特定旅客自動車運送事業としての介護タクシーについて
介護タクシーとは、身体介護を必要とする要介護者や障害者等が利用するタクシーの通称です。介護タクシー事業をはじめる際には道路運送法に基づく許可を取得する必要がありますが、単に「介護タクシー」と言う場合、多くは一般乗用旅客自動車運送事業(福祉限定)のことを指し、実際にこの許可を取得して事業を営むケースがほとんどを占めています。
とはいえ利用者の需要は十人十色で、介護タクシーの用途はそれに応じて多種多様であることが理想です。このため手続面においてもその事業形態に応じ、求められる許可は異なります。
目 次
介護タクシーに関する許可
介護タクシーは利用の用途や使用する自動車の違いによって、次の3タイプの事業形態に分類することができます。
- 一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)
- 特定旅客自動車運送事業
- 訪問介護員等による自家用自動車での有償運送
どれも長ったらしい名称で標記が類似することで混同しやすいところではありますが、以下の点において大きな違いがあるので、しっかりと分別して把握するようにしてください。
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定) | 特定旅客自動車運送事業 | 訪問介護員等による自家用自動車での有償運送(ぶら下がり許可) | |
---|---|---|---|
申請者 | 個人法人は問わず基準を満たす者 | 介護事業者 | 訪問介護事業所又は居宅介護事業所であって、一般乗用(特定含む)旅客自動車運送事業の許可を取得している事業所及びその訪問介護員等 |
旅客 | ①要介護、要支援の認定を受けている者 ②身体障害者手帳の交付を受けている者 ③単独での移動が困難な者であり、単独で交通機関の利用が困難な者 ④消防機関又は消防機関と連携するコー ルセンターを介して、患者等搬送事業 者による搬送サービスの提供を受ける者 | 特定の施設等の利用者であって、運送先での目的が同一の者、かつ介護認定等を受けているもの(自社介護事業の利用者に限る) | 訪問介護員が所属する訪問介護事業所等の要介護認定を受けた利用者 |
運送形態 | 旅客の希望によりあらゆる輸送形態 | 要介護認定者等の自宅や介護報酬の支払対象となる医療施設等への送迎輸送に限定 | 介護サービス計画等に基づいて、有資格の訪問介護員等が訪問介護サービス等と連続して、又は一体として行う要介護者等の輸送 |
ナンバー | 緑ナンバー | 緑ナンバー | 白ナンバー |
一般乗用旅客自動車運送事業
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)とは、オーソドックスなタイプの介護タクシー事業です。個人法人問わず許可を取得することが可能で、要介護者等についてあらゆる輸送形態でのサービスを提供することができます。
自家用自動車での有償運送
訪問介護(居宅介護)と介護タクシーを営む事業者が、本業に付随する形でヘルパー等の自家用車を利用する有償運送形態が該当します。
ヘルパータクシーとも言われる事業形態ですが、この形態のみ単独で許可を受けることはできず、本事業に付随する許可であることから「ぶら下がり許可」とも呼ばれています。
介護保険適用タクシー
介護保険で利用できるタイプの介護タクシーを介護保険適用タクシーと呼んでいます。このタイプの介護タクシー事業を営業するためには、前提として介護保険法上の介護事業者として指定を受ける必要があります。
なお、介護事業者に指定されるためには法人であることが前提条件となるため、介護保険適用の介護タクシーは、必然的に個人では営業することができません。
本稿で解説する特定旅客自動車運送事業としての介護タクシーもこの介護保険適用タクシーに該当します。
特定旅客自動車運送事業
介護事業所として指定を受けている事業者が病院等と利用者の自宅の間の送迎のみを有償で行う場合には、特定旅客自動車運送事業の許可を取得する必要があります。
特定旅客自動車運送事業とは、特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客を運送する事業をいいますが、これを介護タクシーに当てはめようとすると、「特定の者」が病院等にあたり、「一定の範囲の旅客」が要介護認定等を受けた利用者にあたります。
分かりやすく言えば、訪問介護を営む事業者が、自社を利用する利用者を有償(利用料を貰い受けること)で契約先である(1つの)病院に送迎するケースがこれに該当します。なお、同様のケースにおいて無償で送迎を行う場合は「自家用輸送」となるため、特に手続きは必要とされていません。
営業の範囲
特定旅客自動車運送事業許可を受けて行うことができる営業の範囲はかなり限定的になるため、以下を参考にしてしっかりと内容を把握するようにしてください。
申請者 | 指定を受けた介護事業者 |
旅客 | 特定の施設等の利用者であって、運送先での目的が同一の者、かつ介護認定等を受けているもの(自社介護事業の利用者に限る) |
運送形態 | 要介護認定者等の自宅や介護報酬の支払対象となる医療施設等への送迎輸送に限定 |
必要な資格 | 二種免許 |
この事業形態のメリットとしては、送迎バスやシャトルバスのように一度の運行で多数の利用者を移送することができることから、運送の効率が良いという点が挙げられます。
特定旅客自動車運送事業許可申請
許可申請の大前提として介護事業者としての指定を受けていることが必須条件になります。また、そもそも介護事業者として指定を受けるためには法人格を有することが要件となっているため、個人でこの事業形態を選択することはできません。
★前提条件
- 法人であること
- 介護事業者の指定を受けていること
特定旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、営業所を管轄する運輸支局(国土交通大臣)に対して申請を行い、その許可を受ける必要があります。
この申請は先述した3タイプの事業形態中でも特に難易度が高いのですが、その割に営業範囲が限定的であることから、決してコスパが良いとは言えません。この点についてはしっかりと熟慮して事業形態を選択するようにしてください。なお、許可基準や手続方法については以下で詳しくまとめていますので、しっかりと確認するようにしてください。
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特定旅客自動車運送事業許可申請 | 264,000円〜 |
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉限定)許可申請 | 132,000円〜 |
訪問介護員等による自家用自動車有償運送の許可申請 | 44,000円〜 |
訪問介護員等による自家用自動車有償運送の許可申請 + 自家用車有償運送許可 | 198,000円〜 |
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