奈良の警備業認定(許可)申請と格安開業支援について
コロナ禍では公共工事の工期見直しや施設休業などの影響を受けて一時的に停滞していた警備業でしたが、現在は徐々に復調傾向にあります。需要面についても大阪万博の開催に向けて改善が見られ、その機運を察してか、弊所へのご相談件数は増加しています。
その一方で、警備業をはじめようとする際は、警備業法に基づく小難しい申請手続きが必要になることにはついては、あまり浸透していないように感じます。
そこで本稿では、これから奈良県において警備業をはじめようとされる皆さまに向けて、営業開始のために必要となる認定制度の基礎知識や手続方法について詳しく解説していきたいと思います。
目 次
警備業とは
警備業法では、以下の4つの業務を「警備業務」として定義し、これらの業務を「他人の需要に応じて行う」営業のことを「警備業」として規制の対象としています。
該当要件が「他人の需要」とされていることから、自社内に警備員を配置して巡回にあたらせる行為等は警備業には該当しません。
1号警備(施設警備業務) | 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地といった各種施設での事故の発生を警戒し防止する業務 |
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2号警備(雑踏警備・交通整理業務 ) | 人や車両が雑踏する場所での事故の発生を警戒し防止する業務 |
3号警備(輸送車警備業務) | 現金、美術品などの運搬に際して盗難などの事故の発生を警戒し防止する業務 |
4号警備(ボディーガード業務) | 人の身体に対する危害の発生をその人の身辺で警戒し防止する業務 |
警備業認定申請
警備業を営業しようとするときは、営業所ごと、1号警備から4号警備の警備業務の区分ごとに、主たる営業所の所在地を管轄する警察署を経由して申請し、都道府県公安委員会の認定を受ける必要があります。「許可」ではなく「認定」を申請するという手続きになりますが、実務上はこの違いについてあまり深く考え込む必要はありません。
各営業所の各警備区分ごとに警備員指導教育責任者(指教責)を配置することと、申請者が後述する欠格事由に該当しないことが認定を受けるための要件となっています。また、警察署に納める認定申請手数料は、個人・法人ともに23,000円です。
警備業認定の有効期間は5年間となっており、認定を更新する場合には、有効期間が終了する日の30日前までに更新手続きを行う必要があります。
認定申請に必要となる書類
- 認定申請書
- 住民票(申請者・役員(監査役含む)・指導教育責任者)
- 身分証明書(申請者・役員(監査役含む)・指導教育責任者)
- 履歴書(申請者・役員(監査役含む)・指導教育責任者)
- 医師の診断書(申請者・役員(監査役含む)・指導教育責任者)
- 欠格要件に該当しないことの誓約書(申請者・役員(監査役含む)・指導教育責任者)
- 警備員指導教育責任者の資格者証の写し
- 業務を誠実に行う旨の誓約書
営業所について
営業所とは、その規模の大小を問わず、本店、支店、支社、事業所等と呼ばれているものであって、所属する警備員に対する日常の配置運用又は日常の業務の指揮統轄が行われている場所(営業の拠点)をいいます。
このうち「主たる営業所」とは、原則として会社法上の本店と一致しますが、兼業を行っている場合等であって、警備業に係る営業の中心となる営業所が会社法上の支店であるときは、主たる営業所が会社法上の本店と一致しない場合もあります。認定申請時において警備業に係る営業の拠点が複数ある場合、申請者がいずれか1つの営業所を主たる営業所と定めて申請する流れになります。
管轄警察署(申請窓口)
申請先は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課になります。所轄する警察署とその管轄区域は以下のとおりです。たとえば主たる営業所が生駒市である場合、その他の営業所(従たる営業所)が奈良市にあったとしても、申請窓口は生駒警察署になります。
警察署 | 管轄区域 |
---|---|
奈良警察署 | 奈良市(奈良県奈良西警察署及び奈良県天理警察署の管轄区域を除く) |
奈良西警察署 | (奈良市のうち)山陵町、押熊町、中山町、秋篠町、秋篠早月町、秋篠新町、秋篠三和町一丁目、秋篠三和町二丁目、敷島町一丁目、敷島町二丁目、西大寺新町一丁目、西大寺新町二丁目、西大寺北町一丁目、西大寺北町二丁目、西大寺北町三丁目、西大寺北町四丁目、西大寺東町一丁目、西大寺東町二丁目、西大寺本町、西大寺赤田町一丁目、西大寺赤田町二丁目、二条町二丁目、二条町三丁目、西大寺栄町、西大寺国見町一丁目、西大寺国見町二丁目、西大寺国見町三丁目、西大寺南町、西大寺小坊町、西大寺新田町、西大寺宝ケ丘、西大寺竜王町一丁目、西大寺竜王町二丁目、西大寺芝町一丁目、西大寺芝町二丁目、西大寺町、西大寺野神町一丁目、西大寺野神町二丁目、西大寺新池町、西大寺高塚町、青野町、青野町一丁目、青野町二丁目、若葉台一丁目、若葉台二丁目、若葉台三丁目、若葉台四丁目、菅原町、菅原東一丁目、菅原東二丁目、疋田町、疋田町一丁目、疋田町二丁目、疋田町三丁目、疋田町四丁目、疋田町五丁目、東登美ケ丘一丁目、東登美ケ丘二丁目、東登美ケ丘三丁目、東登美ケ丘四丁目、東登美ケ丘五丁目、東登美ケ丘六丁目、北登美ケ丘一丁目、北登美ケ丘二丁目、北登美ケ丘三丁目、北登美ケ丘四丁目、北登美ケ丘五丁目、北登美ケ丘六丁目、中登美ケ丘一丁目、中登美ケ丘二丁目、中登美ケ丘三丁目、中登美ケ丘四丁目、中登美ケ丘五丁目、中登美ケ丘六丁目、登美ケ丘一丁目、登美ケ丘二丁目、登美ケ丘三丁目、登美ケ丘四丁目、登美ケ丘五丁目、登美ケ丘六丁目、西登美ケ丘一丁目、西登美ケ丘二丁目、西登美ケ丘三丁目、西登美ケ丘四丁目、西登美ケ丘五丁目、西登美ケ丘六丁目、西登美ケ丘七丁目、西登美ケ丘八丁目、南登美ケ丘、中山町西一丁目、中山町西二丁目、中山町西三丁目、中山町西四丁目、朝日町一丁目、朝日町二丁目、学園朝日元町一丁目、学園朝日元町二丁目、学園朝日町、あやめ池北一丁目、あやめ池北二丁目、あやめ池北三丁目、あやめ池南一丁目、あやめ池南二丁目、あやめ池南三丁目、あやめ池南四丁目、あやめ池南五丁目、あやめ池南六丁目、あやめ池南七丁目、あやめ池南八丁目、あやめ池南九丁目、鶴舞東町、鶴舞西町、学園北一丁目、学園北二丁目、学園南一丁目、学園南二丁目、学園南三丁目、百楽園一丁目、百楽園二丁目、百楽園三丁目、百楽園四丁目、百楽園五丁目、学園赤松町、学園緑ケ丘一丁目、学園緑ケ丘二丁目、学園緑ケ丘三丁目、学園新田町、学園中一丁目、学園中二丁目、学園中三丁目、学園中四丁目、学園中五丁目、学園大和町一丁目、学園大和町二丁目、学園大和町三丁目、学園大和町四丁目、学園大和町五丁目、学園大和町六丁目、二名町、二名一丁目、二名二丁目、二名三丁目、二名四丁目、二名五丁目、二名六丁目、二名七丁目、二名平野一丁目、二名平野二丁目、二名東町、大渕町、松陽台一丁目、松陽台二丁目、松陽台三丁目、松陽台四丁目、富雄川西一丁目、富雄川西二丁目、三松一丁目、三松二丁目、三松三丁目、三松四丁目、三松ケ丘、富雄北一丁目、富雄北二丁目、富雄北三丁目、鳥見町一丁目、鳥見町二丁目、鳥見町三丁目、鳥見町四丁目、富雄元町一丁目、富雄元町二丁目、富雄元町三丁目、富雄元町四丁目、三碓町、三碓一丁目、三碓二丁目、三碓三丁目、三碓四丁目、三碓五丁目、三碓六丁目、三碓七丁目、中町、藤ノ木台一丁目、藤ノ木台二丁目、藤ノ木台三丁目、藤ノ木台四丁目、大倭町、菅野台、千代ケ丘一丁目、千代ケ丘二丁目、千代ケ丘三丁目、西千代ケ丘一丁目、西千代ケ丘二丁目、西千代ケ丘三丁目、富雄泉ケ丘、帝塚山一丁目、帝塚山二丁目、帝塚山三丁目、帝塚山四丁目、帝塚山五丁目、帝塚山六丁目、帝塚山七丁目、帝塚山中町、帝塚山西一丁目、帝塚山西二丁目、帝塚山南一丁目、帝塚山南二丁目、帝塚山南三丁目、帝塚山南四丁目、帝塚山南五丁目、青垣台一丁目、青垣台二丁目、青垣台三丁目、石木町、大和田町、丸山一丁目、丸山二丁目 |
生駒警察署 | 生駒市 |
郡山警察署 | 大和郡山市 |
西和警察署 | 生駒郡(平群町、三郷町、斑鳩町、安堵町) 北葛城郡のうち上牧町、王寺町、河合町 |
天理警察署 | 天理市 (奈良市のうち)都祁南之庄町、都祁甲岡町、来迎寺町、都祁友田町、藺生町、都祁小山戸町、都祁相河町、都祁吐山町、都祁こぶしが丘、都祁白石町、針町、針ヶ別所町、小倉町、上深川町、下深川町、荻町、都祁馬場町 山辺郡山添村 磯城郡(川西町、三宅町、田原本町) |
桜井警察署 | 桜井市、宇陀市、宇陀郡(曽爾村、御杖村)、吉野郡東吉野村 |
橿原警察署 | 橿原市、高市郡(高取町、明日香村) |
高田警察署 | 大和高田市、葛城市、御所市 |
香芝警察署 | 香芝市、北葛城郡広陵町 |
五條警察署 | 五條市、吉野郡(野迫川村、十津川村) |
吉野警察署 | 吉野郡(吉野町、大淀町、下市町、黒滝村、天川村、下北山村、上北山村、川上村) |
警備員指導教育責任者
警備員指導教育責任者(以下、指教責)とは、警備業務の区分(1号警備から4号警備)ごとに、警備を行う警備員を指導監督する役割をもった国家資格者のことを指します。
指教責の資格は誰にでも与えられるものではなく、以下の資格又は経験を有する者が、警備員指導教育責任者講習を修了することによって取得することができる国家資格という立ち位置です。
警備員指導教育責任者資格も警備業務区分ごとに区分されていますが、同一人がすべての区分の警備員指導教育責任者の資格を取得することも可能となっています。
- 最近5年間に当該警備業務の区分に係る警備業務に従事した期間が通算して3年以上の者
- 警備員1級検定(当該警備業務の区分に係るものに限る)に係る合格証明書の交付を受けている者
- 警備員2級検定(当該警備業務の区分に係るものに限る)に係る合格証明書の交付を受けている警備員であって、当該合格証明書の交付を受けた後、継続して1年以上当該警備業務の区分に係る警備業務に従事している者
- 公安委員会が上記の者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者
- 旧1級検定(当該業務区分に限る)の合格者
- 旧2級検定(当該業務区分に限る)合格後、継続して1年以上当該警備業務に従事している警備員
新たに指教責の資格を取得しようとする際に受講する新規取得講習の講習時間と講習料については、警備業務区分ごとに下表のとおりとなっています。
業務区分 | 講習時間 | 講習料 |
---|---|---|
施設警備 | 47時限(7日間) | 47,000円 |
雑踏・交通誘導警備 | 38時限(6日間) | 38,000円 |
運搬警備 | 38時限(6日間) | 38,000円 |
身辺警備 | 34時限(5日間) | 34,000円 |
既に指教責の資格を有する資格者が、新たに別の警備業務区分での資格を取得する場合に受講する追加取得講習については講習時間が短縮され、これに応じて受講料もそれぞれ軽減される措置が講じられています。
欠格事由
警備業は他人の生命や財産を保護するための重要な役務を担います。したがって、申請者が以下のいずれかの事由に該当する場合は、警備業者としての適格性欠くものとして、認定を受けることができません。
- 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ないもの
- 禁錮以上の刑に処せられ、又は警備業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 最近5年間に、警備業法の規定や処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- 暴力団対策法による命令又は指示を受けた者であって、その命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
- 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者(その者が警備業者の相続人であって、その法定代理人が欠格要件に該当しない場合を除く)
警備業認定後の手続き
警備業の認定を受けた後、実際に業務を行う日の前日までに以下の手続きを行う必要があります。
- 警備業務に使用する服装届出書
- 警備業務に使用する護身用具届出書
営業所等の届出
認定を受けた警備業者は、主たる営業所の所在する都道府県以外の都道府県の区域内に営業所を設け、又は警備業務を行おうとするときは、その前日までに、営業所の所在地又は警備業務を行おうとする場所を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会に対して届出を行うものとされています。
なお、営業所又は警備業務を行おうとする場所が複数ある場合は、営業所(又は場所)のいずれかを管轄する警察署を窓口として届出を行います。
ただし、以下のいずれかに該当する警備業務についてはこの届出を行う必要はありません。
- 継続して行う期間が30日以内で、かつ、従事させる警備員の数が1日につき5人以内である警備業務
- 3号警備業務(輸送車警備業務)で、その都道府県の区域内に運搬物の発送場所及び到達場所がないもの
変更届と書換申請
警備業者として認定された後、申請した内容に変更が生じた場合には、所轄警察署(公安委員会)に対して変更の届出を行う必要があります。また、交付された認定証に記載されている事項(警備業者の住所及び氏名又は名称)について変更があった場合は、変更届のほかに、認定証を書き換えるための書換申請が必要になります。
機械警備業務
機械警備業務とは、基地局を設けて、警備を行う場所とを回線などでつなぎ、異常が発生した時に警備員が現場に向かう形態の警備業務をいいます。ホームセキュリティーやエレベーターの監視などの業務がこれに該当しますが、自社においてモニターを設置し、警備員に巡視させる業務は機械警備業務には該当しません。
機械警備業の届出
機械警備を行う場合には、1号警備業の認定を受けたうえで、機械警備業の届出を行う必要があります。この届出は、受信機器または送信機器を設置する地域を管轄する警察署を経由して、所在地の都道府県公安委員会に対して行います。
機械警備業務管理者
機械警備業を行う場合には、業務を行なう基地局ごとに、都道府県公安委員会が行う機械警備業務管理者講習を受講し終了考査に合格した機械警備業務管理者を設置する必要があります。機械警備業務管理者の業務は以下のとおりです。
- 警備用機械装置の運用の監督
- 機械警備業務を行なう警備員への指令業務の統率
- 機械警備業務の管理について警備業者への助言
法定備付書類と実地指導
警備業は、以下のとおり営業所に備え付けるべき法定書類も多く、また、1年ごとに所轄警察署の実地指導(立入検査)が実施されるなど、認定後にも厳しい規制を受ける事業です。法定書類に不備があれば認定の効力を停止されるなど、警備業者に求められている責任は想像されるより重大です。せっかく受けた認定を取り消されることのないよう、日常的な業務はしっかりと記録して管理するよう心がけましょう。
★法定備付書類
- 警備員名簿
- 確認票
- 護身用具一覧
- 指導計画書
- 教育計画書
- 教育実施簿
- 警備契約先一覧
- 苦情処理簿
警備業認定申請サポート
弊所では、関西圏を中心に警備業認定申請の代行を広く承(うけたまわ)っています。本申請については全国各地での申請実績を有しますが、奈良県での申請実績も豊富にあります。書類作成から警察署との協議及び申請の代行に至るまで、一連の手続きをすべてパッケージしてサポートいたします。
また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。奈良県における警備業認定の手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
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