ハプニングバー(出会い系喫茶営業)の法的知識と規制内容について

ハプニングバーのイメージ

弊所は多くの行政書士が回避するアダルトな手続きを取り扱う機会も多く、世にある様々な形態の営業を手続面からサポートしてきました。法令がその存在を認め、定められたルールを遵守して行う営業である限りは、どのような形態であれ、それは立派なビジネスモデルです。

さてそんな中、時折目にすることがあるのが、ハプニングバーが当局の摘発を受けたという内容の報道です。

ハプニングバー(ハプバー)とは、様々な性的嗜好を持つ男女が集まり、客同士で突発的行為を楽しむバーを指しますが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(以下、施行令)では、これを店舗型性風俗の一営業(出会い系喫茶営業)に区分した上で規制を設けています。(法第2条第6項第6号)

風営法の委任を受けた各自治体の条例においては、出会い系喫茶営業の新規開業を禁止していることがほとんどであるため、そもそもハプニングバーを適法に営業すること自体が困難であるというのが現状です。

ただし、「ハプニングバー」という名称そのものや、「様々な性的嗜好を持つ男女が集う施設」というコンセプト自体に問題があるわけではないので、どのような行為が違法になるかについては、本稿でしっかりと確認するようにしてください。

出会い系喫茶営業

施行令5条及び実務上法令を運用する警察庁の通達(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準 :660KB)によれば、出会い系喫茶営業とは、店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む)を希望する者に対し、店舗内においてその者が異性の姿態(若しくはその画像)を見てした面会の申込みをその異性に取り次ぐこと又は店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会する機会を提供することにより異性を紹介する営業と定義しています。

上記の営業形態のいずれについても、「面会の申込み」を行う者は男女のいずれであるかを問わず、また、「異性が営業に従事する者である場合」、すなわち客の面会の相手方として異性の客を装った者を使用している場合(営業者と雇用関係にはないが実態として営業者の事実上の指揮下にあるような者等を紹介する場合を含む)も、個室付浴場業又は店舗型ファッションヘルス営業に該当する営業を除きこの営業に含まれます。

また、「専ら」とされていることから、「おおむね7割ないし8割程度以上」をこの営業に当てている状態が規制対象となりますが、「専ら」に該当するかどうかは、営業者の意図及び営業の実態を、営業形態や広告・宣伝の方法等の客観的な要素から勘案することにより判断するため、「専らじゃないから」と主張して規制逃れをすることはできません。

一時の性的好奇心

「一時の性的好奇心」とは、典型的には「あるときふと催した性的感情」であって、結婚あるいはこれに準ずる安定した関係を異性と築きたいとの真摯な動機に基づく性的感情を除いたものを指します。

要するに「一時」とは、単に期間の長短という量的なものを言うのではなく、営業を通じた交際の相手方が偶然居合わせた面識のない異性であるという質的な視点で捉えるものであるため、例えば、この種の交際が結果として長期化する場合があったとしても、それは「一時の性的好奇心を満たすための交際」と判断されることとなります。

逆に言えば、結婚あるいはこれに準ずる安定した関係を異性と築きたいとの真摯な動機による交際を希望する者が集う社交場であれば風営法の規制対象となる店舗型性風俗営業には該当しないため、よくある相席食堂のようなスタイルのお店は、通常は出会い系喫茶営業には該当しません。

姿態若しくはその画像

「姿態若しくはその画像を見て」には、人の姿態を直接見せるもの(マジックミラー等を通して見せるものを含む)のほか、写真、静止映像やビデオの映像のような「動く映像(動画)」を見せることも含まれます。

また、一般的に全身を見せる場合だけでなく、顔だけを見せるものもこれに含まれます。

異性への取次

「異性に取り次ぐこと」とは、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む)を希望する者からの面会(人と直接に会うこと)の申込みについて、面会の申込みをその異性に伝達することをいいます。

したがって、必ずしも面会自体が店舗内で行われることを要さず、店舗内において面会の申込みができる状態であれば、この要件に該当することになります。

個室若しくはこれに類する施設

「店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設」には、個室のほか、たとえば他から見通すことが困難となるように部屋がカーテン等で個々に区分されているもの等個室に準じた区画された施設を含みます。

なお、同じく店舗型性風俗営業に区分されているラブホテルとは規制内容が異なるため、当然のことながら店舗内において客同士が性的行為を行うことを勧奨することはできません。

まとめ

人の趣味嗜好は千差万別であり、多様性が重んじられる現代において最大限尊重されるべき事項である一方で、性的嗜好と犯罪との親和性を無視することはできず、これに一定の制限が加えられることについては、ある程度仕方ないことのように思います。

冒頭で述べているとおり、様々な性的嗜好を持つ男女が集う施設というコンセプトの下で飲食店を営業すること自体は何ら問題ありませんが、具体的に「性的行為」に直結させる営業ともなれば、規制対象となることは避けられません。

近年は取締りも強化傾向にあるので、ご自身が携わり、あるいはこれから携わろうとする営業が法的に問題あるかないかは、しっかりと把握して健全な運営を心がけるようにしてください。

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