インターネットカフェ開業ガイド│必要な手続きと注意点について
ひと昔前は若年層の憩いの場というイメージの強かったインターネットカフェですが、近年は中高年の客層もしっかりと取り込み、さながら都会のオアシスといった様相を呈しています。
私もアラフィフ中高年に分類される年代ですが、遠方の出張先では時間調整のために利用することも多く、ミドルユーザーとしてインターネットカフェの発展にはそれなりに貢献させていただいています。笑
繁華街を中心に大手フランチャイズの店舗が目立ちますが、最近はちらほらと非フランチャイズの事業者さまからも開業のご相談を受けることがあり、その需要はまだまだ健在といった印象です。
そこで本稿では、これからインターネットカフェの開業を検討している皆さまに向けて、開店の際に必要となる手続きや重要なポイントについて詳しく解説していきたいと思います。
飲食店営業
カフェであれサロンであれ、店内で飲食を提供する限り、それはまごうことなく飲食店です。かつては「喫茶店営業」という形態の営業も存在しましたが、令和3年6月に全面施行された改正食品衛生法により撤廃され、「飲食店営業」に統合されています。
このため、単に既製品の飲食物を提供するに過ぎない店舗であっても、基本的には営業所所在地を管轄する保健所に申請し、飲食店営業許可を取得することになります。
ここでのポイントは、①提供する飲食物の内容②施設の構造や設備③食品衛生責任者の配置です。改正食品衛生法は意外に複雑で、提供する飲食物の内容(①)によって求められる施設の構造や設備(②)が異なります。特に以下の点については、飲食店であれば必ず求められる事項なので十分に注意するようにしてください。
- 客室と厨房はしっかりと区分すること
- 厨房内のシンクは2層以上であること
- 厨房内シンクの一方の蛇口はレバー式(センサー式)にすること
★食品衛生責任者
食品衛生法では、営業所(店舗)ごとに1名以上の食品衛生責任者を配置することが義務付けられています。調理師、栄養士、製菓衛生師等の資格者がいない場合、保健所が実施する講習会を受講すれば資格を取得することができます。
深夜酒類提供飲食店営業
深夜(午前0時から午前6時)において酒類をメインに提供する営業形態であれば、「深夜酒類提供飲食店営業」として都道府県公安委員会(所轄警察署保安係が窓口)への届出も必要になります。
ただし、あくまでも「深夜において酒類をメインに提供する営業」が対象とされているため、食事やソフトドリンクの提供がメインとなる場合、この届出は必要ありません。実務上もこの届出を行っているインターネットカフェはそう多くありません。
一般的な開業手続き
個人であれば税務署に対して開業届を提出する必要があります。法人であれば、必要に応じて、社会保険(健康保険・厚生年金保険・介護保険)や労働保険(雇用保険・労災保険)、各種税務手続きが必要になります。
開業届 | 所轄税務署 |
社会保険関連 | 所轄年金事務所 |
労働保険関連 | 所轄労働基準監督署、所轄公共職業安定所、都道府県労働局 |
税金に関するもの | 所轄税務署、所轄税務事務所 |
風俗営業との関連性
風俗営業は何もピンク系のアダルトなお店をいうのではなく、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)に定められた以下の5つの営業を指して呼んでいます。
1号営業 | キャバレー、待合、料理店、カフェその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業 | キャバクラ、ラウンジ、ホストクラブ |
2号営業 | 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計った営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの | 低照度飲食店 |
3号営業 | 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5㎡以下である客席を設けて営むもの | 区画席飲食店 |
4号営業 | まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業 | 雀荘、ぱちんこ店 |
5号営業 | スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業 | ゲームセンター、アミューズメント施設 |
これを見て「あれ?どれかに当てはまっちゃうかも?」と感じたのであれば、しっかりとリスクセンサーが働いているように思います。実際にインターネットカフェでよく取り沙汰されるのが風俗営業との兼ね合いです。
そう、インターネットカフェは提供するサービスによっては風俗営業に該当してしまいます。そして風俗営業に該当する以上、飲食店営業許可に加えて風俗営業許可を取得する必要が生じます。
一例を挙げれば、一部のコンカフェのように、メイドさんがかいがいしくお世話(お酌サービス、過度の談笑、チェキ会等)をしてくれるようなお店は、風俗営業許可を取得していなければご法度ということになります。
また、店内においてゲームマシンを設置することも慎重に行ってください。ゲームセンターは5号営業として、こちらも風俗営業に該当しています。
ゲームコーナーの床面積が客席床面積(1フロア)の10%を越えていなければ風俗営業の許可を取得する必要はないという10%ルールというルールがありますが、設置床面積の3倍の数値をゲームコーナーの床面積として計算するため、客席が相当広くなければ実務上このルールは適用されません。
例えばゲームマシンの専有床面積が5㎡であれば、その3倍の15㎡がゲームコーナーの床面積となり、客室はそのさらに10倍の150㎡というだだっ広い空間が必要になるため、正直なかなかのムリゲーのように思います。
何や、許可取れば済む話しやん。
こう感じた方のリスクセンサーはまだまだであるように思います。これのどこに問題があるのかといえば、以下のようなデメリットが発生してしまう点にあります。
- 営業することのできない場所が多い
- 深夜営業をすることができない
- 規制が厳しくなる
予定する営業形態がこれらの規制にかかっても問題ないのであればともかく、現在主流となっている24時間営業のインターネットカフェを想定しているのであれば、正直運営は厳しいように思われます。(というか不可能です!)
言い換えれば、既存のお店では風俗営業に該当しないように、色々と工夫を施して運営を行っています。(後述)
区画席飲食店
風俗営業との兼ね合いで特に問題となりやすいのが、風営法において「喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5㎡以下である客席を設けて営むもの」と定義されている区画席飲食店(3号営業)との関連性です。
あれ?これってインターネットカフェのこと?
リスクセンサーが敏感な方であれば、このように受け取ったのではないかと思います。その感覚はあながち間違いではなく、上記の規定にあてはまる構造を持つインターネットカフェであれば、当然風俗営業に該当することになります。
このように区画席飲食店が風俗営業にカテゴライズされているのは、周囲から目の届かない狭い密室内で、違法な取引や淫らな行為が行われることを防止することが目的とされています。そのため、区画席飲食店に該当する飲食店を営業しようとする際は、風俗営業(3号営業)として、都道府県公安委員会から許可を受ける必要があります。
他方、風営法上の規制は、本来的には男女が利用するカップル喫茶のような飲食店を想定して設けてられており、インターネットカフェのコンセプトとは明らかに異なります。
そこで多くのインターネットカフェでは、「喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5㎡メートル以下である客席を設けて営むもの」という区画席飲食店の定義を逆手に取って、以下のような対策を講ずることにより、風俗営業許可を不要とするスキームを構築しています。
- 各客室の床面積が5㎡を超えるようにする
- 客室扉は撤去又は透明にする(小窓を設ける)
- 客室の高さを下げて見通せる構造にする
- 鍵付個室では飲食を提供しない
ただし、これはあくまでも現状における法令を解釈しただけに過ぎません。警察庁の解釈運用基準でも「各店舗の構造、設備、営業方法に応じた判断が必要」と明示していることからも、インターネットカフェの開業前には、所轄警察署や風営法に精通した行政書士に相談することが無難なように思います。
旅館業との関連性
旅館業法では、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を旅館業としています。ここでいう「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」をいいます。また、名目のいかんを問わず実質的に寝具や部屋の使用料とみなされるものはすべて宿泊料に含まれるため、休憩料はもちろん、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費についても宿泊料とみなされます。
あれ?インターネットカフェで寝ている人は?
通常インターネットカフェは旅館業には該当しないものと考えられています。インターネットカフェでは、布団や毛布、ベッドといった「寝具」を提供しておらず、あくまでも利用者が「ひざ掛け」を使って「イス」で朝まで「仮眠」をしている状態であるものと解釈されているからです。
消防関連の手続き
忘れてはならないのが消防関連の手続きです。建物や建物の一部をこれから使用しようとする際は、使用を始める7日前までに、その内容を防火対象物を管轄する消防署に届け出なければなりません。
消防関連で要求されている手続きは、建物の用途や構造によって異なり、そして案外複雑かつ煩雑(わずらわしい)です。以下の記事に想定される手続きについて解説していますので、しっかりと内容を確認するようにしてください。
インターネットカフェ開業サポート
弊所は兵庫県大阪府京都府を中心に、年間数十件の店舗と180件以上もの申請に携わります。最近は首都圏・四国圏・東海圏・九州圏からも発注があり、着々と対応エリアを拡大しています。
弊所のインターネットカフェ開業サポートには以下のサービスがすべて含まれおり、皆さまからはおおむねご好評をいただいています。
①必要となる手続きの事前診断
②飲食店営業許可申請
- 事前調査及び協議
- 書類作成及び収集
- 申請の代行
- 立入検査の立会い
- 関係機関との連絡調整
③防火対象物使用開始届
- 事前調査及び協議
- 書類作成及び収集
- 届出の代行
- 立入検査の立会い
- 関係機関との連絡調整
④上記に附帯する手続きの代行
⑤上記に関するご相談(無制限)
申請手数料は別途必要(例:飲食店営業許可申請手数料16,000円)です。上記にないサービスで手続き(深夜酒類提供飲食店、風俗営業等)が必要な場合にも別途報酬が必要になりますが、単純な合算ではなく、合算額から大幅に割り引いて対応しています。
下記の報酬は、市場価格を反映した利用料金となりますが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」です。低コスト高スピードの申請代行と、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には自信があります。また、近年は扱いやすい見積もりサイトが参入していますが、弊所ではこれらとの相見積りにも応じています。インターネットカフェ開業に関する手続きでお困りの際は、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。
インターネットカフェ開業サポート | 77,000円~ |
風俗営業許可申請(コンカフェ・雀荘・ゲームセンター) | 165,000円~ |
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