酒類販売媒介業免許申請ガイド│免許要件と申請方法をさくっと解説
酒類の販売業をしようとする場合には、酒税法に基づき、販売場ごとに、その販売場の所在地の所轄税務署長から酒類販売業免許を受ける必要があります。酒類の販売には、自ら直接酒類を販売する場合のほか、酒類の販売を代理し又は媒介する行為も含まれます。
酒類販売媒介業とは、営利目的の有無を問わず、他人間の酒類の売買取引を継続的に媒介することをいいます。これはまさに上で説明した酒類販売業の一形態にあたり、酒類販売媒介業をはじめる際には酒類販売媒介業免許を取得する必要があります。
そこで本稿では、これから酒類販売媒介業をはじめようとされる皆さまに向けて、免許内容や免許要件など、免許取得のために必要となる基礎知識について詳しく解説していきたいと思います。
目 次
酒類販売媒介業免許
媒介とは、取引の相手方の紹介、意思の伝達又は取引内容の折衝等その取引成立のためにする補助行為を指します。すなわち営利非営利を問わず、継続して酒類販売の媒介を行うための免許が酒類販売媒介業免許です。
なお、酒類販売媒介業免許は、その媒介のための事務所の所在する場所ごとに免許が必要です。これは例えば、本店で免許を受けている場合であっても、支店で酒類の販売媒介業を行おうとする場合には、支店の所在地の所轄税務署長から新たに免許を受ける必要があるということです。
また、酒類販売媒介業免許を受けた場所には、酒類の媒介業者の事務所である旨の表示をする必要がありますが、相手方に媒介業免許を有する旨の開示をした上で媒介を行う場合には、表示をしないことができます。
免許の要件
酒類販売媒介業免許を受けるためには、次に説明する人的要件、経営基礎要件(資産等要件、経験要件、取扱能力及び設備要件)のすべてをクリアする必要があります。なお、販売場所という概念がないため、酒類販売業のような場所的要件は問われません。
人的要件
酒税の徴収という観点からしても、信頼性や倫理観に欠ける人間を酒類販売業に関与させることは好ましいことではありません。これは酒類販売媒介業であっても同様です。
このことから、酒税法では酒類販売媒介業の免許を受けようとする者について以下の欠格事由を設け、この事由にひとつでも該当する者については、免許を付与しないこととなっています。
- 免許を取り消され、又は許可を取り消された日から3年を経過するまでの者
- 酒類販売業者である法人が免許を取り消された場合又は許可を取り消された場合において、それぞれ、その取消しの原因となった事実があった日以前1年内に当該法人の業務を執行する役員であった者で当該法人がその取消処分を受けた日から3年を経過するまでのもの
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が1・2・7・8に該当する者である場合
- 法人の役員のうちに1・2・7・8に該当する者がある場合
- 1・2・7・8に該当する者を販売場に係る支配人としようとする場合
- 申請前2年内において国税又は地方税の滞納処分を受けた者である場合
- 免許の申請者が国税若しくは地方税に関する法令、酒類業組合法、アルコール事業法の規定により罰金の刑に処せられ、又は国税通則法、関税法、地方税法の規定により通告処分を受け、それぞれ、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過するまでの者である場合
- 未成年者飲酒禁止法、風営法、暴力団対策法の規定により、又は刑法上の一定の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者である場合
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者
- 正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとする場合
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合
- 酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため免許を与えることが適当でないと認められる場合
経営基礎要件
酒税の徴収上、経営状況が安定しない事業者を酒類販売業に関与させることは好ましくありません。信頼性は経営の面においても求められています。
したがって、資産状況、経験、取扱能力及び設備等を総合的に照らし合わせ、一定の経営基礎を持たないものと判断された申請者については、免許を受けることができません。
資産等要件
資産状況等については、次の各項目に「該当しない」ことが要件とされています。
- 現に国税又は地方税を滞納している場合
- 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合
- 最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている場合
- 最終事業年度以前3事業年度の全ての事業年度において資本等の額の20%を超える額の欠損を生じている場合
- 酒税法等の関係法令に違反し、通告処分を受け、履行していない場合又は告発されている場合
- 販売場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令又は地方自治体の条例の規定に違反しており、店舗の除却又は移転を命じられている場合
- 申請酒類小売販売場において、酒類の適正な販売管理体制が構築されないことが明らかであると見込まれる場合
経験要件
経験要件については、申請者、法人役員又は事務所の支配人が、以下の経験その他から判断し、適正に酒類の媒介業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること(現に酒類業団体の役職である者を除く)が求められています。
- 酒類の製造業又は販売業(薬用酒だけの販売業を除く)の業務に直接従事した期間が引き続き10年(これらの事業の経営者として直接業務に従事した者にあっては5年)以上である者
- 過去において酒類の媒介業を相当期間経営したことがある者
- 酒類の副産物、原料、醸造機械等の販売業の業務に直接従事した期間が引き続き10年以上である者
- 酒類の醸造技術の指導等の経験を5年以上有している者
小売業免許とは異なり、酒類販売管理研修の受講によって実務経験に代えることができません。酒類販売媒介業免許で求められる実務経験については厳密に経歴を問われることになります。
取扱能力
酒類販売媒介業免許では、予定している媒介業を継続して行う能力を有することが求められます。具体的には、年平均取扱見込数量が確実に100kl(媒介業の基準数量)以上であることを、酒類販売業者の販売媒介契約書等で証明する必要があります。
設備要件
事務所は年間100kl以上の取扱いをするのに相応しい人員とスペースを確保し、電話その他の設備(FAX、パソコン等)を有し、又は有することが確実であることが求められています。
免許申請手続きの流れ
免許申請は、法人等の本店所在地ではなく、開業予定地を管轄する税務署に対して行います。例えば芦屋市に本店を置く法人が尼崎市内で開業を予定している場合は、芦屋税務署ではなく、尼崎税務署に対して申請を行います。
★酒類指導官(酒税官)
酒類指導官は、申請、審査および相談を担当する専門の行政官です。すべての税務署に常駐しているわけではなく、地域担当の複数の所轄税務署を取りまとめている税務署に常駐しています。
例えば尼崎市内で開業しようとする場合の申請先は尼崎税務署になりますが、相談窓口となる酒税官はお隣りの西宮税務署に常駐しています。
免許申請に必要となる書類
- 酒類販売業免許申請書
- 次葉1〜6
- 免許要件誓約書
- 複数申請等一覧表(複数店舗での同時申請の場合)
- 免許申請チェック表
- 履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 履歴書(申請者、役員全員)
- 全部事項証明書(販売場の土地・建物)
- 賃貸借契約書(賃貸物件等の場合)
- 決算報告書(最終事業年度以前3事業年度分)
- 都道府県税の納税証明書
- 市町村税の納税証明書
- 酒類販売業者の販売媒介契約書等
- 事務所の写真(外観・内観・事務什器)
- 通帳のコピー又は残高証明書など所要資金を証明する書類
申請様式は国税庁のサイトからダウンロードすることができますが、以下の該当リンクからもダウンロード(Word)することができます。
酒類販売媒介業免許申請書(PDF) | 申請内容の基本情報 |
次葉1 | 販売場の近隣周辺の見取図 |
次葉2 | 販売場内のレイアウト図 |
次葉3 | 販売場の設備状況 |
次葉4 | 収支の見込み |
次葉5 | 所要資金の額、調達方法 |
次葉6 | 酒類販売の管理に関する取組計画 |
免許申請チェック表 | |
免許要件誓約書 | |
複数申請等一覧表(Excel) | 複数店舗での同時申請の場合 |
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