金属くず商許可・金属くず行商の届出│条例の動向や規制趣旨を行政書士が解説

中古の銅線やスクラップ金属の売買は日常的に行われている行為ですが、一部の道府県では、金属くずの取引を営業として行う場合に「金属くず商」としての許可を取得する必要がある旨を定める条例が制定されています。
古物商許可を取得していても、金属くず営業に関する条例が存在する自治体で金属くずを取引の対象とする営業を行う場合は、これとは別個に金属くず商許可が必要です。条例とはいえ法規範であることに変わりはないため、知らずに営業をしていれば罰則の対象になります。
さらに近年は、この条例をめぐる制度自体が大きく動いています。全国共通の新法「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(金属盗対策法)」の施行に伴い、一部の府県では従来の条例そのものを廃止する動きが出てきました。
そこで本稿では、金属くず商許可・金属くず行商の届出という従来からの制度を解説するとともに、この条例廃止の動きについても現時点で確認できている状況を整理して解説します。
金属くず営業に関する条例
従来、近畿圏京都府を除くは5府県(兵庫県、大阪府、奈良県、和歌山県、滋賀県)に条例が存在するという全国的にも突出して規制の厚いエリアでしたが、令和8年6月1日に兵庫県・奈良県は同日付で条例を廃止しています。
現在も条例が存続しているのは大阪府・和歌山県・滋賀県の3府県です。それ以外の道府県(北海道、茨城県、静岡県、長野県、福井県、岐阜県、徳島県、島根県、岡山県、広島県、山口県)については、本稿執筆時点で条例廃止の告知は確認できておらず、従来どおり条例が存続しているものとみられますが、各地の動向は今後変わる可能性もあるため、営業所を置く道府県ごとに最新の状況を個別に確認することをおすすめします。
なお、これらはあくまで都道府県条例を基準としたリサーチであり、市町村単位で異なる規制が設けられている可能性もあるため、金属くず営業を始める際は市町村条例まで確認する必要があります。
★条例について
条例は各都道府県及び各市町村が独自に制定する法規範であり、「都道府県条例」と「市町村条例」が存在します。条例は各自治体の区域内でのみ効力を持つため、金属くず営業の取扱いは自治体ごとに異なります。
金属くずとは
条例により細部は自治体ごとに異なりますが、大阪府金属くず営業条例を例に取ると、金属塊、金属製品(半製品を含む)その他の金属であって、「本来の生産目的に従って売買・交換・加工・使用されるもの」及び「古物営業法に規定する古物」のいずれにも該当しないものが金属くずと定義されています。
平たく言えば、本来の目的以外で加工・使用される中古の金属であって古物に該当しないものが金属くずに当たり、具体的には次のようなものが想定されています(例:スクラップにした鉄や解体した自動車の部品等)
また、「古物に該当しないもの」が金属くずの該当条件であるため、古物に該当する金属を取引する場合は古物商許可が必要です。逆に言えば、条例のある道府県で金属くずを取引する営業を行う際は、古物商許可とは別個に金属くず商許可が必要になります。
- 鉄、アルミ、ステンレス、 銅のスクラップ
- 銅線、エナメル線、鋼線、電線
- 合金、 鉛、亜鉛、ハンダ
- アルミサッシ、ホイール
- 配管、ラジエーター、コンプレッサー
- 自動車や自転車等の金属部分等
なお、「古物に該当しないもの」が金属くずの該当条件であるため、古物に該当する金属の取引をしようとするときは古物商許可を必要とします。逆に言えば金属くず営業に関する条例のある道府県において金属くずの取引を営業として行う際には、古物商許可とは別個に金属くず商許可が必要となります。
★関連記事
金属くず商許可
条例が定められている道府県内で営業所を設けて金属くずの取引(売買、交換又はこれらの受託)を営業として行う場合、営業所の所在地を管轄する警察署を窓口として道府県公安委員会に許可を申請する必要があります。
この許可は原則として営業所単位で受ける必要があり、複数の営業所を設ける場合は営業所ごとに申請が必要です。近畿圏における申請手数料は下表のとおりです。(令和8年6月時点で条例が存続している府県のみ記載)
| 大阪府 | 7,500円 |
| 和歌山県 | 12,000円 |
| 滋賀県 | 8,700円 |
金属くず行商の届出
営業所を設けず、条例が定められている道府県の区域内に出向いて金属くずの取引を行う営業(行商)をする場合は、道府県公安委員会に金属くず行商の届出を行う必要があります。(例:他府県に所在する顧客のところへ出向いて金属くずを買い付けるケース)
法人であれば通常営業所を設置するため、金属くず行商は個人名でのみ届出が可能です。基本的には行商を行う者ごとの届出が必要ですが、自治体によっては事業主単位の届出を認めている地域もあります。届出先は行商を行う個人の住所を管轄する警察署が原則ですが、区域外の事業者が届出を行う場合は、主たる営業予定地域を管轄する警察署が窓口となります。
金属くず行商の取扱いには地域差があり、区域外事業者の参入を禁止する地域(例:北海道、岡山県は県内営業所必須)や、広島県のように行商地域ごとにすべて届出が必要な地域、岐阜県のように届出制ではなく許可制を採る自治体もあります。許可制の岐阜県を除き、行商の届出に手数料は発生しません。
| 営業形態 | 手続 | 申請(届出)先 |
|---|---|---|
| 金属くず商 | 許可申請 | 営業所所在地を管轄する警察署 |
| 金属くず行商 | 届出 | 行商を行う「個人」の住所を管轄する警察署 |
条例廃止と新法への切替え
兵庫県及び奈良県では、令和8年6月1日をもって金属くず営業条例が廃止されました。太陽光発電設備からの金属ケーブル盗をはじめとする金属盗の全国的な増加を受けて、国が全国共通の制度である金属盗対策法を新たに設けたことが背景です。
この結果、両県で従来受けていた金属くず商の許可・行商の届出はすべて失効しましたが、これは金属くず全般への規制がなくなったという意味ではありません。新法により、特定金属製物品由来の金属(特定金属くず、現時点では銅が中心)を買い受ける場合には、条例とは別の根拠に基づく「特定金属くず買受業」の届出が必要になっています。旧許可を持っていた事業者が「以前許可を取っていたから届出も不要」と誤解しやすい点には注意が必要です。
一方、大阪府・和歌山県・滋賀県などでは条例を存続させる方針が取られており、これらの地域では従来どおりの金属くず商許可・行商の届出に加えて、全国共通の特定金属くず買受業の届出も併せて必要になる、いわば二重の手続きが求められる状態が続いています。
特定金属くず買受業とは
特定金属くず買受業は、金属盗対策法に基づいて全国一律で適用される届出制度です。対象となるのは「特定金属くず」、すなわち銅を中心に構成された金属製物品であって、切断等の加工により本来の用法での使用ができなくなったものを指します。銅管、真鍮製バルブ、被覆を剥がした銅線などが典型例で、現時点では銅以外の金属(鉄、アルミ等)は対象に含まれていません。
この制度と、都道府県ごとの条例に基づく金属くず商許可は、対象範囲がまったく異なります。金属くず商許可は金属の種類を問わず「金属くず全般」を対象とするのに対し、特定金属くず買受業の届出は「銅を主体とする物品」に限定された制度です。したがって、条例が存続している道府県では、扱う金属の種類によって、両方の手続きが同時に必要になるケースが生じます。
届出は営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県公安委員会に対して行います。許可制ではなく届出制のため、書類に不備がなければ拒否される性質のものではありませんが、届出前に営業を開始することは認められていません。既存の金属くず商許可を持っているかどうかにかかわらず、銅を扱う事業者は届出の要否を個別に確認しておく必要があります。
まとめ
金属くず営業に関する規制は、これまで一部の道府県にのみ適用される条例ベースの制度でしたが、令和8年6月の金属盗対策法施行を境に、地域によって対応が分かれる複雑な状況になっています。兵庫県・奈良県のように条例そのものが廃止され新法の届出に一本化された地域がある一方、大阪府・和歌山県・滋賀県のように条例と新法の届出が併存する地域もあります。
条例とはいえ法規範であることに変わりはなく、規制を知らずに許可申請や届出を怠れば罰則の対象となります。営業所を置く都道府県ごとに現在の制度が「条例存続型」か「条例廃止・新法一本化型」かを確認したうえで、適正な手続きのもと営業を行うようにしてください。
弊所では兵庫県及び大阪府を中心として、古物営業・金属くず営業・特定金属くず買受業に関する手続きの代行を承(うけたまわ)っております。ご依頼があった際は書類の収集及び作成から関連機関との調整並びに申請の代行に至るまで、しっかりとフルサポートいたします。
特に、①時間がない(他に時間を使いたい)、②事務手続きが苦手、③許可を取得できるかどうかが分からない、④警察署での対応が面倒or怖い、といった事情のある方にお薦めです。
また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。古物商、金属くず商および特定金属くず買受業に関する手続きについてお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
古物商・金属くず商・特定金属くず買受業のお手続きについてお悩みの方はお気軽にご相談ください♬
兵庫県及び大阪府全域を中心に対応可能です。
☎平日9時〜18時、📩は24時間365日対応!
06-6415-9020 または 090-1911-1497
メールでのお問い合わせはこちら。
お問い合わせフォーム


