店舗型性風俗特殊営業の定義と規制内容について

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店舗型性風俗特殊営業とは、読んで字のごとく、店舗を設け、その店舗内においてサービスを提供する形態の性風俗営業をいいます。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)第2条第6項の第1号から第6号において6つの営業形態が定義されており、それぞれ規定する条文のある号数をもって、1号営業から6号営業に区分されています。

現在ほとんどの自治体では、新たに店舗型性風俗特殊営業を行うことは禁止されているか、もしくは商業地域内のごく一部においてのみ営業することが認められているにとどまります。そもそも規制が厳しい風営法にあって、店舗型性風俗特殊営業に対する規制は、最も厳しいものとなります。

そこで本稿では、風営法に規定する性風俗関連特殊営業のうち、店舗型性風俗特殊営業にフォーカスして、その全体像や規制内容について詳しく解説していきたいと思います。

店舗型性風俗特殊営業

説明したとおり、店舗型性風俗特殊営業とは、店舗を設け、その店舗内においてサービスを提供する形態の性風俗営業をいいます。

風営法及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(以下、施行令)の条文中には、「善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、条例により、地域を定めて、店舗型性風俗特殊営業を営むことを禁止することができる」旨の定めが設けられており、これにより各自治体では、風営法に上乗せする形での規制強化が図られています。

1号営業浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業ソープランド
2号営業個室を設け、個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業店舗型ファッションヘルス
3号営業専ら性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場を経営する営業ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、個室ビデオ店
4号営業専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む)の用に供する施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る)を設け、宿泊に利用させる営業ラブホテルレンタルルームモーテル
5号営業専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープなどを販売し、又は貸し付ける営業アダルトグッズショップ
6号営業店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を希望する者に対し、店舗内においてその者が異性の姿態若しくはその画像を見てした面会の申込みをその異性に取り次ぐこと、又は店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会する機会を提供することにより異性を紹介する営業出会い喫茶、ハプニングバー

個室付浴場業(1号営業)

浴場業の施設として個室を設け、その個室において異性の客に接触する役務を提供する営業のことを指します。俗にソープランドと呼ばれる施設のことですが、浴場業であるため、公衆浴場の営業許可を受けていることが前提になります。

実際にこれを営業するためには公衆浴場としての営業許可を必要としますが、風営法上の定義においては、公衆浴場法の許可を受けたものであることを要件としていません。

店舗型ファッションヘルス営業(2号営業)

個室を設け、その個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業のことを指しますが、施設が浴場でない点でソープランドとは異なります。

また、「性的好奇心に応じて」とは、客の性的な感情に応えてという趣旨であるため、通常のマッサージ等は、この営業には該当しません。

なお、「ホテルヘルス」(ホテヘル)等と称して派遣型ファッションヘルス営業を装いつつ、レンタルルーム、ラブホテル等を営む者と提携して個室を確保しているような場合も「個室を設け」に該当することになります。

ストリップ劇場等(3号営業)

専ら性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場として政令で定めるものを経営する営業のことを指します。

これを受け、施行令では、専ら以下の興行の用に供する興行場(上演される以下が興行が、全興行のおおむね7割ないし8割程度以上であるもの)をこの営業に指定しています。

実際にこれらを営業するためには興行場としての営業許可を必要としますが、風営法上の定義においては、興行場法の許可を受けたものであることを要件としていません。

  • ヌードスタジオその他個室を設け、その個室において、個室に在室する客に、その性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又はその映像を見せる興行の用に供する興行場
  • のぞき劇場その他個室を設け、その個室の隣室又はこれに類する施設において、個室に在室する客に、その性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又はその映像を見せる興行の用に供する興行場
  • ストリップ劇場その他客席及び舞台を設け、その舞台において、客に、その性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又はその姿態及びその映像を見せる興行の用に供する興行場

上記の「その性的好奇心をそそるため」とは、客の性的な感情を著しく刺激する目的であると社会通念上認められるものを指し、「衣服を脱いだ人の姿態」とは、全裸又は半裸等社会通念上公衆の面前で人が着用しているべき衣服を脱いだ人の姿態をいいます。

例えば、通常の水着を着用した人の姿態は「衣服を脱いだ人の姿態」には当たりませんが、全裸又は半裸の人の身体の上に、社会通念上人が着用する衣服とは認められないような透明又は半透明の材質により作られた衣装等を着用している場合、その人の姿態は、「衣服を脱いだ人の姿態」に当たるものと考えられます。

なお、いわゆるブルセラ営業を営む店舗において、来店した販売希望者等が現に着用している下着その他の衣類を客の見ている前で脱いで当該衣類を販売する営業形態(いわゆる生セラ)は、「衣類を脱いだ人の姿態」といえる状況であれば、この営業に該当します。

また、「これに類する施設」とは、例えば、客の在室する個室とダンサーがいる部屋との間にガラス張りの廊下があることにより、そのダンサーのいる部屋が「隣室」といえないような場合、客の在室する個室の隣が「室」といえないような施設(カーテンで仕切った廊下等)である場合等をいいます。

★成人映画館

映像のみを見せるもの(成人映画館)については、現在のところ規制対象からは除外されていますが、今後規制の必要が生ずるかどうかは、映画界の自主規制の推移等によることとされています。

モーテル、ラブホテル等(4号営業)

専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る)を設け、施設を宿泊に利用させる営業のことを指します。いわゆるラブホテルレンタルルームモーテルなどがこれに該当し、旅館業法においては、旅館・ホテル営業としても取り扱われています。

風営法を実務上運用するために警察庁が公表する風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(PDF:661KB)(以下、解釈運用基準)においては、以下の施設を規制対象としています。

  1. 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む)の用に供する施設であること
  2. 施行令第3条第1項に定める施設であること
  3. 施行令第3条第2項又は第3項に定める構造又は設備を有する個室を設ける施設であること

1.については、「専ら」(もっぱら)とされていることから、宿泊客の7割ないし8割が異性のカップルであることを想定した規定となっています。

2.の施行令第3条第1項に定める施設には以下の施設が該当しますが、一般的な感覚として、ホテル・旅館の構造とは異なる特殊な構造を有する施設がモーテル、ラブホテル等に該当します。

レンタルルームその他個室を設け、その個室を専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設

ホテル等その他客の宿泊(休憩を含む)の用に供する施設であって、次のいずれかに該当するもの

(イ)食堂(調理室を含む)又はロビーの床面積が、収容人員の区分ごとにそれぞれ以下の数値である施設

収容人員食堂の床面積ロビーの床面積
30人以下30㎡未満30㎡未満
31人から50人40㎡未満40㎡未満
51人以上50㎡未満50㎡未満

(ロ)施設の外周に、又は外部から見通すことができるその施設の内部に、休憩の料金の表示その他の当該施設を休憩のために利用することができる旨の表示がある施設

(ハ)施設の出入口又はこれに近接する場所に、目隠しその他施設に出入りする者を外部から見えにくくするための設備が設けられている施設

(ニ)フロント、玄関帳場その他これらに類する設備にカーテンその他の見通しを遮ることができる物が取り付けられ、フロント等における客との面接を妨げるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める状態にある施設

(ホ)客が従業者と面接しないで機械その他の設備を操作することによってその利用する個室の鍵の交付を受けることができる施設その他の客が従業者と面接しないでその利用する個室に入ることができる施設

3.の風営法施行令第3条第2項又は第3項に定める構造とは、2.に該当する施設につき、以下のいずれかに該当する構造をいいます。

客の使用する自動車の車庫が通常その客の宿泊に供される個室に接続する構造

客の使用する自動車の車庫が通常その客の宿泊に供される個室に近接して設けられ、その個室が当該車庫に面する外壁面又は当該外壁面に隣接する外壁面に出入口を有する構造

客が宿泊をする個室がその客の使用する自動車の車庫とその個室との通路に主として用いられる廊下、階段その他の施設に通ずる出入口を有する構造

アダルトショップ等(5号営業)

店舗を設けて、性的好奇心をそそる物品であって施行令に定める以下の物品を販売し、又は貸し付ける営業のことを指します。

  • 衣服を脱いだ人の姿態1を被写体とする写真又はその複製物
  • 上記の写真又はその複製物を主たる内容とする写真集2
  • 衣服を脱いだ人の姿態の映像を主たる内容とする3フィルム又はビデオテープ、ビデオディスク、CD-ROMその他電磁的方法による記録に係る記録媒体
  • 性具その他の性的な行為の用に供する物品4、性器を模した物品、性的な行為を表す写真その他の物品5又はこれらに類する物品性器の拓本及び着用したブルマー、下着その他の衣類等
  1. 「衣服を脱いだ人の姿態」とは、全裸又は半裸等社会通念上公衆の面前で人が着用しているべき衣服を脱いだ人の姿態をいいます。 ↩︎
  2. 「主たる内容」であるかどうかは、その構成等を総合的に勘案して判断されることになります。 ↩︎
  3. ここで言う「主たる内容」とは、通常、その映像の再生時間のうち、衣服を脱いだ人の姿態に関する映像の再生時間が半分以上のものをいいます。 ↩︎
  4. 「性具その他の性的な行為の用に供する物品」とは、バイブレーター、肥後ずいき、SM用具、いわゆるび薬、特殊な形状のコンドーム等をいい、通常のコンドーム等の衛生用品までは含みません。 ↩︎
  5. 「性的な行為を表す写真その他の物品」とは、自慰行為、性交、性交類似行為等を行っている人の写真、ビデオテープ等をいいます。 ↩︎

ここで言う「性的好奇心をそそる物品」とは、社会通念上一般人が見るなどしただけで性的な感情を著しく刺激されるようなものであることとされており、通常の書籍は「性的好奇心をそそる」ものには当たらないものとされています。

なお、店舗を設けて上記の物品を販売等する営業であっても、一般書店におけるアダルトコーナーのように「専ら」(おおむね7割ないし8割程度以上)これらを行うものではない場合には、特定性風俗物品販売等営業という営業形態に該当することになります。

出会い系喫茶営業(6号営業)

風営法においては、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるものを6号営業としていていますが、施行令では、店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む)を希望する者に対し、店舗内においてその者が異性の姿態(若しくはその画像)を見てした面会の申込みをその異性に取り次ぐこと又は店舗内に設けた個室若しくはこれに類する施設において異性と面会する機会を提供することにより異性を紹介する営業を出会い系喫茶営業として区分し規制対象としています。

いわゆるハプニングバーと言われる施設がこの営業に最も近いのではないかと思われます。

店舗型性風俗関連特殊営業の現状

下表は兵庫県内における性風俗関連特殊営業の規制の概要ですが、ご覧のとおり兵庫県内では、その全域において店舗型性風俗の営業がほぼ禁止されており、モーテル、ラブホテル等(4号営業)及びアダルトショップ等(5号営業)が、極めて制限された地域において認められている程度にとどまっています。

兵庫県における性風俗関連特殊営業

同様の規制は全国の自治体条例にも見られ、現状において、店舗型の性風俗営業の新規開業はほぼ不可能であると言ってもいいでしょう。実際に年間10件前後のご相談はあるものの、4号営業及び5号営業であっても要件が厳しく、調査のみで業務が完了し、門前払いの門にすらたどり着けないのが現状です。

また、近年の動向としては、メンズエステ(メンエス)という形式での出店が目立っていましたが、よほどの老舗でもない限り、現在は店舗型の性風俗店は営業を行うことができません。たとえ無店舗型性風俗営業として届出を行っていたとしても、実態が店舗型であるならば完全な違法行為となります。

実際に「浄化作戦」という名目で摘発事例は急増しているため、違法営業は完全に回避するようにしてください。

まとめ

店舗型性風俗関連特殊営業は、キャバクラやクラブ等の風俗営業と比較しても断トツに規制が厳しく、営業する場所や時間について多くの制限を受ける事業形態です。このため店舗型の性風俗営業は鳴りを潜め、比較的規制の緩いデリヘルやアダルトサイトが台頭しています。

そんな中でもやはり違法営業は散見され、摘発事例も後を絶ちません。これでは風俗産業に対する世間の視線が厳しくなるのも仕方ありません。法令上の要請をすべて満たす営業については立派なビジネスとして成立しています。まずは必要な手続きをしっかりとクリアして、適切な営業を行うことを心がけるようにしてください。

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