特定金属くず買受業の届出とは?対象業者・必要書類・手続きを行政書士が解説

2025年4月1日に特定金属くず営業法が施行され、一定の金属くずを買い受ける営業について、新たな届出制度が始まりました。これまで古物商許可だけで営業していた事業者や、スクラップ業・リサイクル業を営む事業者の中には、新たに届出の対象となるケースがあります。
もっとも、「特定金属くずとは何か」「古物商許可があれば届出は不要なのか」「どのような書類を提出すればよいのか」など、制度自体が新しいこともあり、十分に理解されているとはいえません。
そこで本稿では、特定金属くず買受業届出制度の概要から、届出の対象となる事業者、必要書類、手続きの流れまで、実務を踏まえて詳しく解説します。
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特定金属くずとは
特定金属くずとは、盗難被害が多発している金属類の流通を防止するため、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(以下、特定金属くず営業法)において規制対象として指定された金属くずをいいます。
代表例としては、銅線や電力ケーブル、マンホールのふた、グレーチング、給湯器、エアコンの室外機などが挙げられます。これらは換金性が高く盗難被害が相次いでいることから、盗品の流通を防止する目的で特定金属くず営業法による規制が設けられました。
もっとも、法律が規制の対象としているのは「特定金属くず」そのものではなく、まず盗難のおそれが高い特定金属製物品です。そして、これらの特定金属製物品又はその一部として使用されている金属が「特定金属くず」に該当します。
したがって、金属が含まれている物であれば何でも特定金属くずに当たるわけではなく、対象となるのは、政令で定められた特定金属製物品及びこれらの一部として使用されている金属に限られます。(下表はその代表例)
| 特定金属製物品 | 代表例 |
|---|---|
| 電線 | 電力ケーブル、通信ケーブル、引込線、CVケーブル、IV線など |
| グレーチング | 側溝用グレーチング、排水溝の格子蓋など |
| マンホールのふた | 上下水道、ガス、電気、通信設備のマンホールのふたなど |
| 消火栓のふた | 地上式・地下式消火栓のふたなど |
| 給湯器 | ガス給湯器、石油給湯器、電気温水器など |
| エアコンの室外機 | 家庭用・業務用エアコンの室外機など |
| その他政令で定める特定金属製物品 | ガードレール、道路標識、カーブミラー、フェンスその他政令で指定された金属製物品など |
このように、規制の対象となるのは法令で指定された特定金属製物品に由来する金属であり、一般的な金属くず全般を対象とする制度ではありません。まずは自社で取り扱う物品が対象に含まれるかどうかを確認することが大切です。
特定金属くず買受業とは
特定金属くず買受業とは、営業として特定金属くずを買い受ける事業をいいます。リサイクル業者やスクラップ業者だけが対象というわけではなく、営業として継続的に特定金属くずを買い受けるのであれば、本制度の対象となる可能性があります。
特定金属くず買受業は、古物商許可のような許可制度ではなく、都道府県公安委員会(警察)に対して届出を行うことにより営業を開始することができる届出制度を採用しています。
一方、古物商や金属くず商とは別制度であるため、「古物商許可を取得しているから届出は不要」「金属くず商だから手続きは必要ない」ということもありません。
届出が必要となるのは、個人・法人を問わず、営業として(=反復継続して)特定金属くずを買い受けようとする場合です。自社が届出の対象となるか判断に迷う場合は、営業形態や取扱品目を整理した上で確認しておくと、その後の手続きを円滑に進めることができます。
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手続きの流れ
すでにお伝えしたとおり、特定金属くず買受業は許可制ではなく届出制ですが、この届出は営業を開始する前までに済ませておく必要があります。手続きの大まかな流れは次のとおりですが、営業を始めてから届出を提出する制度ではないため、開業スケジュールには余裕を持って準備を進めることが大切です。
- 営業内容の確認・該当性の判断
- 必要書類の収集・作成
- 警察署への届出
- 特定金属くず買受業の開始
届出の提出先は各都道府県の公安委員会ですが、実際の窓口は営業所の所在地を管轄する警察署です。営業所が1か所のみであれば、その所在地を管轄する警察署へ書類を提出します。
なお、本制度には古物商許可のような「主たる営業所」や「その他の営業所」といった区分が存在しないため、複数の営業所を設ける場合は営業所ごとに届出を行う必要があります。
ただし、同一の都道府県内にある複数の営業所について同時に届出を行うときは、いずれか1つの営業所を管轄する警察署へまとめて提出することが可能です。一方で都道府県が異なる営業所については、それぞれの管轄警察署へ個別に届け出る必要があります。
届出に係る手数料は不要ですが、住民票や登記事項証明書などの取得費用は別途必要になります。また、提出方法や受付時間は都道府県によって異なる場合もあるため、届出前に管轄警察署の案内を確認しておくと安心です。
届出に必要となる書類
届出に当たっては、以下の書類を揃えて所轄警察署の生活安全課に提出します。個人と法人では必要書類が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。また、営業所ごとの管理者を置く場合(後述)には、その管理者に関する書類の提出を求められることがあります。
- 営業開始届出書
- 住民票の写し(本人・代表者)
- 定款の写し(法人の場合)
- 法人の登記事項証明書(法人の場合)
- 営業所の平面図及び周囲の略図
- 特定金属くずの保管場所の平面図及び周囲の略図(営業所内に保管する場合は営業所平面図への記載で可)
なお、同一都道府県公安委員会へ同時に複数の営業開始届出を提出する場合は、住民票や定款など内容が共通する添付書類については1部の提出で足ります。また、既に同一公安委員会管内で特定金属くず買受業の届出を行っている事業者が、新たに営業所を追加する場合は、添付書類の一部を省略できる取扱いとなっています。
★管理者の設置
特定金属くず買受業では、営業所ごとに管理者を選任することができます。 古物商のように必ず管理者を置かなければならない制度ではなく、管理者の選任はあくまでも自由です。もっとも、管理者を選任した場合は、その氏名その他所定の事項を営業開始届出書に記載する必要があるほか、営業開始後に管理者を変更したときも変更届の対象となります。
一方で、法令上は管理者の選任自体は義務ではないため、小規模事業者などでは営業者自らが管理を行うケースが一般的です。
届出後に必要となる主な義務
営業開始後は、盗難特定金属製物品の流通を防止するため、特定金属くず営業法に基づくさまざまな義務が生じます。日々の営業において継続して対応が必要となるため、届出前の段階で内容を把握しておくことが大切です。
具体的には、取引の相手方に対する本人確認、取引年月日や品目などを記載した取引記録の作成・保存、盗品である疑いがあると認めた場合の警察への申告などが挙げられます。これらは営業を続ける限り継続して求められる義務です。
また、営業開始後に届出事項に変更が生じた場合や営業を廃止した場合には、その都度届出を行う必要があります。例えば、営業者の氏名又は名称、住所、営業所の名称や所在地、管理者を選任している場合の管理者に関する事項などに変更が生じたときは、変更届の対象となります。営業を廃止した場合についても、廃止届を提出します。
このように、営業開始届出はあくまでもスタートラインです。営業開始後も各種義務や変更届、廃止届などの手続きを適切に行うことが、適法な営業を継続するためには欠かせません。
特定金属くず買受業届出サポート
弊所では、兵庫県及び大阪府を中心に、各種営業許可・届出を数多くサポートしています。古物商許可をはじめ、金属くず商、産業廃棄物関連の手続きにも幅広く対応しており、営業内容を確認した上で必要となる手続きを分かりやすくご案内しています。
弊所が掲げるモットーは「話の分かる行政書士事務所」であり、必要以上に手続きを複雑にすることなく、依頼者の状況に応じた現実的な提案を心掛けています。書類作成から警察署との協議まで一貫して対応していますので、初めて届出を行う方でも安心してご相談いただけます。
お問い合わせいただければ、特定金属くず買受業の届出をご検討中であっても、営業内容を確認した上で届出の要否から必要書類、手続きの流れまで丁寧にサポートいたします。
営業形態によって判断が分かれるため、特定金属くず買受業・金属くず商・古物商の手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
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