風俗営業に係る法人の合併と分割による権利義務関係と必要となる手続きついて
風俗営業を営んでいる法人(会社)について合併や分割が行われることがありますが、この場合において元の法人が有していた風俗営業に関する権利義務がどのように移動するのかは、法人の運営上も重要な事項です。
そこで本稿では、風俗営業を営む法人について合併・分割が行われる際の権利義務関係や必要とされている手続きについて、詳しく解説していきたいと思います。
なお、性風俗関連特殊営業については、風俗営業及び特定遊興飲食店営業と異なり、相続又は法人の合併若しくは分割のいずれの方法によっても、営業の他者への承継は認められていません。
目 次
風俗営業に係る法人の合併
風俗営業者である法人が合併により消滅することとなる場合において、あらかじめ合併について公安委員会の承認を受けたときは、合併後存続し、又は合併により設立された法人は、風俗営業者の地位を承継します。
ただし、合併の承認申請は、風俗営業者である法人が合併することにより消滅する場合において、合併後存続し、又は合併により設立された法人が、消滅する法人が営んでいた営業を引き続き営もうとするときになされるものであり、合併後も風俗営業者である法人が存続する場合においてその法人が合併以前から営んでいた営業に関しては承認を受ける必要はありません。
また、合併に際し、承認を申請することなく改めて許可を受けることにより、合併した法人がその営業所において営業を営むことも可能ですが、その場合は新規の許可申請となるので、人的要件だけでなく、営業所の場所的要件及び構造要件を満たすことが必要になります。
合併承認申請
法人の合併の承認を受けようとする場合には、あらかじめ、合併するすべての法人の連名により、所轄の警察署を経由して以下の書類を公安委員会に提出することにより申請を行います。
- 合併承認申請書
- 合併契約書の写し
- 合併後の役員就任予定者の氏名及び住所を記載した書面
- 合併後の役員就任予定者の住民票、身分証明書及び欠格要件に該当しないことを誓約する書面
申請の時期
そもそもこの承認は、合併により風俗営業を承継することとなる法人が風俗営業者の地位を承継することをあらかじめ認めることを主旨とすることから、合併の承認申請は、合併の効力が生じる前に行う必要があります。
そのため承認の前に合併の効力が生じた場合は、従前の許可はその時点で失効し、その後は承認を受けることができません。
地位の承継の効力発生時期
承認を受けた法人について実際に風俗営業者の地位が承継されるのは、吸収合併の場合は合併が効力を生ずる日として合併契約で定められた日、新設合併の場合は新設会社の設立の登記の日となります。
承認の効果
地位が承継されることの効果として、例えば、合併により消滅することとなる法人が営業制限地域内で既得権により営業していた場合は、合併後存続し、又は合併により設立された法人は、(営業制限地域内にある)その営業所においても風俗営業を営むことができます。
また、承認の対象となった営業所において承認の前に又は承認後風俗営業者の地位の承継前に処分に該当する事由が生じた場合は、処分のための手続きは、合併後存続し、又は合併により設立された法人を対象として続行され、さらに、地位の承継前に処分が行われた場合は、処分の効力も承継されます。
承認をしたにもかかわらず、合併の効力が発生せず、又は無効とされた場合は、合併契約書のとおりに合併が行われなかったことが判明した時点又は無効が確定した時点をもって承認は効力を失います。
許可証の書換え
承認を受けて合併した場合には、合併後存続し、又は合併により設立された法人は、合併後遅滞なく、合併により消滅した法人が交付を受けた許可証を許可証書換え申請書と共に公安委員会に提出し、許可証の書換えを受ける必要があります。(書換申請手数料は不要)
風俗営業に係る法人の分割
風俗営業者である法人が分割により風俗営業を承継させる場合において、あらかじめ公安委員会の承認を受けたときは、分割により当該風俗営業を承継した法人は、風俗営業についての風俗営業者の地位を承継します。
ただし、分割の承認申請は、風俗営業者である法人が会社法の規定に基づき分割をする場合において、①法人から分離される営業所に係る営業を既存の他の法人が承継して引き続き営もうとするとき(吸収分割)又は②法人から分離される営業所に係る営業を分割により新たに設立される法人が承継して引き続き営もうとするとき(新設分割)に営業所ごとになされるものであることから、分割後もその営業所に係る営業を営む法人が従前の法人であって①又は②のいずれにも当たらない場合(営業主体に変更がない営業所の場合)は、承認を受ける必要はありません。
また、吸収分割の場合において承継する法人もまた従来から風俗営業者であるときは、その従来から営んでいる営業所に関しては承認を受ける必要はありません。なお、分割に際し、承認を申請することなく改めて許可を受けることにより、合併した法人がその営業所において営業を営むことも可能ですが、その場合は新規の許可申請となるので、人的要件だけでなく、営業所の場所的要件及び構造要件を満たすことが必要になります。
分割承認申請
法人の分割の承認を受けようとする場合には、あらかじめ、所轄の警察署を経由して以下の書類を公安委員会に提出することにより申請を行います。
申請は、新設分割の場合であれば、分割をする法人が行い、吸収分割の場合であれば、分割をする法人と承継する法人が連名で行います。吸収分割の場合において、同一の機会の分割(吸収分割契約又は新設分割計画が一まとまりであり、株主総会の決議、債権者保護手続等の手続きが一度に行われる場合)で複数の法人に承継させるときは、各別の申請手続を要し、分割に関係する法人全ての連名による申請は認められません。
- 分割承認申請書
- 分割計画書又は分割契約書の写し
- 分割後の役員就任予定者(※)の氏名及び住所を記載した書面
- 分割後の役員就任予定者の住民票、身分証明書及び欠格要件に該当しないことを誓約する書面
(※)「分割後の役員就任予定者」とは、分割によって風俗営業を承継した法人の役員全てをいい、吸収分割の場合において分割の登記以前から承継する法人の役員を務めている者も含まれ、また、新設分割の場合において分割をする法人の役員を務めていた者も含まれます。
国家公安委員会規則には、一の公安委員会に対して同時に2以上の営業所又は事務所について申請をするときは、それらの営業所のうちいずれかひとつの営業所の所在地の所轄警察署長を経由して提出すれば足りる旨の定めがありますが、①吸収分割の場合において同一の機会に分割によって複数の法人に風俗営業を承継させるとき及び②新設分割の場合において同一の機会に分割によって複数の法人を設立し、それぞれに風俗営業を承継させるときは、このケースには該当しません。
なお、分割は承継する法人ごとに存在するので、承継する法人が2つあれば、分割は2回なされたことになります。
申請の時期
承認の前に分割の効力が生じた場合は、従前の許可はその時点で失効し、その後は承認を受けることができません。
地位の承継の効力発生時期
承認を受けた法人について実際に風俗営業者の地位が承継されるのは、吸収分割の場合は吸収分割が効力を生ずる日として吸収分割契約で定められた日、新設分割の場合は新設会社の設立の登記の日となります。
承認の効果
地位が承継されることの効果として、例えば、分割をする法人が営業制限地域内で既得権により営業していた場合は、承継した法人は、(営業制限地域内にある)その営業所においても風俗営業を営むことができます。
また、承認の対象となった営業所において処分に該当する事由が生じた場合は、処分のための手続きは承継した法人を対象として続行され、さらに、地位の承継前に処分が行われた場合は、処分の効力も承継されます。
承認をしたにもかかわらず、分割の効力が発生せず、又は無効とされた場合は、分割計画書又は分割契約書のとおりに分割が行われなかったことが判明した時点又は無効が確定した時点をもって承認は効力を失います。
許可証の書換え・返納
承認を受けて分割をした場合には、分割により風俗営業を承継した法人は、分割後遅滞なく、分割をした法人が交付を受けた許可証を許可証書換え申請書と共に公安委員会に提出し、許可証の書換えを受ける必要があります。(書換申請手数料は不要)
また、風俗営業者である法人が分割をするまでに承認がなされなかった場合、分割をした法人は、分割により分離した営業所に係る風俗営業を廃止したものと認められるため、分割の登記の日から10日以内に、風俗営業に係る許可証を返納理由書を添付して公安委員会に返納する義務を負います。
風営法関連手続きサポート
弊所は関西圏を中心に、年間数十件の店舗と300件以上もの申請に携わります。そのうちの多くは風俗営業の許可申請や深夜酒類提供飲食店の届出が占め、風営法関連の手続きは弊所におけるキラーコンテンツのひとつとなっています。また、最近は首都圏・四国圏・東海圏・中国圏・九州圏からも発注があり、着々と活動地域を拡大しています。
弊所では「話しの分かる行政書士事務所」を標榜し、迅速、格安料金での対応をお約束しています。むしろ経験豊富で迅速であるからこそ工期を短縮することができるので、格安料金での対応が実現可能となっています。
近年は扱いやすい見積もりサイトが台頭していますが、やり取りが煩(わずら)わしく、プロ側には極めて高い手数料が設定されているため、これを回収すべく契約後に加算がなされ、かえって高額になるケースも多くあるようです。何よりも全体的な印象として登録者が経験に欠けるため、見積もりサイトから受注した行政書士から業務を引き継いだ経験が数回あります。無駄なコストは費用も時間もカットするのが最良の策です。風営法関連の手続きでお困りの際は、どうぞ弊所までお気軽にお問い合わせください。
風営法関連の手続代行はお任せください♬
めちゃ速い!ほんまに安い!
☎平日9時〜18時、📩は24時間365日対応!
06-6415-9020 または 090-1911-1497
メールでのお問い合わせはこちら。