オリジナルアイスクリームを販売するには│アイスクリーム類製造業の営業許可について

バニラアイス

アイスクリーム類製造業とは、アイスクリーム、アイスシャーベット、アイスキャンデーその他液体食品又はこれに他の食品を混和したものを凍結させた食品を製造する営業をいいます。

食品に関する営業許可は業種が32種もあり、また、カバーすることの出来る食品の種類が重複することもあって実は非常に複雑です。食品衛生法の改正により、この傾向はさらに強まりました。

そこで本稿では、アイスクリームやシャーベットを製造し販売しようとされる皆さまに向けて、必要とされる許可の内容や手続きの方法について詳しく解説していきたいと思います。

役所と誤認されてお問い合わせをいただくことが多々ありますが、弊所は民間の行政書士事務所であって行政機関ではありません。この点のみどうぞご承知の上、お気軽にご相談ください♪

アイスクリームの種類

アイスクリームのイラスト

アイスクリーム類は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(以下、乳等省令)においてアイスクリーム・アイスミルク・ラクトアイスの3種類に区分されており、氷菓については「食品、添加物等の規格基準」において成分規格の基準が定められています。

これらの違いは製品に含まれる乳成分量によるものであり、具体的には製品に含まれる乳固形分の割合とそのうちの乳脂肪分の割合によって、以下のような取扱いがなされています。

製品区分種類別乳固形分乳脂肪分
アイスクリーム類アイスクリーム15%以上8%以上
アイスミルク10%以上3%以上
ラクトアイス3%以上
一般食品氷菓上記以外上記以外

アイスクリーム類及び氷菓は、それぞれの根拠法令(乳等省令及び食品、添加物等の規格基準)において製造・保存の方法の基準が定められており、これらの製造者に対しては、基準を守って製造することが求められています。

食品衛生法施行令においては、上記のすべてが「アイスクリーム類」として取り扱われており、営業許可を受けるべき対象とされています。

アイスクリーム類製造業とは

アイスクリーム類製造業とは、アイスクリーム類を製造し販売する形態の営業をいいます。具体例としてはアイスクリーム、アイスシャーベット、アイスキャンデー等の製造販売がありますが、液体食品又はこれに他の食品を混和したものを凍結させた食品を製造する営業を広く「アイスクリーム類製造業」として定義しています。

他の営業許可との関係

たとえば、ソフトクリームを店頭で販売する場合は、飲食店営業許可が必要です。この場合、ソフトクリームの原料(原液)を仕入れて使う場合には、飲食店営業許可(喫茶店営業許可含む)の範囲で販売することが可能ですが、牛乳を原料としてゼロから製造したオリジナルのソフトクリームを販売するためには、アイスクリーム製造業許可が必要になります。

また、おそらくアイスクリーム類製造業と混同されるであろう食品衛生法上の業種を軽く紹介しますので、以下でざっと確認するようにしてください。

菓子製造業菓子(パン及びあん類を含む)を製造する営業
乳製品製造業粉乳、練乳、発酵乳、クリーム、バター、チーズ、乳酸菌飲料その他の厚生労働省令で定める乳を主原料とする食品の製造(小分け(固形物の小分けを除く)を含む)をする営業
氷雪製造業氷を製造する営業
冷凍食品製造業そうざい製造業に係る食品を製造し、その製造された食品の冷凍品を製造する営業

このように、同一の食品であっても製造工程や販売方法によって取得すべき許可が異なる点が、食品衛生制度のややこしいところです。

食品衛生法上の許可業種
(参考)食品衛生法上の許可業種

アイスクリーム類製造業許可

アイスクリーム類製造業を営む際は、都道府県知事が定めた基準に適合させた上で、その許可を受ける必要があります。したがって、その基準は各自治体ごとに異なっています。本稿においては大阪府における基準を下敷きに記述していますので、他地域については各地域の担当部署に必ず確認するようにしてください。

なお、申請は製造場所の所在地を管轄する保健所に対して行い、基準等の確認についても保健所が行います。

共通基準

以下は食品を取り扱う営業のすべてに求められる基準です。

  1. 営業の施設は衛生上支障のない場所に設置すること
  2. 営業の施設は住居その他営業の施設以外の施設と明確に区分すること
  3. 作業場は使用目的に応じて適当な広さを有し、かつ、十分な明るさを確保することができる照明の設備及び換気を十分に行うことができる設備を設けること
  4. 作業場の床は次に掲げる要件を備えること
    • 排水溝を有すること
    • 清掃が容易にできるよう平滑であり、かつ、適当な勾配のある構造であること
    • 水その他の液体により特に汚染されやすい部分は、耐水性材料(厚板、モルタルその他水により腐食しにくいもの)で造られていること
    • 作業場の床面と内壁面との接合部分及び排水溝の底面の角は、適度の丸みをつけ、清掃が容易にできる構造であること
  5. 作業場の内壁は清掃が容易にできる構造とし、床面からの高さが1.5mまでの部分及び水その他の液体により特に汚染されやすい部分は、耐水性材料で造られていること
  6. 作業場の天井は隙間がなく、清掃が容易にできる構造であること
  7. 営業の施設は、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ構造であること
  8. 営業の施設及び機械、器具類は、製造量、販売量、来客数等に応じて十分な規模及び機能を有するものを設けること
  9. 器具の洗浄、消毒、水切及び乾燥の設備を設けること
  10. 洗浄の設備は、熱湯を十分に供給できるものであること
  11. 固定した設備又は移動が困難な設備は、洗浄が容易にできる場所に設けること
  12. 機械は食品又は添加物に直接接触する部分が不浸透性材料(ステンレス、石、コンクリートその他水が浸透せず、かつ、さびないもの)で造られ、かつ、洗浄及び消毒が容易にできる構造であること
  13. 器具及び容器包装を衛生的に保管するための設備を設けること
  14. 添加物を使用する場合は、専用の計量器を備えること
  15. 原材料、添加物、半製品又は製品を保管する設備は、それぞれ専用のものとし、及び温度、湿度、日光等に影響されない場所に設ける等衛生的に保管ができるものであること
  16. 冷蔵庫(摂氏10℃以下に冷却する能力を有するものに限る)、冷凍庫その他温度又は圧力を調節する必要のある設備には、温度計、圧力計その他必要な計器を見やすい位置に備えること
  17. 飲用に適する水を十分に供給できる衛生的な給水設備を専用に設けること
  18. 十分な容量を有し、不浸透性材料で造られ、清掃が容易にでき、及び汚液、汚臭等が漏れない構造である廃棄物容器を設けること
  19. 便所には、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ設備を設けるとともに、その出入口及びし尿くみ取口は、衛生上支障のない場所にそれぞれ設けること
  20. 消毒薬を備えた流水受槽式手洗い設備を、適当な場所に設けること(ただし、魚介類販売業を除き、露店により営業を行う場合又は自動車により営業を行う場合にあってはこの限りでない)
  21. 従業員の数に応じて、更衣室その他更衣のための設備を設け、及び専用の外衣、帽子、マスク、履物等を備えること
  22. 露店により営業を行う場合又は自動車により営業(魚介類販売業を除く)を行う場合は、次に掲げる要件を備えること
    • 流水受槽式手洗い設備を有しないときは、消毒用アルコール、逆性石けん等を含ませた綿を十分に入れた容器を備えること
    • 直接排水ができない場合は、水その他の液体が浸透しにくい材質で、かつ、洗浄が容易にできる排水容器を備えること
  23. 露店により営業を行う場合は、当該営業に係る施設について、屋根を設け、及び覆いをする等により、調理し、又は加工するための設備にほこり、ちり等が入らない構造とすること
  24. 自動販売機は、屋内に設置すること(ただし、ひさし等により雨水を防止できる場合にあっては、この限りでない)
  25. 自動販売機の設置場所の床面は、不浸透性材料で造られ、かつ、清掃が容易にできる構造であること

業種別基準

共通基準に加えて、以下がアイスクリーム類製造業に必要とされる基準になります。

  1. 原材料の保管及び調合並びに製品の製造及び保管をする室又は場所並びに生乳の貯蔵設備(生乳を使用しない施設を除く)及び受入検査設備(検査を外部委託する施設を除く)を有すること
  2. 室を場所とする場合にあっては、作業区分に応じて区画されていること
  3. 製品の製造をする室又は場所は、ろ過、殺菌、冷却、充填、包装及び凍結に必要な設備を有すること

製品種別ごとの微生物に関する基準

こちらは許可基準ではありませんが、製品を製造する際に遵守することが求められている製品種別ごとの衛生基準となります。

製品区分種類別大腸菌群細菌数
アイスクリーム類アイスクリーム陰性100,000 以下/g
アイスミルク陰性50,000 以下/g
ラクトアイス陰性50,000 以下/g
一般食品氷菓陰性10,000 以下/ml

基準が厳しいため、よくある「自家製アイスクリームを自宅で販売したい」という要望については、相当ハードルが高いものとご理解ください。

許可申請手続

以下は、アイスクリーム類製造業の営業許可を取得するために必要となる手続きの流れです。

①事前相談及び準備(工事着工前)

②申請書類等の提出(開店の2週間前までに)

③食品衛生監視員による施設調査

④許可書の交付

⑤営業開始

事前相談及び準備

  • 施設の工事前に、施設平面図(機器配置を含む)等を出店地を管轄する保健所に持参し、施設基準等の説明を受けます。 
  • 食品衛生責任者の資格を取得します。 
  • 「営業施設の基準」「公衆衛生上講ずべき措置の基準」が都道府県や市の条例で定められていますのでご確認ください。 

必要となる書類

以下の書類を開店の10日前までに提出します。 

  • 食品営業許可申請書
  • 営業施設の大要
  • 施設の平面図及び付近案内図
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの(原本)
  • 営業許可申請手数料
  • 発行後6カ月以内の登記簿謄本の原本(法人)

現在はコロナ禍の影響により、食品衛生責任者の講習が開催されにくい状況となっています。この場合、必ず講習を受けることを誓約した誓約書を食品衛生責任者の資格を証明するものの代わりとして添付します。なお、尼崎市においては誓約書の添付ではなく、食品衛生責任者講習の受講申込と受講料(7500円)の納付が求められます。このように、地域ごとに取扱の違いがありますので、必ず所轄の保健所に問い合わせを行うようにしましょう。

食品衛生責任者

アイスクリーム類製造業を営業する際は、営業所ごとに食品衛生責任者を選任する必要があります。同敷地内であれば、飲食店の食品衛生責任者がこれを兼任することが可能です。詳しくは下の埋め込み記事でご確認ください。

飲食店営業許可の概要について

まとめ

食品衛生法上の許可取得は案外複雑です。また、食品衛生法の改正により、製造業の許可基準の運用は相当厳格化しており、昨今の衛生意識の高まりがさらにこの傾向を後押ししています。

このため、事前協議が長引いた結果、申請書が受理されるに至らず、弊所までご相談いただくというケースも増加傾向にあります。既に飲食店の営業許可を取得している事業者が意気揚々と申請に出向いたものの、担当者から申請をはね返されたという実例は特に珍しくもありません。

事前協議では綿密な計画や作業工程を問われ、時には設備の増設を求められたりします。いずれにせよ比較的簡単に取得することのできる飲食店営業許可とはハードルの高さがまったく異なりますので、そうざい製造業をはじめようとされる際は、食品衛生法に精通した行政書士に相談することを強くお薦めしております。

弊所では、兵庫大阪の全域にわたり、食品衛生法に関する手続きの代行を承っております。面倒な書類の作成から関連機関との調整、申請まで、しっかりとフルサポートいたします。下記の報酬は、市場価格を反映したものですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」です。さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には自信があります。食品衛生法に関する許可の取得でお困りの際は、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。

アイスクリーム類製造業許可申請55,000円〜
飲食店営業許可

アイスクリーム類製造業業許可申請
77,000円〜
更新申請27,500円
変更届等17,500円~
飲食店営業届27,500円
※税込み

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