風俗営業の無許可営業における警察の内偵調査と摘発までの流れ

内偵調査のイメージ

風俗営業の許可を取得せずに営業を続けていると、ある日突然、警察による摘発を受けることがあります。これは決して他人事ではなく、実際に無許可営業で摘発を受けた事業者さまからご相談をいただくことも少なくありません。

もっとも、警察は無許可営業を把握したからといって、直ちに摘発に踏み切るわけではありません。実際には一定期間にわたり内偵調査を行い、営業実態や違反事実を確認したうえで事件化するケースが一般的です。

無許可営業を行っている店舗側から見ると、摘発は突然行われたように見えるかもしれません。しかし、その裏では警察による情報収集や証拠収集が進められていることがあります。

本稿では、風俗営業の無許可営業に対する内偵調査の概要や、摘発に至るまでの一般的な流れについて解説します。

内偵調査とは

風俗営業の無許可営業が警察に把握された場合であっても、その場で直ちに摘発されるとは限りません。刑事事件として立件するためには、無許可営業の事実を客観的な証拠によって裏付ける必要があるためです。

例えば、「本当に風俗営業に該当するのか」「許可を取得していないのか」「継続的に営業しているのか」といった点を確認するため、警察は内偵調査を行うことがあります。

内偵調査とは、対象者に気付かれない形で情報収集や証拠収集を行う調査活動をいいます。風俗営業に関する事案では、店舗の営業状況や接客内容の実態、営業時間などを確認しながら、違法営業の有無について調査が進められます。

内偵調査の具体的手法

内偵調査の具体的な方法は個別の事案によって異なるため、一概に語ることはできません。ただし、風営法を主な取扱分野とする行政書士として、実務上さまざまな情報に接する機会があります。

まず、私服警察官が客として店舗を訪れた場合であっても、その場で見抜くことは容易ではありません。後から振り返れば「あの客がそうだったのか」と思い当たることはあっても、来店時点で警察官だと判断できるケースは多くありません。

なぜなら、内偵を担当する警察官は、いわゆる「いかにも警察官」といった雰囲気の人物ではなく、サラリーマン風や大学生風など、一般客に溶け込める人物が選ばれることが多いためです。もちろん、自ら警察官であることを名乗ることはありません。

実際には、繁華街で客引きを行った相手が私服警察官であったというケースも珍しくありません。また、多くの場合において、やり取りの内容は録音や録画によって証拠化されていると考えた方がよいでしょう。

さらに、警察が実際に店舗へ足を運ぶ段階では、既に一定の情報収集が行われているケースが少なくありません。SNSやホームページの確認、第三者からの情報提供、店舗周辺の状況確認などを経たうえで、営業実態を確認するために内偵調査が行われることもあります。

警察が内偵調査で確認する事項

警察による内偵調査では、単に店舗が営業しているかどうかを確認するだけではありません。無許可営業として立件するためには、風俗営業に該当する営業が継続的に行われていることを客観的な証拠によって裏付ける必要があるためです。

例えば、従業員が特定の客の隣に座って談笑している、お酌をしている、カラオケを一緒に歌っているといった状況が確認された場合、接待行為に該当する可能性があります。警察は店内の雰囲気だけではなく、従業員と客との具体的なやり取りについても確認していると考えられます。

また、仮に一度だけ接待行為が確認されたとしても、それだけで直ちに事件化されるとは限りません。そのため、複数回にわたって店舗の状況を確認し、継続的に営業が行われているかどうかを調査するケースもあります。

さらに、営業時間について確認されることもあります。店舗のホームページやSNSでは実際より短い営業時間を掲載しているケースもありますが、警察は実際の営業状況を確認します。深夜時間帯の営業実態や客の出入り状況なども判断材料となります。

加えて、客席の配置や個室の有無、店内の利用状況などは営業実態を判断するうえで重要な資料となります。営業内容によっては、店舗構造そのものが捜査上の着眼点となることもあります。

このほか、従業員の勤務状況やSNS上での宣伝内容、料金システムなどが確認されることもあります。特にインターネット上に公開されている情報は証拠として保存される可能性があるため注意が必要です。

確認事項主な確認内容
営業内容接待行為の有無、接客状況
営業実態継続的な営業の有無
営業時間深夜営業の状況、客の出入り
店舗構造客席配置、個室の有無等
従業員勤務状況、接客内容
SNS・HP営業内容、宣伝内容、料金案内

証拠が集まった後の流れ

警察が無許可営業の事実を把握し、必要な証拠が揃った場合には事件化に向けた手続きが進められます。

もっとも、警察が違反を認識した時点で直ちに店舗へ踏み込むとは限りません。営業実態や証拠関係、関与者の状況などを踏まえながら、適切な時期を見極めたうえで捜査が進められることになります。

まず行われる可能性があるのが事情聴取です。経営者や店長、従業員などに対して営業内容や店舗運営の実態について確認が行われます。警察としては、営業がいつから行われていたのか、どのような接客が行われていたのか、許可が必要であるとの認識があったのかなどを確認することになります。

また、事案によっては捜索差押えが行われることもあります。店舗や関係先に対する捜索によって、売上資料、顧客管理資料、営業日報、スマートフォン、パソコンなどが押収されるケースもあります。近年はSNSやメッセージアプリによるやり取りも重要な証拠となるため、デジタルデータが捜査対象となることも珍しくありません。

さらに、悪質性が高いと判断された場合や証拠隠滅のおそれがある場合などには、逮捕に至るケースもあります。特に長期間にわたり無許可営業を継続していた事案や、過去に警察から指導を受けていたにもかかわらず営業を続けていた事案では厳しい対応が取られる可能性があります。

もちろん、すべての事案で逮捕が行われるわけではありません。しかし、無許可営業は風営法違反という刑事事件であり、単なる行政手続上のミスとして扱われるものではないことを理解しておく必要があります。

無許可営業を甘く見るな

「小規模な店だから大丈夫」「開業したばかりだから目を付けられていない」「摘発されるのは悪質な店舗だけだろう」と考える方もいるかもしれません。

しかし、実際には近隣住民からの苦情、元従業員や競合店からの情報提供、SNS上の投稿など、様々なきっかけによって警察が営業実態を把握するケースがあります。

また、摘発は必ずしも営業開始直後に行われるわけではありません。むしろ一定期間にわたり営業実態を確認し、十分な証拠を収集したうえで事件化されるケースも少なくありません。そのため、店舗側としては何事もなく営業できているように感じていても、実際には内偵調査が進められている可能性があります。

さらに令和7年(2025年)の風営法改正では、風営法違反に対する法定刑の引上げが行われました。従来、無許可営業に対する罰則は「2年以下の拘禁刑若しくは200万円以下の罰金又はこれらの併科」でしたが、改正後は「5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金又はこれらの併科」とされています。また、法人に対する両罰規定についても強化され、違反行為を行った者だけではなく法人側にも3億円以下という高額な罰金刑が科される可能性があります。

もちろん、すべての事案で上限いっぱいの処罰が科されるわけではありません。しかし、かつてのように「無許可営業くらいでそこまで重い処分にはならないだろう」と考えることは危険です。

風営法違反に対する社会的な目線や取締りの厳格化が進む中、無許可営業は決して軽視できるリスクではありません。

まとめ

本記事では、風俗営業の無許可営業に対して行われる内偵調査の概要と、摘発までの一般的な流れについて解説しました。無許可営業に対する取締りは、必ずしも突然行われるわけではありません。警察は営業実態や接待行為の有無、営業時間などを確認しながら証拠を収集し、十分な裏付けを得たうえで事件化を進めることがあります。

なお、本記事は警察の捜査手法を分析し、脱法行為や摘発回避の方法を解説することを目的としたものではありません。風営法を正しく理解し、適法な手続きを経たうえで適正な店舗運営を行っていただくための情報提供を目的としています。

ご自身の営業形態が風俗営業に該当するのか分からない場合や、許可の要否について不安がある場合は、営業開始後ではなく営業開始前に確認しておくことが重要です。

弊所では風俗営業許可申請をはじめ、風営法に関するご相談を承っております。風俗営業に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

キャバクラ、ラウンジ、スナック、クラブ、雀荘、パチンコ店、ゲームセンターなど、風俗営業のご相談はお気軽に♬

全国対応可能です。

平日9時〜18時、📩は24時間365日対応!

06-6415-9020 または 090-1911-1497

メールでのお問い合わせはこちら。

お問い合わせフォーム

事務所の最新情報をお届けします