自動車解体業者の行為義務について

義務と権利

使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)では、許可を受けた自動車解体業者に対して、なすべき行為として、使用済自動車の引取り・再資源、エアバッグ類の回収、使用済自動車又は解体自動車の引渡し、電子マニフェストによる使用済自動車等の移動報告及び標識の掲示を義務として定めています。

使用済自動車の引取り

解体業者が引取業者又はフロン類回収業者から使用済自動車の引取りを求められた場合は、以下の正当な理由がある場合を除き、使用済自動車を引き取る義務があります。

天災その他やむを得ない事由により使用済自動車の引取りが困難である場合事業所が天災等により被害を受け、引取りが物理的に困難な場合を想定
使用済自動車に異物が混入している場合他のゴミが詰められている場合を想定
使用済自動車の引取りにより、使用済自動車の適正保管に支障が生じる場合大量一括持ち込みの要請がある場合等、自社の車両保管能力と照らし合せ適正な保管が困難である場合を想定
使用済自動車の引取りの条件が通常の取引の条件と著しく異なるものである場合使用済自動車の引取りの際の本体引取価格や運搬その他の条件が一般的な商慣行(地域性についても考慮したもの)と著しく異なるものである場合
極めて遠距離からの引取りの要請がなされる場合
引取り側の合意(条件交渉)なく一方的に使用済自動車が置いていかれてしまう場合
普通乗用車しか引き取らない解体業者に大型商用車を引き取るよう要請された場合
使用済自動車の引取りが法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものである場合盗難車と分かっていての引取り等を想定
エアバッグ類の回収

解体業者が使用済自動車を引き取ったときは、特段の作業をせずにそのまま他の解体業者に引渡しする場合を除き、エアバッグ類(運転席・助手席エアバッグのほか、サイド・カーテン式等のその他のエアバッグ及びシートベルトプリテンショナー等のインフレータ等(ガス発生器)部分)についての回収責任を負います。

使用済自動車の再資源化

解体業者が使用済自動車を引き取ったときは、特段の作業をせずにそのまま他の解体業者に引渡しする場合を除き、鉛蓄電池、タイヤ、廃油・廃液、(バス等の)室内照明用の蛍光灯を回収し、技術的・経済的に可能な範囲で自ら又は適正な業者に委託して再資源化(不可能な場合には廃棄物として適正処理)したり、有用部品や材料等を技術的かつ経済的に可能な範囲で回収する等、再資源化基準に従って、適切な解体を実施する義務があります。

使用済自動車又は解体自動車の引渡し

引き取った使用済自動車又は解体自動車(廃車ガラ)は、他の解体業者、破砕業者又は解体自動車全部利用者(電炉・転炉に投入してリサイクルを行う業者、スクラップ源として輸出を行う廃車ガラ輸出業者)へ引き渡し、解体自動車全部利用者に引き渡す場合には、引渡しの事実を証する書面(解体自動車全部利用者が作成した書面であって、解体業者名、解体自動車全部利用者名、解体自動車を引き取った年月日及び解体自動車の車台番号が記載されたもの)を5年間保存する義務があります。

なお、破砕業者にも引取義務がありますが、鉛蓄電池やタイヤを取り外していない等正当な理由がある場合には引取りを拒否される可能性があるためご注意ください。

電子マニフェストによる使用済自動車等の移動報告

電子マニフェストを利用して、使用済自動車の引取り・引渡しとエアバッグ類の引渡しから3日以内に情報管理センター((財)自動車リサイクル促進センター)に引取・引渡報告を実施する義務があります。

標識の掲示

解体業者は、その事業所ごとに、縦横各20cm以上の大きさで、解体業者であること、氏名(又は名称)及び許可番号を記載した標識を、公衆の見やすい場所に掲げる必要があります。

実務上は、引取業者やフロン類回収業者の標識と兼ねて1つの標識とすることや、複数の登録番号・許可番号を1つにまとめた標識とすることについても差し支えなく、A4版以上の大きさであれば、都道府県知事等からの許可証自体を公衆の見やすい場所に掲示することでも足ります。

標識の例

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