探偵になるには?探偵業・興信所開業への道│探偵業の届出(許可)について

探偵のイメージイラスト

探偵カッコイイ!でもどうしたらなれるの?

こんなことを考えたことはありませんか?

幼少期には江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」の世界観に浸り、子どものくせに「火曜サスペンス劇場」や「土曜ワイド劇場」を見漁って、現在も愚息くんと一緒にメガネの小学生が爆発に巻き込まれるアニメ映画を毎年欠かさずにチェックするほど探偵物が大好きな私は、幾度となくそんな妄想を思い描いてきました。

結局探偵になることはありませんでしたが、皮肉にも行政書士になることで間接的に探偵業に携わる機会が増えました。(令和6年2月に探偵業の届出を行ったため、現在は探偵業としても活動しています。)

小説やアニメの世界では抜群の知名度を誇る探偵業ですが、実社会における探偵がいかなるものなのかについては、案外知られていないように思われます。

そこで本稿では、探偵業に関心のある皆さまに向けて、探偵業務の内容や、開業の際に必要となる手続きについて、掘り下げて解説していきたいと思います。

探偵とは

まず知っていただきたいのが、探偵業については、ちゃんと探偵業の業務の適正化に関する法律(以下、探偵業法)という法律が存在しているという点です。

平成18年に成立施行された比較的新しい法律ですが、その中で「探偵業務」について、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務と定義しています。(探偵業法第2条第1項)

探偵業務とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

(探偵業法第2条第1項)

上記の定義にのっとれば、以下の条件(依頼の有無、目的、方法及び業務内容)をすべて満たすものが探偵業務に該当します。

  • 他人の依頼を受けて(依頼の有無)
  • 特定人の所在又は行動についての情報を収集することを目的として(目的)
  • 面接による聞込み、尾行、張込みその他に類する方法により(方法)
  • 実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務(業務内容)

何か想像と違う。

メガネをかけたちびっ子名探偵や、眠りの何とさんを探偵のイメージとしている方は、恐らくこのように感じるはずですが、実社会における探偵事務所は、「興信所」と表現した方が、一般には伝わりやすいように思います。

なお、あくまでも「特定人」に対する情報収集が業務とされているため、たとえば迷い猫ちゃんやインコ君の捜索は、探偵業務には含まれておらず、したがって、特に手続きを必要とすることなく、誰でも自由に営業することができます。

また、探偵業務を反復継続する事業として行うものを「探偵業」といいますが、探偵業をはじめにようとする者は、営業所の所在地を管轄する警察署に対して届出を行う必要があります。(後述)

ただし、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関の依頼を受け、その報道の用に供する目的をもって行われるものについては除外されていることから、報道機関に情報提供することを目的とする事業は、探偵業には該当しないことになります。

探偵業とは、探偵業務を行う営業をいう。ただし、専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。)の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものを除く。

(探偵業法第2条第2項)

探偵業者の権限

探偵業の届出をしたからといって、何か特別な権限が与えられるわけではありません。捜査権や逮捕権といった警察権は当然与えられておらず、盗聴、不法侵入又は人を欺(あざむ)く行為等の違法行為も認められません。

これは探偵業者自らが違法行為を禁じられているのはもちろんのこと、依頼者から違法行為をしないことを約する書面を差し入れてもらい、依頼者が調査内容に基づいて違法行為をしないようにも目を光らせる必要があります。さらに調査内容が違法行為に利用されることを知ったときは、その業務を受任することはできません。

聞いてますか、ちびっ子メガネ君。いや、眠りの何とかさんの方か。

探偵業者等は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。

探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、依頼者から、探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければならない。

調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、探偵業務を行ってはならない。

(探偵業法第6、7、9条)

探偵になるための資格

探偵業を始めるための特別な資格、学歴及び実務経験は不要ですが、多くの許可業種と同様に、その職種に就くことが出来ない欠格要件が定められており、以下のいずれかに該当する場合は、探偵業を営むことはできません。

  1. 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  3. 最近5年間に営業停止命令・営業廃止命令に違反した者
  4. 暴力団対策法に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  5. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が欠格要件に該当するもの
  6. 法人でその役員のうちに欠格要件に該当する者があるもの

探偵業の届出

探偵業を営もうとする者は、営業を開始しようとする日の前日までに、営業所の所在地を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会に対し、探偵業開始の届出をしなければなりません。

また、届出事項に変更があったとき又は探偵業を廃止したときは、変更等があった日から10日以内に、その旨の届出をしなければなりません。

これらの届出は、営業所ごとに行う必要があり、例えば兵庫県と大阪府に営業所を設置する場合には、兵庫県と大阪府の両方の都道府県公安委員会に対して、届出をする必要があります。

必要となる書類

  • 探偵業開始届出書
  • 住民票の写し
  • 欠格事由に該当しないことを誓約する書面
  • 定款、役員に係る住民票の写し(法人)
  • 証明写真付の履歴書

探偵業届出証明書

届出をした者(探偵業者)には、探偵業届出証明書が交付されますが、探偵業者は、営業所の見やすい場所にこれを掲示した上で、契約を締結しようとするときは、あらかじめ依頼者に対して、探偵業届出証明書の記載事項について、書面を交付して説明を行う必要があります。

探偵に必要なもの

結局のところ、探偵業に必要な資格や学歴はなく、開業についてのハードルは低い業種であるといえます。全国に6000弱の届出探偵業者が存在していますが、この数であれば、新規開業者が割って入る余地は十分にあると思います。(開業行政書士は全国に約5万人です。)

他方、日本は某アニメ世界のように探偵業者が超法規的な権限を有することはなく、それどころか却(かえ)って厳しい制約を受ける業種であるという現実があります。開業のハードルこそ低いものの、ランニングコストがかかり、なおかつその性質上トラブルに発展しやすい業務であることから、実務は心身ともに削られる激務であることは間違いないでしょう。

以上をまとめると、探偵業に必要となるのは、資格ではなくむしろ以下のようなものであるように思います。

  • 資金力
  • ネットワーク
  • 倫理観
  • 周辺知識
  • 専門スキル

まとめ

オフィスの外観

探偵業は、開業のハードルこそ高くはないものの、色々な意味で想像以上に体力を必要とする業種であるように思います。本稿を参考にしつつ、よく検討した上でそれでも探偵がやりたい!という方はチャレンジしてください。弊所でも探偵業の新規届出を、1営業所ごとに税込み36,300円(+納付手数料3,600円)で代行するサービスを承(うけたまわ)っています。警察署とのやり取りが大変なため、その辺りが苦手な方はご検討ください。

なお、過去において探偵業者が行政書士と組んで、士業の持つ職務上請求権を悪用した戸籍の不法取得によって懲戒を受けた事案がありました。(もちろん行政書士も)

弊所はこのような不法行為には一切関わりませんので、あらかじめお見知りおきください。

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