自動車リサイクル法の手続きを分かりやすく解説

緑と虹と地球儀のエコイメージ

使用済自動車の再資源化等に関する法律(以下、自動車リサイクル法)は、自動車製造業者(メーカー)や所有者を含む自動車のリサイクルに携わる関係者に適正な役割を分担させることによって、有用金属や部品を含む資源として価値の高い使用済自動車の積極的なリサイクルと適正処理を推進することを目的とした法律です。

現在はこの法律に基づいて自動車のリサイクルシステムが構築されており、適正なリサイクルシステムの稼働によって、使用済自動車のほとんどがリサイクルされています。

他方、役割が細分化されたことに伴って関係者の数も増えたことから、権利義務が複雑化することによって、一般層からは、かえって全体像が分かりにくいという声も上がります。

そこで本稿では、自動車リサイクル法上の手続きを代行する機会の多い行政書士が、自動車リサイクル制度の全体像と、関与する事業者に必要となる手続きの概要について解説していきたいと思います。

使用済自動車

使用済自動車とは、その名のとおり使用を終了した自動車のことを指します。この「使用」には、運行の用途以外の使用を含むため、運行の用途を終了後、たとえば倉庫として使用しているものについては、使用済自動車には当たらないことになります。

また、以下の装置を有する自動車については、これらの装置が自動車の使用終了後も取り外して再度使用することができることから、自動車の使用を終了し、かつ、これらの装置を取り外したものを使用済自動車としています。

  • 保冷貨物自動車の冷蔵用の装置その他のバン型の積載装置
  • コンクリートミキサーその他のタンク型の積載装置
  • 土砂等の運搬の用に供する自動車の荷台その他の囲いを有する積載装置
  • トラッククレーンその他の特殊の用途にのみ用いられる自動車に当該自動車と一体として装備される特別な装置(人又は物を運送するために用いられるものを除く)

なお、解体自動車とは、使用済自動車を解体することによって、その部品、材料その他の有用なものを分離し、これらを回収した後に残存する物をいいます。

★制度対象外となる自動車

被けん引車、二輪車(原動機付自動車、側車付のものを含む)、大型特殊自動車、小型特殊自動車及びその他スノーモービル等は、制度の対象外となります。

関係者の役割分担

自動車リサイクル法では、自動車所有者、自動車製造業者及び関係事業者各々の役割が定められています。自動車製造業者及び関係事業者においては、使用済自動車の適正処理が求められており、自動車所有者に対しては、自動車の長期使用や購入時の環境配慮設計自動車の選択などに加え「使用済自動車の排出者」としての役割が求められています。

使用済自動車の再資源化等に関する法律の概念図

自動車製造業者等

自らが製造又は輸入した自動車が使用済となった場合、その自動車から発生するフロン類、エアバッグ類及びシュレッダーダスト(プラスチックやガラス等の車を破砕した際に出るくず)を引き取り、リサイクル(フロン類については破壊)を行います。 また、解体業者又は破砕業者に委託して解体自動車の全部再資源化を行うことができます。

引取業者

リサイクルルートに乗せる入口の役割を担う事業であり、自動車所有者から使用済自動車を引き取り、フロン類回収業者又は解体業者に引き渡しを行います。自動車販売業者や整備業者等を想定しており、これらの者が都道府県知事等の登録を受けることにより引取業者として事業を営むことができます。

フロン類回収業者

使用済自動車のエアコンからフロン類を適正に回収し、回収したフロン類を自ら再利用する場合を除き、自動車製造業者等に引き渡してフロン類の回収費用を受け、残存する使用済自動車を解体業者へと引き渡す中間業者的な事業です。

フロン類回収業を行おうとする者は、業を行おうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事に対して申請し、その登録を受ける必要があります。

解体業者

解体業者は、引き受けた使用済自動車又を解体し、回収したエアバッグ類やシュレッダーダストを自動車製造業者等に引き渡します。

解体業を行おうとする者は、事業所の所在地を管轄する都道府県知事(又は政令市の区域ごと)に対して申請し、その許可を受ける必要があります。

使用済自動車から再利用部品などの取り外しを行うためには、たとえ個人で行う場合においても都道府県知事等から解体業の許可を受ける必要があります。これに違反すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、廃棄物処理法上の許可を受けていない場合は、廃棄物処理法の無許可営業として5年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金となります。

破砕業者

破砕業者は、引き受けた解体自動車の破砕及び破砕前処理(圧縮、せん断)を行い、解体業者と同様に、回収したエアバッグ類やシュレッダーダストを自動車製造業者等に引き渡します。

破砕業を行おうとする者は、事業所の所在地を管轄する都道府県知事(又は政令市の区域ごと)に対して申請し、その許可を受ける必要があります。

自動車所有者

使用済自動車のリサイクル(フロン類の回収・破壊並びにエアバッグ類及びシュレッダーダストのリサイクル)に要する費用は、原則として、新車購入時に自動車の所有者が負担します。

また、使用済自動車を引取業者に引き渡して引取証明書を受け取りますが、購入時にリサイクル料金を負担していないもの(エアバッグやエアコンを後で付けた場合等)については、引取業者に引き渡す際に負担することとなります。(車検期間が残っている場合には、その残存期間に応じて、引き渡した使用済自動車が解体された際に自動車重量税の還付が受けられます。)

(図)リサイクル料金の支払い

リサイクル料金

自動車製造業者間の競争により、リサイクル容易な自動車の設計・製造や料金低減を図るという観点から、リサイクル料金は、あらかじめ各自動車製造業者等が定めて公表します。(一般の車両は6,000円~18,000円程度)

リサイクル料金の管理については、自動車製造業者等の倒産・解散による滅失等を防ぐため、国から指定を受けた公益財団法人自動車リサイクル促進センター(外部サイト)が管理します。また、自動車製造業者等はシュレッダーダスト等のリサイクルに当たり、料金の払渡しを請求します。

なお、リサイクル料金が預託されている自動車を中古車として輸出した場合など、リサイクル料金を預託しておく必要がない場合には、リサイクル料金が返還される仕組みがあります。

特定再資源化預託金等

フロン類回収業者によってフロン類が再利用された場合など、リサイクル料金の払渡しの必要がなくなる特定の場合については、そのリサイクル料金は「特定再資源化預託金等」となり、国の承認を受けて、リサイクル料金の管理、不法投棄対策や離島での使用済自動車の処理支援、使用済自動車の情報管理などに使われます。

電子マニフェスト制度

使用済自動車等は、電子マニフェストと呼ばれる電子システムによって、各工程の事業者間での引取り、引渡しをパソコンの画面上で報告するシステムとなっており、一台一台確実に管理されます。

リサイクル券

リサイクル券(預託証明書)は、リサイクル料金が支払われていることを証明する重要な書面で、新車購入時にリサイクル料金を預託した際に、新車販売店等から受け取ります。

リサイクル券は「A券」~「D券」で構成されており、「A券」及び「B券」、は車検時及び使用済自動車を引き渡す時に必要になります。なお、廃車時に預託する時はリサイクル券が発行されず、引取証明書が発行されます。

リサイクル券

リサイクル料金預託済の中古車

リサイクル料金預託済の中古車の売買時のリサイクル料金の取扱いについては、以下のとおりです。

リサイクル料金預託済の中古車の売買時のリサイクル料金

自動車重量税の還付制度

自動車を廃車にする際、車検証の残存期間に応じて最終所有者に自動車重量税が戻ってくる制度です。

ディーラー等の引取業者から自動車が解体された旨の連絡があった後、自動車が解体されたことが確認されれば、重量税還付の申請が可能となります。

自動車リサイクル法関連サポート

弊所では、兵庫大阪京都をはじめとする関西圏を中心に、自動車リサイクル法に基づく手続きの代行を承(うけたまわ)っています。年間300件近くの手続きに携わることから各種申請には自信を持っているほか、「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。自動車リサイクル法上の手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

自動車リサイクル法による手続きの代行はお任せください♬

関西圏全域に対応可能です。

平日9時〜18時、📩は24時間365日対応!

06-6415-9020 または 090-1911-1497

メールでのお問い合わせはこちら。

お問い合わせフォーム

事務所の最新情報をお届けします