愛知県における風俗案内所の規制内容と特定風俗案内業の届出について

ナイトワークの女性

愛知県では、愛知県風俗案内所規制条例(以下、条例)において、いわゆる風俗案内及び風俗案内所の営業について厳しく規制を行っています。

ここでいう「風俗案内所」とは、接待風俗営業(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)第2条第1項第1号に該当する営業)又は風営法法第2条第6項第1号、第2号若しくは第7項第1号のいずれかに該当する営業に関し、以下の情報を、提供を受けようとする者の求めに応じて提供するための施設であって、不特定多数の者が出入りすることができるものをいいます。

また、風俗案内所を設けて有償又は無償で接待風俗案内を行う事業を「特定風俗案内業」といいます。

★接待風俗案内
  • 接待風俗営業について、接待の内容、接待を受けることのできる時間、接待に従事する者に関する事項又は接待を受けるための料金
  • 接待風俗営業を行う営業所の名称、所在地又は電話番号その他の連絡先
★性風俗案内
  • 性風俗営業について、異性の客に接触する役務の内容、役務を受けることのできる時間、役務に従事する者に関する事項又は当該役務を受けるための料金
  • 性風俗営業の営業所の名称、所在地又は電話番号その他の連絡先(風営法第2条第7項第1号に該当する営業にあっては、その営業につき広告若しくは宣伝をするときにその営業を示すものとして使用する呼称、同法第31条の2第1項第7号に規定する受付所の所在地又は客の依頼を受けるための電話番号その他の連絡先)

特定風俗案内業の禁止地域

愛知県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(以下、施行条例)では、県内の区域を都市計画法上の用途地域を基準として第一種地域から第五種地域に区分しています。

このうち第一種地域においては特定風俗案内業を行うことが全面的に禁止されており、第二種地域、第三種地域及び第四種地域についても、以下の施設の敷地(その施設の用に供するものと決定した土地を含む)の周囲から、それぞれ定められている距離の区域内において特定風俗案内業を行うことは禁止されています。

保全対象施設第一種地域第二種地域及び第三種地域第四種地域第五種地域
学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く)
幼保連携型認定こども園
営業不可100m70m距離制限なし
保育所、病院、有床診療所営業不可50m30m距離制限なし

用途地域とは、住居、商業、工業など市街地における用途の混在を防ぐことを目的として各自治体が設定する地域区分ですが、施行条例では、県内の区域をこの用途地域を基準として第一種地域から第五種地域に区分して風俗営業等の場所的規制を行っています。

第一種地域第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
田園住居地域
第二種地域準住居地域
第三種地域近隣商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域
市街化調整区域(※)
都市計画法適用除外地域
第四種地域商業地域
第五種地域名古屋市の区域のうち、千種区今池1丁目(8番〜13番、29番、30番)、今池3丁目(4番)、今池4丁目(7番、9番〜11番)、今池5丁目(1番〜3番、8番〜13番、18番〜27番)、内山3丁目(32番、33番)、中区栄3丁目(8番〜13番)、栄4丁目(1番、6番及び19番を除く)、新栄1丁目(1番、11番、12番)及び錦3丁目(12番〜14番、17番〜19番)の区域
※市街化調整区域では、新たな建物が建築できない場合があります。

なお、性風俗案内については、地域にかかわらずそもそも全面的に禁止されているため、愛知県においては性風俗営業の風俗案内所は適法に存在することができません。

欠格事由

以下のいずれかに該当する者は、特定風俗案内業に関与することが好ましくないことから、他の要件を備える場合であったとしても特定風俗案内業を行うことはできません。

  1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  3. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  4. 愛知県暴力団排除条例第26条第1項の規定による公表(同条例第14条第1項第14条の2第2項第16条第1項第17条第1項又は第22条第3項の規定に違反する行為に係る同条例第25条の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなく勧告に従わない場合に係るものに限る)をされ、公表をされた日から起算して5年を経過しない者
  5. 精神の機能の障害により特定風俗案内業を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  6. 条例第14条の規定により特定風俗案内業の廃止の命令を受け、その命令を受けた日から起算して5年を経過しない者(命令を受けた者が法人である場合においては、その命令に係る聴聞の期日及び場所が公示された日前60日以内にその法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む)であった者で命令を受けた日から起算して5年を経過しないものを含む)
  7. 未成年者
  8. 法人でその役員のうちに1から6までのいずれかに該当する者があるもの

特定風俗案内業の届出

特定風俗案内業を行おうとする者は、風俗案内所ごとに、特定風俗案内業を開始しようとする日の10日前までに、公安委員会に対して特定風俗案内業を開始する旨の届出を行う必要があります。

この届出は、風俗案内所の所在地を管轄する警察署に対し、以下の書類を提出することにより行います。

  • 特定風俗案内業開始届出書(様式第一
  • 風俗案内所の使用について権原を有することを疎明する書類
    • 賃貸借契約書
    • 使用承諾書
    • 建物登記事項証明書
  • 風俗案内所の平面図及び風俗案内所の周囲の略図
  • 欠格事由のいずれにも該当しないことを誓約する書面(申請者及び役員)
  • 管理者の欠格事由のいずれにも該当しないことを誓約する書面(管理者)
  • 誠実に業務を行うことを誓約する書面(管理者)
  • 住民票の写し(申請者及び役員)
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市区町村の長の証明書(申請者、役員及び管理者)
  • 定款及び登記事項証明書(法人)

特定風俗案内業を開始する旨の届出をした者は、特定風俗案内業を廃止したとき、又は以下の事項について変更があったときは、その日から10日以内に、その旨を公安委員会に届け出る必要があります。

  • 氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
  • 風俗案内所の名称
  • 管理者の氏名及び住所
  • 法人にあっては、その役員の氏名及び住所

なお、同時に複数の風俗案内所について届出(変更の届出にあっては、氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地並びに役員の氏名及び住所の変更に係るものに限る)をするときは、それらの風俗案内所のうちいずれかひとつの風俗案内所の所在地を管轄する警察署長を経由してすれば足ります。

特定風俗案内業を開始する旨の届出をした者が、自己の名義をもって、他人に特定風俗案内業を行わせることは、「名義貸し」として禁止されています。

管理者

特定風俗案内業者は、風俗案内所ごとに、風俗案内所における業務の実施を統括管理する者のうちから、以下の業務を行う者として、管理者1人を選任する必要があります。

  • 風俗案内所における業務が条例に違反して行われることのないよう、特定風俗案内業者又はその代理人、使用人その他の従業者に対して助言又は指導を行うこと
  • 従業者名簿及びその記載又は記録について管理すること
  • 接待風俗案内受託時の確認等に係る書類及びその記載又は記録について管理すること

ただし、以下のいずれかの事由(欠格事由)に該当する者については、管理者として選任することはできません。

  1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  3. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  4. 愛知県暴力団排除条例第26条第1項の規定による公表(同条例第14条第1項第14条の2第2項第16条第1項第17条第1項又は第22条第3項の規定に違反する行為に係る同条例第25条の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなく勧告に従わない場合に係るものに限る)をされ、公表をされた日から起算して5年を経過しない者
  5. 精神の機能の障害により管理者の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
  6. 条例第14条の規定により特定風俗案内業の廃止の命令を受け、その命令を受けた日から起算して5年を経過しない者(命令を受けた者が法人である場合においては、その命令に係る聴聞の期日及び場所が公示された日前60日以内にその法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む)であった者で命令を受けた日から起算して5年を経過しないものを含む)
  7. 未成年者

特定風俗案内業者は、管理者として選任した者が欠けるに至ったときは、その日から14日以内に、新たな管理者を選任する必要があります。

この場合において、新たな管理者の選任の時までの間は、特定風俗案内業者(法人にあっては、その役員)が自ら管理者の業務を行う必要があります。

特定風俗案内業者の禁止行為

特定風俗案内業者は、風俗案内所における業務に関し、以下の行為を行うことが禁止されています。

  • 18歳未満の者を風俗案内所における業務に従事させること
  • 18歳未満の者に対し接待風俗案内を行い、又は18歳未満の者を風俗案内所に利用者として立ち入らせること
  • 営業に関する情報を利用者に提供することを委託する契約(以下、委託契約)を締結させ、又は委託契約の申込みの撤回、解除若しくは解約を妨げるため、人を威迫して困惑させること
  • 風俗案内所の周辺において、公衆の目に触れるような方法で接待風俗案内を行うこと
  • 卑わいな行為その他善良の風俗を害する行為が行われていることを告げ、又はこれらの行為が行われていると思わせる方法で、接待風俗案内を行うこと
  • 風俗案内所の外周又は内部に、性的感情を刺激する絵画、写真その他の物品を掲げ、又は性的感情を刺激する装飾をすること
  • 原則として午前0時から午前9時までの時間において接待風俗案内を行うこと
  • 風俗案内所の周辺において、公安委員会規則で定める方法により測定した場合における数値が、一定の数値以上となる騒音を生じさせること
  • 条例第11条第2項に規定する書類を備えていない接待風俗営業に係る接待風俗案内を行うこと
  • 委託契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、執ように委託契約の締結について勧誘すること
  • 委託契約の解除又は解約をする旨の意思を表示した者に対し、執ように当該委託契約の存続を要求すること

従業者名簿

特定風俗案内業者は、風俗案内所ごとに、従業者名簿(電磁的記録をもって作成するものを含む)を備え、これにその風俗案内所における業務に従事する者の氏名、生年月日、住所、性別、従事する業務の内容、採用年月日及び退職年月日を記載し又は記録し、その者が退職した日から起算して3年を経過する日までの間、備えおく義務があります。

接待風俗案内受託時の確認等

特定風俗案内業者は、接待風俗営業を営む者から風俗案内所における接待風俗案内を受託するときは、下表の事項について、その事項を証する書類として定められている書類により確認する必要があります。

確認事項確認書類
接待風俗営業を営む者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)住民票の写し、運転免許証若しくは登記事項証明書又はこれらに代わる書面
営業所の名称及び所在地風俗営業許可証又は特例風俗営業者認定証
営業の種別風俗営業許可証又は特例風俗営業者認定証
接待風俗案内の委託契約に関する業務を担当する者の氏名住民票の写し、運転免許証若しくは登記事項証明書又はこれらに代わる書面
営業の許可の年月日及び番号又は許可に係る特例風俗営業者の認定の年月日及び番号住民票の写し、運転免許証若しくは登記事項証明書又はこれらに代わる書面

特定風俗案内業者は、確認に係る事項を記載した書類(書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む)を作成し、その接待風俗案内又はその営業に関する情報を利用者に提供することを行わなくなった日から起算して3年を経過する日までの間、風俗案内所ごとにこれを備えおく義務があります。

また、接待風俗営業以外の営業を営む者からその営業に関する情報を利用者に提供することを受託するときは、受託に係る事項を記載した書類についても同様の取扱いがなされます。

青少年の立入禁止の表示

特定風俗案内業者は、公安委員会規則で定めるところにより、18歳未満の者が立ち入ってはならない旨の文言を表示した書面その他の物を、風俗案内所の入口に、公衆に見やすいように掲げることによって表示する必要があります。

罰則

条例には罰則が設けられており、規定に違反した者については、下表のとおり懲役刑又は罰金刑に処されます。

なお、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、罰則に拘禁刑がある違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各規定の罰金刑が科されます。(両罰規定)

6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金風俗案内所を設けて性風俗案内を行った者
禁止地域において特定風俗案内業を行った者
自己の名義をもって、他人に特定風俗案内業を行わせた者
18歳未満の者を風俗案内所における業務に従事させた者
18歳未満の者に対し接待風俗案内を行い、又は18歳未満の者を風俗案内所に利用者として立ち入らせた者
委託契約を締結させ、又は委託契約の申込みの撤回、解除若しくは解約を妨げるため、人を威迫して困惑させた者
公安委員会による営業廃止又は営業停止命令に違反した者
30万円以下の罰金届出をしないで特定風俗案内業を行い、又は届出に関し虚偽の届出をし、若しくは添付書類であって虚偽の記載のあるものを提出した者
変更等の届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は添付書類であって虚偽の記載のあるものを提出した者
従業者名簿に関する規定に違反し、又は従業者名簿に虚偽の記載若しくは記録をした者
接待風俗案内受託時の確認等に関する規定に違反した者
20万円以下の罰金条例第16条第1項の規定に違反して報告をせず、若しくは資料の提出をせず、若しくは同項の報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

18歳未満の者に係る規定について違反した者は、年齢を知らないことを理由として、処罰を免れることはできません。

条文には、「18歳未満の者の年齢を知らないことにつき過失がないときはこの限りでない。」とのただし書きがありますが、過失がなかったことを証明することは相当難しく、その責任は、事実上無過失責任に近いものがあります。

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