コンセプトカフェ(コンカフェ)開業ガイド│風営法の規制と営業許可

コンセプトカフェ(コンカフェ)とは、特定のテーマや世界観を前面に打ち出すことで他店との差別化を図る飲食店の総称です。単に「変わったカフェ」というだけでなく、内装・接客・提供するサービスのすべてを一つの世界観に統一している点が特徴で、来店客はその世界観そのものを楽しみに訪れます。
この業態の原型となったのは、メイド姿の女性店員が接客するメイド喫茶ですが、そこから派生する形で、男性店員が接客する「メンズコンセプトカフェ」(メンコン)や、執事に扮してもてなす「執事カフェ」など、キャストの設定や店の雰囲気を変えたバリエーションが次々と生まれてきました。現在「コンカフェ」という言葉から多くの人がまず思い浮かべるのは、こうした接客特化型の店舗だと思われます。
一方で、コンカフェという括り自体はもっと広く使われることもあります。猫や犬と触れ合える「猫カフェ」「ドッグカフェ」のような触れ合い系、鉄道模型やアンティークに囲まれて過ごす鑑賞型、釣った魚をその場で調理してもらえるような体験型の飲食店まで、テーマ性のある飲食店全般を指してコンカフェと呼ぶケースも珍しくありません。ただし本稿では、風営法との関わりが特に深い、接客特化型のコンカフェを中心に解説していきます。
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出店に必要となる手続き

名称が「カフェ」であれ「バー」であれ「居酒屋」であれ、飲食店であることに変わりはないので、いずれの形態であっても飲食店営業許可を取得することが前提となります。
さらに重要になるのが、「どのようなコンセプトで、どのようなサービスを、どの程度提供するのか」という点です。同じ「カフェ」という看板であっても、たとえば猫を扱う店であれば動物取扱業の登録が別途必要になるなど、コンセプトの内容次第で必要な手続きは大きく変わってきます。
そして接客特化型のコンカフェで特に問題になりやすいのが、本来であれば風俗営業許可を取得しなければならないにもかかわらず、それを怠ってしまうケースです。どのようなサービスが該当するのかは、次項以降で具体的に見ていきます。
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風俗営業との関係
「風俗営業」と聞くと、多くの方はアダルトな雰囲気のいわゆるピンク系の店をイメージされるかもしれません。しかし風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)が規定する「風俗営業」は、以下の5つの営業形態として定義されており、世間一般のイメージとは異なる取り扱いがなされています。
| 1号営業 | キャバレー、待合、料理店、カフェその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業 | キャバクラ、ラウンジ、ホストクラブ |
| 2号営業 | 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計った営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの | 低照度飲食店 |
| 3号営業 | 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5㎡以下である客席を設けて営むもの | 区画席飲食店 |
| 4号営業 | まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業 | 雀荘、ぱちんこ店 |
| 5号営業 | スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業 | ゲームセンター、アミューズメント施設 |
コンカフェがこれらのいずれかに該当する、あるいは該当するサービスを部分的にでも提供している場合、営業所所在地の都道府県公安委員会(警察)から許可を受ける必要が生じます。名目上は「カフェ」であっても、この判断は名称ではなく実際のサービス内容に基づいて行われます。
なかでも特に注意を要するのが1号営業との兼ね合いです。実際の摘発事例を見ても、その大半は「1号営業の許可を取得しないまま営業を行っていた」というものであり、コンカフェを開業するうえで最初に押さえておくべき論点だと言えます。
接待について
風営法において「1号営業」とは、「キャバレー、待合、料理店、カフェその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」とされています。ここで焦点になるのが、店内で「接待」に当たる行為が実際に行われているかどうかです。
風営法上の「接待」は、日常的にイメージされる接客とは少し性質が異なります。警察庁の解釈運用基準では、接待を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義しており、特定の客又は客のグループに対して、単なる飲食提供に通常伴う役務の範囲を超える会話やサービスを行うことを指すとされています。
具体的には、次のような行為が「接待」に位置づけられ、これらを提供する場合には1号営業の許可が必要になります。
ご自身が携わる、あるいはこれから携わろうとしているコンカフェに、こうしたサービスが組み込まれていないか、一度具体的に照らし合わせてみてください。当てはまるものがあれば、早めに許可取得へ動き出す必要があります。
| 談笑・お酌 | 特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為 |
| 踊り等 | 特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、歌舞音曲、ダンス、ショウ等を見せ、又は聞かせる行為 |
| 歌唱等 | 特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくはほめはやす行為 |
| 客と一緒に歌う行為 | |
| 遊戯等 | 客とともに、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為 |
| ボディタッチ | 客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為 |
| 飲食物の提供 | 客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為 |
一方、同じ解釈運用基準では、「接待」には当たらない行為も例示されています。お酌や水割りを作った後に速やかにその場を立ち去る行為、客の後方やカウンター内で注文に応じて酒類等を提供するだけの行為、社交儀礼上の挨拶や若干の世間話をする程度の行為などがこれに含まれます。
このほか、ディナーショウのように不特定多数の客へ同時にショーを見せる行為、客の近くに位置せず不特定の客に歌唱を勧める行為、客一人または客同士だけで遊戯・ゲーム・競技を行わせる行為も、接待には当たらないとされています。社交儀礼上の握手や、酔客の介抱に必要な限度での接触、荷物・コートを預かる行為、飲食物の運搬や食器の片付けなども同様です。
これらはいずれも「接待」というより、一般的な「接客」の範囲に収まる行為です。物足りなさを感じるかもしれませんが、この範囲内でコンカフェを運営すること自体は十分に可能です。風俗営業として運営するか、風俗営業に該当しない形で運営するか、それぞれの得失を踏まえたうえで営業方針を固める必要があります。
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深夜酒類提供飲食店営業について
接待を行わない方針でコンカフェを運営する場合でも、深夜0時以降に酒類を提供するのであれば、別途「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が必要になります。これは許可制ではなく届出制ですが、営業を開始する10日前までに所轄警察署へ提出する義務があり、怠れば行政指導や罰則の対象になり得ます。
ここで意識しておくべきなのは、風俗営業(1号営業)と深夜酒類提供飲食店営業は同時に成立しない関係にあるという点です。風俗営業は深夜0時以降の営業自体が禁止されているため、「接待をしながら深夜まで営業する」という組み合わせは制度上そもそも実現できません。深夜帯まで営業したいコンカフェであれば、接待に当たる行為を提供しない設計にしたうえで、この届出だけで済ませる方が現実的な選択になります。
逆に言えば、深夜帯の集客を重視するあまり、接待に該当するサービスをなし崩し的に提供してしまうと、風俗営業の無許可営業と深夜営業の二重の問題を同時に抱えることになります。営業時間帯とサービス内容は、開業前の段階でセットで設計しておく必要があります。
その他の注意点
コンカフェが風営法上引っかかりやすいのは1号営業だけではありません。店内の照明を落として世界観を演出する店舗では、意図せず2号営業(照度10ルクス以下の低照度飲食店)に該当してしまうことがあります。ムード作りのための照明演出は、接待の有無にかかわらず単独で規制対象になり得る点に注意が必要です。
また、区切られた客席の広さが5㎡以下であって、他から見通しにくい構造になっている個室型のコンカフェについては、3号営業(区画席飲食店)に該当する可能性があります。プライベート感を演出するための個室化が、そのまま許可要件に直結してしまうケースです。
さらに、ダーツやビリヤード、クレーンゲームといったアミューズメント要素を取り入れたコンカフェも珍しくありませんが、設置する遊技設備の種類によっては5号営業(ゲームセンター等営業)に該当することがあります。カードゲームやルーレットを使った演出を取り入れる場合も同様で、規制対象となる設備かどうかは事前に確認しておく必要があります。
このように、コンカフェは接客・照明・個室・遊技設備といった要素それぞれに、別々の風俗営業類型が絡んでくる可能性がある業態です。ひとつの要素だけをクリアしていても、他の要素で規制に触れてしまうことがあるため、これから出店を検討している方は、所轄警察署、または風営法に精通した行政書士に事前相談することを強くおすすめします。
摘発事例と無許可営業のリスク
ここまで解説してきた許可・届出の要件は、あくまで制度上の建前です。実際にどのような形で摘発が起きているのかを見ると、「接待をしているという自覚がなかった」「行政指導を受けていたが対応しなかった」というケースが目立ちます。
特に近年は改正風営法の施行により、無許可営業に対する罰則が個人・法人ともに大幅に引き上げられており、実際に施行直後から全国初の摘発事例が相次いでいます。「うちは接待をしていないはず」という思い込みだけで判断せず、実際の摘発がどのような経緯で起きているのかを知っておくことは、開業前・開業後を問わず有効なリスク対策になります。
コンカフェ・ガールズバーの摘発事例を時系列で整理した記事を別途用意していますので、実際にどのような経緯で摘発に至ったのか、具体的な事例を確認したい方はあわせてご覧ください。
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コンカフェ開業サポート
弊所は兵庫県・大阪府・京都府を中心に、年間300件以上の申請に携わります。最近は首都圏・四国圏・東海圏・九州圏・東北圏からも発注があり、着々と業務対応区域を拡大しています。コンカフェをはじめとする社交飲食店営業の許可申請には特に強く、携わる飲食店は年間3桁を数えます。
セールスポイントは「話しの分かる行政書士事務所」というモットーであり、低コスト高スピードの申請代行と、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には自信があります。近年は扱いやすい見積もりサイトが参入していますが、弊所ではこれらとの相見積りにも応じています。コンセプトカフェ開業に関する手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
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