アダルトグッズ・DVD等の通販は許可が必要?風営法と無店舗型性風俗特殊営業の届出

まず結論から入りますが、アダルトグッズやアダルトDVD等を通信販売により販売しようとするときは、原則として風営法に定められた手続きが必要となります。
その上で皆様が感じるのは、「手続きは難しくないか」「警察は厳しくないか」といった不安であるように思います。特に「性風俗関連」という認識から、一般的なネットショップとは異なる厳しい規制を想像される人も少なくありません。
実際には、アダルトグッズの販売はすべてが一律に規制されるわけではなく、営業形態や販売方法によって風営法上の取扱いが異なります。そのため、誤った前提で準備を進めると、不要な手続きが必要になると誤解したり、逆に届出が必要なケースを見落とす可能性もあります。
そこで本稿では、アダルトグッズ販売に関する基本的な法的整理と、実務上問題となる届出の考え方について解説します。
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目 次
無店舗型性風俗特殊営業とは
無店舗型性風俗特殊営業とは、風営法第2条第7項に定められた営業形態であり、店舗を設けることなく、電話やインターネット等の通信手段を用いて客の依頼を受け、物品の販売または役務提供を行う営業を指します。
このうち、政令で定める対象物品(アダルトグッズ)を販売し、配送等の方法により提供する営業は、無店舗型性風俗特殊営業の「2号営業」に該当します。
対象となる「アダルトグッズ」とは、風営法上の性風俗関連特殊営業において規制対象となる物品を指し、具体的には性的な行為に用いられる物品、性器を模した物品、その他これらに類する商品が含まれます。
なお、性的サービスの提供を行う営業(いわゆるデリヘル)は、無店舗型性風俗特殊営業の「1号営業」に区分される別類型であり、本稿で扱うアダルトグッズ販売とは営業実態が異なります。
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アダルトグッズの販売方法
アダルトグッズの販売は、現在ではインターネットを利用した通信販売(ECサイト・モール出店等)が主流となっており、実務上も無店舗型性風俗特殊営業(2号営業)として事業を組み立てるケースが中心となっています。
一方で、実店舗を設けて販売を行う形態も制度上は存在しており、店舗型性風俗特殊営業として別途の規制を受けることになります。
ただし実際には、立地規制や用途地域制限の影響が大きく、自由に出店できるものではないため、現実的な選択肢としては通信販売型が主流となっています。
映像送信型性風俗特殊営業との違い
無店舗型性風俗特殊営業が、性的好奇心をそそる映像を収録したビデオテープ・DVD・Blu-ray等の記録媒体そのもの(有体物)を販売・貸付し配達する業態であることに対し、映像送信型性風俗特殊営業は、記録媒体という物の受け渡しを介さず、映像(データ)そのものを電気通信設備を用いて客に直接伝達する業態です。
無店舗型性風俗特殊営業の規制対象は「映像を収録した物」という物理的なモノであり、配達によって役務が完結します。一方、映像送信型性風俗特殊営業は、ライブチャットやアダルトサイトの動画配信がこれに該当し、有体物の移動は一切発生しません。つまり両者の違いは、映像を収めた物を渡すか、映像そのものを送るかという点に尽きます。
そのため、アダルトDVD等の販売促進のために映像サンプルをデータで提供する場合には、別途「映像送信型性風俗特殊営業」の届出が必要となるケースがあります。
| 項目 | 無店舗型性風俗特殊営業(2号営業) | 映像送信型性風俗特殊営業 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 風営法第2条第7項第2号 | 風営法第2条第8項 |
| 規制対象 | 映像を収録した記録媒体(ビデオテープ・DVD・Blu-ray等) | 映像(データ) |
| 代表的な業態 | アダルトビデオの通信販売・レンタル | ライブチャット、アダルトサイトの動画配信 |
| 役務の完結方法 | 記録媒体を配達すること | 電気通信設備で映像を伝達すること |
| 有体物の移動 | あり(記録媒体を配達) | なし |
| 届出先 | 管轄公安委員会 | 管轄公安委員会 |
| 年齢確認 | 非対面のため確認方法に工夫が必要 | 非対面のため確認方法に工夫が必要 |
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無店舗型性風俗特殊営業の要件と注意点
無店舗型性風俗特殊営業は、そもそも無店舗てまあることから、立地規制の対象とはならず、事務所の場所的制限は設けられていません。また、店舗型営業において必要とされる管理者の選任義務もなく、営業時間についても法令上の制限はありません。
もっとも、事務所そのものが不要となるわけではなく、実務上は営業の拠点となる事務所の確保が必要となります。このため、賃貸物件を利用する場合には、契約上の用途制限や貸主の承諾の有無が重要な確認事項となり、ここが実務上の主要なチェックポイントとなります。
★行政書士実務メモ
一見すると規制が厳しい営業類型に見えますが、無店舗型性風俗特殊営業には人的欠格事由が設けられておらず、前科歴がある場合でも届出を行うことができる仕組みです。また、事務所自体にも床面積や構造上の基準も設けられていないため、デリヘルと同様に、物件所有者から承諾をもらうことが最大のハードルとなります。
自動販売機による販売の取扱い
アダルトグッズの自動販売機による販売については、形式的には無店舗型に近い構造を有しています。
しかし実務上は、青少年健全育成条例(青少年育成保護条例)等により、風営法以上に厳しい規制が課されることが多く、設置場所や運用方法については自治体ごとの判断が大きく影響します。そのため、単純に無店舗型として整理できるものではなく、個別の条例確認が不可欠となります。
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届出方法
無店舗型性風俗特殊営業を開始する場合には、営業開始の10日前までに、事務所所在地を管轄する公安委員会(警察署)へ以下の書類を提出して届出を行う必要があります。
この届出は許可ではなく届出であり、所定の書類を提出することで手続きが完了します。
- 無店舗型性風俗特殊営業営業開始届出書
- 営業の方法
- 事務所の使用権限を疎明する書類
- 事務所の平面図
- 営業者・役員全員の住民票の写し(日本人にあっては本籍、外国人にあっては国籍が記載されたもので、マイナンバーが記載されていないもの)
- 定款及び登記事項証明書(法人)
地域ごとの運用差について
無店舗型性風俗特殊営業は全国共通の制度ではあるものの、実務運用においては都道府県警察ごとに解釈や運用の差が生じる場合があります。特に初回届出や事務所形態が特殊な場合には、事前相談や追加資料の提出が求められるケースも少なくありません。
そのため、単に法律上の要件を満たすだけではなく、実務上の運用まで踏まえた準備を行うことが重要となります。地域差を前提とした対応を行うことで、届出の遅延や差戻しを防ぐことが可能になります。
届出確認書
必要となる手続きは届出であって許可申請ではありません。そのため届出が受理されても立派な許可書はもらえませんが、代わりに都道府県公安委員会(所轄警察署)から届出確認書が交付されます。当日交付してくれる署もあれば、1〜2週間程度かかる署もあります。
届出確認書が交付されても、届出後10日を経過するまで営業を開始することはできません。また、届出確認書は事務所に掲示する義務があるほか、広告宣伝や求人活動の際に提示することが義務付けられています。
まとめ
無店舗型性風俗特殊営業(2号営業)は、アダルトグッズの通信販売やEC事業において用いられる基本的な届出区分であり、実店舗を設けずに事業を行う場合の中心的な制度となります。
もっとも、届出が必要となるかどうかは営業形態の整理や取扱商品との関係によって判断が分かれるため、形式的な理解だけでは不十分であり、実務上は事前の確認が重要となります。
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