ホストクラブ・メンキャバ・メンコン開業ガイド|営業許可取得と改正風営法対応のポイント

シャンパンタワー

大人の社交場には様々な業態がありますが、接待を提供する飲食店は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)における「風俗営業」(社交飲食店営業:1号営業)に該当し、一般の飲食店営業許可とは別に公安委員会の許可を取得する必要があります。ホストクラブはその代表格であり、華やかな夜の世界を彩る一方で、警察による監理監督の対象となる業種でもあります。

風俗営業許可そのものの基礎知識(用途地域、保全対象施設、構造要件、欠格事由、必要書類など)は、姉妹記事「社交飲食店の新規開業と手続きの進め方」で詳しく解説していますので、まずはそちらをご覧ください。

本稿では、その内容を前提としつつ、直近の取締り動向、令和7年改正風営法がホスト営業に与える影響、売掛金・スカウトバック問題への対応など、ホストクラブ・メンズキャバクラ・メンズコンカフェ特有の論点に絞って解説します。

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営業スタイルごとの許可要否

同じ「男性キャストが女性客を接客する」業態でも、風俗営業許可の要否は営業内容によって分かれます。

ホストクラブ

お酌、談笑、デュエットへの合いの手など、風営法上の「接待」を前提とした業態であるため、原則としてすべて風俗営業(1号営業)の許可が必要になります。

メンズキャバクラ(メンキャバ)

実態としてホストクラブと同様に接待を伴うことがほとんどで、取扱いもホストクラブに準じます。「隣に座って会話するだけだから接待ではない」といった整理は通用しません。

メンズコンセプトカフェ(メンコン)

ここが一番判断が分かれるところです。接待に当たる行為(お酌、身体的接触を伴う密着した接客、特定のお客に対する継続的な会話サービスなど)を行わず、あくまでカフェ形式で飲食を提供するだけであれば、風俗営業許可は不要で、通常の飲食店営業許可のみで営業できます。

ただし、メニュー上は「カフェ」でも、実態として接待に相当するサービスを提供していれば、無許可の風俗営業とみなされるリスクがあります。近年はこの「実質メンキャバ型メンコン」への摘発事例も出てきており、店舗コンセプトと実際の接客内容が一致しているかどうかは、開業前に必ず確認しておくべきポイントです。判断が微妙なケースでは、所轄警察署の生活安全課に事前相談することをお勧めします。

営業形態手続き営業時間接待
お酒メインの飲食店(深夜営業なし)飲食店営業許可のみ0〜6時は営業不可
お酒メインの飲食店(深夜営業あり)飲食店営業許可

深夜営業の届出
一日中
接待を伴う飲食店飲食店営業許可

風営営業の許可
0〜6時は営業不可
食事メインの飲食店飲食店営業許可のみ一日中

男性接客業に対する取締りの現況

令和7年6月28日の改正風営法施行以降、東京都を中心に摘発事案が相次いでいます。摘発理由の大半は無許可営業ですが、施行直後からこれだけ動きが速いということは、警察庁がこの分野の取締りに本腰を入れている表れと見てよいでしょう。ホストクラブだけでなく、メンキャバや「実質接待あり」のメンコンも取締り対象に含まれており、業態名を変えれば規制を免れられるわけではありません。

色恋営業の禁止

疑似恋愛感情に付け込んで来店や飲食・物品購入を促す営業手法が明確に禁止対象となりました。従来、疑似恋愛を求める客層をメインターゲットにしてきた業態にとっては、接客トークやキャストへの指導内容そのものを見直す必要が出てきます。「好きだから来て」「本命だから買って」といった営業トークは、今後は違反リスクを直接抱える行為になります。

広告・宣伝の規制強化

SNS投稿やスカウト経由の集客手法にも新たな制限がかかりました。キャストの投稿内容、ホームページの表現、看板・チラシの記載についても、規制の範囲内かどうかを開業前にチェックしておく必要があります。

これらは許可取得後も継続的に守るべき事項であり、違反すれば許可取消しや刑事責任のリスクに直結します。開業時点でマニュアル・トーク例・広告表現をあらかじめ改正法準拠の形にしておくことをお勧めします。

手続きの流れ

社交飲食店を営業しようとするときは、営業所を管轄する警察署に申請し、都道府県公安委員会から風俗営業の許可を受ける必要があります。申請内容や所轄警察署により取扱いに若干の差異はありますが、大まかな申請の手順については以下の流れとなります。

なお、飲食店営業許可のない物件では、風俗営業の申請自体を受け付けてもらえないので、開業スケジュールを組む際は最初にここを押さえてください。

  1. 用途地域の確認と近隣の保全対象施設の調査
  2. 飲食店営業許可の取得
  3. 営業所の構造・設備の確認と測量
  4. 必要書類の収集と作成
  5. 許可申請
  6. 警察による立入検査
  7. 営業許可(申請から約2か月)
  8. 営業開始(許可前営業は違法です

実査では図面と実際の店舗構造の整合性が厳しくチェックされ、補正はほぼ定番の工程です。手慣れた行政書士であれば当初から補正込みでスケジュールを組むため、積極的な活用をお勧めします。

許可の要件

立地・構造・欠格事由・必要書類の詳細な数値要件や一覧は、姉妹記事「社交飲食店の新規開業と手続きの進め方」にまとめています。ここでは押さえておくべき要点だけ挙げます。

居抜き物件は、前テナントが同業であったとしても、許可取得後近隣に保全対象施設ができていたり、そもそも無許可であった可能性もあるため、契約前に必ず所轄警察署へ事前相談してください。

要件区分要点
立地要件商業地域・近隣商業地域・準工業地域など限られた用途地域内であること。病院・学校等の保全対象施設から一定距離(例:大阪府では商業地域外100m超、商業地域内50m超)離れていること。
構造要件客室面積16.5㎡(和室9.5㎡)以上(個室ありの場合)。外部から見通せない客室。高さ1m以上の見通しを妨げる設備を置かないこと。客室出入口の施錠不可。照度5ルクス超を常時維持すること。
欠格要件破産者(復権前)、一定の前科がある者、暴力団関係者、薬物中毒者、未成年者などは申請者・役員・管理者になれない。
必要書類許可申請書、各種誓約書、使用権原証明書類、各種図面一式、飲食店営業許可証の写しなど。
管理者の選任

風俗営業には、営業所ごとに「管理者」を選任することが義務付けられています。管理者は名前だけの形式的な存在ではなく、実質的に営業所の風営法遵守を管理する立場です。営業所に常駐できる体制であること、欠格要件に該当しないことが求められます。

管理者が不在のまま営業を続けたり、名義だけ立てるような運用は、それ自体が指導・処分の対象になり得ます。オーナーがそのまま管理者を兼ねるケースも多いですが、講習受講のタイミングは開業スケジュールに組み込んでおく必要があります。

売掛金トラブルとスカウトバック規制

高額な利用料金の売掛けを背景に、返済目的で性風俗店への紹介に追い込まれるという被害が社会問題化しています。消費生活センターや女性相談支援センターへの相談も後を絶ちません。ホストクラブだけでなく、メンキャバでも同様の売掛金トラブルは起こり得る構造です。これを受け、改正風営法では以下の行為が明確に禁止されました。

  • 料金についての虚偽説明、客の恋愛感情等に付け込んだ飲食・購入の勧誘(色恋営業の一類型)
  • キャストがスカウトに性風俗店への紹介を依頼し、紹介料(スカウトバック)を受け取る仕組み

単なるコンプライアンス上の建前ではなく、刑事事件化した実例もある領域です。売掛金の運用ルール、与信管理の基準、スカウト経由の集客ルートについて、開業前の段階で一度整理しておくことを強くお勧めします。

営業者が遵守すべき事項

たとえ無事に風俗営業許可を取得した後も、風俗営業者には一貫して遵守すべき義務があり、これに違反した状態で運営を継続することはできません。また、法令以外にも各自治体の条例に服することになるためご注意ください。

ホストクラブ開業サポート

風俗営業許可申請は、必要書類が非常に多く、場所や設備の確認といった事前調査の必要性もあることから、手続きには相当な負担が強いられます。都道府県ごとに条例や運用方法の違いも存在するため、風営法に精通していなければ、たとえ行政書士であったとしても大変な作業となることは間違いありません。

弊所は風俗営業の手続きに関与する機会が多く、ホストクラブ・メンキャバ・メンコン等の開業についても、関西圏はもちろんのこと、全国各地で申請を代行した実績を有します。

そのため、ご依頼をいただいた際は、面倒な事前調査から、警察署との協議、書類の作成と収集、実査の立会いに至るまでを含めて、しっかりまるっと迅速にサポートさせていただいています。

また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。ホストクラブの営業許可取得でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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