特定遊興飲食店営業者の遵守事項について

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)では、「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る)であって、午前0時から翌日の午前6時前まで時間においてのみ営むもの(風俗営業に該当するものを除く)」を「特定遊興飲食店営業」として定義し、これを営業しようとするときは、公安委員会(警察)から営業許可を受けることを要求しています。
また、無事に特定遊興飲食店営業許可を取得した後も、特定遊興飲食店営業者には遵守すべき義務があり、これに違反した状態で運営を継続することはできません。
目 次
名義貸しの禁止
特定遊興飲食店営業許可は「人」と「場所」に属する許可であるため、許可を受けた者は、自己の名義をもって、他人に風俗営業を営ませることはできません。
名義貸しは実質的な無許可営業に該当するため、違反者に対しては、2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金又はこれらの併科(法人である場合は他に200万円以下の罰金)が科されます。
構造及び設備の維持
特定遊興飲食店営業許可を受けるときは、営業所の構造及び設備を以下の基準に適合させる必要がありますが、これは許可取得後であっても変わらず、基準に適合するように維持し続ける必要があります。
- 客室の床面積は、一室の床面積を33㎡以上とすること
- 客室の内部に見通しを妨げる設備(おおむね高さ1m以上の設備)を設けないこと
- 善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと
- 営業所外に直接通ずる客室の出入口を除き、客室の出入口に施錠の設備を設けないこと
- 営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
- 騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
ホテル等内適合営業所の基準
旅館やホテルの施設内にナイトクラブ等を設けて特定遊興飲食店営業を行っているときは、その構造は以下の基準を維持する必要があります。
- 特定遊興飲食店営業の営業所が設けられる階の営業所以外の部分、その直上部分(営業所が最上階に設けられる場合は屋上)及び直下部分を旅館業法の許可を受けて旅館・ホテル営業を営む者(以下、ホテル等営業者)、風俗営業者、特定遊興飲食店営業者、深夜酒類提供飲食店を営む者において酒類提供飲食店営業又は興行場営業を営む者が管理すること
- バルコニーを設置する場合にあっては、バルコニーに通じる出入口に二重扉を設けること
- 非常の場合を除き、特定遊興飲食店営業の営業所が設けられる施設のうちホテル等営業者が管理する部分を通じてのみ客(客となろうとする者を含む)が営業所に出入りできるような構造であること
- 特定遊興飲食店営業の営業所への客の出入りをホテル等営業者が適切に管理することが見込まれること
- 特定遊興飲食店営業の営業所が設けられる旅館・ホテル営業に係る施設がラブホテル・モーテル等の営業の用に供されるものでないこと
営業時間の制限
特定遊興飲食店は、深夜(午前0時から午前6時までの時間)における営業を前提としているため、基本的には営業時間の規制を受けませんが、各都道府県では条例により、地域を定めて特定遊興飲食店営業の営業時間を制限している場合があります。
また、午前0時以降の営業については、客が大声若しくは騒音を発し、又は酒に酔って粗野若しくは乱暴な言動をすることその他営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼすことがないようにするために、以下の措置を講ずる必要があるほか、その措置が適切に講じられるようにするため、措置について、従業員に対する教育を行い、又は営業所の管理者に教育を行わせる必要があります。
- 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を表示した書面を営業所の見やすい場所に掲示し、又は書面を客に交付すること
- 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼしてはならない旨を客に対して口頭で説明し、又は音声により知らせること
- 泥酔した客に対して酒類を提供しないこと
- 営業所内及び営業所の周辺を定期的に巡視し、営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼす行為を行い、又は行うおそれのある客の有無を確認すること
- 営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼす行為を行い、又は行うおそれのある客がいる場合には、その客に対し、その行為を取りやめ、又はこれを行わないよう求めること
苦情の処理に関する帳簿
特定遊興飲食店営業者は、営業所ごとに、苦情の処理に関する帳簿を備え付け、以下の事項を記載するとともに苦情の適切な処理に努め、最終の記載をした日から起算して3年間保存する必要があります。
- 苦情を申し出た者の氏名及び連絡先(氏名又は連絡先が明らかでない場合は、その旨)並びに苦情の内容
- 原因究明の結果
- 苦情に対する弁明の内容
- 改善措置
- 苦情処理を担当した者
照度の規制
特定遊興飲食店営業者は、営業所内の照度を10ルクス以下にして営業を営むことはできません。
なお、営業所内の照度は、営業所の以下の部分における水平面について計測します。
客席に食卓その他の飲食物を置く設備がある場合 | その設備の上面及び上面の高さにおける客の通常利用する部分 |
客席に食卓その他の飲食物を置く設備がない場合であって椅子がある客席 | 椅子の座面及び座面の高さにおける客の通常利用する部分 |
客席に食卓その他の飲食物を置く設備がない場合であって椅子がない客席 | 客の通常利用する場所における床面(畳又はこれに準ずるものが敷かれている場合にあっては、その表面) |
騒音及び振動の規制
特定遊興飲食店営業者は、営業所周辺において、都道府県条例で定める数値以上の騒音又は振動(人声その他その営業活動に伴う騒音又は振動に限る)が生じないように、その営業を営む必要があります。
年少者の立入禁止の表示

特定遊興飲食店営業者は、深夜において18歳未満の者(午後10時から翌日の午前0時前の時間においては保護者が同伴しない18歳未満の者)がその営業所に立ち入ってはならない旨を営業所の入口に表示する必要があります。
接客従業者に対する拘束的行為の規制
特定遊興飲食店営業者は、その営業における接客従業者に関し、以下の行為を行うことができません。
- 営業所で客に接する業務に従事する者(以下、接客従業者)に対し、接客従業者でなくなった場合には直ちに残存する債務を完済することを条件として、その支払能力に照らし不相当に高額の債務(利息制限法その他の法令の規定によりその全部又は一部が無効とされるものを含む)を負担させること
- その支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させた接客従業者の旅券や運転免許証等を保管し、又は第三者に保管させること
また、接客業務受託営業を営む者が接客業務受託営業に関する規定に違反する行為又は売春防止法第9条(前貸等)、第10条(売春をさせる契約)若しくは第12条(売春をさせる業)の罪に当たる違法な行為をしている疑いがあると認められるときは、接客業務受託営業を営む者の使用人その他の従業者で違反行為の相手方となっているものが営業所で客に接する業務に従事することを防止するため必要な措置をとる義務を負います。
禁止行為等
特定遊興飲食店営業者は、以下の行為を行うことが禁止されています。禁止行為については違反者に対する罰則が前述した「遵守行為」の違反者に対するものよりも厳しいものが設定されています。
- 営業に関し客引きをすること
- 営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと
- 営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること
- 18歳未満の者を午後10時から翌日の午前6時までの時間において客として営業所に立ち入らせること
- 営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること
- 遊技の用に供する玉、メダルその他これらに類する物(以下、遊技球等)を客に営業所外に持ち出させること
- 遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること
営業所の管理者
特定遊興飲食店営業者は、その営業所ごとに、営業所における業務の実施を統括管理する者のうちから、管理者1人を選任する必要があります。また、管理者として選任した者が退職等の理由により欠けたときは、その日から14日以内に新たな管理者を選任する必要があります。
なお、特定遊興飲食店営業者は、公安委員会から管理者について講習を行う旨の通知を受けたときは、管理者に講習を受けさせる必要があります。
特定遊興飲食店営業者許可申請サポート
特定遊興飲食店営業は法令や条例の規制をダイレクトに被る営業形態です。規制は各市区町村条例に及んでいることも多いため、市区町村によっては都道府県条例よりもさらに厳しい条例(いわゆる上乗せ条例)が施行されている地域も存在します。
このように想定外の落とし穴にはまってしまうこともあるため、特定遊興飲食店営業の見切り発車は非常にリスクの大きい行為です。知人の風俗営業者が色々と入れ知恵してくれたとしても、それがその時期その地域その営業形態にすべて合致する正しい情報とは限りません。いずれにせよ特定遊興飲食店営業をはじめようとする際は、所轄の警察署や風営法に精通した行政書士に相談することを強くお薦めします。
弊所では、全国各地において、特定遊興飲食店営業許可申請の代行を承っています。事前調査、書類作成、関係各所とのやり取り及び書類提出に至るまで、まるっとフルサポートさせていただいています。また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。特定遊興飲食店営業許可を取得する際は、どうぞ弊所まで安心してご相談ください。
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