猫カフェはじめませんか?動物系飲食店開店ガイド
あなたは犬派ですか?猫派ですか?
この質問が、きのこの山たけのこの里論争と並ぶ、国民を二分する論争の種であることは間違いありません。愛くるしい犬猫の仕草に癒やしを求める人は多く、また、どちらの派閥に属するのかによって性格診断を行う書籍やサイトも存在するくらい、ある意味で国民性にマッチしたテーマであるように思います。かくいう私はというと、「やや猫派」を自認しています。そしてたけのこの里派。
さて、日本においては2000年代中期より見かける機会が増えた「猫カフェ」ですが、このタイプのお店を開業する際に必要となる資格や手続きについては、案外知られていないのが実情のように思います。
そこで本稿では、「気にはなっているけれどそういえばどうなってるの?」という皆さまの疑問にお応えするために、「猫カフェ」に代表される動物系飲食店にまつわる資格や手続きについて解説していきたいと思います。
目 次
カフェの開業に必要な資格
動物の取扱いと飲食店の営業は、どちらも公衆衛生上の条件を満たして運営する必要があるため、誰でも自由に開業することができるわけではありません。
反復継続して動物を取り扱う事業は動物取扱業に該当し、カフェの運営は調理業に該当します。これらの営業をはじめようとするときは、それぞれ「動物取扱業」の登録と、「飲食店営業」の許可が必要になります。
また、動物取扱業の営業所には動物取扱責任者、調理業の営業所には食品衛生責任者等の有資格者を選任する必要があり、事実上これらの資格が、動物系飲食店を開業する際に必要となる資格となります。
動物取扱業とは
動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)では、「動物の販売(取次又は代理を含む)、保管、貸出、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む)その他政令で定める取扱いを業として行うこと」を動物取扱業と定義しています。
猫カフェのように、動物と触れ合う場を提供する営業は、まさに動物取扱業に該当し、都道府県知事の登録を受けなければ、これを反復継続して行うことはできません。
なお、ここでいう「動物」とは、哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものを指し、畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定める用途に供するために飼養又は保管しているものは除かれていることから、魚類、両生類、及び試験研究用のマウスなどを取り扱う事業については、動物取扱業の対象から除外されています。
動物取扱業の種別と事業内容
動物取扱業は、事業内容を問わず、営利事業であるか非営利事業であるかの違いにより、「第一種」と「第二種」に区分されています。
第一種動物取扱業 | 営利事業 | 登録が必要 |
第二種動物取扱業 | 非営利事業 | 届出が必要 |
事業内容の区分と詳細については以下のとおりですが、一定の頻度又は取扱量をもって行為を行っていることが事業性の要件であるため、例えば一度や二度、飼育している子犬や子猫を販売する程度であれば、動物取扱業には該当しません。また、インターネット等を利用した代理販売業者や訪問ペットシッターなどのように、動物又はその飼養施設を持っていない場合であっても、これを反復継続して行うときは登録の対象となります。
販売 | 動物の小売及び卸売り並びにそれらを目的とした繁殖又は輸出入を行う業 | 小売業者 卸売業者 販売目的の繁殖又は輸入を行う業者 |
保管 | 保管を目的に顧客の動物を預かる業 | ペットホテル 美容業(動物を預かる場合) ペットシッター |
貸出 | 愛玩、撮影、繁殖その他の目的で動物を貸出す業 | ペットレンタル業 映画等のタレント・モデル・繁殖用等の動物派遣業 |
訓練 | 顧客の動物を預かり訓練を行う業 | 動物の訓練・調教業者 出張訓練業者 |
展示 | 動物を見せる業(動物とのふれあいの提供を含む) | 動物園 水族館 動物サーカス 乗馬施設 アニマルセラピー業者 |
競りあっせん | 動物の売買をしようとする者のあっせんを会場を設けて競りの方法で行う業 | オークション会場 |
譲受飼養 | 有償で動物を譲り受けてその飼養を行う業 | 老犬・老猫ホーム |
猫カフェの営業形態として、一般的に想定されているのは「展示」ですが、昨今流行している里親を募集するタイプの「保護猫カフェ」では、顧客から預かった猫を保管して里親を探す営業形態であることから、「展示」のほかに「保管」の種別を登録する必要があります。
登録すべき種別がよく分からないというケースも多いので、この辺りの具体的判断については、所轄の保健所等にしっかりと確認するようにしてください。
動物取扱業の登録
動物取扱業を営むためには、前記した事業内容の種別ごとに、都道府県知事の許可を受けることになりますが、営業予定地を管轄する保健所に対して申請を行い、都道府県知事(政令市にあってはその長)の登録を受ける必要があります。
登録の有効期間は5年間とされており、5年経過後も引き続き営業を継続しようとするときは、登録を更新する必要があります。
登録の基準・要件
動物取扱業の登録を受けるためには、事業所ごとに、専属かつ常勤の「動物取扱責任者」を1名以上配置する必要があるほか、設備等の基準が設けられているなど、多くの条件をクリアすることが求められているため、開業準備の際は、事前に必ず確認するようにしてください。
動物取扱責任者
選任する動物取扱責任者は、以下のいずれかの要件に該当する者のうちから選任する必要があります。
- 営もうとする動物取扱業の種別ごとに半年以上の実務経験があること
- 営もうとする動物取扱業の種別に係わる知識及び技術について1年間以上教育する学校法人その他の教育機関を卒業していること
- 公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること
なお、動物取扱責任者は、動物取扱責任者研修を、1年に1回以上受ける義務があります。
特定動物の飼養・保管
特定動物とは、人の生命、特定動物とは、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令により定められている動物をいいます。(ライオン、象、ニホンザル等)
特定動物に該当する動物を飼養又は保管することは、原則として禁止されていますが、特定の目的をもって、許可を受けて飼養又は保管をする場合に限り、例外的に飼養又は保管を行うことが認められます。
必要となる設備
第一種動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、取り扱う動物の管理の方法等に関し、環境省令で定める基準を遵守しなければならないものとされています。
そもそも必要となる設備は、猫が快適に生活するためのものです。顧客として集まった猫好きも厳しい目でチェックしていることでしょうし、法定の基準を満たすだけではなく、こういった点や、以下のような点を重視して物件を探すようにしましょう。
- 猫にとって適切な広さと空間を確保すること
- 猫が逃げ出さないように内装も工夫すること
- 給水・給餌器具や遊具なども用意すること
- トイレは掃除しやすい場所に設置すること
- 換気システムをしっかり設けること
- カフェとしての設備も整えること
地域や建物の構造によっては、動物取扱業を営むことができない場合もあるため、オープンを予定している地域が決まったら、その地域の保健所に事前に相談するようにしてください。
営業時間
動物取扱業の営業時間は、原則として1日12時間以内、かつ、午後8時までと決められています。ただし、次の3条件を満たす猫カフェについては、例外的に午後10時まで営業することが認められています。
- 生後1年以上であること
- 午後8時〜10時までの2時間で、休息できる設備に自由に移動することができること
- 1日の展示の時間が12時間以上にならないこと
飲食店営業許可
猫カフェを名乗って飲食物を提供するのであれば、カフェとして都道府県知事から飲食店営業許可を取得する必要があります。ただし、自動販売機のみを設置する店舗や、既製品の飲食物を包装したまま提供するような店舗(いわゆるイートイン)であれば、飲食店営業許可は不要です。
前記したように、飲食店は営業所ごとに食品衛生責任者を設置する必要がありますが、このほかにも、店舗の収容人数が30人を超える場合は、防火管理者を設置する必要があります。
開業に必要な資金
猫カフェを運営する上では、手続きよりも資金繰りが重要になります。動物を取り扱う事業である以上、その命は管理する人間に委ねられています。店舗や利益の維持に加え、命の保護という観点を忘れずに必要資金を試算するようにしましょう。
家賃
人にとっても猫にとっても適切な広さと空間を確保することが必要なことから、家賃については、通常のカフェよりも多めに見積もるようにしてください。
水道光熱費
夏は冷房、冬は暖房をフル稼働させることを念頭に、一般の店舗よりも多めに試算する必要があります。
設備費用
初期費用として80万〜100万円、内装工事を施工すればさらに高くなります。また、猫が設備や備品を壊してしまうことも考えられるため、最初から丈夫な物を用意するか、消耗品費用としてある程度余裕を持って試算する必要があります。
人件費
猫の世話から接客までを完全に1人でこなすのは厳しいように思われるため、フルタイムの従業員1人あたり月20万〜25万円の給与の支払いを念頭に置いて試算してください。
猫に関する費用
猫を新たに購入する場合は、1匹あたり15〜20万円の費用がかかります。5匹購入することを仮定すれば、試算額は75万円〜100万円となります。
エサ代
1匹あたり、最低でも月2000〜3000円ほどを見積もりましょう。5匹飼育すると仮定すれば、試算額は1か月あたり1〜1.5万となります。
保険医療費
命の保護という観点を捉えると、保険医療費も欠かせない出費になります。一般的に動物の医療費は高額なため、1匹あたりざっくりと月1〜2万円を想定するようにしましょう。
宣伝広告費
販促ツールとしてインターネットの利用は欠かせません。サイトを自分で作成して運用するのであれば費用は抑えられますが、外注すると最低でも20万円は必要になります。
飲食物の仕入れ費用
提供するメニューによりますが、軽食であっても、最低月15〜20万円の出費を想定するようにしましょう。
まとめ
動物に癒やしを求める方であれば、猫カフェをはじめとする動物取扱業は魅力的な事業に映るかもしれません。他方、動物取扱業が命を取り扱う事業であることは間違いなく、軽い気持ちで手をつけるのではなく、資金調達方法も含め、しっかりと経営計画を練って取り組むようにしてください。
弊所では、兵庫大阪府京都の全域において、猫カフェ開業手続きの代行を承(うけたまわ)っています。事前調査から書類作成、役所との協議及び実地検査の立会いに至るまで、しっかりまるっとサポートさせていただきます。下記の報酬は概算額ですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。猫カフェ及び動物取扱業開業の手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
第一種動物取扱業登録申請 | 77,000円 |
飲食店営業許可申請 | 38,500円 |
猫カフェ開業支援 (フルサポート) | 99,000円 |
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