メルカリやヤフオクでお酒を売るときの注意点│古物商許可と酒類販売免許

フリマアプリで出品した商品が売れて喜ぶ女性

近年はインターネットを通じた物販取引が隆盛で、メルカリやヤフオクといったネットオークションの利用も、物品を購入する際の選択肢として、十分に市民権を獲得したのではないかと思います。

メルカリ利用者からのお問い合わせは、古物商許可申請を中心に、以前からぼちぼち承(うけたまわ)りますが、その中でちらほら受けるのが、お酒の売買についてのご相談です。

お酒は酒税という税金の対象ですから、販売について免許が必要になるなど、厳しいルールが適用されます。実際に、免許を受けることなくお酒を販売してしまい、摘発されてしまったという事例は、近年増加傾向にあります。

そこで本稿では、オークションサイトにお酒を出品しようとされる皆さまに向けて、特に注意すべき点について詳しく解説していきたいと思います。

古物商許可

ご存じの方も多いでしょうが、一度使用した物品を販売するためには、古物商として、公安委員会から許可を受ける必要があります。

これを聞いてドキッとされた方も多いのではないかと思いますが、これには例外があり、たとえば以下のような取引であれば、古物商許可を取得する必要はないものとされています。

  • 自分の物を売る行為
  • 自ら購入した物をオークションサイトに出品する行為
  • 無償でもらった物を売る行為
  • 相手から手数料等を取って回収した物を売る行為
  • 自分が売った相手から売った物を買い戻す行為
  • 自分が海外で買ってきたものを売る行為
  • 誰でも利用できるフリーマーケットを主催する行為

古物営業法では、「営利目的」かつ「反復継続して」古物の取引を行うことを古物営業として定義しているため、古物の取引を行う場合であっても、この2つの要素を満たさないものについては古物営業には該当しません。

また、そもそも古物とは、使用のために取得した物品を指すため、いわゆる新古品(型遅れ流通在庫保管品)や、流通段階における物品は、使用を目的としないことが明らかであることから古物には該当せず、これらの物品を販売する行為は古物営業には該当しません。

★営利目的

営利目的とは、利益を得ることを目的にした活動全般を指します。このため、金銭の授受があったとしても、「利益を得る意思」がなかった場合は、営利目的とはいえません。

反復継続

営利目的があったとしても、一度限りの取引であれば古物営業にはあたらないものと考えられます。たとえば文化祭等のイベントでフリーマーケットを開催したとしても、反復継続する取引でなければ古物営業には該当しません。

オークションサイトにおいて自分の物を販売する行為は、営利目的であることは明確ですが、反復継続する意思が認められない場合は古物営業には該当せず、古物商の許可も必要ありません。

なお、どのくらいの取引量であれば反復継続の意思があるものと認められるかについては、明確に踏み込んだ基準がありません。一般的には、個別のショップ等を開設した時点で古物商許可を取得する必要があるものと思われます。

酒類販売免許

冒頭でお伝えしたとおり、お酒を販売するためには、酒類販売免許が必要になります。オークションサイトを覗いていると、普通にお酒を販売しているアカウントが散見されますが、これは法的に非常に危険な状態にあります。

ただし、こちらについても古物商と同様の例外があり、「営利目的」と「反復継続の意思」が両方揃わないものであれば、特に免許を受ける必要はありません。

オークションサイトであることを考慮すれば、こちらも営利目的は明確なので、個別のショップ等を開設した時点を酒類販売免許を取得するタイミングと考えるのが妥当でしょう。

その一方で、古物商許可を既に取得している場合には、反復継続の意思を汲み取ることができるので、古物商がお酒を販売しようとする時は、酒類販売免許が必要になるものと考えられます。

酒類販売免許の注意点

酒類販売免許とひとことでいっても、免許区分は多岐にわたり、かつ複雑なため、適切な免許を取得しなければ意味がありません。酒類販売免許は、大きく分けて「卸売」と「小売」の2タイプがありますが、オークションサイトはエンドユーザーに対する販売であるため、取得する免許は「小売」に該当します。

卸売業免許酒類販売業者や酒類製造者に対する販売
小売業免許飲食店・一般消費者に対する販売

酒類小売業については、先に説明した一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許に、特殊酒類小売業免許を加えた3つの免許区分が設けられています。

区分内容
一般酒類小売業免許有店舗・無店舗とも全酒類の小売りが可能
通信販売酒類小売業免許インターネット、チラシ、カタログによる通信販売
輸入酒は販売無制限
国産酒は大手の酒類は取扱い不可 (3,000kl制限)
特殊酒類小売業免許酒類の消費者等の特別の必要に応ずるための免許

大雑把に区分すれば、酒類の店頭小売を行うために必要となる免許が一般酒類小売業免許、酒類をインターネット、チラシ、カタログ等による通信販売で小売するために必要となる免許が通信販売酒類小売業免許という区分になりますが、この2つの免許には他にも大きな違いが存在しています。

販売することができる酒類

一般酒類小売業免許と通信販売酒類小売業免許の相違点としては、小売することのできる種類の違いがあります。一般酒類小売業免許では、小売することのできる酒類に制限は設けられていませんが、通信販売酒類小売業免許では、輸入酒又は年間生産量がすべて3,000kl未満である製造者が製造若しくは販売する国産酒に限り小売することが認められています。

したがって、通信販売小売業免許で国産酒を取り扱う際には、生産者から「うちは年間生産量がすべて3,000㎘未満だよ」という旨の証明書を交付してもらう必要があります。

一般層からすれば少しユニークに感じる規制ですが、そもそも生産量が多く競争力も強いAビールやKビールといったトップブランドの販促ツールとして、さらに強力な通信販売という手段を与えてしまうとなると、まさに「鬼に金棒」状態です。これでは地道に国産酒を製造する零細製造業者は到底太刀打ちできません。

要するに需給調整要件は、生産量の少ない地ビールや国産ワインを製造する事業者にもスポットを当てることによって、国内メーカー内の需給の均衡を図るために設けられている措置です。このような事情から、輸入酒についてはこの制限は設けられておらず、年間生産量にかかわらず全銘柄を販売することができます。

販売することができる地域

通信販売酒類小売業免許は、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象として酒類を販売することを想定しています。逆に一の都道府県の消費者等のみを対象として小売を行う場合には、通信販売酒類小売業免許ではなく、一般酒類小売業免許が必要となります。

あまり考えにくいことではありますが、メルカリ等により、一の都道府県のみの消費者等を限定して酒類の通信販売をしようとするときは、通信販売酒類小売業免許と併せて、一般酒類小売業免許を取得する必要があります。

なお、通信販売酒類小売業免許と一般酒類小売業免許の双方を取得しているのであれば、一の都道府県のみの消費者等を対象として、全酒類の通信販売をすることは可能であるものと考えられます。

仕入先についての注意点

酒類販売業者に対して酒類を販売する場合には、小売販売免許ではなく、卸売業免許の取得が必要となります。したがって、小売業者が酒類を仕入れる際には、原則として酒類卸売業免許を取得している者(又は酒類製造者)から購入する必要があります。

ただし、既に説明している通り、オークションサイトに自分のお酒を出品すること自体は、反復継続性がなければ違法ではありません。このため、おもな仕入先を「オークションサイト」とする酒類の販売は、特に法律上の問題は発生しないものと考えられます。

通信販売酒類小売業免許の取得方法

酒類販売業免許の取得は、古物商許可を取得することとは比較にならないくらい高いハードルと複雑な手続きが設定されています。本稿では詳細を割愛しますが、以下の記事において詳しく解説していますので、しっかりと確認するようにしてください。

また、スムーズに申請を進めるためには、事前に管轄の税務署に問い合わせをすることや、酒類販売業免許に成通する行政書士に相談することをお薦めします。

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