酒類卸売業免許│8つの区分と取得要件・申請手続きを徹底解説

酒類にはその流通段階で酒税という国の重要な政策が関わってくることから、国が流通の実態を把握し、酒税の適正な徴収に資することを目的として、酒類販売業には免許制が採用されています。数ある許認可のなかでも、この酒税という財源に直結する制度であるからこそ、審査の視点も他の営業許可とは一線を画すものになっています。
酒類卸売業については、納税義務者である酒類製造者から直接的に酒類を仕入れるという、流通の中核を担う立場にあることから、小売業に対するものよりも一段厳しい規制が設けられています。免許区分も細分化されており、扱う酒類の種類や販売先によって取得すべき免許が変わってくる点が実務上のわかりにくさにつながっています。
本稿では、これから酒類卸売業への参入を目指す方に向けて、酒類卸売業免許に関する基礎知識や手続方法について詳しく解説していきます。
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目 次
酒類卸売業とは

日本国内における酒類の流通は、卸(おろし)や問屋(とんや)と呼ばれる卸売業者を中間に置く伝統的な構造から成り立っています。ここでいう卸売業とは、商品の流通過程において生産者と小売店とを橋渡しする立場で販売活動を行う営業形態を指します。
同じ酒類販売業であっても、エンドユーザーである消費者や飲食店等に対して酒類を販売するのではなく、酒類販売業者や酒類製造業者に対して販売するという点で、酒類小売業とは根本的に性質が異なります。取引の相手方が事業者に限られる分、扱う数量や取引の継続性についても、小売業とは違った視点で審査されることになります。
このような流通上の役割の違いが、免許要件における基準数量や経験要件の厳しさにもそのまま反映されているといえるでしょう。

酒類卸売業免許の8つの区分
酒類卸売業免許は、酒類販売業者又は酒類製造業者に対してお酒を販売するための免許区分ですが、実際には下表の8つの区分に細分化されており、営もうとする事業形態に応じた免許を取得する必要があります。
| 免許区分 | 概要 |
|---|---|
| 全酒類卸売業免許 | すべての酒類を卸売するための免許 |
| ビール卸売業免許 | ビールを卸売する免許 |
| 洋酒卸売業免許 | ワイン、ウイスキー、スピリッツ、発泡酒、リキュールなどを卸売する免許 |
| 輸出入酒類卸売業免許 | 自社輸出入の酒類を卸売する免許 |
| 店頭販売酒類卸売業免許 | 自己の会員である酒類販売業者に対し、店頭で直接引き渡す方法による卸売をする免許 |
| 協同組合員間酒類卸売業免許 | 加入している事業協同組合の他の組合員を対象に酒類を卸売する免許 |
| 自己商標酒類卸売業免許 | 自社が開発した商標や銘柄の酒類を卸売する免許 |
| 特殊酒類卸売業免許 | 酒類事業者の特別な必要に応ずるための卸売免許 |
全酒類卸売業免許
清酒、焼酎、ビール、ワイン、ウイスキー、ブランデー、発泡酒など、種類や銘柄を問わず原則すべての品目のお酒を卸売できる免許が全酒類卸売業免許です。取り扱える種類に制限がないため、事業開始前には誰もが検討する免許区分ではありますが、そう簡単に取得できる免許ではありません。
全酒類卸売業免許には毎年度、卸売販売地域ごとに免許可能件数という上限枠が定められており、免許付与件数がこの上限に到達した時点で、その免許年度の免許付与は終了となります。加えて、経営基礎要件のなかで年間卸売数量が100kl以上であることが基準として求められており、この二つの制約が重なることで、酒類卸売業免許の中でも最も取得ハードルの高い区分となっています。
免許可能件数は毎年9月1日(土日の場合は翌月曜日)に、卸売販売地域内の税務署の掲示板や国税庁のホームページで公示される仕組みです。
ビール卸売業免許
ビール卸売業免許は、その名のとおりビールを卸売できる免許区分です。全酒類卸売業免許ほどのハードルではないものの、需要の高さから同じく年度ごとの免許可能件数と、年間卸売数量50kl以上という基準が設けられています。
申請数が免許可能件数を超えた場合には、全酒類卸売業免許と同じく公開抽選によって審査順位が決められ、免許付与の要件を満たした者から順に免許が付与される流れです。
洋酒卸売業免許
洋酒卸売業免許は、国産・外国産を問わず、洋酒に分類される果実酒やウイスキー、ブランデー、発泡酒、スピリッツ、リキュールなどを卸売できる免許区分です。清酒や焼酎といった和酒は対象に含まれず、あくまで洋酒に分類される品目に限定されている点が特徴になります。
かつては年間卸売数量の基準数量が設けられていましたが、平成24年の要件緩和によりこの基準は廃止されており、現在は数量面での足切りが存在しません。全酒類卸売業免許やビール卸売業免許のように免許可能件数の上限枠も設けられていないため、いつでも申請できる区分でもあります。
こうした事情から、取扱品目を洋酒に絞ってよいのであれば、卸売業免許のなかでは比較的取り組みやすい区分だといえます。ワインやウイスキーの輸入・卸売を軸に事業を組み立てたい場合、真っ先に検討候補となる免許です。
店頭販売酒類卸売業免許
店頭販売酒類卸売業免許は、自己の会員として登録・管理している酒類販売業者に対し、店頭で直接引き渡す方法に限って卸売できる免許区分です。販売先が会員登録された酒類販売業者に限定される点は制約になりますが、その代わり扱える酒類の種類自体には制限がありません。
この特徴から、取得ハードルの高い全酒類卸売業免許の代替として活用されるケースが少なくありません。全酒類卸売業免許のように免許可能件数の上限枠が設けられていないため、需給調整の対象外で申請できる点も実務上のメリットです。
ただし「店頭で直接引き渡す」という販売方法そのものに限定が付されているため、配送による卸売を主軸に据えたい事業者にとっては、事業設計そのものを見直す必要が出てくる免許でもあります。
協同組合員間酒類卸売業免許
協同組合員間酒類卸売業免許は、自己が加入する事業協同組合の他の組合員に対してのみ、酒類を卸売できる免許区分です。ここでいう事業協同組合とは、中小企業等協同組合法に基づいて設立されたものに限られており、任意団体や親睦団体のような組織は対象になりません。
販売先が同一組合内の組合員に限定される分、対外的な卸売事業として展開する自由度は低くなりますが、その代わりに組合内での酒類の共同購入・共同流通を目的とした事業には適した免許区分だといえます。
組合そのものが酒類事業と直接関係のない業種であっても、組合員が酒類を必要とする実態があれば検討対象になり得る免許であり、他の卸売業免許とは成り立ちの発想がやや異なる区分です。
自己商標酒類卸売業免許
自己商標酒類卸売業免許は、自ら開発した商標や銘柄の酒類に限り卸売できる免許区分です。ここでいう自己商標とは、既存の酒類をそのまま仕入れて転売するのではなく、自社が独自に開発したブランドラベルを付した酒類を指します。
一般的な活用のされ方としては、酒類製造業者にOEMで製造を依頼し、自社商標ラベルを付けた酒類を引き取ったうえで、小売業者などに卸売するという事業形態が該当します。プライベートブランドの酒類を展開したい事業者にとって、代表的な選択肢のひとつになる免許です。
なお、あくまで自社商標の酒類に限られる免許であるため、他社ブランドの酒類も合わせて扱いたい場合には、別途対応する免許区分を追加で取得する必要が生じます。
輸出入酒類卸売業免許
輸出入酒類卸売業免許は、輸出で卸売を行うための輸出酒類卸売業免許と、輸入販売を行うための輸入酒類卸売業免許を総称する呼び方です。この二つはまとめて語られることが多いものの、実際にはそれぞれ独立した別の免許区分として扱われます。
輸出酒類卸売業免許は自社が輸出する酒類を卸売するための免許であり、輸入酒類卸売業免許は自己または自己と密接な関係にある特定の者が輸入した酒類を卸売するための免許です。輸入酒類卸売業免許については、他者が輸入した酒類まで卸売しようとする場合、扱う品目に応じて該当する別の卸売業免許区分の扱いに切り替わる点も押さえておく必要があります。
輸出・輸入の両方を手掛けたい事業者は、それぞれの免許を個別に取得しなければならず、片方だけ取得していればもう片方の業務もできるという関係にはなっていません。日本酒の海外輸出とワインの輸入卸売を同時に行いたいといったケースでは、この点を見落として片方の免許しか申請しないという事態にならないよう注意が必要です。
特殊酒類卸売業免許
特殊酒類卸売業免許は、酒類事業者の特別な必要に応ずるために設けられている免許区分であり、原則として酒類製造者の本支店や出張所、その共同販売機関に対して付与される仕組みです。他の卸売業免許のように広く一般の事業者を対象とするものではなく、対象がかなり限定された特殊な区分だといえます。
免許の要件
酒類卸売業免許を取得するためには、人的要件、場所的要件、経営基礎要件、受給調整要件のすべてをクリアすることが求められます。経営基礎要件はさらに資産状況等・経験要件・資金設備要件に分かれており、実質的にはかなり多岐にわたる審査項目をクリアしていく必要がある構成です。
| 要件 | 概要 |
|---|---|
| 人的要件 | 申請者や役員が、免許・許可の取消歴、滞納処分歴、刑罰歴などの欠格事由に該当しないこと |
| 場所的要件 | 販売場が製造場・他の販売場・酒場等と同一でなく、営業として他の事業主体と明確に区分されていること |
| 経営基礎要件 | 資産状況、経験、資金及び設備等を総合的に照らし合わせ、一定の経営基礎を有すること |
| 需給調整要件 | 卸売販売地域ごとに設けられた免許可能件数の範囲内であること(全酒類・ビール卸売業) |
人的要件
酒税の適切な徴収という観点から、信頼性や倫理観に欠ける人間を酒類販売業に関与させることは好ましくありません。この考え方から酒税法では、酒類販売免許を受けようとする者について欠格事由が設けられており、いずれかひとつでも該当する者には免許が付与されない仕組みになっています。
法人として申請する場合は役員全員がこの欠格事由に該当しないことが前提になるため、役員構成を事前に確認しておくことが実務上のポイントになります。
- 免許を取り消され、又は許可を取り消された日から3年を経過するまでの者
- 酒類販売業者である法人が免許を取り消された場合又は許可を取り消された場合において、それぞれ、その取消しの原因となった事実があった日以前1年内に当該法人の業務を執行する役員であった者で当該法人がその取消処分を受けた日から3年を経過するまでのもの
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が1・2・7・8に該当する者である場合
- 法人の役員のうちに1・2・7・8に該当する者がある場合
- 1・2・7・8に該当する者を販売場に係る支配人としようとする場合
- 申請前2年内において国税又は地方税の滞納処分を受けた者である場合
- 免許の申請者が国税若しくは地方税に関する法令、酒類業組合法、アルコール事業法の規定により罰金の刑に処せられ、又は国税通則法、関税法、地方税法の規定により通告処分を受け、それぞれ、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過するまでの者である場合
- 未成年者飲酒禁止法、風営法、暴力団対策法の規定により、又は刑法上の一定の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者である場合
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者
- 正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとする場合
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合
- 酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため免許を与えることが適当でないと認められる場合
場所的要件
税区分を明確にする必要性から、酒類の販売場を製造免許を受けている酒類の製造場や、販売業免許を受けている酒類の販売場、酒場、旅館、料理店などと同一の場所に設けることは認められていません。加えて申請販売場における営業が、区画割りや専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性など、他の営業主体の営業と明確に区分されていることも求められます。
この考え方から、オープンスペースやフリースペース、オフィスとしての実態がないバーチャルオフィスは販売場として認められない扱いになっています。物件が自己所有か賃貸かは問われませんが、賃貸物件の場合は賃貸契約書の写しに加え、賃貸人からの使用承諾書も必要です。
なお、管理規約が定められたマンションの一室を販売場にしようとする場合、たとえ自己所有の物件であっても、住民や管理組合の承諾を別途求められることがあります。
需給調整要件
全酒類卸売業免許とビール卸売業免許については、酒税の保全上、酒類の需給の均衡を維持する必要があることから、地域的な需給調整を行うための卸売販売地域という枠組みが設けられています。この卸売販売地域ごとに算定されるのが、先述した免許可能件数です。
つまり需給調整要件とは、単に申請者個人の資格や経歴を審査する要件ではなく、その地域における酒類卸売市場全体の需給バランスを踏まえて、新規免許の付与そのものを制限する仕組みです。申請者側がどれだけ他の要件を満たしていても、卸売販売地域内の免許可能件数がすでに埋まっていれば、その年度の免許は付与されません。
条件緩和の申出時の要件
条件緩和の申出とは、すでに酒類小売業免許を受けている販売場が、同一の販売場において新たに卸売を行おうとする場合に用いる制度です。
この条件緩和の申出を行うためには、酒類販売業免許の取消要件に該当していないこと、販売場における年平均販売見込数量が全酒類卸売業免許の場合は100kl以上、ビール卸売業免許の場合は50kl以上であること、そして需給調整要件を満たしていることの3点をクリアする必要があります。つまり受給調整要件そのものは、条件緩和の申出においても引き続き審査対象になる仕組みです。
すでに小売業として実績のある事業者が卸売にも事業を広げたい場合、ゼロから免許を申請するよりも、この条件緩和の申出を活用したほうが手続き上の負担が軽くなる傾向にあります。ただし需給調整要件をクリアする必要がある点は新規申請と変わらないため、卸売販売地域内の状況次第では、条件緩和であっても認められない可能性がある点はご注意ください。
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経営基礎要件
経営能力に乏しい事業者に酒類の販売を任せることは、中長期的には国が徴収する酒税の減少にもつながりかねません。そのため、経営状況が安定しない事業者を市場に関与させることは好ましくないとされており、資産状況や経験、資金・設備などを総合的に審査した結果、一定の経営基礎を備えていないと判断された申請者には免許が交付されない仕組みとなっています。
なお、酒類小売業では販売場ごとに酒類販売管理者を選任し、その旨を記載した標識を掲示する義務が課されていますが、これはあくまで小売業者に課される義務であり、卸売業免許のみを取得している事業者には選任義務そのものが発生しません。
資産状況等
申請者の資産状況に関する要件は、次のいずれにも該当しないことが前提です。これらの項目はいずれも財務面での安定性を測るためのものであり、決算内容や納税状況を事前にチェックしておくことで、申請段階でのつまずきを防ぎやすくなります。
- 現に国税又は地方税を滞納している場合
- 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合
- 最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている場合
- 最終事業年度以前3事業年度の全ての事業年度において資本等の額の20%を超える額の欠損を生じている場合
- 酒税法等の関係法令に違反し、通告処分を受け、履行していない場合又は告発されている場合
- 販売場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令又は地方自治体の条例の規定に違反しており、店舗の除却又は移転を命じられている場合
- 申請酒類小売販売場において、酒類の適正な販売管理体制が構築されないことが明らかであると見込まれる場合
経験要件
申請者には、経験その他から判断して適正に酒類の卸売業を経営するに十分な知識・能力を有すると認められる者、またはこれらの者が主体となって組織する法人であることが求められます。
全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許では、酒類製造業・販売業への従事が引き続き10年以上(沖縄県は3年以上)または経営者として5年以上あることが求められ、この2区分に限り研修受講による代替は一切認められません。
洋酒卸売業免許・店頭販売酒類卸売業免許・協同組合員間酒類卸売業免許・自己商標酒類卸売業免許は、必要な従事期間が3年以上に短縮されているうえ、不足分は他業種の経営経験と研修受講の組み合わせで補える扱いになっています。
輸出入酒類卸売業免許はこの2グループとは異なり、「知識」は研修で担保できる一方、「能力」にあたる貿易業務の経営実績は研修では代替できません。
★全酒類・ビール卸売業の経験要件
- 免許を受けている酒類製造業若しくは販売業(薬用酒だけの販売業を除く)の業務に引き続き10年(申請販売場が沖縄県に所在する場合は3年)以上直接従事した者
- 調味食品等の販売業を10年(申請販売場が沖縄県に所在する場合は3年)以上継続して営業している者
- 上記の業務に従事した期間が相互に通算して10年(申請販売場が沖縄県に所在する場合は3年)以上である者
- 酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者又は酒類の製造業若しくは販売業の経営者として直接業務に従事した者等で酒類に関する事業及び酒類業界の実情に十分精通していると認められる者
★その他卸売業の経験要件
- 免許を受けている酒類製造業若しくは販売業(薬用酒だけの販売業を除く)の業務に引き続き3年以上直接従事した者
- 調味食品等の販売業を3年以上継続して営業している者
- 上記の業務に従事した期間が相互に通算して3年以上である者
- 酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者又は酒類の製造業若しくは販売業の経営者として直接業務に従事した者等で酒類に関する事業及び酒類業界の実情に十分精通していると認められる者
| 免許区分 | 必要な従事経験年数 | 経営者としての従事の場合 |
|---|---|---|
| 洋酒卸売業免許など個別品目の卸売業免許 | 3年以上 | (区別なし、3年以上) |
| 全酒類卸売業免許・ビール卸売業免許 | 10年以上 | 5年以上 |
| 上記卸売業免許で販売場が沖縄県内の場合 | 3年以上(特例) | 3年以上(特例) |
資金設備要件
申請者には、酒類を継続的に販売するために必要な資金、販売施設及び設備を有していること、あるいは免許付与までにこれらを有することが確実と認められることが求められます。通常は、必要資金や販売施設・設備のすべてについて、酒類小売業免許で要求される水準よりも大きめの規模と計画が前提とされます。
これは卸売業が扱う数量そのものが小売業に比べて大きくなることの裏返しであり、事業計画書の作成段階から、資金調達の見込みや設備投資の規模を具体的に詰めておく必要があります。
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免許申請の手続き
酒類卸売業免許の申請は、個人の居住地や法人の営業所所在地ではなく、開業予定地を管轄する税務署に対して行います。たとえば神戸在住の個人事業主や、大阪市に本店を置く株式会社であっても、尼崎市で開業する場合には尼崎税務署に対して申請することになります。
酒類卸売業免許の申請においては事前協議がほぼ必須とされていますが、相談窓口となる酒類指導官(酒税官)はすべての税務署に常駐しているわけではありません。指導官は地域内の複数税務署を取りまとめる拠点に配置されているため、たとえば尼崎市で開業する場合、申請先自体は尼崎税務署であっても、事前相談の窓口はお隣の西宮税務署に常駐する指導官が担う、といったケースが生じます。
全酒類卸売業・ビール卸売業の申請時期
全酒類卸売業免許とビール卸売業免許には免許可能件数が設けられており、毎年9月1日にその公告が行われます。抽選対象となる申請可能期間は毎年9月1日から9月30日までとされ、この間に免許申請書を提出する流れです。書類の提出自体は同年7月1日から可能ですが、早く提出したからといって審査上有利になるわけではありません。
申請可能期間中に申請があった分については、同年10月中に審査順位を決めるための公開抽選が行われます。あくまで抽選である以上、完全に運任せの側面があり、抽選結果によってその場で免許が確定するわけでもない点は理解しておく必要があります。
その他の卸売業免許の申請時期
全酒類卸売業免許とビール卸売業免許以外の卸売業免許については、免許可能件数や申請可能期間そのものが設けられておらず、いつでも申請することが可能です。この点は、洋酒卸売業免許や自己商標酒類卸売業免許などを検討する際の実務上の大きなメリットになります。
免許申請に必要となる書類
酒類卸売業免許の申請は、以下の書類を開業予定地を管轄する税務署に提出することにより行います。法人の場合、定款や登記事項証明書の事業目的欄に「酒類販売」に類する文言が入っていることが前提条件になるため、既存の法人が新規に卸売業へ参入する場合は、事業目的の変更登記が必要になるケースもある点に注意が必要です。
| 書類 | 内容 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|---|
| 免許申請書 | 申請内容の基本情報 | ○ | ○ |
| 履歴書 | 個人は申請者本人、法人は役員全員分 | ○ | ○ |
| 定款の写し | 事業目的に「酒類販売」の文言が必要 | × | ○ |
| 登記事項証明書 | 事業目的に「酒類販売」の文言が必要 | × | ○ |
| 賃貸借契約書の写し等 | 販売場が賃貸である場合 | ○ | ○ |
| 地方税の納税証明書 | 未納がない旨、2年以内の滞納処分がない旨の証明 | ○ | ○ |
| 貸借対照表・損益計算書等 | 最終事業年度以前3事業年度分 | ○ | ○ |
審査・免許の通知
申請書類が税務署に受理された後は、標準的な処理期間とされる2ヶ月以内を目処に審査が行われますが、書類の不備や追加の確認事項が生じた場合はさらに期間が延びることになります。
審査を通過すると、税務署から免許交付の通知が届き、登録免許税の納付を経て、実際に免許が交付される流れです。この段階ではじめて酒類販売業免許通知書を受け取ることになるため、通知を受け取るまでは酒類の卸売そのものを開始することができません。
登録免許税について
酒類卸売業免許が付与される際には、免許1件につき9万円の登録免許税を納付する必要があります。これは8つある卸売業免許のうちどれか1つを取得しても、複数の区分をまとめて取得しても、納付額は9万円のまま変わりません。
ただし、すでに酒類小売業免許を持っている販売場が、条件緩和の申出によって卸売業免許を追加する場合は、小売業免許ですでに納付済みの3万円との差額に相当する6万円を納付すれば足ります。
Q. 酒類卸売業免許は個人事業主でも取得できますか?
A. 取得は可能です。ただし経験要件として、酒類製造業・販売業への長期の従事経験や、個人事業主・法人役員として主体的に業務に関わっていた実績が求められるため、法人・個人を問わず経歴の裏付けが重要になります。
Q. 全酒類卸売業免許は、なぜそんなに取得が難しいのですか?
A. 卸売販売地域ごとに免許可能件数という上限枠が設けられており、この枠を超えて新規免許が付与されることはありません。加えて年間卸売数量100kl以上という基準も課されているため、需給調整と数量基準の両方をクリアする必要がある点が難易度を押し上げています。
Q. 洋酒卸売業免許なら、比較的取得しやすいのでしょうか?
A. 平成24年の要件緩和により年間卸売数量の基準が廃止されており、全酒類卸売業免許やビール卸売業免許のような免許可能件数の上限枠も設けられていません。そのため、扱う品目を洋酒に絞ってよいのであれば、卸売業免許のなかでは比較的取り組みやすい区分だといえます。
Q. すでに酒類小売業免許を持っていれば、卸売にも自動的に対応できますか?
A. 自動的に対応できるわけではありません。同一の販売場で新たに卸売を行う場合は、条件緩和の申出という手続きが必要になり、酒類販売業免許の取消要件に該当していないことや、需給調整要件を満たしていることなど、一定の基準をクリアする必要があります。
Q. 申請時に取引承諾書は必ず必要ですか?
A. 酒類卸売業免許の申請では、需給調整要件の観点から、仕入先・販売先それぞれから取引承諾書を取得して添付する必要があります。取引先が海外の場合は、外国語表記に加えて日本語訳の併記も求められます。
まとめ
酒類販売業は免許区分や要件が多岐にわたり、許認可を必要とする事業のなかでも手続きの仕組みが複雑なもののひとつです。特に小売店に大きな影響力を持つ卸売業の免許申請については、酒類販売業免許を数多く手掛けている行政書士であっても判断に迷う場面が出てくるほどであり、実際に取り組んでみるとその煩雑さを実感することになるはずです。
まずは自身が実現したい事業内容を整理したうえで、どの区分の免許が必要になるのかを見極め、酒類販売に係る規制への理解を深めながら、事前準備を丁寧に整えていくことが遠回りのようで一番の近道になります。
弊所は関西圏を中心に、全国各地で年間300件以上の申請に携わっています。酒類関連の手続きは、より難易度の高い製造免許を含めてコンスタントにご依頼をいただいており、対応エリアも着実に広がっています。
さらに、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、迅速かつ格安での対応をお約束します。経験の蓄積とスピード対応により工期を短縮できるため、格安料金での提供が可能になっています。一般酒類小売業免許の申請書類作成でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
酒類販売業免許に関する手続きのご相談はお気軽に♬
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