介護保険適用タクシーの適用条件とメリットデメリットについて
介護タクシーとは、身体介護を必要とする要介護者や障害者等が利用するタクシーの通称であって、道路運送法において正式には一般乗用旅客自動車運送事業(福祉限定)と呼ばれる事業の用に供する車両を指します。
一個の契約により乗車定員10人以下の自動車を貸し切って旅客を運送するものが一般乗用旅客自動車運送事業ですが、介護タクシーの場合、「福祉車両」という限定条件が付いているため、使用する車両や利用することのできる乗客については制限が設けられています。
基本的にはこの許可の取得をもって営業を開始することができる介護タクシーですが、介護保険の適用を受けることにより、さらに介護保険適用タクシー(介護保険タクシー)とすることもできます。
そこで本稿では、通常の介護タクシーと介護保険適用タクシーとの違いに触れつつ、介護保険適用タクシーに関する基礎知識や適用を受けた際のメリットデメリット等について、分かりやすく解説していきたいと思います。
弊所は行政書士事務所として介護タクシー事業のサポートを承っております。ただし、介護保険法上の指定申請については社会保険労務士の独占業務とされているため、該当する申請を代行することはできません。この場合でも速やかに社会保険労務士をご案内することができますので、どうぞ安心してご相談ください。
介護タクシー許可
すでに説明したとおり、介護タクシー事業をはじめるためには、原則として一般乗用旅客自動車運送事業(福祉車両)の許可を取得する必要があります。介護保険適用タクシーは、この状態の介護タクシーと介護保険とを連動させたものとしてとらえれば理解が進むのではないかと思います。
また、原則として訪問介護員等の自家用自動車を有償で運送の用に供することはできませんが、すでに訪問介護事業者(高齢者対象)又は居宅介護事業者(障害者対象)として指定を受けている事業者が申請し、自家用自動車有償運送許可が下りた自家用自動車についてはこれを適法に行うことができるようになります。
訪問介護員等の自家用自動車に対する許可を、本体の許可にぶら下がる許可と見立てて「ぶら下がり許可」と呼んでいますが、この許可を取得している指定介護事業者は、介護タクシー許可と介護保険法上の指定をともに受けている状態であるため、特に手続きを経ることなく介護保険適用タクシーとしての運用を開始することができるようになっています。
介護保険適用タクシー
介護タクシーは必ずしも介護保険法上の適用を受ける必要がなく、介護保険適用外のタクシーであったとしても何らの問題なく運行させることができます。
介護保険が適用されるタクシーのメリットは、本来であれば利用者が全額負担すべき運賃のうち、その9割が介護保険から賄われるという点にあります。これにより介護タクシーを利用する要介護者等の負担は1割に軽減され、介護タクシー事業者側も競合他社との差別化を図ることができるようになります。
この点にのみ着目すれば、介護タクシー事業者の誰もが介護保険の適用を受けたいと思いつくのですが、実務上は何もメリットばかりではありません。そこで次章では、介護保険の適用を受けるための条件を提示しながら、介護保険適用タクシーのデメリットになりうる点についても考察していくことにいたします。
★介護保険適用タクシーのメリット
- 利用者の運賃負担額が軽減される
- 競合他社との差別化を図れる
- ケアマネの心証も良くなる
介護保険の適用条件
介護保険適用となるためには、訪問介護事業者(高齢者対象)又は居宅介護事業者(障害者対象)としての指定を受ける必要があります。また、訪問介護事業にせよ居宅介護事業者にせよ、指定の前提が「法人格を有すること」とされているため、事業者は必然的に法人(会社組織)に限定され、個人でこれを行うことはできません。
ただし、ここまでの要件をすべて備えていたとしても、実際にサービスとして提供するためには、利用者ごとに担当するケアマネジャーによりケアプラン内に介護サービスとして明確に策定される必要があります。
★適用条件のまとめ
- 介護タクシーの許可を受けていること
- 介護保険法上の指定を受けた訪問介護事業者(居宅介護支援事業所)であること
- ケアマネジャーによりケアプラン上の介護サービスとして明確に記載されること
介護保険法上の指定申請
介護保険法上の指定申請は市町村ごとに手続方法のばらつきが見られますが、兵庫県尼崎市における手続きの流れは以下のようになります。
指定されるための基準についても市町村ごとにばらつきがあるため、指定申請をする際は、市町村の担当窓口において必要な情報をしっかりと確認するようにしてください。
介護保険適用タクシーのデメリット
ここまでの説明のとおり、介護タクシーに介護保険を適用させるためには、数次の手続きを経由する必要があります。介護保険が適用されることにより確かにメリットを享受することもあるわけですが、この手続きの煩(わずら)わしさはデメリットと言えるかもしれません。
また、介護保険という社会保険から支払いを受ける以上、ただの民間サービスではなく公的サービスとして捉えられるため、様々な制約を受けることになります。
たとえばケアマネジャーがケアプランにおいて指定する日時には必ずサービスを提供しなければならず、たまたま重なった移送の依頼を断ざるをえない状況になってしまうケースも想定されます。
事業の展望を思案する際は、メリットだけではなくこのようなデメリットが生ずることも想定しながら計画を進めるようにしてください。
介護タクシー開業サポート
弊所では兵庫大阪京都の全域にわたり、介護タクシーの開業に必要な手続きの代行を承っております。基準適合性の確認から、書類作成、運輸支局との協議、法令試験対策及び申請の代行に至るまで、(介護保険法に基づく手続きを除き)しっかりとフルサポートいたします。
下記は市場価格を反映させて設定した報酬額ですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」を標榜しています。代表は高齢者施設を運営していた実績を有する福祉の専門家であるとともに、現役のケアマネジャーという傾聴のスペシャリストです。自身がケアマネジャーであることからも、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応(報酬額を含む)には自信があります。介護タクシー事業の開業でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
特定旅客自動車運送事業許可申請 | 253,000円〜 |
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉限定)許可申請 | 132,000円〜 |
訪問介護員等による自家用自動車有償運送の許可申請 | 44,000円〜 |
訪問介護員等による自家用自動車有償運送の許可申請 + 自家用車有償運送許可 | 198,000円〜 |
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