デリヘル開業のあれこれ│許可申請なのか届出なのか

ピンぼけした夜景

風俗産業やナイトビジネスは、法令を遵守し正しく運営するという前提がある限り、立派なビジネスモデルとして成立しています。

そうはいっても「性」というデリケートな分野を取り扱う事業である以上、気軽に相談することのできる環境を整えることも、正直なかなか難しいのではないかと思います。

許可?資格?届出?

デリヘルを開業しようとする際に、何となく手続きが必要になることについては理解されているものの、その詳細についてまではあまりよく把握していないというのが大半の方の現実であるように思います。

そこで本稿では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)において無店舗型性風俗特殊営業とされている営業形態のうち、1号営業として規定されているデリバリーヘルス(デリヘル)をピックアップして、周辺知識や開業の際に必要となる手続きについて、詳しく解説していきたいと思います。

弊所は風営法上の手続きを取り扱う機会も多い行政書士事務所です。ご不明な点やご不安な点などがあれば、どうぞご遠慮なくご相談ください。ご相談いただいた案件に関しては、迅速、誠実かつ秘密厳守で対応させていただきます。

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デリヘルの法的位置づけ

無店舗型性風俗とは、読んで字のごとく店舗を設けずに性的サービスを提供する営業を指しますが、風営法においては「人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの」をデリヘルとして定義されています。

このまどろっこしい文面をかみくだいて説明すると、客の自宅やホテル等の施設(ホテヘル)に異性の従業員を派遣して性的なサービスを提供する形態の営業がこれに該当します。したがって、特定のホテルと契約し、その一部を事実上の店舗として使用する行為等は、デリヘルには当たらず店舗型性風俗に該当することになります。

着目すべきは「異性の客」に対するサービスを規制の対象としているという点にあります。つまり一般的に性風俗としてイメージされる女性による男性に対するサービスだけではなく、男性による女性に対するサービスも規制の対象とされていることになります。

裏を返せば、男性から男性、女性から女性といった「同性」に対する性的サービスについては規制が及んでいないため、これらの形態による新規開業も、選択肢としては十分に考慮すべき事項であるように思います。

業界の現状

下表は兵庫県内における性風俗関連特殊営業の規制の概要ですが、ご覧のとおり兵庫県内では、その全域において店舗型性風俗の営業がほぼ禁止されており、ごく一部のみ(ラブホテル、アダルトショップ等)が極めて制限された地域において営業することが認められている程度にとどまっています。

他府県においてもこれとほぼ同様の規制が設けられているため、新たに店舗型性風俗営業を開業することは、全国的に見てもほぼ不可能に近いというのが実情です。このような背景からも、現在では店舗を構える必要がないデリヘルでの開業が、性風俗産業の主流となっています。

兵庫県における無店舗型性風俗特殊営業

デリヘル開業の手続き

無店舗型性風俗特殊営業(デリヘル)の営業を開始しようとする者は、営業開始のおおむね10日前までに、(事務所の所在地を管轄する警察署の生活安全課を経由して)都道府県公安委員会に対して無店舗型性風俗特殊営業開始届を提出することにより届出を行う必要があります。

★届出事項
  • 氏名又は名称及び住所、法人にあっては代表者の氏名
  • 広告又は宣伝をする場合に営業を示すものとして使用する呼称(呼称が2以上ある場合はそれら全部の呼称)
  • 事務所の所在地
  • 無店舗型性風俗特殊営業の種別
  • 客の依頼を受ける方法
  • 客の依頼を受けるための電話番号その他の連絡先
  • 受付所又は待機所を設ける場合にはその旨及びこれらの所在地

事務所

店舗は設けていなくとも、客からの連絡を受けたり、キャストや帳簿の管理を行う施設は必要不可欠です。このため届出義務者は営業の本拠となるべき事務所をあらかじめ定める必要があります。 なお、事務所に「管理者」を配置する義務(人的要件)や、特定の場所でしか営業することができないといった条件(場所的要件)は特に定められていません。自宅を事務所として使用することも可能ですが、使用する建物が賃貸借物件である場合は、登記簿上の所有者から使用承諾書を取得する必要があります。(これが実は最難関!)

待機所

必須の施設ではありませんが、キャストを待機させる待機所を設置することも可能です。事務所に併設することができるほか、事務所とは異なる場所に設置することもできます。待機所についても人的要件や場所的要件は設けられていませんが、賃貸借物件の場合には登記簿上の所有者の方から使用承諾書を取得する必要があります。(やはりここが最難関!)

また、後述する受付所とは性質が異なるものであり、実質的に受付所として使用するための規制逃れの方法として待機所を利用することは認められていないため十分にご注意ください。

受付所

受付所とは、サービスを提供する施設ではなく、客がキャストを指名したり、料金を支払ったりするために設置する施設です。外見上店舗型の性風俗営業とは見分けがつきにくいことから、受付所を設置して営業を行うことは事実上ほぼ不可能であるものと考えて差し支えありません。

営業時間

無店舗である以上、行政機関が営業時間の実態を把握することが現実的ではないため、デリヘルの営業時間について制限は設けられておらず、風俗営業では禁止されている深夜営業(0時から翌朝6時)を行うことも可能とされています。

届出確認書

届出が受理されると、都道府県公安委員会(所轄警察署)から届出確認書が交付されますが、当日交付してくれる署もあれば、1〜2週間程度で交付する署もあります。届出確認書が交付されたからといってすぐに営業を開始することができるわけではなく、届出後10日を経過するまで営業を開始することができません。

また、届出確認書は事務所に掲示する必要があるほか、これを広告宣伝や求人活動の際に提示することが義務付けられています。

開業後の展望

開業に関する規制や新規参入のハードルは、店舗型の性風俗営業と比べても圧倒的に緩いのは間違いありません。だからといって安易に開業を志すのではなく、風営法を中心とする周辺知識をしっかり仕入れ、資金面やキャストへの待遇などもしっかりシュミレートしながら準備を進めましょう。

また、風俗産業については世間からも厳しい目が向けられているのが現状です。法人であれば、新たに口座が作ることが困難になったり、融資や補助金を受けることが制限されたりといったことも十分に思料すべき点です。

なお、デリヘルに関する規制は今後より厳格化することが容易に予見されています。しっかりとシュミレートした上で、なるべく早めに計画を進めるようにしましょう。

まとめ

お伝えしているように、性風俗産業に対する行政官庁の目は厳しく、世間一般においても、腫れ物扱いされがちな業種であることは間違いありません。違法行為はもってのほかですが、法令上の要請をすべて満たす営業については立派なビジネスとして成立しています。実際に摘発事例も増えていますので、まずは必要な手続きをしっかりとクリアした上で適切な営業を行うことを心がけるようにしましょう。

弊所では、兵庫大阪京都に加え、関西圏全域において性風俗関連特殊営業の代行を承っています。事前調査から、書類作成、関係各所とのやり取り及び書類提出に至るまで、しっかりまるっとフルサポートさせていただいています。また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。東京都における手続きを代行した実績もあることから、遠方におけるサポートも可能です。女性用性風俗はじめ性風俗関連特殊営業の手続きについてお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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