業の無許可営業、名義貸しの禁止に係る違反又は窃盗、背任、遺失物横領若しくは盗品譲受け等の罪により罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けなくなってから5年を経過しない者
- 住居の定まらない者
- 古物営業の許可を取り消された者、取り消されて5年を経過しない者等
- 法人の役員に1~5のいずれかに該当する者があるもの
- 未成年者
なお、未成年者であっても古物営業に関して成年者と同一の行為能力を有する者であれば古物商を営むこと自体は可能ですが、管理者についてはそのような規定がないため、いかなる場合でも未成年者を管理者として選任することは認められていません。
管理者に係る変更届
古物商許可の申請事項について変更が生じたときはその事項について変更届を提出する必要がありますが、管理者について以下の事由が生じたときは、その事由がしょいた日から14日以内にこれを届け出る必要があります。
なお、代表者についてこれらの変更があった場合は、変更届のみでは足りず、併せて書換申請を行う必要があります。
- 管理者の氏名又は住所に変更があったとき
- 管理者が辞任(退任)したとき
- 管理者が交代したとき
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