酒類の定義と種類について│酒税法を学ぼう
お酒(酒類)は酒税という税金の対象とされていることから、これを製造し、若しくは販売するためには、酒類製造若しくは酒類販売の免許を取得する必要があります。
ただし、「酒類」がどのようなものであるのかを確定しなければ、そもそも造ることも売ることもできない一方で、酒類について規制する酒税法は難解かつ複雑で、一般層にまでその骨子が伝わっていないのが現状です。
そこで本稿では、酒税法及び酒税法施行令によって定められている酒類の定義及びその分類について、詳しく解説してきたいと思います。
目 次
酒類とは
アルコール分とは、温度15度の時において原容量100分中に含有するエチルアルコールの容量をいいますが、酒類とは、アルコール分1度以上の飲料のことを指します。これには、薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が90度以上のアルコールのうち、酒類の原料として製造するもの以外のものを除く)又は溶かしてアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものも含まれます。
なお、アルコール分に似た概念に「エキス分」という概念がありますが、こちらは温度15度の時において原容量100c㎥中に含有する不揮発性成分のグラム数をいいます。
酒類の分類と品目
酒税法では、原料や製造方法の違いにより、酒類の課税上の分類として、発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類及び混成酒類の4つの区分と、17の品目に分類しています。
発泡性酒類
①ビール
②発泡酒
◯その他の発泡性酒類(アルコール分が11度未満のものに限る)※品目には含まず
醸造酒類
③清酒
④果実酒
⑤その他の醸造酒
蒸留酒類
⑥連続式蒸留焼酎
⑦単式蒸留焼酎
⑧ウイスキー
⑨ブランデー
⑩原料用アルコール
⑪スピリッツ
混成酒類
⑫合成清酒
⑬みりん
⑭甘味果実酒
⑮リキュール
⑯粉末酒
⑰雑酒
発泡性酒類
発泡性酒類とは、ビール、発泡酒並びにこれら以外の酒類であって発泡性を有しアルコール分が11度未満のもの(その他の発泡性酒類)をいいます。
ビール
ビールとは、以下に該当する酒類のうち、アルコール分が20度未満のものをいいます。
- 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの
- 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計100分の50以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限る)
- 上記の酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の100分の50以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の5を超えないものに限る)
発泡酒
発泡酒とは、麦芽又は麦を原料の一部とした酒類のうち、発泡性を有するものであって、アルコール分が20度未満のものをいいます。
醸造酒類
醸造酒類とは、清酒、果実酒及びその他の醸造酒であって、その他の発泡性酒類を除くものをいいます。
清酒
清酒とは、以下に該当する酒類のうち、アルコール分が22度未満のものをいいます。
- 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
- 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む)の重量の100分の50を超えないものに限る)
- 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの
果実酒
果実酒とは、以下に該当する酒類のうち、アルコール分が20度未満のものをいいます。
- 果実又は果実及び水を原料として発酵させたもの
- 果実又は果実及び水に糖類(政令で定めるものに限る)を加えて発酵させたもの(アルコール分が15度以上のものその他政令で定めるものを除く)
- 上記の酒類に糖類(政令で定めるものに限る)を加えて発酵させたもの(アルコール分が15度以上のものその他政令で定めるものを除く)
- 上記の酒類にブランデー、アルコール若しくは政令で定めるスピリッツ又は糖類(政令で定めるものに限る)、香味料若しくは水を加えたもの(ブランデー等を加えたものについては、当該ブランデー等のアルコール分の総量が当該ブランデー等を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10を超えないものに限る)(アルコール分が15度以上のものその他政令で定めるものを除く)
- 上記の酒類に政令で定める植物を浸してその成分を浸出させたもの
その他の醸造酒
その他の醸造酒とは、穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類のうち、アルコール分が20度未満のものであって、エキス分が2度以上のものをいいます。
蒸留酒類
蒸留酒類とは、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール及びスピリッツであって、その他の発泡性酒類を除くものをいいます。
連続式蒸留焼酎
連続式蒸留焼酎とは、アルコール含有物を連続式蒸留機により蒸留した酒類(これに水を加えたもの及び政令で定めるところにより砂糖その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が2度未満のものに限る)を含み、以下のものを除く)であって、アルコール分が36度未満のものをいいます。
- 発芽させた穀類又は果実(果実を乾燥させ若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含み、なつめやしの実その他政令で定めるものを除く)を原料の全部又は一部としたもの
- しらかばの炭その他政令で定めるものでこしたもの
- 含糖質物(政令で定める砂糖を除く)を原料の全部又は一部としたもので、そのアルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のもの
- アルコール含有物を蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させたもの
単式蒸留焼酎
単式蒸留焼酎とは、以下に該当する酒類(これらに水を加えたものを含む)のうち、アルコール分が45度以下のものをいいます。
- 穀類又は芋類、これらのこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を連続式蒸留機以外の蒸留機により蒸留したもの
- 穀類のこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの
- 清酒かす及び水若しくは清酒かす、米、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は清酒かすを単式蒸留機により蒸留したもの
- 砂糖(政令で定めるものに限る)、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したものホ 穀類又は芋類、これらのこうじ、水及び政令で定める物品を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が穀類又は芋類(これらのこうじを含む)の重量を超えないものに限る)
- 上記の酒類以外の酒類でアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(これに政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が2度未満のものに限る)を含む)
ウイスキー
ウイスキーとは、以下に該当する酒類をいいます。
- 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る)
- 発芽させた穀類及び水によって穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る)
- 上記の酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(上記の酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10以上のものに限る)
ブランデー
ブランデーとは、以下に該当する酒類をいいます。
- 果実若しくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は果実酒(果実酒かすを含む)を蒸留したもの(当該アルコール含有物又は果実酒の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のものに限る)
- 上記の酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(上記の酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の10以上のものに限る)
原料用アルコール
原料用アルコールとは、連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎(アルコール分に関する規定を除く)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く)のうち、アルコール分が45度を超えるものをいいます。
スピリッツ
スピリッツとは、ここで紹介する酒類以外の蒸留酒類のうち、エキス分が2度未満のものをいいます。
混成酒類
混成酒類とは、合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒及び雑酒であって、その他の発泡性酒類を除くものをいいます。
合成清酒
合成清酒とは、アルコール、焼酎(連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎をいい、水以外の物品を加えたものを除く)又は清酒とぶどう糖その他政令で定める物品を原料として製造した酒類(原料として米又は米を原料として製造した物品を使用したものについては、米の重量の合計が、アルコール分20度に換算した場合の当該酒類の重量の100分の5を超えないものに限る)のうち、その香味、色沢その他の性状が清酒に類似するもの(アルコール分が16度未満でエキス分が5度以上であることその他の政令で定める要件を満たすものに限る)をいいます。
みりん
みりんとは、以下に該当する酒類のうち、アルコール分が15度未満のもの(エキス分が40度以上であることその他の政令で定める要件を満たすものに限る)をいいます。
- 米及び米こうじに焼酎又はアルコールを加えて、こしたもの
- 米、米こうじ及び焼酎又はアルコールにみりんその他政令で定める物品を加えて、こしたもの
- みりんに焼酎又はアルコールを加えたもの
- みりんにみりんかすを加えて、こしたもの
甘味果実酒
甘味果実酒とは、以下に該当する酒類のうち、果実酒以外のものをいいます。
- 果実又は果実及び水に糖類を加えて発酵させたもの
- 上記又は果実酒にに糖類を加えて発酵させたもの上記又は果実酒にブランデー等又は糖類、香味料、色素若しくは水を加えたもの(ブランデー等を加えたものについては、当該ブランデー等のアルコール分の総量が当該ブランデー等を加えた後の酒類のアルコール分の総量の100分の90を超えないものに限る)
- 上記又は果実酒に植物を浸してその成分を浸出させたもの若しくは薬剤を加えたもの又はこれらの酒類にブランデー等、糖類、香味料、色素若しくは水を加えたもの
リキュール
リキュールとは、酒類と糖類その他の物品(酒類を含む)を原料とした酒類でエキス分が2度以上のものをいいます。
粉末酒
粉末酒とは、溶かしてアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状の酒類をいいます。
雑酒
雑酒とは、ここで紹介する酒類以外の酒類をいいます。
税率
酒税の課税標準は、原則として、酒類の製造場から移出し、又は保税地域から引き取る酒類の数量とされていますが、その税率は、酒類の種類に応じ、1klにつき次に定める金額とされています。このため酒類の分類は、酒税の課税上重要な要素となります。
発泡性酒類 | 155,000円 |
その他の発泡性酒類 | 100,000円 |
醸造酒類 | 100,000円 |
蒸留酒類・混成酒類 | 200,000円 (アルコール分が21度以上のものにあっては1度ごとに1万円を加えた金額) |
ウイスキー、ブランデー及びスピリッツであってアルコール分が37度未満のもの | 370,000円 |
合成清酒 | 100,000円 |
みりん及びその性状がみりんに類似する酒類として政令で定める雑酒 | 20,000円 |
甘味果実酒及びリキュール | 120,000円 (アルコール分が13度以上のものにあっては1度ごとに1万円を加えた金額) |
粉末酒 | 390,000円 |
まとめ
法令の条文は回りくどい表現が多く、制度を複雑に感じさせる要因ともなっており、また、酒税法関連の法令は改正も多いことから、これらの把握は困難を極めます。
とは言え、酒類の製造や販売に携わるのであれば最低限習得すべき知識であることは間違いないので、周辺知識できる限り詳細に把握するように心がけてください。
弊所では、兵庫大阪京都をはじめ関西全域にわたり、酒類の製造や販売に関する手続きの代行を承っております。面倒な書類の作成から関連機関との調整及び申請の代行に至るまで、しっかりとフルサポートいたします。下記の報酬は市場価格を反映した上で当初から割引したものですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。酒類に関する免許の取得でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
酒類販売業免許申請 | 88,000円~ |
酒類卸業免許申請 | 143,000円~ |
酒類製造業免許申請 | 660,000円~ |
移転申請 | 77,000円〜 |
変更届・廃業届 | 22,000円〜 |
酒類に関する免許や開業の際のご相談はお気軽に♬
関西圏全域に対応可能です。
☎平日9時〜18時、📩は24時間365日対応!
06-6415-9020 または 090-1911-1497
メールでのお問い合わせはこちら。