兵庫県における中小企業新事業展開応援事業について
兵庫県では、新型コロナウイルス感染症の影響下で、県内中小企業者が経営力強化のため取組むコロナ禍の環境変化に応じたビジネスモデルの再構築や新たな事業展開に対して支援を行っています。
本補助金の締切りは7月31日です。消印ではなく必着なので、手続きはお早めに。
事業の目的
新型コロナウイルス感染症の影響下で、県内中小企業者が経営力強化のため、コロナ禍の環境変化に応じたビジネスモデルの再構築(業態やサービス提供方法等の変更や追加)や新たな事業展開に係る取組みに対して支援が行われます。
補助対象者
本事業の補助対象者は、次の要件をすべて満たす中小企業者が対象になります。
- 兵庫県内に事業所を有する中小企業者であること
- 申請前の直近6ヶ月間のうち任意の3ヶ月の合計売上高が、2019年1~6月又は2020年1~3月の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
交付申請時において兵庫県内で事業を行っている中小企業者であることが要件です。また、県税に未納がないことや、フランチャイズ契約を締結して事業を行っている者でないことも必要とされています。なお、主たる事務所(本店)が県外にあっても、県内に事業所を有し、県内事業所で補助対象事業を実施する場合は申請可能です。
中小企業者の定義について、詳しくはこちらでご確認ください。
業種の定義
卸売業・小売業とは、「他者から仕入れた商品を販売する(=他者が生産したモノに付加価値をつけることなく、そのまま販売する)事業」を言います。
サービス業とは、「在庫性・代替性のない価値(=個人の技能をその場で提供する等の流通性がない価値)を提供する事業」のことを言います。自身で生産、捕獲・採取した農水産物を販売するのは「商業・サービス業」ではなく「その他の業種」に分類されます。
製造業とは、「自者で流通性のあるモノ(ソフトウェアのような無形の商品や無形の価値を含む)を生産する事業、他者が生産したモノに加工を施したりするなどして、更なる価値を付与する事業(在庫性のある商品を製造する事業)」のことを言います。
業種区分の定義に当てはめることが難しい事業や、区分が異なる複数の事業を営んでいるなど判断が難しい場合は、「その他の業種」として判定します。
売上高
申請前の直近6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年1~6月又は2020年1~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較した減少率が10%未満の場合、本事業の申請はできません。
任意の3ヶ月とは申請前の直近6ヶ月の範囲内であれば、連続した3ヶ月である必要はありません。
交付を受ける者として不適当な者
申請の際には、以下の「中小企業新事業展開応援事業補助金の交付を受ける者として不適当な者」に該当しないことを誓約することが必須となります。
- 法人等(個人又は法人をいう。)が、暴力団対策法に規定する暴力団である、又は法人等の役員等が、暴力団対策法に規定する暴力団員である
- 役員等が、自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって、暴力団または暴力団員を利用するなどしている
- 役員等が、暴力団または暴力団員に対して、資金等を供給し、又は便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与している
- 役員等が、暴力団又は暴力団員であることを知りながら、これと社会的に非難される関係を有している
このほか、風俗営業、性風俗関連特殊営業又は接客業務受託営業を営む者でないことも要件とされています。
創業後間もない事業者
2020年4月以降に開業した事業者については、コロナ以前(2020年3月31日以前)より創業計画を立てており、2020年4月~2021年3月の間に創業した事業者であることが要件となります。
この場合、2021年1月~6月までの6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月間の合計売上高を2020年の創業時から2021年3月31日までの1日当たりの平均売上高の3ヶ月分と比較して10%以上減少していることが申請の要件となります。
補助対象事業
補助対象となる事業は、次の要件をすべて満たす事業です。
- 業態やサービス提供方法の変更や追加等ビジネスモデルの再構築により経営力強化を図るための取組みであること
- 兵庫県内において実施される事業であること
- 以下に該当する事業を行うものではないこと
- 同一内容の事業について、国(JETRO等の独立行政法人等を含む)や県、市町が助成する他の制度(補助金、委託費等)と重複する事業
- 本事業の完了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業
- 事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、又は公の秩序若しくは善良の風俗を害すこととなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの
開拓する販路として対象とすることができる市場の範囲は、日本国内に限らず海外市場も含むことができます。また、消費者向け、企業向け取引のいずれも対象となります。
例えば、機械を導入して試作品開発を行うのみであり、本事業の取り組みが直接販売の見込みにつながらない、想定されていない事業や、マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等は補助対象事業に該当しません。
なお、補助事業を実施することにより産業財産権が発生した場合は、その権利は補助事業者に帰属します。
補助対象経費
補助対象となる経費は、次の条件をすべて満たすものとなります。
- 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
- 交付決定日以降に発生し、対象期間中に支払が完了した経費
- 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
補助対象となる経費について
補助対象となる経費は、補助事業実施期間中に「業態やサービス提供方法の変更や追加による経営力強化のための取り組み」を実施したことに要する費用の支出に限られます。補助事業期間中に発注や引き渡し、支払等があっても、実際の事業取り組みが補助対象期間外であれば、当該経費は補助対象にできません。
補助事業実施期間中に実際に使用し、事業計画書に記載した取り組みをしたという実績報告が必要になります。
経費の支払方法について
補助対象経費の支払方法は銀行振込が原則になります。適正性確保のため、旅費や現金決済のみの取引(代金引換限定のサービス等)を除き、1取引10万円超(税抜き)の支払については、現金支払いは認められていません。
また、補助事業者から相手方へ資金の移動が確認できないため、相殺(売掛金と買掛金の相殺等)による決済は認められません。
クレジットカードによる支払は補助対象期間中に引き落としが確認できる場合のみ可能です。自社振出・他社振出にかかわらず、小切手・手形による支払いも認められていません。
購入品の引き取りが補助対象期間中でも、口座からの引き落としが補助対象期間外であれば、補助対象外経費となります。
分割払いにより、補助事業期間中に支払が完了せず、所有権が補助事業者に帰属しない物品購入も対象外です。リボルビング払いの物品購入も、補助事業期間中に当該リボルビング払いが全て完済しない限り対象外です。
なお、代表者や従業員が、個人のクレジットカードで支払いを行う場合は「立替払い」となり、①上記のクレジットカード払い時のルール(補助対象期間中に引き落としが確認できることが必要)及び②補助事業者と立替払い者間の精算(立替払い者への立て替え分の支払い)が補助対象期間中に行われることの双方を満たさなければなりません。
決済は法定通貨で行います。仮想通貨・クーポン・(クレジットカード会社等から付与された)特典ポイント・金券・商品券の利用等は認められません。
電子商取引等について
インターネット広告の配信等において電子商取引を行う場合でも、「証拠資料等によって金額が確認できる経費」のみが対象となります。
実際に経費支出を行っていたとしても、取引相手先の都合等により、発注した日が確認できる取引画面を提出できない、補助対象経費として計上する取引分の請求額が判明する書類が提出できない、広告が確認できるインターネット画面が取得できない等の場合には、補助対象になりません。
また、いわゆる電子マネーでの支払いをしようとする場合でも、補助事業者からの支出であることに加え、上記と同様、補助金で求められる、一連の経理処理の証拠となる書類を整理・保存・提出ができるものであることが必要です。
取引相手先によく確認し、補助金で求められる、仕様提示、見積、発注、納品、検収、請求、支払といった流れで調達を行い、適切な経理処理の証拠となる書類(取引画面を印刷したもの等)を整理・保存・提出ができることを把握してから取引をしてください。
補助対象経費の例
建物改修費
専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の改修に要する経費(外装・内装・設備工事費等)
住居兼用の場合は、居住スペースを除く設備導入費が該当します。
システム導入費
- 事業の遂行に必要な設備機器の購入・修繕・リースに要する経費
- 事業の遂行に使用される専用ソフトウェアの購入、リースに要する経費
パソコン、タブレット PC等、汎用性が高く目的外使用になり得るものは除かれます。
中古品の購入は、価格の妥当性を示すため複数の中古品販売事業者(個人からの購入や、オークションによる購入は不可)から同等品についての見積を取得することが必要となります。
広告宣伝費・販売促進費
本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展等に要する経費
事業計画書に基づく商品・サービスの広報を目的としてものが対象であり、単なる会社の PRや営業活動に活用される広報費は除かれます。
クラウドサービス利用費
専ら補助事業のために利用するクラウドサービスや WEB プラットフォーム等の利用に関する経費
具体的には、サーバーの領域を借りる費用(サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費となります。自社の他事業と共有する場合は補助対象となりません。
開発費
新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費
購入する原材料等の数量は、サンプルとして使用する必要最小限の数量となります。試作品の生産に必要な経費のみが対象となり、販売を目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費は補助対象外になります。
委託費
事業遂行に必要であって、自ら実行することが困難な業務の一部を第三者に委託するために支払われる経費
委託内容、金額等が明記された契約書等を締結し、委託する側である補助事業者に成果物等が帰属する必要があります。
専門家謝金
事業の遂行に必要な指導・助言を受けるために依頼し、専門家等謝礼として支払われる経費
商工会又は商工会議所職員を専門家等として支出の対象にすることはできません。
謝金の単価は、補助事業者が定める規程等によりその単価の根拠が明確であり、その金額が社会通念上妥当なものである必要があります。なお、謝金単価を規程等により定めていない場合、以下の通りとなります(消費税抜)
大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等 | 1日5万円以下 |
准教授、技術士、中小企業診断士、IT コーディネーター等 | 1日4万円以下 |
補助対象外となる経費
- 補助事業の目的に合致しないもの
- 必要な経理書類を用意できないもの
- 交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの
- 自社内部の取引によるもの
- 販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費
- パソコン、タブレットPC及び周辺機器のように汎用性が高く他の目的に使用出来るもの
- オークションによる購入(インターネットオークションを含む)
- 駐車場代や事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
- 電話代、インターネット利用料金等の通信費
- 名刺や文房具、その他事務用品等の消耗品代(例えば、名刺のほか、ペン類、インクカートリッジ、用紙、はさみ、テープ類、クリアファイル、無地封筒、OPP・CPP袋、CD・DVD、USBメモリ・SDカード、電池、段ボール、梱包材の購入などが補助対象外)
- 雑誌購読料、新聞代、団体等の会費
- 茶菓、飲食、奢侈、娯楽、接待の費用
- 不動産取得費用、建物建築費用、株式の購入費、車検費用
- 税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用及び訴訟等のための弁護士費用
- 金融機関などへの振込手数料(ただし、発注先が負担する場合は補助対象とする)、代引手数料、インターネットバンキング利用料、インターネットショッピング決済手数料等
- 公租公課(消費税・地方消費税等)
- 各種保証・保険料(ただし、旅費に係る航空保険料、展示会等出展で主催者から義務付けられた保険料に係るものは補助対象とする)
- 借入金などの支払利息及び遅延損害金
- 収入印紙、官公庁へ支払う手数料等
- 免許・特許等の取得・登録費
- 講習会・勉強会・セミナー研修等参加費や受講費等
- 商品券・金券の購入、仮想通貨・クーポン・(クレジットカード会社等から付与された)ポイント・金券・商品券での支払い、自社振出・他社振出にかかわらず小切手・手形での支払い、相殺による決済
- 事業に係る自社の人件費、旅費
- 各種キャンセルに係る取引手数料等
- 補助金応募書類・実績報告書等の作成・送付・手続きに係る費用
- 同一の内容について、県をはじめとする地方公共団体や国(独立行政法人等を含む)が助成する他の制度(補助金、委託費等)と重複する経費
- 上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
展示会等への出展の申込みについてのみ、交付決定前の申込みでも補助対象となります。ただし、請求書の発行が交付決定日以後でなければ補助対象になりません。見積の取得は交付決定前でも構いません。
その他の留意事項
子会社等から調達を行う場合には、調達価格に含まれる利益を排除しなければなりません。当該調達品の製造原価を構成する要素であっても、補助対象経費に該当しないものは対象経費として計上できません。
補助率
補助対象経費(税抜) | 補助金額 |
---|---|
50万円以上~70万円未満 | 35万円 |
70万円以上~100万円未満 | 50万円 |
100万円以上~150万円未満 | 75万円 |
申請手続き
主たる事務所の所在地を管轄している商工会・商工会議所に対して書類を提出します。
補助事業は、事業者自身が、事業計画書等の作成時や採択後の補助事業実施の際に、商工会・商工会議所の支援を受けることで、持続的発展に取り組む趣旨で行います。
手続きの流れ
事業計画について、地域の商工会又は商工会議所窓口に相談します。
↓
計画内容については、必要に応じて商工会・商工会議所や専門家からの助言を受けます。
↓
補助事業者は、申請書類全てを商工会・商工会議所に提出し、内容の確認を依頼します。
↓
確認を受けた申請書を受付締切(当日必着)までに提出します。
提出資料
申請書類は、兵庫県のホームページからダウンロードできます。
応募申請書類で定める提出書類を地域の商工会又は商工会議所に提出します。郵送の場合は必ず封筒等に「中小企業新事業展開応援事業補助金公募に係る応募書類在中」と記載します。
なお、必要に応じて追加資料の提出及び説明を求められることがあります。また、申請書類等は返却されません。
応募件数
同一事業者からの応募は1件に限られます。複数の屋号を使用している個人事業主も応募は1件のみです。万が一、複数応募が判明した場合には、すべて不採択となり、採択後に複数応募が判明した場合も、遡って採択は取り消されます。
事業計画や経費の変更等
交付決定後、補助事業の経費の配分や内容を変更しようとする場合、又は補助事業を中止(一時中断)、廃止(実施取りやめ)や他に承継させようとする場合は、事前に承認を得る必要があります。
補助金の交付
補助事業を完了したときは、実績報告書を提出しなければなりません。実施した事業内容の審査と経費内容の確認等により交付すべき補助金の額を確定した後、精算払いとなります。
原則として、補助事業完了後の補助金額確定にあたり、補助対象物件や帳簿類の確認ができない場合については、当該物件等に係る金額は補助対象外となります。
補助対象事業の経理
補助金は経理上、支払い額の確定を受けた事業年度における収益として計上するものであり、法人税・所得税の課税対象となります。
補助事業に係る経理について、帳簿や支出の根拠となる証拠書類については、補助事業完了後、当該年度の終了後5年間(令和9年3月31日まで)保存しなければなりません。
採択審査
採択審査方法
補助金の採択審査は、提出資料について、「審査の観点」に基づき、有識者等により構成される審査会において非公開で行われます。
結果の通知
応募事業者全員に対して、申請受付を行った商工会・商工会議所を通じて、採択または不
採択の結果が通知されます。
採択案件については、補助事業者名、代表者名、補助事業名、事業概要、住所、業種、法人番号(法人の場合)及び補助金交付申請額が公表されることがあります。
審査の観点
経営方針・目標の妥当性
- 経営方針・目標は、自社の強みを踏まえたものになっているか
- 経営方針・目標は、コロナ禍における環境変化や対象とする市場(商圏)の特性を踏まえたものになっているか
事業計画の有効性
実現可能性
事業計画は具体的であり、事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか
【重点項目】
- 経営課題の解決方法が明確かつ妥当であるか
- 実施体制やスケジュールが妥当であるか
経営力強化
業態やサービス提供方法の変更・追加による経営力強化を実現するものとなっているか
【重点項目】
今後の経営方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか
創意工夫
新製品(商品)や新技術、新サービスなどの創意工夫がなされているか
革新的取組
コロナ禍におけるビジネスモデルの再構築の事例として、他の事業者のモデルとなることが期待できるか
積算の透明・適切性
事業費は事業実施のために必要かつ適正な経費であるか
事業計画書の整合性
事業の具体的内容と3年後の事業計画及び経費明細表が連動(整合)した記載になっているか
事業実施期間等
採択された場合の事業実施期間は、交付決定日から実施期限(令和4年1月31日)までです。この期限までの間で事業を完了(補助対象経費の支払いまで含みます。)した日から30日を経過した日、又は令和4年2月10日のいずれか早い日までに実施事業内容および経費内容を取りまとめ、提出する必要があります。
違反等
補助事業者が補助金適正化法等に違反する行為等(例:他の用途への無断流用、虚偽報告など)をした場合には、補助金の交付決定の取消・返還命令(加算金の徴収を含む)、不正の内容の公表等が行われることがあります。また、法令に違反していることが明らかな場合、当該法令による罰則のほか、採択取消、交付決定取消や交付済み補助金の全額返還(加算金付き)等の処分を受ける可能性があります。
事業計画サポートについて
- 計画はあるが書類の作成が難しい
- どんな制度があるか分からない
- 本業に専念したいから時間を割けない
本稿からも分かるとおり、補助金の制度は、どれも一筋縄では採択されない複雑な構造で成り立っています。公的補助金は、基本的には本人申請を原則としていますが、弊所ではおもに計画書の作成に関するサポートを中心に、外部機関としての支援を行っています。上記のいずれかに該当する方は、ぜひ一度弊所までお問い合わください。