警察による警備業の立入検査で注意すべきポイント

ロープを持って交通整理する警備員

弊所では、警備業に関するご相談を多く承りますが、その中でも皆さまが特に気にされているのが、年に一度の所轄警察署生活安全課による立入検査についてです。

警備業は、重い責任を負う業種であることから規制が非常に厳しく、他の業種にはない立入検査と巡回指導を実施しています。地域や業務内容により実施時期にこそばらつきがあるものの、立入検査自体は必須であるものとお考えください。

日常的にルールを遵守して業務にあたっていれば特に慌てるものでもありませんが、やはり立入検査ともなると緊張感が伴うことは事実でしょう。

そこで本稿では、認定を受けた警備業者の皆さまに向けて、警察による警備業の立入検査で注意すべきポイントについて詳しく解説していきたいと思います。

本稿最下段には立入検査時の手続きを格安でサポートするプランのほか、顧問サービスを提示させていただいておりますので、最後までご覧いただければ幸いです。

法定備付書類

警備業者は、営業所ごとに以下の書類を備え付け、必要な事項を記載しなければなりません。いわゆる法定備付書類と呼ばれる書類ですが、「法定」とされていることからお分かりいただけるとおり、立入検査時には重点的なチェックが入る事項です。しっかりと整理して確実に把握するようにしてください。

  • 警備員名簿
    • 氏名、本籍、住所、生年月日及び採用年月日並びに退職した場合には退職年月日
    • 当該警備員に対して行った警備員教育に係る実施年月日、内容、時間数及び実施者の氏名
    • 従事させる警備業務の内容
    • 合格証明書の交付を受けている警備員にあっては、合格証明書に係る警備業務の種別、合格証明書を交付した公安委員会の名称、合格証明書の交付年月日、合格証明書の番号、合格証明書に係る級
    • 指導教育責任者資格者証の交付を受けている警備員にあっては、指導教育責任者資格者証を交付した公安委員会の名称、指導教育責任者資格者証の交付年月日、指導教育責任者資格者証の番号、指導教育責任者資格者証に係る警備業務の区分
    • 機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている警備員にあっては、機械警備業務管理者資格者証を交付した公安委員会の名称、機械警備業務管理者資格者証の交付年月日、機械警備業務管理者資格者証の番号
    • 3年以内に撮影した無帽、正面、上三分身(胸から上)の縦3cm、横2.4cmの写真(無背景)
  • 確認票
  • 護身用具一覧(種類ごとの数量)
  • 指導計画書
  • 教育計画書
  • 教育実施簿
  • 警備契約先一覧
    • 依頼者
    • 契約ごとの警備業務に従事させる警備員の人数、担当業務(特定の種別の警備業務を行うものである場合には、その種別に係る合格証明書を受けている警備員の氏名を含む)及び警備業務を行う期間
    • 契約ごとの警備業務対象施設の名称及び所在地(1号警備業務)
    • 契約ごとに警備業務を行うこととする場所(2号警備業務)
    • 契約ごとに警備業務を行う路程(3号警備業務)
    • 契約ごとに警備業務の対象となる者の住所又は居所(4号警備業務)
  • 苦情処理簿
    • 苦情を申し出た者の氏名及び連絡先
    • 苦情の内容
    • 原因究明の結果
    • 苦情に対する弁明の内容
    • 改善措置
    • 苦情処理を担当した者の氏名
書類内容備付期間
警備員名簿(省略)警備員が退職した日から1年間
確認票警備員ごとに誓約書の提出を受けた旨その他欠格事由に該当しないことを確認するために講じた措置を記載した書類(提出を受けた書面の添付があるものに限る)警備員が退職した日から1年間
指導計画書警備員に対する指導に関する計画を記載した書類実地指導した日から2年間
教育計画書年度ごとに、警備員教育に係る実施時期、内容、方法、時間数、実施者の氏名及び対象とする警備員の範囲に関する計画を記載した書類当該年度が終了した日から2年間(当該年度の開始の日の30日前までに備えておくこと)
教育実施簿年度ごとに、警備員教育に係る実施年月日、内容、方法、時間数、実施場所、実施者の氏名及び対象となった警備員の氏名を記録し、指導教育責任者及び実施者がこれらの事項について誤りがないことを確認する旨を付記した書類当該年度が終了した日から2年間

機械警備業者の備付書類

機械警備業者は、前記した備付書類と併せて、基地局ごとに、以下の事項を記載した書類を備え付けます。

  • 基地局及び待機所の位置並びに待機所ごとの警備業務対象施設の所在する地域(地図上に記載する)
  • 待機所ごとに、市区町村の区域ごとの警備業務対象施設の数(別記様式第21号)
  • 警備業務対象施設ごとに、待機所から警備業務対象施設までの路程及び基地局において盗難等の事故の発生に関する情報を受信した場合にその受信の時から警備員が現場に到着する時までに通常要する時間
  • 待機所ごとに、配置する車両その他の装備の種類ごとの数量
  • 盗難等の事故の発生に関する情報を受信した日時、その情報に係る警備業務対象施設の名称及び所在地並びにその情報に応じて講じた措置及びその結果(その情報に応じて警備員を現場に向かわせた場合にあっては、当該受信の時から警備員が現場に到着する時までに要した時間を含む)(当該情報の受信の日から1年間備えておくこと)

チェックリスト

現場ではおもに備付書類を基にしたヒヤリングが行われます。また、適切な社会保険や労働保険に加入しているかなどについても確認が行われます。そのほか、警備業者としての業績や、他の事業を営んでいる場合には他の事業についても質問が及ぶこともあります。以下にチェックリストを作成していますので、しっかりと確認していただくようお願いいたします。

警備員名簿

警備員について適正な名簿を備えていますか?
警備員の性別、年代別、経験年数別、雇用形態別、業務別について整理できていますか?

確認票

採用にあたっては、警備員から欠格事由に該当しない旨の誓約書の提出を受けていますか?
誓約書とともに、履歴書(本人自筆) 、身分証明書、市町村長の証明書、医師の診断書を保存していますか?

護身用具一覧

護身用具一覧表には、護身用具の種類、会社で所有している護身用具の数、現場に配備されている護身用具の数、使用現場等を記載していますか?
護身用具一覧表は、常に最新のものに更新していますか?

指導計画書

指導計画書は、原則として1か月単位で作成していますか?
指導計画書には、 実施日、指導対象者、指導事項、指導方法、指導担当者、 実施場所を記載していますか?

教育計画書

教育計画書は、警備業務の種類ごとに、必要な時間数の教育に係る教育計画書を作成し、備え付けていますか?
新任の警備員に対する教育として、一般と特例(過去3年間に1年以上の警備経験)に分けて教育計画書を作成していますか?
一般警備員の場合は、基本教育と業務別教育併せて20時間以上、特例の場合は基本教育と業務別教育併せて7時間以上の教育計画書を作成していますか?

警備員教育に関する書類

警備員の新任教育、現任教育を実施するたびに、教育実施簿を作成し、事務所に備え付けていますか?
教育実施簿には、実施年月日、内容、方法、時間数、実施場所、実施者の氏名、対象警備員の氏名が記載され、警備員指導教育責任者及び実施者が確認した旨の付記がされていますか?
教育実施簿の指導教区責任者と教育実施者の確認欄は本人が記名押印していますか?

補足事項

警察署の立入検査は、何も定期的なものだけには限られません。警備業法には「公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、警察職員に警備業者の営業所、基地局又は待機所に立ち入り、業務の状況又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。」と明示しています。つまり、「必要な限度」であれば、訪問時期や回数については特に制限がないことになります。

したがって、「警察が来るからちゃんとする」ではなく、常日頃からルールを厳守し、警察の突然の訪問があったとしても揺らぐことのない体制を整えることが肝心です。

なお、労働者派遣法では、派遣禁止業務として港湾運送業や建設業等とともに警備業を規定しています。警備業者が派遣労働者を使用することや、自社の警備員を他社に派遣することは認められていないのでご注意ください。

警備業顧問サポート

弊所では、兵庫県・大阪府・京都府の全域にわたり、認定・更新・各種届出をはじめ、警備業運営のサポートをさせていただいております。ありがたいことに警備業に関しては遠方からの発注も多く、対応エリアも着々と拡大しております。

警備業は保存すべき書類も多く、1年度ごとの立入検査もあるなど、他業種と比較しても規制の厳しい業種であるといえます。このため、せっかく認定を取得しても法定基準を維持することができず、更新することができなかったというケースも耳目にします。

そこで弊所においては、スポット手続き代行のサービスと併せて、警備業法上の書類調製を丸ごとサポートする顧問サービスも提供しています。

★顧問サービスの内容

  • 法定書類の確認・作成・調製・相談・助言
  • 立入検査時の立会い(別途交通費)
  • 警備業法上の申請代行の大幅割引
  • 他の許認可申請の相談・申請代行の割引(例:入札、清掃業、古物商、金属くず商、産業廃棄物収集運搬業)
  • 補助金に関する相談・申請代行の割引
料金1〜4号警備業機械警備業
基本料金(警備員5人まで)19,800円/月24,200円/月
警備員が5人を超え1人増えるごとに+1,100円/月+1,100円/月
※営業所ごと12か月単位の契約になります。

すでに認定申請・更新・各種届出で業務をいただいている場合は、上記からさらに割り引かせていただきます。もちろん通常のスポットサービスとしても、以下のようにご利用いただけます。

立会検査特別サポート(相談・書類チェック)33,000円〜
立会検査特別サポート(書類調製・立会同席含む)66,000円〜(別途交通費)
新規認定申請のみ66,000円~
服装届・護身用具届(セット)33,000円〜
新規認定申請・服装届・護身用具届(セット)88,000円~
更新認定申請44,000円~
機械警備業開始届44,000円〜
変更届・廃止届22,000円~
※税込み

弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。警備業の運営でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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