農業をはじめよう│青年等就農制度と青年等就農計画の認定について

農家の青年

青年等就農制度は、新たに農業を始める青年等を対象に、青年等が作成する青年等就農計画を市町村が認定し、その計画に沿って農業を営む認定新規就農者に対し、農業次世代人材投資事業、無利子資金制度、農業経営基盤強化準備金の交付等といった支援措置を重点的に講じようとするものです。

本稿では、真剣に農業に取り組もうとされている青年の皆さまのために、青年等就農制度の概要と、青年等就農計画の認定申請の際に必要になる手続きについて詳しく解説していきたいと思います。

認定新規就農者関連の主な施策

青年等就農制度

農業は国民の食糧施策を支える重要な産業であるにもかかわらず、その生産農家の数は、年々減少の一途をたどっています。このため、農業経営基盤強化促進法においては、農業の健全な発展に寄与することを目的として、効率的かつ安定的な農業経営の目標を明らかにするとともに、その目標に向けて農業経営の改善を計画的に進めようとする農業者に対し、経営管理の合理化その他の農業経営基盤の強化を促進するための総合的な施策として、以下のような措置を講じています。

農業次世代人材投資事業(経営開始型)就農後5年以内の所得を確保する資金(最大150万円/年)を交付するもの
青年等就農資金農業経営の開始に必要な機械、施設の取得等のための資金について無利子貸付を行うもの
強い農業・担い手づくり総合支援交付金人・農地プランの中心経営体等に対し、農業用機械等の導入を支援するもの
経営所得安定対策米、麦、大豆等の作物を生産される方の経営安定を支援するもの
農業経営基盤強化準備金経営所得安定対策等の交付金を活用して、計画的に規模の拡大を図る取組等を、税制面から支援するもの
農協等向け新規就農者税制農協等が機械設備や農業用ハウスを取得し、人・農地プランの中心経営体に位置付けられた認新規就農者に利用させる場合、その固定資産税を軽減するもの

青年等就農計画

青年等就農計画は、効率的かつ安定的な農業経営の目標を明らかにするとともに、その目標に向けて農業経営の改善を図るために作成する計画書です。青年等就農制度の根幹をなすものであり、市町村の認定を受けた青年等就農計画計画に沿って農業を営むことが、先述した優遇措置を受けるための条件とされています。

市町村の区域内において新たに農業経営を営もうとする青年等は、農林水産大臣の定める様式により、以下の事項を記載した青年等就農計画を作成し、これを市町村に提出して、計画が適当である旨の認定を受けることができます。

  • 農業経営の開始の時における農業経営の状況(既に農業経営を開始した青年等にあっては農業経営の現状)
  • 農業経営の開始から相当の期間を経過した時における農業経営に関する目標
  • 目標を達成するために必要な施設の設置、機械の購入その他の措置に関する事項
  • 65歳未満の個人であって、効率的かつ安定的な農業経営を営む者となるために活用できる知識及び技能を有するものにあっては、その有する知識及び技能に関する事項

青年等就農計画の認定のために必要となる手続きは、おおむね以下のような流れになります。

  1. 事前相談
  2. 青年等就農計画(WORD : 90KB)の作成・提出
  3. 市町村による審査・認定
  4. 認定の通知
  5. 関係機関によるフォローアップ等

対象となる青年等

青年等就農制度の対象となる青年等とは、以下に該当する者であって、新たに農業経営を営もうとするものです。

  • 青年(原則18歳以上45歳未満)
  • 65歳未満の個人であって、効率的かつ安定的な農業経営を営む者となるために活用できる知識及び技能を有する次のいずれかに該当するもの
    • 商工業その他の事業の経営管理に3年以上従事した者
    • 商工業その他の事業の経営管理に関する研究又は指導、教育その他の役務の提供の事業に3年以上従事した者
    • 農業又は農業に関連する事業に3年以上従事した者
    • 農業に関する研究又は指導、教育その他の役務の提供の事業に3年以上従事した者
    • これらの者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者
  • 上記の者が役員の過半数を占める法人

なお、農業経営を開始して5年を経過しない者は、青年等就農制度の対象とされていますが、認定農業者については対象外とされています。

青年等就農計画の認定

申請がなされた青年等就農計画が、以下の要件に該当するものであると認めるときは、市町村はその計画について認定を行います。

  • 基本構想に照らし適切なものであること
  • その青年等就農計画の達成される見込みが確実であること
  • 65歳未満の個人であって、効率的かつ安定的な農業経営を営む者となるために活用できる知識及び技能を有するものにあっては、その有する知識及び技能に関する事項が目標を達成するために適切なものであること

認定の有効期間は、認定がなされた日から起算して5年間とされています。ただし、既に農業経営を開始した青年等にあっては、認定がなされた日から、農業経営を開始した日から起算して5年を経過した日までの間とされています。

また、認定就農者は、認定された青年等就農計画を変更しようとするときは、市町村から変更の認定を受ける必要があります。

なお、認定就農計画が要件に該当しないものと認められるに至ったとき、又は認定就農者が認定就農計画に従って目標を達成するためにとるべき措置を講じていないと認めるときは、認定が取り消されることがあるため、注意する必要があります。

公庫等による貸付け

公庫は、通常の融資のほか、認定就農者に対する青年等就農資金の貸付けを行っています。この貸付けは無利子とされており、その償還期限(据置期間を含む)は、17年以内(据置期間は5年以内)で公庫が定めた期間とされてます。

また、日本政策金融公庫が行う以下に該当する農業の持続的かつ健全な発展に資する長期かつ低利の資金(資本市場からの調達が困難なものに限る)であって、認定就農者が認定就農計画に従って目標を達成するために必要な施設の設置、機械の購入その他の措置を行うのに必要なものの貸付けに対する据置期間は、5年を超えない範囲内で、日本政策金融公庫が定める期間とされています。

  • 農地又は牧野の改良、造成又は復旧に必要な資金
  • 農業経営の改善のためにする農地又は採草放牧地(農地又は採草放牧地とする土地を含む)の取得(その取得に当たって、その土地の農業上の利用を増進するため防風林、道路、水路、ため池その他の施設として利用する必要がある土地を併せて取得する場合におけるその土地の取得を含む)に必要な資金
  • 農地又は採草放牧地についての賃借権その他の所有権以外の使用及び収益を目的とする権利の取得に必要な資金であって主務大臣の指定するもの
  • 果樹の植栽又は育成に必要な資金(果樹の育成に必要な資金については、一定の資金に係るものに限る)
  • 指定永年性植物の植栽又は育成に必要な資金(一定の資金に係るものに限る)
  • 家畜の購入又は育成に必要な資金(一定の資金に係るものに限る)
  • 農業経営の規模の拡大、生産方式の合理化、経営管理の合理化、農業従事の態様の改善等の農業経営の改善に伴い必要な資金であって主務大臣の指定するもの
  • 農業経営の安定に必要な資金であって主務大臣の指定するもの
  • 造林に必要な資金
  • 森林の立木の伐採制限に伴い必要な資金
  • 林道の改良、造成又は復旧に必要な資金
  • 林業経営の維持に必要な資金であって主務大臣の指定するもの
  • 林業経営の改善のためにする森林(森林とする土地を含む)の取得又は森林の保育その他の育林に必要な資金であって主務大臣の指定するもの
  • 農林業者の共同利用に供する施設の改良、造成、復旧又は取得に必要な資金
  • その他農林漁業の持続的かつ健全な発展に必要な施設の改良、造成、復旧又は取得に必要な資金(当該施設の改良、造成、復旧又は取得に関連する資金を含む)であって主務大臣の指定するもの

青年農業者等育成センター

都道府県では、新たに就農をしようとする青年等及び青年等(法人を除く)をその営む農業に就業させようとする農業者並びにこれらの者の関係者からの青年等の就農に関する相談に応じ、並びに当該者に対し、青年等の就農に関する情報の提供その他の援助を行うため、青年農業者等育成センターを設置しています。

青年農業者等育成センターでは、国、地方公共団体と連携協力し、認定就農計画の達成のために必要な助言、指導、資金の融通のあっせんその他の援助を行います。

青年等就農計画の記載方法

以下は、農林水産省が公開している青年等就農計画認定申請書のイメージです。市町村によっては記載要領が異なるケースもあるため、申請前には必ず事前相談を経るようにしましょう。

青年等就農計画(1)
青年等就農計画(2)
青年等就農計画(3)
青年等就農計画(4)

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