性風俗関連特殊営業とは?今さら聞けないフーゾクのこと

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法律上の「風俗営業」といえば、実はキャバクラやゲームセンター、ぱちんこ店なども含む広い概念であるということをご存じの方もそう多くないのではないかと思います。

しかし、「風俗」を「フーゾク」とカタカナで表記するだけで、たちまち趣(おもむき)が変わり、いわゆるピンク系のアダルトなお店の雰囲気が漂ってくるというのが何とも不思議な感覚です。

そこで本稿では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)に規定する性風俗関連特殊営業にフォーカスして、その全体像や規制内容について詳しく解説していきたいと思います。

性風俗関連特殊営業

性風俗関連特殊営業とは、店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業をいう。

(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条5項)

性風俗関連特殊営業とは、店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業を総称するいわゆるピンク系の性風俗営業のことを指します。

風営法上の「風俗営業」とはまったく別のカテゴリーに属し、営業方法や規制内容も大きく異なります。

店舗型性風俗特殊営業

店舗型性風俗特殊営業とは、読んで字のごとく、店舗を設け、その店舗内においてサービスを提供する形態の性風俗営業をいいます。風営法第2条第6項の第1号から第6号において6つの営業形態が定義されており、それぞれ規定する条文のある号数をもって、1号営業から6号営業に区分されています。

ほとんどの自治体では、新たに店舗型性風俗特殊営業を行うことは禁止されているか、もしくは商業地域内のごく一部においてのみ営業することが認められているにとどまります。この規制は、風営法の規制のうちでも、最も厳しいものとなります。

1号営業(ソープランド)

浴場業の施設として個室を設け、その個室において異性の客に接触する役務を提供する営業のことを指します。俗にソープランドと呼ばれる施設のことですが、浴場業であるため、公衆浴場の営業許可を受けていることが前提になります。

2号営業(ファッションヘルス)

個室を設け、その個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業のことを指します。施設が浴場でない点でソープランドとは異なり、おもに店舗型ファッションヘルスがこれに該当します。

3号営業(ストリップ劇場)

専ら性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場として政令で定めるものを経営する営業のことを指します。個室ビデオ店のぞき部屋ストリップ劇場などが該当します。

4号営業(ラブホテル)

専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業のことを指します。ラブホテルレンタルルームモーテルなどがこれに該当しますが、旅館業法においては、旅館・ホテル営業としても取り扱われています。

5号営業(アダルトショップ)

専ら性的好奇心をそそる写真又はビデオテープ等を販売し、又は貸し付ける営業のことを指します。俗にいうアダルトグッズショップがこちらに該当します。

6号営業(出会い喫茶)

店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を希望する者に対し、店舗内においてその者が異性の姿態若しくはその画像を見てした面会の申込みをその異性に取り次ぐこと、又は店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会する機会を提供することにより異性を紹介する営業のことを指します。具体的には、出会い喫茶ハプニングバーがこれに該当します。

無店舗型性風俗特殊営業

店舗を設けることなく、人を派遣し性的サービスを提供し、又は通信手段を用いて性的好奇心をそそる物品を販売等する営業を、無店舗型性風俗と総称しています。

1号営業(デリバリーヘルス)

人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むものを指します。

俗にデリバリーヘルス(デリヘル)と呼ばれる営業がこれに該当しますが、店舗型性風俗のほとんどが新規開業を禁止されている現状において、最もポピュラーな性風俗営業となります。

2号営業(通信販売営業等)

電話その他の国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、専ら性的好奇心をそそる写真などの物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもののことを指します。アダルトビデオやアダルトグッズの通信販売営業等がこれに該当します。

映像送信型性風俗特殊営業

専ら性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く)により営むものを指します。アダルトサイトの運営や、アダルトライブチャットの配信業がこれに該当します。

電話異性紹介営業

専ら面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む)を希望する者に対し、電話による会話(伝言のやり取りを含むものとし、音声によるものに限る)の機会を提供することにより異性を紹介する営業を総称して電話異性紹介営業といいます。

店舗型電話異性紹介営業

店舗を設けて、専ら面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む)を希望する者に対し、会話(伝言のやり取りを含むものとし、音声によるものに限る)の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて当該店舗内に立ち入らせた他の一方の者に取り次ぐことによつて営むもの(その一方の者が当該営業に従事する者である場合におけるものを含む)を指します。入店型のテレフォンクラブなどがこれに該当します。

無店舗型電話異性紹介営業

専ら面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を希望する者に対し、会話の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて他の一方の者に取り次ぐことによって営むもの(その一方の者が当該営業に従事する者である場合におけるものを含むものとし、前項に該当するものを除く)を指します。ツーショットダイヤル携帯電話を利用したテレフォンクラブなどがこれに該当します。

性風俗関連特殊営業の現状

下表は兵庫県内における性風俗関連特殊営業の規制の概要ですが、ご覧のとおり兵庫県内では、その全域において店舗型性風俗の営業がほぼ禁止されており、ごく一部のみ(ラブホテル、アダルトショップ等)が極めて制限された地域において営業することが認められている程度にとどまっています。

この規制はあくまでも兵庫県条例によるものですが、同様の規制は全国の各自治体条例でも設けられており、現状において、店舗型の性風俗営業の新規開業はほぼ不可能であると言ってもいいでしょう。

兵庫県における性風俗関連特殊営業

お次は大阪府条例による店舗型性風俗に対する規制内容をまとめたものですが、これをご覧になれば、いかに店舗型性風俗の開業が困難であるかをご理解いただけるのではないかと思います。

「あれ?あそこはどうなの?」

確かにいまだ繁華街に足を運べば、店舗型とおぼしきお店をちらほらと見かけることがありますが、こちらに関しては、現在の風営法が改正される以前から既に存在していたお店であるか、そうでなければ違法に営業するお店ではないかと思われます。いずれにせよ店舗型性風俗の新規開業は、現状ではほぼムリゲーだと思っていただいて間違いありません。

デリヘルの台頭

このような背景から、現在では無店舗型性風俗特殊営業(デリヘル)映像送信型性風俗特殊営業(アダルトサイト)等に代表される場所的規制にかからない形態で性風俗営業を開業するケースが増えています。

また、女性による男性に対する性的サービスという従来型のデリヘルに加え、男性による女性に対する性的サービスの提供というタイプの「女性用デリヘル」での開業も新たなサービス類型として増加傾向にあります。

なお、かつて性風俗の選択肢のひとつであったツーショットダイヤルについては、これらに押される形で現在はその規模を縮小しています。

メンズエステの勃興

近年の動向としては、メンズエステ(メンエス)という形式での出店が目立ってきました。メンズエステは本来であれば性的サービスを提供する性風俗店ではありませんが、キャストとの交渉により、通常のエステサービスにオプションとして加える形で性的サービスを提供する店舗が存在するようです。

ただし、既にお伝えしているように、よほどの老舗を除き、現在は店舗型の性風俗店は営業を行うことができません。たとえ無店舗型性風俗営業として届出を行っていたとしても、実態が店舗型であるならば完全な違法行為となります。

実際に「浄化作戦」という名目で摘発事例は急増しているため、違法営業は完全に回避するようにしてください。

デリヘル開業の手続き

無店舗型性風俗特殊営業(デリヘル)の営業を開始しようとする者は、営業開始のおおむね10日前までに、事務所の所在地を管轄する警察署の生活安全課を経由し、都道府県公安委員会に対して届出(無店舗型性風俗特殊営業開始届)を行う必要があります。

この届出について、風俗営業許可申請等で求められるような人的要件や場所的要件はありませんが、届出義務者は営業の本拠となる事務所を定める必要があります。自宅を事務所として使用することも可能ですが、賃貸借物件の場合は登記簿上の所有者から使用承諾を得る必要があります。(これが実は最難関!)

受付所について

受付所は、サービスを提供する施設ではなく、客がキャストを指名したり、料金を支払ったりするための施設です。外見上で店舗型の性風俗営業とは見分けがつきにくいことから、デリヘルの受付所については、店舗型の性風俗営業とほぼ同様の厳しい規制が設けられています。

このため、受付所を設置してデリヘルの営業を行うことは、事実上ほぼ不可能であるものと考えて差し支えありません。

届出確認書

届出後10日を経過すれば営業を開始することができます。公安委員会から「届出確認書」が交付されますが、これを広告宣伝や求人活動の際に提示することが義務付けられています。

アダルトサイト開設の手続き

店舗が存在しないことから、基本的にはデリヘルを開業する際の手続きとほぼ同様の取扱いがなされています。ただし、映像送信型の性風俗営業には「待機所」や「受付所」という概念が存在しないため、これらに関する規定は除外されています。

オンライン接待について

一時期コロナ禍の煽りを受けて落ち込んだキャバクラ等のナイトビジネスが、インターネットを用いたオンラインでの営業に流れてきています。そこで問題になるのが、映像送信型性風俗特殊営業との関係です。

現在のところ、風営法の規定にも警察庁の通達にも、特に踏み込んだ記述がないため推測になりますが、ただ単にオンライン上で接待に類似する行為を提供する営業については、特になんらかの手続きを行う必要はないものと思われます。

ただし、たとえばキワドイ姿でオンライン接待に臨むのであればまた別の話しです。深掘りすると説明が長くなるため本稿では省略しますが、ちょっとこういう形態で営業することを思いついたんだけどどうかな?と思いついたのであれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。

これらはあくまでも現時点における解釈の話しですから、出る杭は打たれるの言葉どおり、今後はより一層厳格化が進むであろうことは、現実問題として容易に予見されています。

届出制と許可制

一般的な解釈として、「許可申請」「届出」とでは、行政官庁の裁量権が強い「許可申請」の方が、「届出」よりも手続的な難易度は高いものとされています。飲食店や風俗営業(キャバクラ等)などが許可を必要とする営業形態に該当するわけですが、規制がさらに厳しそうな性風俗関連特殊営業については、なぜか許可制ではなく届出制が採用されています。

これに関しては、許可制を採用することによって、行政機関が「性」という極めてデリケートな分野に介入し、そこに「許可」という形でもって、いわば「お墨付き」を与えているかのような構図を作り出すことを避けるため、政策的な建前として届出制を採用しているものと考えられています。

したがって、届出制を採用しているからといって、そのハードルは実質的に許可制と変わらない、もしくはそれ以上に厳しい性質のものであると考えていいように思います。

まとめ

性風俗関連特殊営業は、キャバクラやクラブ等の風俗営業と比較しても断トツに規制が厳しく、営業する場所や時間について多くの制限を受ける事業形態です。このため店舗型の性風俗営業は鳴りを潜め、比較的規制の緩いデリヘルやアダルトサイトが台頭しています。

そんな中でもやはり違法営業は散見され、摘発事例も後を絶ちません。これでは風俗産業に対する世間の視線が厳しくなるのも仕方ありません。法令上の要請をすべて満たす営業については立派なビジネスとして成立しています。まずは必要な手続きをしっかりとクリアして、適切な営業を行うことを心がけるようにしてください。

弊所では、風俗営業許可申請や性風俗関連特殊営業の届出等、風営法上の手続きについてサポートを承っております。基本料金については下記のとおりですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。風俗産業への参入を検討される際は、まずは弊所までお気軽にお問い合わせください。

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