建設業許可業者の決算変更届
決算変更届?税務署に出すやつね!
決算といえば税務的な手続きをイメージする方も多いですが、税務署が処理する税務上の申告書は「確定申告」であって、決算変更届は税務上の書類ではありません。
建設業の許可業者にはいくつか必ず作成して保存しなければならない書類がありますが、事業年度ごとの業績を報告するために提出する書類が決算変更届です。
本稿では確定申告との違いも踏まえつつ、建設業許可業者の義務のひとつである「決算変更届」について詳しく解説していきたいと思います。
建設業許可取得後の義務について
決算変更届とは
名称から「決算書の提出後、その内容に変更が生じた場合に提出する書類」であるかのように思われがちですが、決算変更届とは、一事業年度の決算内容や工事経歴等をまとめた報告書のことを言います。このため「決算報告書」や「年次報告書」という別名で呼ばれることもあります。
事業年度が終了すると税務署に対して申告する義務があることは皆さまもよくご存じのはずですが、建設業許可業者には、さらに許可行政庁に対して決算の内容等を報告することが義務付けされています。
確定申告書を提出すればいいんでしょ?
建設業の経理上のルールは特殊であり、決算変更届の様式も確定申告で求められるものとは異なります。このため決算変更届は、建設業法施行規則において定められた様式に則って作成する必要があります。
確定申告 | 決算変更届 | |
---|---|---|
提出先 | 税務署 | 許可行政庁 |
提出期限 (個人) | 3月15日前後 | 4月末日 |
提出期限 (法人) | 事業年度終了後2ヶ月以内 | 事業年度終了後4ヶ月以内 |
関与する者 | 税理士 | 行政書士 |
決算変更届の提出期限
決算変更届の提出期限は事業年度終了後から4ヶ月以内とされています。個人事業主であれば事業年度終了は12月31日なので毎年4月末日が期限になりますが、法人であって例えば3月が決算月であれば7月末日が期限となります。
4ヶ月もあるの?楽勝やん!
確かに期間的な余裕はありそうですが、実務上はそうでもありません。決算変更届を作成する前提として、まずは税務署に対して決算申告を行う必要がありますが、通常この作業には2〜3ヶ月の期間を費やします。決算変更届はこの申告書を元に作成するわけですから、4ヶ月から2〜3ヶ月を控除した残りの日数が、実質の作成・提出に使える期間ということになります。
未提出の場合のデメリット
本業である建設業が多忙である中、さらに業務が増えるわけですから、その心中はお察しいたします。しかし法的な義務であるからには、この届出を怠った場合には次のようなデメリットが生じます。
- 懲役刑や罰金刑などが科される
- 建設業許可の手続きが行えなくなる
- 業績証明ができなくなる
- 取引先への信用が失墜する
罰則
決算変更届の提出を怠った場合、6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金を科せられることがあります。
とはいえ実際には期限に遅れたからといって即刑罰が科されることはありません。ただし、年々法令が厳格に適用される傾向は明らかなので、今後行政指導の強化が図られることは間違いないものと思われます。そもそも違法状態にあるため、実害がないからといって義務を怠ることは避けるべきでしょう。
新たな申請の受付拒否
決算変更届を提出していない場合は、建設業許可に関する次の申請を受け付けてもらうことができません。
- 建設業許可更新
- 建設業許可業種追加
- 般・特新規許可
- 経営事項審査
例えば自社に現在取得している業種以外の専任技術者となることができる資格を所持する若手有望株が入社したとします。ちょうど取引先から大規模工事の打診があって、どうしても若手有望株が所持する資格の業種を追加したいというようなケースを想定しましょう。
そんなとき決算変更届を放置していたとなると、業種追加を申請したとしても受け付けてもらうことはできません。そうこうしているうちに契約が暗礁に乗り上げ、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまうなんていうケースも十分に考えるべきパターンです。
業績証明の不能
そもそも決算変更届を毎年度提出する理由は、その内容を公表することによって誰もが業績や財務状況等を確認することができるようにするためです。発注者は公表されている情報をもとに取引先を選定するので、決算変更届の提出がなされていない状態では業績証明ができなくなることになります。逆にいえば決算変更届の提出は発注者に対する大きなアピールともなりうるため、結果として受注機会の損失につながることになってしまいます。
信用の失墜
大手ゼネコンではしっかりとこの情報を確認した上で取引先を選定しています。もちろん周辺の制度についても熟知しています。情報が公表されていないイコール「管理がしっかりしていない事業者」という印象を抱かれないためにもやはり毎年度の届出は欠かすべきではないでしょう。
決算変更届に必要となる書類
- 変更届出書
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 注記表
- 附属明細書(資本金1億円以上又は負債200億円以上ある株式会社)
- 納税証明書
- 事業報告書(法人)
- 使用人数(変更がある場合)
- 定款の写し(変更がある場合)
- 登記事項証明書(変更がある場合)
- 健康保険等の加入状況(変更がある場合)
まとめ
建設業許可業者となったことでさらなる多忙の日々をお過ごしであることお察しします。決算変更届の作成や提出は面倒な作業である一方で、ビジネスシーンを広げるための一手でもあります。期限に遅れることのないように申告するようにしましょう。
ご多忙な事業者さまにおかれましては、弊所でも手続きの代行を承ることが可能です。提出期間を過ぎてしまう前にお早めに、かつお気軽にご相談ください。
決算変更届(知事) | 40,000円(税込み) |
決算変更届(大臣) | 50,000円(税込み) |
建設業許可申請手続や決算変更届の提出についてお悩みの方はお気軽にご相談ください♬
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