参加料徴収型ゲーム大会開催のためのガイドライン

PCゲームの大会

昨今は家庭用ゲーム機やアーケードゲーム機の進化発展が目覚ましく、またeスポーツの隆盛も相まって、ゲームはかつての子どもの遊びという枠を超え、一大アミューズメント産業として世界的な広がりを見せています。

ゲームタイトルを用いての競技大会も盛況で、大会参加者から参加料を徴収するシステムを採用した参加料徴収型ゲーム大会が全国各地で開催されています。

他方、少し詳しい人であればご存じでしょうが、ゲームセンターは風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)第2条第1項第5号において風俗営業として取り扱われており、この参加料徴収型ゲーム大会がまさに風俗営業(ゲームセンター等営業)に該当するのではないかという問題が生じます。

この点については、日本eスポーツ連合(JeSU)が警察庁との協議を経て「JeSU参加料徴収型大会ガイドライン」を制定しており、これを遵守する限りにおいては、参加料徴収型の大会がゲームセンター等営業に該当しないことを明確にしています。

参加料徴収型大会の範囲

ガイドラインでは、ゲームタイトルを用いて行われる競技大会のうち、会場施設(オフライン)で行われるものにおいて参加者から所定の参加料を徴収するものを参加料徴収型大会として定義しています。

なお、通信可能なパソコン、スマートフォン、タブレット等の汎用性のある機器は、これらの機器がゲーム以外の機能を現実に利用可能な状態で提供されている限り、風営法で定める遊技設備には該当しないことから、このような提供形態でこれらの機器のみを用いて開催される競技大会については、参加料の徴収の有無にかかわらず、そもそもゲームセンター等営業には該当しません。

参加料の徴収

参加料は大会設営費用の一部を負担させることを目的とするものであり、このことを明確にするためにも、大会主催者は、各参加者から徴収する参加料を、大会を開催するための会場使用料その他大会の設営に要する費用(大会設営費用)にのみ充当するものとされています。

また、参加料の金額を設定するにあたっては、会場の広さや大会進行のスケジュール等を加味し、同種同規模の大会の参加者人数を参考にして算出した最大参加者数をあらかじめ設定することとし、実際の参加者がこれを上回らないように実施する必要があります。

このため、万が一徴収された参加料の合計額が大会設営に要した実費を超過した場合には、超過額を各参加者に還元するなど、最終的に参加料の合計額が大会設営に要した実費を超過しないような措置を採ることが望ましいものとされています。

ただし、協賛金、広告収入、大会に参加しない来場者(観客)から徴収する観戦料・チケット代、物販等の収益その他大会におけるゲームプレイと直接関係しない収益を加味した結果として、大会収支が全体として黒字になることは問題ありません。

参加料の設定

大会設営費用には会場使用料のほか、参加者に負担させることが適当な費用が含まれるものとし、大会設営費用の算定にあたっては、以下の点に留意する必要があります。

  • 参加料は1選手1大会当たりの固定額とし、参加料を追加で支払うことによって大会に再度参加できる権利を付与するような方式を取ることは認められない
  • 複数ゲームタイトルの大会が同一会場において行われる場合において、出場する大会のタイトル数に応じて異なる金額の参加料を徴収することは差し支えない
  • 参加料は、その趣旨を踏まえて、原則として全選手が公平に負担することを要する
  • スポンサーのサービス利用者に(景品表示法その他法令に適合する範囲で)一律に参加料の割引を行うことや、大会の趣旨に応じて招待選手その他一定の選手が負担する参加料の全部又は一部を免除することは差し支えない

なお、大会主催者は、徴収された参加料が大会設営費用の一部に充当されることを参加者向けの募集要項において明示した上で、参加希望者を対象とする一般の宣伝・広告、Web サイトその他大会の告知媒体においても可能な限り明示する必要があります。

★大会設営費用の内訳(例)
  • 大会の事務局の運営にかかる費用
  • 大会の参加者・観戦者の募集のための広告・宣伝費用
  • 会場使用料(会場のレンタルにかかる費用)
  • 映像・音響・照明機材の手配にかかる費用
  • 大会の配信を行うための機材の手配にかかる費用
  • 電気・回線工事にかかる費用
  • 大会ステージの進行・演出にかかる費用
  • 大会ロゴやサイトの作成に関するクリエイティブ費用
  • 実況や司会、ゲスト出演者の出演費用、交通費大会の進行スタッフの手配及び大会の進行・運営のためにかかる費用
  • ゲーム会社に対して支払う権利料(ロイヤルティ)
  • その他大会運営にあたって通常要する費用
★具体例

たとえば大会設営費用見込額が200万円、最大参加者数が1,000人の規模の大会で、スポンサーからの協賛金が100万円の場合、参加者1人当たりの参加料は2,000円(大会設営費用見込額200万円÷1,000人)を超えて設定することはできません。また、スポンサーからの協賛金については、参加料の計算に含める必要はありません。

認定(適合認証)制度

大会主催者がガイドラインに則って参加料徴収型大会を開催する場合は、大会の告知開始日の1か月前までに、日本eスポーツ連合(以下、JeSU)に対して大会の概要について所定の様式により届け出ることにより、JeSUの認定(適合認証)を求めることができます。

この届出に基づきJeSUは大会の概要を検証し、大会がガイドラインに適合するものであると認めた場合には、他の要件も加味した上で、JeSU認定参加料徴収型大会として、認定(適合認証)を付与します。

JeSU認定参加料徴収型大会又はJeSUの認定を受けることを予定している参加料徴収型大会の運営に関して、会場を所轄する警察署との間で風営法の解釈について見解の相違等が生じた場合には、大会主催者はJeSUに連絡し、対応について相談することができます。

なお、認定を付与された参加料徴収型大会に関して、届出内容の虚偽記載、ガイドラインの違反その他認定を維持することが適切ではない事由があるとJeSUが判断した場合には、この認定は取り消されます。

また、参加料徴収型ゲーム大会の開催については、JeSUが別途公表する配信ガイドライン等も参考にすることが望ましいものとされています。

その他の留意事項

JeSUのガイドラインは、あくまでも大会主催者が風営法の規制を受けずに大会を開催することを希望する場合に遵守することが望ましい事項について定められたものであり、ガイドラインに沿って行われる大会であっても、刑法、景品表示法、著作権法その他の法令の適合性については、大会主催者において別途確認する必要がある点はご注意ください。

本稿は参加料徴収型ゲーム大会を、風営法の規制を受けることなく開催するためのガイドラインについて解説したものです。弊所は風俗営業に該当するゲームセンター等営業や雀荘等の開業に必要となる風俗営業許可申請の手続きの代行を請け負う行政書士事務所です。風俗営業に関する手続きの代行については、弊所までどうぞお気軽にご相談ください♬

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