酒類の製造における法定製造数量について

日本酒

酒類を製造しようとする者は、製造しようとする酒類の品目別、製造場ごとに、その製造場の所在地の所轄税務署長から免許(以下、酒造免許)を受ける必要があります。他方、酒造免許を受けるための申請手続きは複雑で、かつクリアすべき要件も多岐にわたります。

要件のひとつに法定製造数量という基準がありますが、これはユーザー(消費者)からの需要量とメーカー(酒造業者)による供給量の均衡(バランス)を図るための措置であり、ひいては酒税の安定的な徴収に資することを目的とする規制です。

酒類の製造免許は、製造免許を受けた後1年間に製造しようとする酒類の見込数量が製造場ごとに次の数量に達しない場合には、これを受けることができません。また、実際の製造数量がこれを3年間下回ると、免許取消しとなってしまいます。

清酒60kl
合成清酒60kl
連続式蒸留焼酎60kl
単式蒸留焼酎10kl
みりん10kl
ビール60kl
果実酒6kl
甘味果実酒6kl
ウイスキー6kl
ブランデー6kl
原料用アルコール6kl
発泡酒6kl
その他の醸造酒6kl
スピリッツ6kl
リキュール6kl
粉末酒6kl
雑酒6kl
※粉末酒に係る数量の計算は、粉末酒の重量に0.73(1kg当たりのリットル数)を乗じて計算する方法により行う

一般的にイメージしにくい「kl」という単位ですが、たとえばビール(60kl)であれば、350ml換算で年間約171,000本分、清酒や焼酎(60kl)であれば、1.8l換算で年間約33,000本分、果実酒であれば、750ml換算で年間約8,000本分に相当します。

また、製造見込数量の計算は、「酒類の製成の時期」に測定すべき数量によるものとされており、酒類の品目ごとにその製造方法に従って、下表のとき又は酒類に炭酸ガス(炭酸水を含む)を加えたとき若しくは水を加えた場合で品目に異動が生じたときを基準として計算を行います。

清酒こしたとき(かすこししたときを含む)
合成清酒原料品を混和したとき、発酵させたとき又はこしたとき
連続式蒸留焼酎及び単式蒸留焼酎蒸留が終わったとき又は原料品を混和したとき
みりんこしたとき(かすこししたときを含む)又は原料品を混和したとき
ビール主発酵(ホップ又は政令で定める物品を加えて更に発酵させた場合を含む)が終わったとき
果実酒①主発酵(糖類を加えて更に発酵させた場合を含む)が終わったとき
②主発酵(糖類を加えて更に発酵させた場合を含む)が終わった後又はブランデー等を混和した後にこす場合にはそのこしたとき
③ブランデー等、糖類又は香味料を加えたとき
④植物を侵してその成分を浸出させるものについては浸出し終わったとき又はろ過したとき
甘味果実酒①主発酵(糖類を加えて更に発酵させた場合を含む)が終わったとき
②主発酵(糖類を加えて更に発酵させた場合を含む)が終わった後又はブランデー等を混和した後にこす場合にはそのこしたとき
③ブランデー等、糖類、香味料、色素又は薬剤を加えたとき
④植物を浸してその成分を浸出させるものについては浸出し終わったとき又はろ過したとき
ウイスキー及びブランデー蒸留が終わったとき又は原料品を混和したとき。
原料用アルコール蒸留が終わったとき
発泡酒①主発酵が終わったとき
②原料品を混和したとき又はろ過したとき
その他の醸造酒①主発酵(穀類、糖類その他の物品を加えて更に発酵させた場合を含む)が終わったとき
②こしたとき
③すりつぶしたとき
スピリッツ①蒸留が終わったとき
②原料品を混和したとき又はろ過したとき
③主発酵が終わったとき又はこしたとき
リキュール①原料品を混和したとき又はろ過したとき
②すりつぶしたとき
③原料品を浸してその成分を浸出させるものについては浸出し終わったとき
粉末酒粉末状にしたとき又はこれに糖類その他の物品を混和して粉末状にしたとき
雑酒①主発酵が終わったとき又はこしたとき
②すりつぶしたとき
③原料品を混和したとき又はろ過したとき

ただし、以下のいずれかに該当するときは、この規定は適用されず、法定製造数量の制限は課されません。なお、薬用酒を製造しようとする場合は、製造見込数量が法定製造数量に達しているものとして取り扱われます。

  • 清酒の製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、単式蒸留焼酎又はみりんを製造しようとする場合(輸出するために清酒の製造免許を受けた者その他これに準ずる者として政令で定める者については適用外)
  • 連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎の製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、みりんを製造しようとする場合
  • 果実酒又は甘味果実酒の製造免許を受けた者がブランデーを製造しようとする場合
  • 試験のために酒類を製造しようとする場合
  • 輸出するために清酒を製造しようとする場合
  • 一の製造場において清酒及び合成清酒を製造しようとする場合で、製造免許を受けた後1年間におけるその製造見込数量の合計が60kl以上であるとき(輸出するために清酒の製造免許を受けた者その他これに準ずる者として政令で定める者については適用外)
  • 一の製造場において連続式蒸留焼酎及び単式蒸留焼酎を製造しようとする場合で、製造免許を受けた後1年間におけるその製造見込数量の合計が60kl以上であるとき
  • 清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール又はスピリッツの製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、自己の製造したこれらの酒類を原料としてリキュールを製造しようとする場合(輸出するために清酒の製造免許を受けた者その他これに準ずる者として政令で定める者については適用外)
  • 一の製造場において果実酒及び甘味果実酒を製造しようとする場合で、製造免許を受けた後1年間におけるその製造見込数量の合計が6kl以上であるとき
  • 一の製造場においてウイスキー及びブランデーを製造しようとする場合で、製造免許を受けた後1年間におけるその製造見込数量の合計が6kl以上であるとき
  • 一の製造場において原料用アルコール及びスピリッツを製造しようとする場合で、製造免許を受けた後1年間におけるその製造見込数量の合計が6kl以上であるとき

さらに、酒類の製造免許が付与される場合において、製造される酒類の品質につき充分な保証がないため特に必要があると認められるときは、税務署長により、製造免許について期限を付されることがあります。

  • 製造者以外の者が新たに製造免許を受けて酒類を製造しようとする場合(法人成り等により新規に製造免許を受けて引き続き同一品目の酒類を製造しようとする場合で、技術的能力及び酒類の製造場の設備が十分と認められるときを除く)
  • 試験製造免許を受けて酒類を製造しようとする場合
  • 輸出用清酒製造免許を受けて清酒を製造しようとする場合(製造者が現に清酒製造免許を受けている場合(清酒製造免許に期限が付されている場合を除く)を除く)
  • 製造者が現に製造免許を受けている以外の酒類を製造しようとする場合(法人成り等により新規に製造免許を受けて引き続き同一品目の酒類を製造しようとする場合で、技術的能力及び酒類の製造場の設備が十分と認められるときを除く)
  • その他、技術的能力、酒類の製造場の設備、醸造用水及び工場立地等からみて製造される酒類の品質につき充分な保証がないと認められるため国税局長が特に期限を付けることが適当であると判断したとき

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