冷凍食品を販売するためには│知っておくべき食品の冷凍又は冷蔵業許可
食品を取り扱う業種は、飲食店営業をはじめとして多岐にわたります。飲食店を営業することに関しても、案外その許可制度の構造は複雑であり、営業に際しては複数の許可を取得することを求められる場合があります。店内においては比較的自由に飲食物を提供することができる「飲食店営業許可」ですが、宅配や通販で飲食物の販売提供を行う際には、その品目によって別の許可が必要になるという構造です。
本稿では、いわゆる冷凍食品を営業所において製造し販売するために必要とされる許可や手続きについてご案内したいと思います。これらの食品を販売しようとご検討中の皆さまは、しっかりと確認するようにお願いいたします。
目 次
食品の冷凍又は冷蔵業
食品の冷凍又は冷蔵業とは、冷凍食品の製造又は魚介類を冷凍又は冷蔵する営業をいいます。さらに冷凍食品とは、「製造し、又は加工した食品(清涼飲料水、食肉製品、鯨肉製品、魚肉練り製品、ゆでだこ及びゆでがにを除く)及び切り身又はむき身にした鮮魚介類(生かきを除く)を凍結させたもの。」とされています。ご自身のお店でこれらの食品を取り扱う予定のある方は、特にしっかり確認するようにしましょう。また、取り扱う品目の違いにより次のように種別が区分されています。
なお、冷凍食品が食肉や鮮魚介類である場合の販売については、それぞれ食肉販売業や魚介類販売業の許可も必要となります。
一種食品冷凍冷蔵業 | 食品の冷凍又は冷蔵業のうち、魚介類を冷凍又は冷蔵するもの |
二種食品冷凍冷蔵業 | 食品の冷凍又は冷蔵業のうち、一種食品冷凍冷蔵業以外のもの |
冷凍又は冷蔵業許可
食品の冷凍又は冷蔵業を営む際は、都道府県知事が定めた基準に適合させた上で、その許可を受ける必要があります。したがって、その基準は各自治体ごとに異なっています。本稿においては大阪府豊中市における基準を下敷きに記述しておりますので、他地域については、各地域の担当部署に必ず確認するようにしてください。なお、申請は製造場所の所在地を管轄する保健所に対して行い、基準等の確認についても保健所が行います。
共通基準
こちらは飲食店と同様の、食品取扱者すべてに求められる基準です。
- 営業の施設は衛生上支障のない場所に設置すること
- 営業の施設は住居その他営業の施設以外の施設と明確に区分すること
- 作業場は使用目的に応じて適当な広さを有し、かつ、十分な明るさを確保することができる照明の設備及び換気を十分に行うことができる設備を設けること
- 作業場の床は次に掲げる要件を備えること
- 排水溝を有すること
- 清掃が容易にできるよう平滑であり、かつ、適当な勾配のある構造であること
- 水その他の液体により特に汚染されやすい部分は、耐水性材料(厚板、モルタルその他水により腐食しにくいもの)で造られていること
- 作業場の床面と内壁面との接合部分及び排水溝の底面の角は、適度の丸みをつけ、清掃が容易にできる構造であること
- 作業場の内壁は清掃が容易にできる構造とし、床面からの高さが1.5mまでの部分及び水その他の液体により特に汚染されやすい部分は、耐水性材料で造られていること
- 作業場の天井は隙間がなく、清掃が容易にできる構造であること
- 営業の施設は、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ構造であること
- 営業の施設及び機械、器具類は、製造量、販売量、来客数等に応じて十分な規模及び機能を有するものを設けること
- 器具の洗浄、消毒、水切及び乾燥の設備を設けること
- 洗浄の設備は、熱湯を十分に供給できるものであること
- 固定した設備又は移動が困難な設備は、洗浄が容易にできる場所に設けること
- 機械は食品又は添加物に直接接触する部分が不浸透性材料(ステンレス、石、コンクリートその他水が浸透せず、かつ、さびないもの)で造られ、かつ、洗浄及び消毒が容易にできる構造であること
- 器具及び容器包装を衛生的に保管するための設備を設けること
- 添加物を使用する場合は、専用の計量器を備えること
- 原材料、添加物、半製品又は製品を保管する設備は、それぞれ専用のものとし、及び温度、湿度、日光等に影響されない場所に設ける等衛生的に保管ができるものであること
- 冷蔵庫(摂氏10℃以下に冷却する能力を有するものに限る)、冷凍庫その他温度又は圧力を調節する必要のある設備には、温度計、圧力計その他必要な計器を見やすい位置に備えること
- 飲用に適する水を十分に供給できる衛生的な給水設備を専用に設けること
- 十分な容量を有し、不浸透性材料で造られ、清掃が容易にでき、及び汚液、汚臭等が漏れない構造である廃棄物容器を設けること
- 便所には、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ設備を設けるとともに、その出入口及びし尿くみ取口は、衛生上支障のない場所にそれぞれ設けること
- 消毒薬を備えた流水受槽式手洗い設備を、適当な場所に設けること(ただし、魚介類販売業を除き、露店により営業を行う場合又は自動車により営業を行う場合にあってはこの限りでない)
- 従業員の数に応じて、更衣室その他更衣のための設備を設け、及び専用の外衣、帽子、マスク、履物等を備えること
- 露店により営業を行う場合又は自動車により営業(魚介類販売業を除く)を行う場合は、次に掲げる要件を備えること。
- 流水受槽式手洗い設備を有しないときは、消毒用アルコール、逆性石けん等を含ませた綿を十分に入れた容器を備えること
- 直接排水ができない場合は、水その他の液体が浸透しにくい材質で、かつ、洗浄が容易にできる排水容器を備えること
- 露店により営業を行う場合は、当該営業に係る施設について、屋根を設け、及び覆いをする等により、調理し、又は加工するための設備にほこり、ちり等が入らない構造とすること
- 自動販売機は、屋内に設置すること。ただし、ひさし等により雨水を防止できる場合にあっては、この限りでない
- 自動販売機の設置場所の床面は、不浸透性材料で造られ、かつ、清掃が容易にできる構造であること
業種別基準
共通基準に加えて、以下が食品の冷凍又は冷蔵業に必要とされる基準になります。
- 冷凍準備室及び凍結室又は冷蔵室をそれぞれ専用に設け、凍結室又は冷蔵室の内部を、取り扱う食品の品目に応じて明確に区分すること
- 原材料の選別又は洗浄を行う場合は、下処理場を専用に設けること
- 食品を調理し、又は加工する場合は、処理室を専用に設けること
- 処理室及び下処理場の床及び床面からの高さが2mまでの内壁は、不浸透性材料で造られていること
- 冷凍準備室、凍結室及び冷蔵室の床、内壁及び天井は、不浸透性材料で造られ、その天井は、氷解水(氷が融解してできる水をいう)の落下を防止できる構造であること
- 不浸透性材料で造られた洗浄槽を、処理室にあっては2槽以上、下処理場にあっては1槽以上設けること
- 食品を直接包装する場合(機械により自動的に包装する場合を除く)は、ステンレス又は合成樹脂で造られた包装台を専用に設けること
- 食品が直接床面に接触しないようにするため、すのこ、敷板等の設備を設けること
冷凍食品の規格基準
許可はあくまで営業所に対しての許可であり、実際に製造販売する「冷凍食品」そのものについても一定の規格に適合することが求められます。この規格に適合しなければ許可を取得したとしても冷凍食品を販売することはできませんので、こちらについても下の埋め込み記事でしっかりと確認するようにしましょう。
冷凍食品の規格基準について
許可申請手続き
以下は、飲食店の営業許可を取得するために必要となる手続きの流れです。
①事前相談及び準備(工事着工前)
↓
②申請書類等の提出(開店の2週間前までに)
↓
③食品衛生監視員による施設調査
↓
④許可書の交付
↓
⑤営業開始
事前相談及び準備
- 施設の工事前に、施設平面図(機器配置を含む)等を出店地を管轄する保健所に持参し、施設基準等の説明を受けます。
- 食品衛生責任者の資格を取得します。
- 「営業施設の基準」「公衆衛生上講ずべき措置の基準」が都道府県や市の条例で定められていますのでご確認ください。
必要となる書類
以下の書類を開店の10日前までに提出します。
- 食品営業許可申請書
- 営業施設の大要
- 施設の平面図及び付近案内図
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(原本)
- 営業許可申請手数料
- 発行後6カ月以内の登記簿謄本の原本(法人)
現在はコロナ禍の影響により、食品衛生責任者の講習が開催されにくい状況となっています。この場合、必ず講習を受けることを誓約した誓約書を食品衛生責任者の資格を証明するものの代わりとして添付します。なお、尼崎市においては誓約書の添付ではなく、食品衛生責任者講習の受講申込と受講料(7500円)の納付が求められます。このように、地域ごとに取扱の違いがありますので、必ず所轄の保健所に問い合わせを行うようにしましょう。
食品衛生責任者
食品の冷凍又は冷蔵業を営業する際は、営業所ごとに食品衛生責任者を選任する必要があります。同敷地内であれば、飲食店の食品衛生責任者がこれを兼任することが可能です。詳しくは下の埋め込み記事でご確認ください。
飲食店営業許可の概要について
まとめ
業態の多様化によって、食品に関する許可は複雑化しています。最低限、どのような形態で何を販売するのかについては説明できるようにしておいてください。その上で必要な資金を試算し、調達方法などもしっかり計画してから事前協議にのぞみましょう。
弊所では冷凍冷蔵業許可の取得の代行をサポートしています。保健所との事前協議もサービスに含まれますので、どうぞご遠慮なくご活用ください^^
飲食店営業許可 新規申請 | 38,500円〜 |
冷凍冷蔵業新規許可申請 | 44,000円〜 |
飲食店営業許可 + 冷凍冷蔵業許可申請 | 77,000円 |
更新申請 | 27,500円 |
変更届等 | 17,500円~ |
飲食店営業届 | 27,500円 ↓ 22,000円 (5/31まで) |
深夜における酒類提供飲食店届出 | 77,000円~ |
飲食店営業許可 + 深夜における酒類提供飲食店届出 | 99,000円~ |
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