接客業務受託営業とは

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接客業務受託営業って何?

各種補助金・助成金の給付要件にもちょくちょく登場する「接客業務受託営業」ですが、字面からなんとなくイメージは伝わるものの、詳細を改めて問われると「??」となってしまいますよね。

京都では案外このスタイルの営業が多く、検索しても情報量が極めて少ないことから、弊所にお問い合わせをいただくケースがぼちぼちあったりします。

そこで本稿では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)に規定される接客業務受託営業の内容について詳しく解説していきたいと思います。

風俗営業について

接客業務受託営業とは

接客業務受託営業とは、専ら、接待飲食等営業店舗型性風俗特殊営業特定遊興飲食店営業深夜酒類提供飲食店営業を営む者から委託を受けて当該営業の営業所において客に接する業務の一部を行うこと(当該業務の一部に従事する者が委託を受けた者及び当該営業を営む者の指揮命令を受ける場合を含む。)を内容とする営業をいう。

(風営法第2条第13項)

風営法の条文ではこのように定義されていますが、法律のならではの分かりにくい表現がなされていますので、次のように少し分解して考えてみるようにしましょう。

  • 「専ら」
  • 「接客飲食店等から」
  • 「委託を受けて」
  • 「当該営業の営業所において」
  • 「客に接する業務の一部を行うこと」
「専ら」

基本的には「専属で」という趣旨ですが、実務上は「8割程度」その業務に接していれば該当することになります。ちなみに「もっぱら」です。意外に読み方が分からないとの声もありますので付け加えておきます。

「接客飲食店等から」

接客飲食店等とは以下の4つの形態で営業を行う飲食店を指します。したがって、単に食事をメインに提供する一般的な飲食店は対象外となります。

  • 接待飲食等営業
  • 店舗型性風俗特殊営業
  • 特定遊興飲食店営業
  • 深夜酒類提供飲食店営業
「委託を受けて」

委託とは「依頼に基づいて」という趣旨であり、請負契約、準委任契約、労働者派遣契約その他契約の形態を問いません。つまり、直接雇用する従業員は対象外であり、あくまでも外部の事業者との「契約」に基づく業務が対象となっています。

「当該営業の営業所において」

例えば顧客の自宅を訪問するようなスタイルではなく、あくまでも店舗内で接客業務を提供する営業が接客業務受託営業に該当します。

「客に接する業務の一部を行うこと」

ここで「一部」とされているのは、業務の「全部」を行うということが、もはや接待飲食店等そのものに該当してしまうからです。

ここまでのまとめ

さらっと表現すれば、芸者やコンパニオン等の派遣事業が接客業務受託営業に該当します。例えば接待飲食店等で直接雇用されることなく「個人事業主」として事業者と契約するコンパニオンもこれに該当します。

なお、個人事業主が「接客業務受託営業」の事業者を名乗るためには自称するだけは足りず、適切に開業届を提出するなどして公的に証明する必要があります。

接客業務受託営業の開業

意外なことに接客業務受託営業を行うための許可や届出は不要です。このため、風営法に規定のある営業形態の中では比較的参入しやすい事業形態となっています。通常は「請負」という形態なので問題はありませんが、派遣先から指揮命令を受けるいわゆる「人材派遣」という形であれば労働者派遣事前業法に抵触する可能性もあるため、この辺りの詳細については管轄の労働局や社会保険労務士に問い合わせをするようにしましょう。

接客業務受託営業の規制

接客業務受託営業を営む者は、その営業に関して以下の行為が禁止されています。

受託接客従業者に対し、受託接客従業者でなくなった場合には直ちに残存する債務を完済することを条件として、その支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させること。

(風俗営業法第35条の3第1項)

その支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させた受託接客従業者の旅券等を保管し、又は第三者に保管させること。

(風俗営業法第35条の3第2項)

これらは「拘束的行為」といわれ、具体的にはコンパニオン等に多額の借金を背負わせたり、パスポートを取り上げるなどの行為が禁止されています。

まとめ

法律用語はまどろっこしい表現が多いので読み込むためには相当の慣れが必要です。特に風営法は一般層にはなかなか馴染みにくい構成となっているため尚更です。

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